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動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の問題点

2011年12月10日 | 生活習慣病
前回、「基準値」について正規分布の話を含めてお伝えしましたので、今回はそれをもとにして「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の問題点をお伝えします。

あなたは総コレステロールが高いですと健康診断でひっかかってしまう「基準値」は220mg/dL以上です(悪玉コレステロールは140mg/dl以上)。これは「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」の中でも定められているのですが、その根拠も以下のように記載されています。

「米国で総コレステロール200mg/dL (LDL-C値120mg/dl)に比し相対リスクが2倍となる240mg/dL (LDL-C値160mg/dL)値を高コレステロール血症と診断する基準を設けたのを参考にして、本邦では総コレステロール160mg/dl未満に比し相対リスクが約1.6倍になる220mg/dL (LDL-C値140mg/dL)を高コレステロール血症の基準に定める。」

しかし、上の左の図を見て下さい。脳梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3~4倍多いのですが、心筋梗塞はアメリカ人に比較して日本人は3分の1~4分の1少ないのです。アメリカでは200mg/dlという平均ぐらいの値を基準にして、リスクが2倍となる値を設定していますが、日本では160mg/dLとかなり低い人を基準にして、しかもリスクは1.6倍とアメリカより非常に厳しい設定のしかたをしています。

アメリカ人より3分の1~4分の1心筋梗塞のリスクが少ない日本人で、どうして心筋梗塞の発症を予防しようとしてアメリカより厳しく設定しなければならないのか全く理解できません。

しかも、上の図の右を見て下さい。この図はこの基準が設定された頃の日本人全体の総コレステロール値の分布です。平均は190~200あたりですが、正常値を設定している基準の160というのはかなりの優等生(低い方が優等生かという問題は別として)です。35%ぐらいが220以上ですから、これらの人々は検診を受けるたびに「脂質異常症」と診断されてしまうのです。その病気であると定める基準値を広くすれば、製薬会社がより儲けることができます。

この分布を正規分布に当てはめると、その下の図のように、ばらつきを表す標準偏差の1.5倍のあたりに基準値160があることがわかります。そして、異常だとされているのは標準偏差の0.3倍あたりです。

これでは、「偏差値65というかなりの優等生と比較して1.6倍不都合な事が多いから、ほとんど平均値に近い偏差値47以下の人間は全て異常だ」といわれているのも同然のことなのです。

こんなアホなことがありますか?

中学校のクラスの中で、偏差値65の優等生と比較され、偏差値47以下という、クラスの35%ぐらいに相当する生徒はみな異常ですか?35%の生徒はダメですか?

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版の作成者たちは、バカなことを言ってはいけません。

以前お伝えした、ゼチーアの効果についてで的外れなことを言っていた医者もそのメンバーです。

なぜ「脂質異常症」の基準がこのように決められたのか、私は理由を知っています。

1つは、日頃から製薬会社は医者たちに近づき、自分たちの会社に都合の良いことを言ってくれる医者に1回に10~15万円のギャラを払って講演を依頼し、「先生」「先生」と褒めはやし、会社にとって有利になるように働きかけていること。(その際、医者が実際にそうしてくれるかは別問題)
2つめは、このような製薬会社に厚生労働省の官僚が天下りをしており、製薬会社に有利な基準を作る。
3つめは、そのようなギャラと名誉にあやかろうとする不埒な医者たちの存在です。

東京電力の構図と全く同じなのです。国民をバカにするのは、いいかげんにしろ!と言いたいです。

国民に不利益になる(効果のない薬を買わされる)コメントが間違って公言されることがあれば、それは大問題だと思いますし(公共性)(公益性)、その証拠はしっかりと残したいものです。

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1 コメント

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頑張って下さい (読者)
2011-12-12 11:12:49
いつも拝読しております。
そして内容を知り合いに伝えております。
是非ともこれからも発信を続けてください。
微力ながら応援してます。
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