サッカー日誌 / 2014年06月26日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(9)


6月16日(月) ナタール
G組 ドイツ  4対0 ポルトガル(サルバドール)
F組 イラン  0対0 ナイジェリア(クリチーバ)
G組 米国  2対1 ガーナ(ナタール)

チケットは余っている

★米国戦を全員で観戦
 ナタールにビバ!ハウスを借りて根拠地にしたのは、ここで日本の第2戦が行われるからだが、その前に米国対ガーナの試合があった。
 せっかくナタールに滞在しているのだから、この試合も見たい。しかし、メディア・チケットを取れるぼく以外は誰もチケットを入手していなかった。
 でも「スタジアムの周辺に行けば、なんとかなるよ」と全員が出かけた。
 帰ってきてから話をきくと、みな、それぞれチケットを手に入れることができたという。
 チケットを売ってくれたのはダフ屋ではなく米国人のサポーターだった。二重、三重に手に入れて、もて余している人が何人もいた。それで米ドル立ての額面で譲ってもらった。
 そういうことを想定して、米ドル紙幣を用意して行ったというから、わがビバのメンバーは用意周到である。

★FIFAの販売方法に問題
 この米国戦のチケットは、あらかじめFIFAのサイトで購入しようとしても手にはいらなかったという。
 仲間のなかにボルティモア在住の岡島喜久子さんがいる。岡島さんは米国枠で何度も申し込んだが当たらなかった。
 それでも現地に行けば手に入るだろうと、高校生の息子さんと二人で星条旗の小旗を用意してやってきた。
 案の定、現場ではチケットは余っていた。 
 こんなことになるのは、FIFAのチケット販売方法に問題があるからである。
 FIFAは1年近く前から何度にも分けて、インターネットを通じて、いろいろな形でチケットを販売する。何度にも分けて売り出すから1回あたりの枚数は比較的少ない。
 一方、買うほうは毎回、家族などの名前を使って複数名義で申し込む。そのため、1回ごとの当選確率は低くなる。
 そういうわけで、申し込んでもなかなか当たらない一方で、1人で何枚も手にいれる人が出てくるのである。


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サッカー日誌 / 2014年06月25日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(8)


6月15日(日) ナタール
E組 スイス 2対1 エクアドル(ブラジリア)
E組 フランス 3対1 ホンジュラス(ポルトアレグレ)
F組 アルゼンチン 2対1 ボスニアヘルツェゴビナ(リオデジャネイロ)  

FIFAファンフェスタの運営

★試合のない日は休み?
 ワールドカップの試合が行われているブラジルの12都市で「FIFAファンフェスタ」が開かれている。
 町の大きな広場などに巨大なスクリーンを建て、パブリック・ビューイングの会場にするとともに催しものの舞台や食べ物、飲み物の屋台を出して、お祭り騒ぎをしながら、みんなで試合を楽しむ趣向である。
 6月15日には、ぼくたちが根拠地にしているナタール周辺では試合がなかったので、他の地方の試合をファンフェスタで見ようと「ビバ!ハウス」の住民全員で出かけた。
 ナタールのファンフェスタの会場は、海水浴場が連なる海岸に設けられている。
 ところが、タクシーで乗り付けてみると、入り口が柵で閉じられている。「試合のない日は休みです」という。
 地元での試合も、ブラジルの試合もない。しかし、ほかの地方では試合がある。それを見たいと思ったのだが、しかたがない。
 美しい海岸を散歩して市内のショッピングセンターに寄って帰った。

★FIFA主催で地元の意欲減退?
 ファンフェスタは入場券を手に入れられなかった人びとにも楽しんでもらおうという趣旨とともに、地元開催以外の試合も、みんなで楽しもうという目的で始まったものである。
 それが「試合のない日は休み」というのでは意義半減である。本当は大雨で機器が壊れたため休んだという話をあとで聞いた。
 ファンフェスタが始まったのは2006年ドイツ大会のときで、大会組織委員会会長だったベッケンバウアーのアイデアだった。ドイツ国内でのパブリック・ビューイングの権利をFIFAから買い取って実施したということだった。
 ドイツでは毎日、各地の試合を上映した。だから国内で長い移動をしなくても、また入場券が手に入らなくても、1都市に滞在して全試合を、お祭り騒ぎとともに楽しむことができた。
 それをナタールで体験できなかったのは残念だ。
 

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サッカー日誌 / 2014年06月23日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(7)


6月14日(金) ナタール-レシーフェ(往復)
C組 コロンビア 3対0 ギリシャ(ベロオリゾンテ)
D組 コスタリカ 3対1 ウルグアイ(フォルタレーザ)
D組 イタリア  2対1 イングランド(マナウス)  
C組 コートジボアール 2対1 日本(レシーフェ)

日本、初戦で黒星、敗因は?

