正林寺御住職指導(R3.2月 第205号)
いよいよ令和3年(2021)2月16日は、宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節を迎えます。先月15日には総本山三門御本尊の御遷座式が執り行われ、翌16日には総本山三門大改修並びに諸堂宇修復完成奉告法要が、御法主日如上人猊下大導師のもと厳粛に諸天も寿ぐ晴天に恵まれたなか奉修されました。
今回の大改修で新たに三門左手前には「大石寺縁起」が設置されました。縁起の一部を拝見しますと、
「日興上人は大聖人の『地頭の不法ならん時は我も住むまじ』との御遺言 また『国主此の法を立てらるれば富士山に本門寺の戒壇を建立せらるべきなり』との御遺命により 遂に意を決せられて宗旨の根本たる本門戒壇の大御本尊をはじめ大聖人の御灰骨、御書、御遺物等の一切の重宝を捧持し正応二年(一二八二)の春 身延の山を離れ大聖人御在世当時からの強信者であった南条時光の請によって富士に移られた 翌正応三年 大石寺を建立して大御本尊を安置し奉り 多くの御弟子方を養成されて ここに万代にわたる仏法流布の基礎を築かれたのである
爾来七百三十余年 当山は宗祖日蓮大聖人の仏法を連綿と伝え今日に至っている」(大白法 第1044号)
と、謗法厳誡の御精神と広宣流布の根源等について認められております。
宗祖御聖誕八百年は、大石寺縁起に認められていることを心肝に染めて、三十二年後に控える宗旨建立八百年への出発ともなります。その意義から「日蓮大聖人の仏法八百年」と拝し奉ります。それはまた、仏の滅後正法・像法二千年時代が過ぎて、末法時代に入り1000年経過する節目の時期にもなります。
御法主日如上人猊下から新たな御命題を賜り、法華講員八十万人体勢を土台とした、さらなる体勢構築を目指し前進していきます。師弟相対の信心から御法主上人猊下の御指南を賜りましょう。
現下ではコロナ禍の渦中でもあり、世間的には祝い事は自粛すべき風潮があります。しかし、大聖人の法華経文底下種仏法の御出現により、三時弘教の次第の上から末法の人々は絶対的幸福を得ることができます。大聖人は御誕生後、立宗宣言あそばされてから「天変・地夭・飢饉・疫癘遍く天下に満ち、広く地上に迸る」(御書234)なかを折伏弘教されました。
今月は二月でもあり、雪中に大聖人の佐渡塚原での生活と御振舞を拝して、厳しい現実と向き合うことが大事であります。コロナ禍において、なぜ信心が必要なのか、それでも折伏を行うのかを、よくよく宗祖日蓮大聖人御聖誕八百年の大佳節に当たり考えてみましょう。
さらに、厳しい生活と向き合う時には、戦後、昭和22年(1947)、本行寺(東京向島)の御住職でいらした日顕上人(当時24歳)の題目を唱える御振舞(大日蓮 第703号57㌻ H16.9・日顕上人 お言葉集327)、戦争で失った本行寺を戦災復興なされた時を「今日は我が身の上なり」(御書1394)との御指南を心肝に染め、題目を真剣に唱えて必ず願いがかなうとの諦めない気持ちが大切であります。
宗祖御聖誕八百年を迎え、大聖人の仏法八百年を奉迎させていただくにあたり、仏道修行の厳しさを知り、その厳しさを乗り越えて一切衆生を救済できることを再確認しましょう。
乗り越えるためには、法華講正林寺支部結成時のスローガン「一家和楽の信心」の「和楽」を強盛な信心により一家の境界を構築することが大事であります。
大聖人は『御義口伝』に、
「難来たるを以て安楽と意得べきなり」(御書1763)
と、また『四条金吾殿御返事』に、
「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ。これあに自受法楽にあらずや。いよいよ強盛の信力をいたし給へ。」(御書991)
と仰せのように、一家の和楽を実現するための方途を御指南であります。難来たるを以て安楽との和楽、苦楽ともに思ひ合はせての和楽を構築し、異体同心・講中一結へとつなげましょう。まさに、その果報として「梵天・帝釈等の御計らひとして、(中略)一時に信ずる事あるべし」(御書1123)との御指南に通じることを確信いたします。
さらには、『三大秘法抄』の「大梵天王(だいぼんてんのう)・帝釈(たいしゃく)等の来下(らいげ)して踏(ふ)み給ふべき戒壇なり」(御書1595)との一天四海本因妙広宣流布と御遺命の実現につながると拝し奉ります。
さて、御法主日如上人猊下から賜った御命題である「法華講員八十万人体勢構築」との誓願は「新年之辞」におかれて、
「この記念すべき大佳節を迎えるに当たり、宗門は、去る平成二十一年七月、総本山に於ける七万五千名大結集の砌、『法華講員八十万人体勢構築』の誓願を立て、以来、法華講全支部が身軽法重・死身弘法の御聖訓を奉戴し、異体同心・一致団結して、昼夜を問わず勇猛果敢に折伏戦を展開した結果、今回、見事に誓願を達成することが出来ましたことを心からお祝い申し上げます。」(大日蓮 令和3年1月号 第899号)
と御指南であります。
しかし、御法主上人猊下は、
「但し、残念ながら、昨年末までに誓願を達成出来なかった支部は、大聖人御聖誕の二月十六日までには、講中の全力を傾注して必ず誓願を達成され、仏祖三宝尊に御奉告出来るよう精進を重ねていって戴きたいと思います。
その為には、講中の一人ひとりが身軽法重・死身弘法の御聖訓を拝し、地涌の菩薩の眷属としての自覚と誇りを持って、勇猛果敢に折伏を行じていくことが肝要であります。」(妙教 令和3年1月号 第340号)
とも御指南であります。短期的に2月16日までの誓願達成を目指し、中期・長期的には新たな御命題に備えて精進することが肝要であります。
そのためには、大聖人が『聖人御難事』に、
「い(言)ゐはげ(励)ましてを(堕)とす事なかれ」(御書1398)
との仰せを心得ていきましょう。異体同心・講中一結には大事な心がけであります。
それが末法時代の仏道修行、自行化他にわたる信心になり、御本仏日蓮大聖人の仏法であります。ゆえに大聖人は『三大秘法稟承事』に、
「末法に入って今日蓮が唱ふる所の題目は前代に異なり、自行化他に亘りて南無妙法蓮華経なり」(御書1594)
と御指南であります。
宗祖日蓮大聖人『諌暁八幡抄』に曰く、
「天竺国をば月氏国と申す、仏の出現し給ふべき名なり。扶桑国(ふそうこく)をば日本国と申す、あに聖人出で給はざらむ。月は西より東に向かへり、月氏の仏法、東へ流るべき相なり。日は東より出づ、日本の仏法、月氏へかへるべき瑞相(ずいそう)なり。月は光あきらかならず、在世は但八年なり。日は光明月に勝(まさ)れり、五五百歳の長き闇を照らすべき瑞相なり。」(御書1543)
