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コレステロール低下薬 リバロは1mgがいいか4mgがいいか?(その2)

2017年11月24日 | 循環器
前回のREAL-CAD試験(コレステロール低下薬 リバロは1mgがいいか4mgがいいか?)の続きです。

上の図はインターネットでダウンロードできるものですが、リバロは1mgよりも4mg投与すると、一番割合が高いのはLDLコレステロールすなわち悪玉コレステロールの低下ですが、HDLコレステロールすなわち善玉コレステロールも1~2%上がって良い効果が認められています。さらに割合は低いですがCRPといって炎症を示すマーカーも有意に改善されています。

この臨床研究の効果は悪玉コレステロールが低下したためなのか、善玉コレステロールが上昇したためなのか、炎症が改善したためなのか、今回発表された結果からだけでは解析することができません。将来サブ解析の結果が発表されるでしょうから、それを待たねばなりません。

約4年間で「心臓血管死」「心筋梗塞」「脳梗塞」の発症率が1%低下したわけですから、1年間のnumber needed to treat(NNT)は400、すなわちこのような二次予防(一度心筋梗塞や狭心症を発症した人)は、リバロを1年間、1mg/日ではなくて4mg/日内服すると400人に1人の割合で恩恵が得られるということです。恩恵が得られる人の割合は大きくありません。

さて、今回発表されたサブ解析の結果ですが、上の右の図にあるように、65歳以上ではリバロを1mg/日ではなくて4mg/日内服する効果は得られていません。同様に「BMIが25以上の太った人」には効果がありますが、25未満の方には効果はありませんでした。「糖尿病のある方」には効果がありましたが、「糖尿病のない方」には効果がありませんでした。「男性」では効果がありましたが「女性」には効果がありませんでした。

それでは、「糖尿病のない方」で「BMIが25以上の太った」「男性」はどうか?などとさらなる細分化の結果はまだ発表されていませんが、ここから見えてきたのは、「太った男性で65歳未満の糖尿病患者」にはリバロを1mg/日ではなくて4mg/日内服するのがよいだろうということです。

そして、他のコレステロール低下薬には善玉コレステロールを改善させる効果はありませんので、今回の結果がリバロ以外の悪玉コレステロール低下薬に応用できるとは限りません。

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1 コメント

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個々の薬の解析 興味深かったです。 (ハチマキ)
2018-02-27 07:58:55
リバロの解析おもしろかったです。
個々の薬の解析は、学生時代はあまりしないので非常に興味深かったです。

最近私もブログはじめて、いつか個々の薬をピックアップして細かい説明ができたらと思っています。
http://fanblogs.jp/netkakarituke/
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