★チャーター・バスでレシーフェへ
 日本の初戦が行われるレシーフェへ,チャーターした小型バスで往復した。片道300キロ。約4時間。定員13人に8人だから、ゆったりだ。
 往路の途中で運転手さんに「トイレ休憩を入れてくれ」とポルトガル語で頼んだのが一発で通じた。前年の10月から朝日文化センター新宿で週1回の「ブラジル・ポルトガル語講座」に通ったかいがあった。
 日本対コートジボアールの試合は夜の10時から。
 日本は前半16分にコーナーキックからの攻めで本田が先取点を挙げたが、その後の試合ぶりは驚くほど悪かった。
 動きがにぶい。パスの精度が低い。シュートが少ない。左サイドの香川、長友からの攻めが見られない。中盤は長谷部、山口の先発だったがコートジボアールに抑えられている。
 フロリダとイトゥでのコンディショニングに失敗したのではないかと思った。

★用兵と戦術も明暗
 コートジボアールは後半19分と21分に立続けに2点を挙げて逆転した。どちらも、左サイド後方から、低い、速いライナーのボールをゴール前に通して日本のセンターバックの弱点をついたものだった。
 日本の敗因については、いろいろな意見が出るだろう。
 ケガ上がりの長谷部にこだわって先発させたのが失敗だったのではないか? 最初から遠藤に賭けるべきだったのではないか?
 もちろん、勝敗を分けた原因は、日本側だけにあるわけではない
 後半54分に長谷部に代えて遠藤を出したのを見極めてからコートジボアールは17分に切り札のドログバを出した。   
 これでムードが変わった。
 若いフランス人のラムシ監督の用兵と戦術の成功ということもできる。


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サッカー日誌 / 2014年06月23日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(6)


6月13日(木) サンパウロ→ナタール
A組 メキシコ 1対0 カメルーン(ナタール)
B組 オランダ 5対1 スペイン(サルバドール)
B組 チリ 3対1 オーストラリア(クイアバ)  

ビバ!ハウスに集結

★飛行機の遅れと大雨渋滞
 開幕試合の翌日、早朝の飛行機でナタールに移動した。サンパウロのグルーニョス空港は緑のレプリカとソンブレロのメキシコのサポーターで溢れていた。
 サルバドール行きの搭乗ロビーは、オランダのオレンジ軍団でいっぱいだったらしい。開幕すると一挙にワールドカップらしいお祭りムードになった。
 ところが、国内線の飛行機が軒並み遅れてナタールに着いたのが予定より2時間遅れ。おまけに豪雨が降り続いて完成したばかりのナタール新空港から市内への道路は洪水のよう。そのための渋滞でタクシーがなかなか進めない。
 宿舎に荷物を置いてからスタジアムに行って午後1時キックオフのメキシコ対カメルーン戦を見るつもりだったが、到底間に合わないと断念し、宿舎のテレビで観戦することにした。

★スペインが初戦で大敗
 宿舎は海水浴場のあるポンタネグラ地区に借りた住宅である。ダブルベッドの3寝室。うち2寝室はシャワー、トイレ付き、別に共用のシャワーとトイレがある。それに居室と食堂とキッチン。居室に簡易ベッドを入れてある。
 今大会の「ビバ!ハウス」だ。
 食堂のテレビでメキシコ対カメルーンの後半から見始め、この日の3試合を見る。
 前回優勝のスペインがオランダに大敗した。スペインのポゼッション・サッカーを他のチームがどう崩すか? これが今大会の一つの戦術的テーマだったが、オランダは、厳しく付きまとう守りでスペインを混乱させた。
 夕方までに、ビバ!ハウスの住人8人が集結。管理人のイブラヒムさんの車で食料品の買出しに行き、夕食を一緒に食べた。これから1週間の共同生活だ。

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サッカー日誌 / 2014年06月21日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(5)


6月12日(水) サンパウロ
A組 ブラジル 3対1 クロアチア
ブラジル、危なげない開幕勝利

★コンディション作りの難しさ
 ブラジルは開幕試合で、苦しい場面がありながらも危なげなく勝った。地元開催で優勝をめざす立場として、いいスタートである。
 ワールドカップは、5週間にわたる長丁場である。優勝するチームは、その間に7試合をしなければならない。その間、ずっとトップ・コンディションを続けることは、できない相談だから、どこかにピークを持っていくようにチーム作りをする。優勝をねらうチームの多くは準決勝にピークを持っていくように調整する。
 準決勝に勝てば決勝戦は勢いで戦う。毎回、優勝を期待しているブラジルのサポーターでも決勝戦に進出すれば、まずは、その結果を認めてくれるだろう。
 準決勝を目標にしたために調整十分でない早い段階で敗れることもあり得るが、優勝できないのなら、どの段階で敗退しても同じことである。

