とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

御井神社の母子像

2013-04-05 23:20:11 | 日記
御井神社の母子像




 大国主に関連した系図(「Wiki」より)。



出雲市斐川町直江の御井(みい)神社の拝殿。御祭神は、木俣神(このまたのかみ)、八上姫大神(やかみひめのおおかみ)。木俣神は、大国主命の御子で八上姫との間にできた命の第一子である。上の系図参照。




 
『古事記』には、大国主神と結婚した「八上比売(やがみひめ)」は、子を身ごもり出雲国まで来たが、大国主神の正妻「須勢理毘売(すせりびめ)」を畏れ、生まれた子を木の俣に押し込んで因幡国に帰ってしまった、と記してある。このことからこの御子を「木俣神」といい、またの名を「御井の神」と言う。写真はその母子像である。
 社伝によれば、八上比売は出雲から因幡に帰る途中、この地で産気づいて出産し、その際に「生井(安産の水神)」「福井(産児幸福の水神)」「綱長井(産児寿命の水神)」の3つの井戸を掘って産湯に使われたと記されている。


 私は、脚本家長山氏の話を聞いてから急に思い立って、彼を誘って御井神社に出かけました。母子の神像を思い出したからです。

 長山さん、このお宮は私の叔母が嫁いでいる家の氏神様です。子どものとき、ここの秋祭が楽しみで毎年叔母の家に泊まりに出かけました。

 そうですか。古事記ゆかりの神社、しかも、大国主の神の第一子が祀られているんですね。

 これです、これです、この像です。安らかな表情の姫が印象的です。

 それにしても、どうして子どもをここに置いて帰ったんでしょう。

 正妻の須勢理毘売に知られると、恐ろしいことになると思ったからでしょう。嫉妬深い神だったようですから。まあ、それだけ正妻としての誇りを持っていたんですね。

 湯の川温泉の像とは雰囲気が違いますね。母神としての神々しさ、温かさを感じます。

 私はこの像を見ていると、私の母を思い出します。思い出すと言っても私を産んでからまもなく死んでしまいますけどね。・・・写真だけ残っています。この像とそっくりです。・・・神々しさは感じませんが、温かさと言いますか、写真を見ていると、亡霊でもいいから会いたいという気持ちになります。

 分かります、その気持ち。・・・畝本さん、今度の公演を必ずご覧ください。たくさんの仕掛けを用意していますから。

 仕掛け、ですか。

 そうです。渾身の力を込めて書き上げました。

 渾身・・・。

 そうです、渾身の・・・。長井さんはその像をじっと見ながらそう言いました。

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