正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

法統相続Q&A

2005-11-15 | 法統相続の教化育成書

A:質問者 B,C:回答者 D:親御さん

A: 法統相統って何ですか?

B: 正しい仏法を未来永遠まで伝えるために子孫に残していくことです。

A: 何だかとても難しそうですね。

B: ええ、確かに大変難しいことです。しかし、他人事ではいけません。

A: えっ、なぜですか?

B: 法統相続には自分自身が死んだ後の通夜葬式、年忌法要を子孫に行なってもらうという目的も含まれるからです。法統相続がしっかりできていませんと、葬式を日蓮正宗の正しい流儀(化儀)に従ってできない場合があります。

A: えっ!それじゃあ、生きていた時に培った信心が、全て水の泡になってしまうじやないですか!!

B: そうですね。また、自分自身が死んだ後の仏縁は、残された子供に託す以外にありません。子供に正しく法統相続できていれば、死後に迎える年忌法要の追善供養には、子供が塔婆を立てて供養してくれます。

C: ただ、ここで勘違いして欲しくないのは、家族の内誰かが信心をしていれば良い訳でないという事です。家族全員が揃って信心をして初めて、法統相続が成就できたと言えるのです。大体一家がバラバラで正しい信心を持てる訳がありません。

A: なるほど、一家和楽の法統相続ってとても大事なのですね。ふと思ったのですが、彼岸やお盆の際には何気なくお墓に塔婆を立てますが、これも親孝行の一種なのですね。

B: 実は最高の親孝行ですよ。親孝行には上中下の3つあると言われ、まず存命の内に親に食事や衣服などを買い与えることを下凡、親の意見に違わず従うことを中凡、そして、親の死後塔婆を上げ供養することを最も優れた上凡と言います。その供養が邪宗で行われたり、何も行われなかったりしたらとても悲しいことですよね!!

A: 確かに悲しいです。そうならない為にも、法統相続をしっかりやらなくてはなりませんね。では具体的にどのようにすればよいのでしょうか?

B: まず、法統相続する上で絶対に欠かせない教育は、三宝様に御報恩感謝の気持ちを育てることです。三宝とは仏・法・僧のことです。

C: つまり、御本尊様に日蓮大聖人、第二祖日興上人已来の御歴代上人猊下に対する御報恩感謝の気持ちを子供に持たせることが大事です。そして、勤行唱題、ご本尊様への御給仕、寺院参詣、総本山大石寺への登山などの、信心の基本を身に付けさせることです。法統相続においてはどれも大切です。

A:大変そうですね。そんなに教えられるのですか?

B: もちろん可能です。なぜなら、親の姿を見て子供は自然と信心について学んでいくからです。

C: 但し、そうなる最低条件としては、親が強盛な信心を持っていることです。親がいい加減な信心であったり、怠慢であっては、法統相続は絶対にできません。御両親自らが率先し範を示して、子供を教育していくことです。時には厳しく、そして時には優しくとけじめをつけた教育が必要です。

A: それでは、法統相続する為に子供に教えるべきことは何ですか。

B: 多々ありますが、何よりもまず重要なことは寺院参詣です。物心付く頃から寺院参詣を習慣付けましょう。そして、お寺へ参詣するときは、必ず御念珠と御経本を持たせましょう。また、途中から入信した小学校中学校の子供をお持ちの方も、寺院に参詣し行事へ参加することにより、寺院参詣の大切さを教えていくことが大事です。

A: お寺に参詣するときに何か注意すべき事というのはありますか?

C: まず、お寺は信心の道場でありますので、大声を出したり騒いだりしないようにご両親は心がけるべきです。そして寺院に御安置されている御本尊様が在す本堂は、心が落ち着く物静かな悟りを得られる大切な場所であることを教えていきます。そうすることにより、世間とは全く違う清浄なところであるという意識を育てることができます。

A: 確かに日蓮正宗の寺院というのは他宗寺院のような不気味な感じはしませんね。本堂なんて特に清浄な空間であるように感じます。それに、御講のときに御住職様がされる御法話を聞くと、今の自分に必要な知識が得られるんですよね。

B: そうでしょう。それも寺院参詣の大きな意義の一つです。では御住職様の御指導を賜ることができます。また、経験豊富な支部講中の壮年部・婦人部の方からアドバイスを頂けます。

C: 自らの考えで教えることは控え、師弟相対した信心に立っていくことです。師弟相対したところに正しい法統相続ができます。根拠がなく、仏法の観点からかけ離れた独自の考えによる、憶測推測による教育では、正しい法統相続はできません。

A: 法統相続する上での迷いや悩みについては、まずは御住職様の御指導を仰げばよいということですね。寺院参詣と同じくらい大事な教育が朝夕の勤行だと思うのですが、これはどのように教えていけばよいのでしょうか?

