とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

あちこち「SYOWA」 82 川端康成 1968年ノーベル文学賞受賞 三人目の日本人ノーベル賞受賞

2017-01-28 18:10:09 | 日記
日本人の文学が世界的な賞を受けるとは夢にも思っていませんでした。拙い文章を書き始めたAは驚くとともに新聞に掲載された記念講演の文章を繰り返し繰り返し読みました。道元禅師の歌は今でもはっきり覚えています。この歌は道元禅師が永平寺の夜空を眺めて詠ったものだそうです。

  春は花夏ほととぎす秋は月
         冬雪さえて冷しかりけり


川端康成 1968年ノーベル文学賞受賞 三人目の日本人ノーベル賞受賞


「美しい日本の私」

『美しい日本の私―その序説』(うつくしいにほんのわたし――そのじょせつ)は、川端康成の評論。1968年(昭和43年)12月10日、日本人として初のノーベル文学賞を授与された川端(当時69歳)が、12月12日にストックホルムのスウェーデン・アカデミーで行われた授賞記念講演において演説した芸術観・文化論である。
日本人の美の心を端的に語った『美しい日本の私―その序説』は、世界に向かい、広く日本の古典文学・芸術を紹介し、その根底をなす伝統的な日本人の心性や思想の特質、西欧と異なる死生観などを説いた日本文化論であると同時に、現代の日本文学者・川端自身の心根にも、その伝統が脈々と受け継がれていることを宣言した記念碑的な作品である。
講演の全文は同年12月17日の朝日新聞ほか各紙に掲載され、翌1969年(昭和44年)3月16日に、旧仮名遣いで講談社現代新書より英訳付きで単行本刊行された。文庫版も同社より刊行されている。翻訳版はエドワード・G・サイデンステッカー(英題:Japan, the Beautiful, and Myself)をはじめ、各国で行われている。


川端康成はまず、道元や明恵の古歌に心を惹かれることを、それぞれの詩句を挙げて説明し、そこに感じる自然と融合した日本人の心を説明している。月を見て月に話しかける「自然と合一」している心情、四季折々の〈雪月花〉の美に触れ、感動にめぐり合った時、共に見たいと思う友(広く人間)を思う心など、自然を愛し見つめ、それを友とした古の日本人の心や宗教観を語っている。そして、良寛の辞世の歌や、35歳で自殺した芥川龍之介が遺書の中で書いた、〈末期の眼〉という言葉に惹かれたことを関連させながら、人の末期の眼には自然はいっそう美しく映じるものだということ、「自分の死後も自然はなほ美しい」という感覚の世界を説明し、日本人にとっては生の場合と同様に死も、自然との合一、自然への回帰であるというような豊饒自在な世界を説明し、西洋人の死の見方との違いを語っている。
また、童話などで柔和な和尚として親しまれている一休禅師が、実は「峻厳深念」の禅僧で二度も自殺を企てたことと、宗教の形骸に反逆し、「人間の実存、生命の本然の復活、確立」を目ざしたことなどを説明し、一休の唱えた、〈仏界入り易く、魔界入り難し〉という言葉に惹かれたことを語り、〈魔界〉なくして〈仏界〉はないと述べている。そして、親鸞にも垣間見られた孤独において道を拓く仏徒の運命は、芸術家の運命でもあることを語り、禅宗に「偶像崇拝」はなく、日本人の〈無〉は、西欧風の虚無ではなく、むしろその逆であるとし、「万有が自在に通ふ空、無涯無辺、無尽蔵の心の宇宙」について触れている。
そして、そこから生まれてくる東洋画の精神、生け花などの美意識、日本庭園と西洋の庭園の違いを〈枯山水〉などを例に説明しつつ、露をふくませた一輪の白いつぼみの椿や牡丹に「花やかさ」を見る日本人の感覚、生け花や焼き物に表れている芸道、「白」に最も多くの色を見、〈無〉にすべてを蔵する美意識、心の豊かさを内に包んで簡素閑寂を愛する心を語っている。また、藤の花に女性的優雅を見た『伊勢物語』の一節を引きながら、『古今集』、『新古今集』、『源氏物語』、『枕草子』など日本の美の伝統を形づくっていった文学作品に触れ、特に『源氏物語』は日本の最高の長編小説であり、この名作への憧れから「真似や作り変へ」が幾百年も続き、これに及ぶ小説が日本にないこと、川端自身、『源氏物語』を少年時代から親しみ、その心がしみこんでいることを語り、これらすべての古典文学や歌に流れている東洋的な虚空であるところの〈無〉、自然意識を永福門院の歌などを引いて説明している。
そして最後に、川端自身の作品が「虚無」と評されることに対し、それは「西洋流のニヒリズム」という言葉は当てはまらず、「心の根本」が違うことを述べ、道元の四季の美の歌も実は強く「〈禅〉に通じたもの」だとしている。(Wikiより)

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