正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

五種法師と衣座室の三軌 (法師品第十)

2005-11-15 | 妙法蓮華経並開結 略要旨私考

 『法華経』の「法師品第十」(法華経318)には、「五種法師」と「衣座室の三軌」が説かれます。「法師品第十」からの対告衆が、菩薩に変わります。
 「五種法師」とは、五種の修行ともいい、受持・読・誦・解説・書写のことです。『唱法華題目抄』には、
「五種法師にも受持・読・誦・書写の四人は自行の人、大経の九人の先の四人は解無き者なり。解説(げせつ)は化他、後の五人は解有る」(御書220)
と御教示です。「五種法師」を自行化他に拝した場合、自行が「受持・読・誦・書写」で、化他行が「解説」になります。
 日蓮大聖人は『法蓮抄』に、
「五種法師の中には書写は最下の功徳なり。何に況んや読誦なんど申すは無量無辺の功徳なり。今の施主十三年の間、毎朝読誦せらるヽ自我偈(じがげ)の功徳は唯仏与仏乃能究尽なるべし。」(御書818)
と御指南です。末法に於いて、書写(写経)は最下の功徳であり、読誦という勤行唱題により、無量無辺の功徳を頂くことができます。更に、毎朝の勤行では「如来寿量品第十六」の「自我偈」を読誦するように仰せであります。
 次に、「五種法師」の「解説」となる、折伏の心得を意味するのが「衣座室の三軌」になります。「衣座室の三軌」とは、弘教の方軌として示されたもので、法華経である御本尊様の素晴らしさを説く、折伏の心構えです。「衣」が如来の衣であり、柔和忍辱を意味します。折伏では柔和忍辱の衣を着ることが大事です。「座」とは、如来の座で一切法空を意味し、一切の誹謗中傷を空と感じ、心から忘れることです。「室」とは、如来の室であり大慈悲心を意味します。
 「衣座室の三軌」について『御義口伝』には、
   「第七 衣座室(えざしつ)の事、
  御義口伝に云はく、衣座室とは法報応の三身なり。空仮中の三諦、身口意の三業なり。今日蓮等の類南無妙法蓮華経と唱へ奉る者は此の三軌(き)を一念に成就するなり。衣とは柔和忍辱(にゅうわにんにく)の衣、当著忍辱鎧(とうじゃくにんにくがい)是なり。座とは不惜身命(ふしゃくしんみょう)の修行なれば空座に居するなり。室とは慈悲に住して弘むる故なり。母の子を思ふが如くなり。豈一念に三軌を具足するに非ずや。」(御書1750)
と仰せであります。
 『御義口伝』には、「法師品十五箇の大事」(御書1749)が説かれています。「第一 法師の事」「第二 成就大願愍衆生故○生於悪世広演此経の事」「第三 如来所遣行如来事の事」「第四 与如来共宿の事」「第五 是法華経蔵深固幽遠無人能到の事」「第六 聞法信受随順不逆の事」「第七 衣座室の事」「第八 欲捨諸懈怠応当聴此経の事」「第九 不聞法華経去仏智甚遠の事」「第十 若説此経時有人悪口罵加刀杖瓦石念仏故応忍の事」「第十一 及清信士女供養於法師の事」「第十二 若人欲加悪刀杖及瓦石則遣変化人為之作衛護の事」「第十三 若親近法師速得菩薩道の事」「第十四 随順是師学の事」「第十五 得見恒沙仏の事」という「法師品第十」には、十五の大事があります。
 「五種法師」と「衣座室の三軌」とは、自行化他について説かれたのです。