悦び
プシュケとエロス(ウィリアム・ブグロー 1825年 - 1905年)ウィリアム・ブグローは、フランスの画家。ラ・ロシェルに生まれた。19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家で、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く残した。日本語では「ブーグロー」とも表記する。
プシュケとエロスのことについては、前回で概略記しました。佐山さんが次に描いた作品はブグローの上の絵を髣髴とさせるイメージでした。
どこで見たか? ああ、どうもすみません。以前古泉堂という画廊でたまたま出会わせた二人の画商の中のお一方、セントラル画廊の園田さんのお店でした。
次の絵が出来て、今度は別の画廊に出したという話を古賀画伯から聞いていましたので、古泉堂さんに問い合わせたところ詳しく教えていただきました。
上の絵と違う点は、エロスの顔がぼかして表現してあることでした。それに空を飛んでいるという感じではなくて、並んで座っているという形でした。京子さんはヌードか? いやいや、セミヌードという感じでした。聖女というイメージで輝いていました。神になったプシュケのように。
園田さん、この絵、どうですか?
評判はすこぶるいいですね。早速あるお客さんが欲しい欲しいと言っていました。
そうですか。で、ご主人はどう思われます?
私はこういう絵はあまり得意ではないですが、日本の画家にはないものを感じています。
そうですか。
続いて描いていただくようにお願いしました。
ありがとうございます。
お客さんは佐山さんのご親戚か何か・・・。
いやいや全くの他人です。追っかけみたいなものです。
へえー、画家にも追っかけがいるんですか。
いや、ごめんなさい。例えばの話ですよ。
じゃ、お買い上げという・・・。
いやいや、私は見ているだけで満足です。
そうですか。
ところで、佐山画伯について詳しいことをご存知ですか。
そうですねえ、以前いろいろとあったみたいですね。・・・しかし、昔は昔ですよ。
ありがとうございます。私も全く同感です。
そんな話をして私は店を出ました。出てから近くのレストランで食事を注文し、腰かけて古賀画伯に電話しました。
じゃ、貴方は作品は二つともご覧になったわけですね。
そうです。勝手なことをしてすみません。
いや、そんなことはないです。
この前の話の続きで恐縮ですが、京子さんのお母さんのその後のことをご存知ですか。
そのことは京子さんとは全く話していません。・・・第一私のようなものが口を出す筋合いのことではないですよ。
そりゃそうです。ごめんなさい。・・・ずっと気にかかっていたものですから。
その話は貴方が直接お聞きになってはどうですか。
私はそう言われて、古賀画伯から大きな荷物を背負わされたような気がしました。
プシュケとエロス(ウィリアム・ブグロー 1825年 - 1905年)ウィリアム・ブグローは、フランスの画家。ラ・ロシェルに生まれた。19世紀フランスのアカデミズム絵画を代表する画家で、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く残した。日本語では「ブーグロー」とも表記する。
プシュケとエロスのことについては、前回で概略記しました。佐山さんが次に描いた作品はブグローの上の絵を髣髴とさせるイメージでした。
どこで見たか? ああ、どうもすみません。以前古泉堂という画廊でたまたま出会わせた二人の画商の中のお一方、セントラル画廊の園田さんのお店でした。
次の絵が出来て、今度は別の画廊に出したという話を古賀画伯から聞いていましたので、古泉堂さんに問い合わせたところ詳しく教えていただきました。
上の絵と違う点は、エロスの顔がぼかして表現してあることでした。それに空を飛んでいるという感じではなくて、並んで座っているという形でした。京子さんはヌードか? いやいや、セミヌードという感じでした。聖女というイメージで輝いていました。神になったプシュケのように。
園田さん、この絵、どうですか?
評判はすこぶるいいですね。早速あるお客さんが欲しい欲しいと言っていました。
そうですか。で、ご主人はどう思われます?
私はこういう絵はあまり得意ではないですが、日本の画家にはないものを感じています。
そうですか。
続いて描いていただくようにお願いしました。
ありがとうございます。
お客さんは佐山さんのご親戚か何か・・・。
いやいや全くの他人です。追っかけみたいなものです。
へえー、画家にも追っかけがいるんですか。
いや、ごめんなさい。例えばの話ですよ。
じゃ、お買い上げという・・・。
いやいや、私は見ているだけで満足です。
そうですか。
ところで、佐山画伯について詳しいことをご存知ですか。
そうですねえ、以前いろいろとあったみたいですね。・・・しかし、昔は昔ですよ。
ありがとうございます。私も全く同感です。
そんな話をして私は店を出ました。出てから近くのレストランで食事を注文し、腰かけて古賀画伯に電話しました。
じゃ、貴方は作品は二つともご覧になったわけですね。
そうです。勝手なことをしてすみません。
いや、そんなことはないです。
この前の話の続きで恐縮ですが、京子さんのお母さんのその後のことをご存知ですか。
そのことは京子さんとは全く話していません。・・・第一私のようなものが口を出す筋合いのことではないですよ。
そりゃそうです。ごめんなさい。・・・ずっと気にかかっていたものですから。
その話は貴方が直接お聞きになってはどうですか。
私はそう言われて、古賀画伯から大きな荷物を背負わされたような気がしました。