医者から詳しく聞かされない医療情報:セカンドオピニオン

誤解と批判を恐れない斜め後ろから見た医療情報

やはり卵黄の取り過ぎは死亡リスクを増やす

2022年06月06日 | 生活習慣病
時々患者から「卵を食べ過ぎると悪玉コレステロール値が上がるというのは嘘ですよね」と尋ねられます。
でも、「悪玉コレステロール値の高い人が卵の摂取を減らすと、悪玉コレステロール値が減少する」ことは臨床でよく経験します。

卵(卵黄)の取り過ぎは動脈硬化性疾患の発症とは関連がないというデマも存在します。
以下のように「卵屋さん」が言っても説得力はありません。

たまごは1日2個以上食べてOK!たまごはコレステロールの敵ではない!
癌患者は栄養状態が落ちていることにより悪玉コレステロール値が下がっているのに、悪玉コレステロールが低いと癌になると、アホな主張をしています。これは単に、単解析における「因果の逆転」なのです。

合計約3万人を平均17年間前向きに調査した臨床データが2年前に信頼性の高い医学雑誌で発表されています。
Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption with Incident Cardiovascular Disease and Mortality
JAMA. 2019;321:1081-1095.

(インパクトファクター★★★★★、研究対象人数★★★★★)

この研究では個人へのアンケートで毎日の食生活が調査され、6つの前向き調査のデータが合計されて再解析されました。もちろんこれらのデータは、性別、年齢、人種、教育のレベル、喫煙状況、糖尿病の状況、血圧の状況、日々の活動量、身長体重指数、飲酒量、善玉コレステロール値、内服薬物の状況で補正されました。

上の図は、食事内容から1日の悪玉コレステロール摂取量が解析され、その後の心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクとの関連が示されたものです。

参考までに、卵1つに200~260mgの悪玉コレステロールが含まれています。

下の図は同様の解析で、1日の卵の摂取量とその後の心血管疾患の死亡と全疾患の死亡との関連が示されたものです。

摂取悪玉コレステロールが多いほど、摂取卵量が多いほど全疾患の死亡率は連続的に上昇しています。スペースの関係で載せていませんが、心血管疾患の死亡はもっと関連が強かったです。

具体的には、悪玉コレステロールの1日摂取量が300mg増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.17倍、全疾患の死亡リスクは1.18倍増えており、これは統計学的に有意なものでした。

卵の1日摂取個数が1つ増えるほど、心血管疾患による死亡リスクは1.06倍、全疾患の死亡リスクは1.08倍増えており、これも統計学的に有意なものでした。


やはり卵黄の取り過ぎは、心血管疾患の死亡リスクと全疾患の死亡リスクを上昇させます。卵の取り過ぎは良くないです。

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