B: そうですね。日々の信行の基本となるのが勤行です。これは物心付く前から、子供と一緒にすることが理想です。

A: えっ?物心付く前から!?お経本なんて読めないじゃないですか?

C: では、あなたはどうやって勤行を覚えましたか?

A: どうやって?…う~ん。よく覚えてませんね。

D: あの~、私の場合なのですが、勤行・唱題をする時は子供を一人で寝かせたり、放っておいたりするのも何なので、ひざの上に乗せて行っていました。そしたらある日突然、宇も読めない子がお経を真似し始めたのでびっくりしました。

C: どの国の子供でも宇が読めてから言葉を覚える訳ではありませんからね。

A: 確かに。今思えば私の場合もそんな感じだったのかもしれません。

B: 小さい頃は、落ち着きがありませんので、親も勤行唱題に集中できないときが多いと思います。根気のいることですが、忍ぶところに自分自身の成仏があるのだと考え取り組みましょう。

C: 最初は、なるべく正座が長時間できるように、時間を少しずつ伸ばし、子供の体に慣れるよう、性格と体質を親がこまめに観察しながら、着実に教えていくことです。

A: 根気のいることですね。きちんと正座ができるようになったら次はどうすればいいのでしょう?

B: 御本尊様に明かりを灯して、お線香を供えるという一連の流れ、つまりお給仕の仕方を教えます。そして、時には読経の速さを遅らせて、正しい発音ができるようにします。姿勢も背中も曲がらないように意識させ、合掌もきちんとさせます。御本尊様だけを拝することが難しいと思いますが、正座と合掌がまずできるように勤めましょう。

A: いろいろと難しそうですね。

C: はい。勤行を教える難しさを、ここで十分に知らされるはずです。このとき、親はしっかりした心がけをしておかなければいけません。長期戦になるため、気長に短気を起こさないように穏やかな気持ちで信心に大切な「禅定」を意識して教えていくことです。そして、勤行唱題を行なう時には、御念珠と御経本を必ず持たせ、親が範を示し、子供に教えていきます。

A: ここでも、日頃からの親の信心が試されるのですね。

B: そうです。法統相続は親の信心なくして成就は不可能です。

D: 確かにそうね。私、いつか少年部の集まりで、「毎日朝夕の勤行をしてますか?」と聞いた事があります。ほとんどの子が親御さんと一緒に行っていると言っていましたが、中に全くしていないと言う子がいたのです。だから「毎日お父さんとお母さんと一緒にしようね」と言ったら、「親がしてない!!」と言うので驚きました。

A: その親御さんは御講などに来ているのですか?

D: はい。その他の行事も必ず。だから、まさかと思ったのですが…

A: 子供はきちんと親の姿を見ているのですね。

D: そうなんです。子供はしっかり見てますね。私なんか小さい頃から結構厳しくしてたんですよ。しかし、ある日、子供が勤行しながら落ち着かずキョロキョロしてるので叱ったんです。そうしたら、「ママだって唱題中に急に御本尊様の周りのお掃除始めたり、頭や手が下がってる時があるじやない!!」って逆に叱られちゃって…。それから子供とする時は、尚一層気を引き締めるようになりました。

A: 法統相続を通じて逆に子供から教えられることも沢山ありそうですね。私は小さい頃から出かけるときと帰ってきたときは必ず御本尊様にご挨拶するように言われました。

C: そうですね。仕事や学校に行くときや帰ったときに、御本尊様の前に座ってお題目三唱をしてご挨拶することはとても大事です。勤行唱題を教えることが難しい場合は、まずこのことを必ず実行することです。そして、子供の成長に応じ、勤行唱題を確実に習慣付けましょう。

A: 他にも教えるべきことはありますか?

B: 教学です。世間に蔓延する諸法の思想に、身口意の三業が毒され、つまり日常の言動や行動が悪いものとなり、悪道に墜ちてしまわないようにする為にも、日蓮正宗の教学を勉強することは必要不可欠です。

C: 大聖人様の仏法を知らないと、心に生まれる迷いの扱い方が解らず、路頭に迷うことになります。教学はそんな心の迷いや悩みを取り除く智慧です。

A: しんくいのさんごう?

