平成25年11月度 広布唱題会の砌
於 総本山客殿
(大日蓮 平成25年12月号 第814号 転載)
皆さん、おはようございます。
本日は、十一月度の広布唱題会に当たり、多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
本年もいよいよ十一月に入りましたが、既に御案内の通り、今月十九日にはいよいよ待望の御影堂の大改修落慶大法要が奉修されます。
またそのあと、御大会を挟んで、引き続いて記念法要が十二月中旬まで行われることになっておりますが、この大慶事を迎えるに当たり、皆様方の支部では、既に本年度の折伏誓願を達成されたでしょうか。
今日お集まりの支部は、既に誓願を達成されたものと存じますが、もし、まだ誓願を達成されていない支部があったら、なんとしてでも御影堂大改修落慶大法要までには、僧俗一致・異体同心して誓願を達成され、晴れて御影堂大改修落慶大法要を迎えられますようお祈りいたします。
さて、今月は第三祖日目上人の入滅あそばされた月であります。
皆様も御承知の通り、日目上人はその御生涯において、鎌倉の武家、京都の公家に対して、たびたび諌暁を行い、その数、実に四十二度に及ぶと言われております。
よって、日興上人様は『日興跡条々事』に、
「弘安八年より元徳二年に至る五十年の間、奏聞の功他に異なるに依って此くの如く書き置く所なり。仍って後の為証状件の如し」(御書1883)
と仰せられて、日目上人様が大聖人の御遺命たる一天四海本因妙広宣流布実現のため、その御一生をかけて、不退転の決意をもって国主諌暁に尽くされたことを記されています。
すなわち、日目上人は元弘三(一三三三)年、既に御高齢でありましたが、建武の中興を機に天奏を御決意され、出発に先立ち、日道上人に唯授一人の血脈を御相承あそばされ、日尊師と日郷師をお供として京都へ向かわれたのであります。
しかし途中、美濃・垂井の宿において病床に伏され、日尊・日郷の両師に天奏を託されて、十一月十五日、七十四歳をもって入滅あそばされたのであります。
こののち、日尊・日郷の両師は、日目上人の御意を拝して上洛し、日郷師は日目上人の御遺骨を捧持して十二月に大石寺に帰られ、日尊師は翌年の建武元(一三三四)年、日目上人に代わり、天奏を果たされたのであります。
今、私どもは、この身命を賭して天奏を御決意あそばされた日目上人の峻厳にして崇高なるお振る舞いを拝するとき、一人ひとりが不自惜身命の固い決意と身軽法重・死身弘法の強盛なる信心をもって邪義邪宗の謗法を対治し、正法流布に尽くしていかなければならないと痛感するのであります。
特に、昨今の世情を見ると、各地で地震・台風・津波などが起き、天変地夭して、人心は極度に撹乱して、秩序・風紀が紊乱する一方、人々は刹那的な享楽に耽って、真の幸せを求めようとせず、多くの人々は知らず知らずのうちに不幸に陥り、悪世末法の煽りを受けて苦しんでいるのが現状であります。
大聖人様は『聖愚問答抄』に、
「今の世は濁世なり、人の情もひがみゆがんで権教謗法のみ多ければ正法弘まりがたし。此の時は読誦・書写の修行も観念・工夫・修練も無用なり。只折伏を行じて力あらば威勢を以て謗法をくだき、又法門を以ても邪義を責めよとなり」(御書403)
と仰せであります。
五濁にまみれた末法の本未有善の衆生を成仏に導き、救済する方途はただ一つ、末法の御本仏大聖人がお唱えあそばされた一切衆生救済の秘法たる本因下種の妙法を、一人でも多くの人々に下種し、折伏を行じていく以外にはないのであります。
されば『高橋入道殿御返事』には、
「末法に入りなば迦葉・阿難等、文殊・弥勒菩薩等、薬王・観音等のゆづられしところの小乗経・大乗経並びに法華経は、文字はありとも衆生の病の薬とはなるべからず。所謂病は重し薬はあさし。其の時上行菩薩出現して妙法蓮華経の五字を一閻浮提の一切衆生にさづくべし」(同887)
と仰せられているのであります。
さらに『唱法華題目抄』には、
「末代には善無き者は多く善有る者は少なし。故に悪道に堕せん事疑ひ無し。同じくは法華経を強ひて説き聞かせて毒鼓の縁と成すべきか。然れば法華経を説いて謗縁を結ぶべき時節なる事諍ひ無き者をや」(御書231)
と仰せあそばされております。
すなわち、末法本未有善の衆生は、妙法の最高の仏縁に触れてこそ成仏得道がかなえられるのであって、その縁がたとえ逆縁であっても成仏するわけでありますから、今こそ、順縁・逆縁を問わず、私達は妙法を下種し、折伏することが大事なのであります。
今、宗門は、僧俗一致・異体同心して、来たるべき平成二十七年・三十三年の目標に向かって力強く前進しております。
この時に当たり、我ら本宗僧俗は一人も漏れず、日目上人の不自惜身命のお振る舞いを鑑として、一意専心、折伏に励んでいくことが最も大事であることを、しっかりと胸に刻んでいただきたいと思います。
『立正安国論』には、
「若し先づ国土を安んじて現当を祈らんと欲せば、速やかに情慮を廻らし怱いで対治を加へよ」(御書248)
と仰せであります。
折伏こそ、仏国土実現、一切衆生救済の最善の方途であり、最高の慈悲行であります。また己れ自身の一生成仏にとっても、不可欠にして最上の仏道修行であります。
どうぞ皆様には、本年も残りあと二月となりましたが、全力を傾注して折伏弘通に努め、晴れて大御本尊様の御照覧を仰がれますよう心から念願いたしまして、本日の挨拶といたします。
日蓮正宗公式HP
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