正林寺御住職指導(H23.10月 第93号)
御隠尊日顕上人猊下のお言葉に有名な「一年に一人が一人の折伏を」との基本的な折伏の心得があります。法華講衆が心肝に染めていくべき大事なお言葉です。
そのお言葉は法華経の精神であり、日蓮大聖人の御教示からと拝されます。
釈尊は法華経の『法師品第十』に、
「能く竊かに一人の為に法華経の乃至一句を説かば、当に知るべし是の人は則ち如来の使ひ、如来の所遣として如来の事を行ずるなり」(法華経321)
と竊かにわずかな一人の為にも法華経の教えを説く大切さを説かれています。
大聖人は『諸法実相抄』に、
「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人三人百人と次第に唱へつたふるなり。」(御書666)
と末法では初め大聖人お一人から題目を唱えられたことを仰せです。
御法主日如上人猊下も『折伏要文』の御講義で、
「折伏というのは、大聖人様のお振る舞いがそうであったように、初めは一人のところから、二人、三人、百人と次第に伝えていくのです。これが折伏の原型なのです。このことを忘れてしまうとだめなんです。」(折伏要文145)
と折伏の姿勢について御指南です。
御隠尊日顕上人猊下の「一年に一人が一人の折伏を」とは、折伏を実践する上での原点になります。
まず折伏の基本は身近な一人の人から実践することが大事です。そして大聖人が『諸法実相抄』に、
「力あらば一文一句なりともかたらせ給ふべし。」(御書668)
と仰せのように自身の力量に応じて一言でも折伏を実践するという意識を常に持つことが一人が一人の折伏に必要です。