医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

「日本チェルノブイリ連帯基金」の見解が誤っていた理由

2021年03月11日 | 
福島原発事故から10年経過しました。
現在、福島県では当時小中学生の全員に行った甲状腺エコー検査のために、ガン細胞ではあるけれど寿命に全く影響しない「潜在ガン」を見つけてしまい、手術になって多くの小中学生が苦悩を抱えています。従来、甲状腺ガンのほとんどは進行が極めて遅く、大きくなってから見つかり、そこで手術するかどうか決めても問題はないのです。

全員検査の問題点にいち早く気づき、全員検査を中止することを主張した福島県立医大のある医者は、全員検査の中止を委員会に訴えたのですが受け入れられず退職しました。その医者は自ら何万人という子供の甲状腺エコー検査を行い、その中で全員検査したことを大変後悔しているそうです。

全員検査の甲状腺エコー検査で、自分の子供にガン細胞が見つかってしまった母親は、現在大きな苦悩のもとに晒されています。

私は事故が起きた当時、こんな記事を書きました。
「日本チェルノブイリ連帯基金」のコメントの誤り
この記事で、「日本チェルノブイリ連帯基金」は、130人のうち数人の子供の甲状腺ホルモンが基準値から外れ、「色々な意見はあるが、被ばくの可能性は捨てきれないと思う」とコメントしましたが、そもそも「基準値」の定義は「正常な人の95%(100%ではなく)がそこに入る範囲」ですから、数人基準値から外れるのはむしろ正常なこと、とお伝えしました。

正常でも基準値から外れる人は必ず5%います。それが「基準値」の定義だからです。これが「健診で肝臓の数値がひっかかったけれど精密検査しても正常だった」原因の1つです。

あの時、「日本チェルノブイリ連帯基金」の人々は、感情的に「ほらみたことか!」と言いたかったのでしょう。科学・統計学のことなど眼中になかったのかもしれませんね。それが原因の1つで、自分の子供にガン細胞が見つかってしまった母親たちは、今も大きな苦悩のもとに晒されてしまっているのです。

具体的なことは以下の論文に書いてあります。0歳~18歳の子供約36万人を全員検査して、一次期間で116人、二次期間で71人の甲状腺ガンが見つかりました。

通常の場合、小児の甲状腺ガンが見つかるのは100万人に2人です。

Lessons from Fukushima: Latest Findings of Thyroid Cancer After the Fukushima Nuclear Power Plant Accident
Tyroid 2018;28:11-22.


論文の中では、「全員調査の功罪は他の地域と比べなければわからない、今後の検討を要する」とお茶を濁していますが、全員調査が良くないことがわかってきた現在、被災地域以外で子供の全員調査をしてくれる地域など、あるはずがありません。そういえば以前、福島の子供の甲状腺がんがやはり多いと騒いでいた岡山大学の教授がいたので、岡山県で全員調査をやってもらいましょうか。

岡山県、ちょうどいいと思います。岡山県の0歳~18歳の子供全員に甲状腺エコー検査を2年に1回やって下さい。お願いします。

福島原発事故から10年経過したシリーズ、これからも続きます。

↓なるほどなぁ~と思われた方!ここをポチッ、応援よろしくお願いいたします。
「ブログランキング」

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 福島の甲状腺の過剰エコー検... | トップ | 原発事故で福島県はGale教授... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

」カテゴリの最新記事