平成21年3月度 広布唱題会の砌
於 総本山客殿
(大日蓮 平成21年4月号 第758号 転載)
本日は、三月度の広布唱題会に当たりまして、皆様には多数の御参加、まことに御苦労さまでございます。
本年「正義顕揚の年」も既に三月に入り、各位には本年度に掲げた「記念大法要」「七万五千名大結集総会」「記念総登山」、さらに「折伏誓願」の達成へ向けて日夜、御精進のことと存じ上げます。
大聖人は『兄弟抄』に、
「設ひいかなるわづらはしき事ありとも夢になして、只法華経の事のみさはぐらせ給ふべし」(御書987㌻)
と仰せであります。
末法濁悪の世に在って、三障四魔、紛然として競い起きるなか、正しい信心を貫きとおしていこうとすると、様々な困難に遭遇します。
一般世間におきましても「好事、魔多し」と言われるように、好い事には往々にして邪魔が入り、ときには思いもよらぬ困難が襲ってくることもたびたびあります。しかし、「艱難、汝を玉にす」という言葉がありますように、人は多くの艱難を乗り越えてこそ、立派な人物になるのであります。
先程の『兄弟抄』のなかには、
「此の法門を申すには必ず魔出来すべし。魔競はずば正法と知るべからず。第五の巻に云はく『行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競ひ起こる、乃至随ふべからず畏るべからず。之に随へば将に人をして悪道に向かはしむ、之を畏れば正法を修することを妨ぐ』等云云。此の釈は日蓮が身に当たるのみならず、門家の明鏡なり。謹んで習ひ伝へて未来の資糧とせよ」(御書986㌻)
と仰せであります。この御文のなかの「此の釈は日蓮が身に当たるのみならず、門家の明鏡なり。謹んで習ひ伝へて未来の資糧とせよ」との御教示を、我々はよくよく拝すべきであります。
特に本年「正義顕揚の年」は、先程申し上げましたように記念大法要、七万五千名大結集総会、記念総登山等、宗門未曽有の記念事業が執り行われます。また「全支部折伏誓願達成」の御命題もあります。こうした時には内外ともに必ず三障四魔をはじめ、あらゆる困難が我々の行く手を阻みます。
例えば、己れ自身の欲望に負けて信心がおろそかになったり、あるいは感情に囚われて瞋りを露わにしたり、あるいは物事の道理が解らなくなり、正しい信心が妨げられることであります。あるいは、妻子や身近な人が信心を妨げる場合もあります。あるいは国家や権力者、上司、あるいは父母等によって信心が妨げられることもあります。
とかく自分より力のある者、あるいは尊敬しなければならない人から信心を反対されると、強盛だったはずの信心が揺るぎがちになることもあります。よって、このような障魔が競い起きたときこそ、大難四カ度、小難数を知れず、あらゆる難を身をもって乗りきられた大聖人の御一代の御化導を拝し、我らもまた、いかなる困難・障礙にも負けず、強盛に信心を貫きとおす覚悟を一人ひとりがしっかりと持つことが肝要であります。
すなわち、三障四魔をはじめ様々な諸難が襲ってきたときこそ、信心が試されているのであります。障魔に打ち勝って一生成仏へ向かうか、あるいは障魔に負けて悪道に堕ちるかの大事な岐路に立たされているのであります。
法華経の提婆達多品には、
「未来世の中に、若し善男子、善女人有って、妙法華経の提婆達多品を聞いて、浄心に信敬して、疑惑を生ぜざらん者は、地獄、餓鬼、畜生に堕ちずして、十方の仏前に生ぜん」(法華経361㌻)
とあります。
私達はいかなる障魔に出逢うとも、ただ大御本尊様への絶対信を持って、疑念なく、浄心に信敬して、強盛なる自行化他の信心に励んでいくならば、御金言の如く、いかなる困難も、立ちはだかる障礙も必ず乗りきっていくことができるのであります。
どうぞ各位には、本年の命題たる記念大法要、七万五千名大結集総会、記念総登山、さらに全支部折伏誓願達成へ向けて、異体同心・一致団結して、いよいよ御精進くださることを心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。
日蓮正宗公式HP