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ビタミンB6、B12、葉酸のサプリメントは動脈硬化性の心臓病を予防しない

2007年04月21日 | 循環器
以前「葉酸とビタミンB6とB12の併用は血中のホモシステイン濃度を低下させる」という研究と「血中のホモシステイン濃度が低いほど冠動脈性心疾患および脳卒中の発現率が低くなる」という研究の結果が発表されました。

そこで、それでは「葉酸とビタミンB6とB12の併用は冠動脈性心疾患および脳卒中の発現率を低下させる」のかという研究の結果が発表されました。

Homocysteine lowering with folic acid and B vitamins in vascular disease.
New England Jounal Medicine. 2006;354:1567.
(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この研究では、血管疾患または糖尿病を有する55歳以上の5,522人が、葉酸2.5 mgとビタミンB6 50 mgとビタミンB12 1 mgの併用またはプラセボ薬の1日1回投与にランダム割付けされ平均5年間観察されました。

平均血漿中ホモシステイン濃度は、実薬投与群では0.3 mg/L低下し、プラセボ群では0.1mg/L上昇しました。心血管死、心筋梗塞、または脳卒中は、実薬投与群では519例(18.8%)、プラセボ群では547例(19.8%)に発生し、両者で差がありませんでした。

脳卒中の発生数が冠動脈性心疾患の発生数よりはるかに少なく、脳卒中の統計学的解析に信頼性が低かったという解析上の限界がありましたが、実薬投与群で、プラセボ群より実薬群の方が脳卒中を来たした患者が少なかったそうです(0.75倍)。半面、実薬群の患者の方が不安定狭心症により入院した者が多く(1.24倍)、心血管に起因する死亡と心筋梗塞のリスクを有意に低下させることはありませんでした。

著者らは「われわれの結果から、葉酸とビタミンBのサプリメントを予防治療として使用することは支持されない」と述べています。



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