とぎれとぎれの物語

瀬本あきらのHP「風の言葉」をここで復活させました。小説・エッセイをとぎれとぎれに連載します。

真実は常に奥に・・・

2013-07-02 09:17:49 | 日記
真実は常に奥に・・・




「アヴィニョンの娘たち」(ピカソ)

 「芸術は、真理を悟るための、虚構である」。ピカソの初めてのキュビズム絵画「アヴィニョンの娘たち」を見た人は、専門家でさえ嫌悪感を示したという。醜さは善悪の概念に属するものではなく、相対的に美しさを知るために人々の内面に備わっている一つの真実である。ビカソの再出発はこの絵から始まったのである。私は個人的にはこういう絵が好きである。豊穣の海を感じる。絵の可能性はこういう画風から開けていくのである。


 千賀子さんが東京から出雲画廊に帰ってきました。あれこれと今後のことが噂されていることを知り、三姉妹の長女として責任を強く感じたに違いありません。古賀さんに真実を話したそうです。仙女劇団と翠園劇団との今後の関係、郁子さんと倭歌子さん、笙子さんとの今後の関係。そういうことを当事者、関係者以外の人に電話で説明したそうです。
古賀所長も電話を受けて初めて真実を知ったそうです。後日、古賀所長が私にも教えてくれました。長柄さんにも電話したそうです。

 ・・・ということは、倭歌子さんがこちらに来たのは、郁子さんを支援するためということになりますね。私は古賀所長から話を聞いて、ほっとしました。

 そうです。そうです。闘争心むき出しの場面は想像しなくてもいいようです。

 では、笙子さんは落ち着いてから出雲大社の巫女を辞め、いずれは合流するということですね。

 そういう流れになるようです。

 じゃ、絵の方は・・・。

 いや、彼女は続けていくと思います。現実に二束草鞋を履いている芸能人がたくさんいます。

 三人の若手が舞台に立つ。そうですか。すごいことになりそうですね。

 ですからね。さっきお話ししたように仙女劇団と翠園劇団が統合されて新しい大きな劇団として再出発するという大きな動きが待ち受けています。

 しかし、古賀さん、二つの劇団が競い合うから面白いという考えもあるんじゃないですか。

 いや、いや、勿論そういうことも議論された結果だと思います。畝本さん、現代の演劇界はテレビ、映画だけではなくて様々なメディアの攻勢に圧されているわけですね。喜多川さんが間に立って縁を結ばれたのは的確な判断だったと思います。もう、個人の人気だけに頼る時代は終わったのではないでしょうか。

 そういう動きの仔細は、今地方公演を展開している湖笛のメンバーも知っているのですね。

 そうです。強靭な連携の輪が作られているらしいですね。

 で、活動の拠点はどこですか。

 東京の国立劇場、京都の歌舞伎座ではないでしょうか。勿論地方公演も続けていくと思います。

 じゃ、ご縁劇場での公演も期待できるということに・・・。

 そうです。そうです。

 あっ、肝心なことを聞き忘れていました。で、その千賀子さんはどうしてそういう真実を知っていたんですか。

 ああ、言い忘れていました。倭歌子さんのお母さんの実家のお父さんは翠園劇団のオーナーらしいです。

 えっ、オーナー。

 そうです。私も驚きました。ですから喜多川さんも動きやすかったようです。

 ということはあの窯場の小室さんもこういう動きを知っておられたということに・・・。

 そうかも知れません。・・・私は真実を知り、自分がちっぽけな人間に思えてきました。

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