B: 身口意の三業とは、身業・口業・意業の三つをいい、人間の行為を身・ロ・意志の三種に分類したものです。つまり、身口意の三業が毒されるということは、行動が悪行になり、言動が悪口となり、心が悪心となることです。

A: 行為がすべて悪に染まるなんて恐ろしい。そうならない為にも教学を習うのですね。

B: それに、勤行唱題だけ教えても、意義を十分に教えなければ、十分な功徳は現れません。凡智で心を推し量ることになり、疑いを持つ可能性もあります。

C: 教学は比喩を巧みに用いて子供に教えいくことです。成長と共に、難しい御法門を教え、寺院に参詣して御住職様から有難い御法話を賜ることが大事です。

A: 大白法や妙教に掲載された子供向けの教学を活用するのも一つの方法ですね。

B: はい、そうですね。世間に蔓延する情報が子供の欲望をくすぐり、邪魔をすることがありますが、けじめを付けさせて教育することです。

C: 次に、世法を学ぶ学校の勉強についてですが、信心に立って考えた場合、折伏に大事な他人の気持ちや機根を理解する上で必要です。小学校や中学校は義務教育であり、社会に出るために必要最低限の学問を身に付けます。

A: でも、信心をしているのにいじめを受けたり登校拒否を起こしてしまう場合がありますよね?それはどうしてですか?

B: 残念ながらそうことが起きてしまうことがありますね。しかしこれには「四弘誓願」の一つ「衆生無辺誓願度」という意義があります。我が身に問題の本質が降りかからないと、根本的なものが分からない部分があります。この点を信心で解決し、御本尊様の素晴らしさを体験して、その体験を持って折伏の智慧に活用していきます。

A: なるほど。それにしても、いじめや登校拒否で悩む家庭が非常に多くなってますよね。

C: そうですね。これらはまさに諸法の害毒です。しかし、我々は最高の法を受持しておりますので、日々の信行を実践していくことにより、こういった問題を必ず解決することができます。そして、問題を解決したことで、自行において強靭な精神が養われるために、御本尊様から御利益を得て成仏の境界に近づけて下さるのです。

A: つまり毒を変じて薬と為すということですね。
 今まで色々教わりましたが、それらを実践していけば法統相続は成就できるんですよね?

B: 先程も言いましたができるかどうかはご両親の信心次第です。また、法統相続する上では様々な障害が生まれます。それらの障害を如何に克服するかということも成就に関わってきます。

A: えっ!どんな障害が生まれるのですか?

C: そうですね~。一つ一つ挙げると切りがないのですが…。多くの障害の根本原因としては「貪瞋癡の三毒」というのがあります。

A: とんじんちのさんどく?もう少し分かり易く説明して頂けませんか?

B: はい。これは簡単に言うと子供のわがままや欲望により生まれる障害です。貪瞋癡のうち貪とは、貪る気持ちであり、子供の頃は、欲望という気持ちを抑えることなく正直に出します。

C: 子供は眼からはいる情報には、敏感に反応し興味を持ちますので、それら外界の縁に触れたとき、欲望は次から次へと出てくるのです。そして、ある程度成長すると知恵が付き素直な気持ちを隠すことを覚え、外見を取り繕うことを巧みに利用するときもあります。また、反対に耐え忍ぶ気持ちが養われてきます。

A: つまり親としては、子供の欲望を全て抑えなければいけないということですか?

C: いえ、そうではありません。欲望にも善悪両面があります。善い面を伸ばし、悪い面は摘み取ることが大事です。親は、この違いを如何に見抜いていく眼を自行において養っていくかが課題になります。

B: 次は貪瞋癡のうち瞋ですが、これは瞋る気持ちです。子供もイライラして怒ることがあります。怒る原因が、見えない場合もありましょうが、御本尊様に御題目を唱え冷静になれば、何かが見えるはずです。子供の心に不満がたまると「キレル」という現象が起き、問題行動を引き起こすことがあります。

A: これも対処が難しそうですね。親としてどう接すればよいのでしょうか?

C: 子供の性格にもよりますが、如何に子供の瞋る気持ちを処理していけるかに掛かっています。結論を言えば、下手に考え悩むのではなく、御本尊様から強靭な精神を頂き乗り越えることです。

B: 最後に癡についてですが、これは愚痴です。年齢により、愚痴の内容もエスカレートし家庭内暴力へと発展しかねません。子供の愚癡により、親の貪瞋癡の三毒が誘発され親子関係を気まずくします。

A: これはどうすれば克服できるのですか?

B: 御両親自身が朝夕の勤行唱題で心の汚れを綺麗に洗い流すことです。そうすれば貪瞋癡の三毒は発生しません。たとえ発生しても、直ちに菩提へ転じ、非道を防ぎ悪行を止めるという「防非止悪」の意義を持って、貪瞋癡が根本となる言動を止め、相手に不快感を与えない振る舞いに変化させることができます。つまり、親子関係を円滑にすることにつながります。

A: なるほど。説明を聞いて感じたのですが、親が子供を虐待してしまうのは、子供の三毒と自らの三毒の扱い方に迷い悩んでしまったからなのですね。

C: そうです。正法を受持することで未然に防ぐことが可能ですが、正法を知らない親は、子供の感情に流され、それが原因となり、貪瞋癡の三毒が生まれるという悪循環を生じ、家庭が崩壊へと向かうのであります。これは邪宗の害毒が「虐待」という社会問題となって現れている証拠なのです。

A: 邪宗の害毒を如実に物語っているのですね。私たちは、そういう諸法だらけの悲惨な世の中に生きているとういことを自覚しなければいけませんね。法統相続する上で起こりうる障害とその対策を知ることで覚悟ができました。最終的には親の信心に掛かっているという意味も理解できました。信心をしっかり行なっていれば、どんな苦難も乗り越えられるのですね。

C: 分かって頂けてよかった。ここで、親子の関係を信心に関係なく左右させる「三惑」というものについて少々話します。「三惑」とは見思惑と塵沙惑と無明惑です。お互いの惑いが、時として親子関係に亀裂を生みます。当然、法統相続における障害になり、親は悩まされる可能性があります。法統相続では、この障害の解決方法まで子供に相続することが理想的です。

A: また、難しい言葉が出てきましたね。

C: まあ、そう言わず聞いてください。まず、見思惑ですが、親子の価値観の違いは、この見思惑が原因となって、親子の関係を難しくします。見惑は我見です。そして、思惑は感情的・本能的欲望による惑いです。これら見惑と思惑が子供の心を支配しています。

B: 親の力では限界があります。正しい仏法を学び、子育てに必要な力量で対処しなければ子供の教育は難しいでしょう。この迷いにより様々な家庭を作り出します。

A: 時として親と子が理解し合えないということが起こるのは、こういう複雑な要因が絡んでいるからなのですね。

C: 次に塵沙惑ですが、学校などで縁する友達や世の中に氾濫する情報から、子供の心に塵沙惑が生まれます。成長するごとに心に塵が積もっていき、この塵は、毎日の勤行唱題で心の塵を洗い流さなければ、塵も積もって大きな災いを生むこともあります。

B: 親は、成長するごとに子供の気持ちに理解できなくなるときもありますが、耐え忍ぶという「忍辱」の精神を忘れず、障害を乗り越え、法統相続を行うことです。

A: 少しずつでも、毎日となると長い眼で見れば大変なものとなるでしょうから、これも侮れませんね。

C: 最後に無明惑ですが、無明といわれる如く、法統相続において非常に厄介な子供の惑いです。親が知ることのできないところで、子供の心の中で惑いが生じています。

B: 例えば日頃いい子がある日突然、暴力を振るってきたということは、子供の心の無明惑が因縁で露顕した証拠です。信心をしないために、子供の無明惑に人生を揺さぶられる家族は多いことでしょう。

A: 信心に関係なく三惑は生まれるということですから、親は法統相続する上で必ずこれらの障害に行き当たってしまうのですね。でも、逆にそういう障害があるからこそ真剣に信行に励める気がします。本来ならば、どんなときも信心を疎かにしていいはずはないのですが…。凡夫の浅はかさを痛感します。

B: そうですね。ちなみに、爾前諸経では、無量劫という長い間修行してこの三惑を断じなければ、菩提という最高の悟りを得られないと説いています。それに対し法華経では煩悩と菩提は本来一体不二のものであり、衆生の生命にともに具わっているものだと説いています。つまり、無量劫の修行をせず、また、この三惑を断ずることなく、一念三千の法門という妙法の光明に照らされた時、そのまま仏果と開かれるのですよ。これを「煩悩即菩提」と言います。

C: 簡単にいえば、信心をして御本尊様から智慧を頂かなければ、以上の「三惑」を正しく扱うことができないということです。寺院での唱題行は法統相続に於ける、子供の「三惑」を明らかに見つめることができる大事な修行です。

A: なるほど。日々の勤行唱題に寺院参詣という信心の根本を疎かにしてしまっては、法統相続はできないということですね。今までの説明で法統相続は非常に難しいということと、難しいけれども御本尊様を信じ、しっかり信心していけば、必ず成就できるのだということが分かりました。

B:「願いとして叶わざるはなし」です。子を思わない親はいないと思います。ですから、この世に存在しうる、どんなものより価値のある正しい法を受け継がせることこそが、将来に於いての子供の幸せを確実にすることなのだと信じて行なうことです。

A: こうして考えてみると、自分の親も大変な思いをして必死に私に信心を教え込んでくれたのだなあと本当に感謝の一言に尽きます。

C: 親の思いを感じられた事は、あなたはもちろん親御さんも無上の喜びでしょうね。
また、法統相続には子供の教育に必要なことが全て含まれていますので、成就したときには親のことを思い大事にする、頼りがいのある子として成長しますよ。

A: 色々教えて下さってどうもありがとうございました。