★ネイマールが2得点
 今回のブラジルは、その点では難しい立場にあった。
 地元開催で、ほとんどすべての国民が、すべての試合に勝利を求めている。とくに開幕試合には勝って大会を盛り上げなければならない。
 グループリーグの組み合わせは、ブラジルの力からみれば、それほど難しくない相手だが、そういうチームは第1戦にコンディションのピークをもってくる。手抜きをすると足をすくわれかねない。
 しかし、開幕試合の戦いぶりをみると、スコラリ監督は、地元開催の特別のワールドカップに「普段着」で臨んだようだった。
 ブラジルの選手たちの動きは少なかった。チームとしてのまとまりも、いま一つだった。
 前半12分にオウンゴールでリードを許した。しかしネイマールの2得点で逆転。危なげはなかった。
 優勝の可能性は、十分に大きいと思った。


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サッカー日誌 / 2014年06月17日


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(4)


6月11日(火) サンパウロ

開幕前日も仕上げ工事
運営はスムーズなスタート

★コリンチャンズのスタジアム
 開幕前日。
 ワールドカップオ取材記者カード(AD)を受け取るためにサンパウロ・スタジアムに出かけた。市の中心部から地下鉄で20~30分。
 地下鉄は市街地を出ると地上に出る。
 窓からスタジアムが見えると隣に座っていた青年が自慢げに「コリンチャンズのスタジアムだ」と話しかけてきた。
 サンパウロの人気クラブ「コリンチャンズ」は、これまで専用のスタジアムを持っていなかった。ワールドカップを機会に政府の援助を得て新スタジアムを建設し、開幕試合の会
場に選ばれた。
 青年に「ワールドカップのスタジアムだよね」と聞き返すと「コリンチャンズのだ」と繰り返した。
 サンパウロの大衆にとっては、ワールドカップよりも、自分たちがサポートしているクラブのほうが関心事らしい。

★ボランティアの仕事ぶり
 駅名は「コリンチャンズ・イタケロン」に変わっていた。
 工事の遅れで開幕に間に合わないのではと言われていたが心配されていたスタンドもやっと出来上がったようだ。しかし、周りのペンキ塗りなどをまだ行っていた。
 ADカードの発給手続きはスムーズだった。
 旅券とFIFAの承認書を見せ、顔写真をとり、窓口で出来上がったカードを受け取る。行列はできていたが、流れ作業がスムーズだった。ボランティアの仕事ぶりも、親切でてきぱきしていた。20分ほどで首から記者証をぶらさげることができた。
 「建設工事もこの調子でやればよかったのに」と思う。
 ブラジル国民は無能でもなく、怠け者でもない。工事が遅れたのは、ブラジル国民のせいではなく、政治家たちの利権漁りのせいだ、という説は本当だろうと思った。
 大会の運営は、きちんと行われるだろう。


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サッカー日誌 / 2014年06月16日


ブラジルのスポーツ政策は?


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(3)
6月9日(火) サンパウロ

高橋祐幸さんの手厳しい意見

★W杯と五輪を誘致した狙いは?
 高級マンションが立ち並ぶサンパウロのビジネス街近くのホテルに滞在。ブラジルの国旗を窓やベランダに掲げたところが、いくつかある程度で、ワールドカップ開催前夜らしい雰囲気はほとんどない。
 このホームページに「ブラジル便り」を寄稿してくださっている高橋祐幸さんが訪ねて来られて東洋人街のリベルタドージの寿司屋で昼食をご馳走になりながらブラジル事情を伺った。
 ブラジルは、ワールドカップに続いて2016年にリオデジャネイロでオリンピックを開催する。
 ブラジルが世界の大きなスポーツ大会を続けて誘致した狙いは何だろうか?
 ブラジル政府のスポーツ政策とどういう関係があるのだろうか?
 そういうことを質問してみた。

★すべては政治家の利権のため
 高橋さんの意見は手厳しかった。
 「いまのブラジル政府にスポーツ政策なんかないよ。すべては政治家の利権のためだよ」
 ブラジルでは、1995年に労働者層を基盤とする左翼の社会民主党から大統領が出ている。最初のカルドーゾ大統領は極端なインフレを終息させ、次のルーラ大統領もまずまずだったが、2010年に就任した現在のジウマ大統領のもとでは、再び経済は悪化に向かっている。そのため、拡大した都市部中間層の不満が拡大している。
 ワールドカップとオリンピックの開催を主導したのは、現在のジウマ大統領である。
 「彼女に政策なんかない。ワールドカップもオリンピックも、公共工事で予算を使いリベートを懐に入れるためだ」
 すべては利権と汚職だという見方だった。


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サッカー日誌 / 2014年06月15日


お祭り気分は影もなし


ブラジル・ワールドカップ旅日誌(2)
6月9日(火) ドーハ-サンパウロ

地下鉄ストがお出迎え

★W杯関係の乗客がいない
 成田からドーハ経由でサンパウロまで行くカタール航空の乗客には、ワールドカップのために行くらしい人は見かけなかった。これまでの大会では、いつもサポーターや取材に行くマスコミ関係者と乗り合わせていたのだが、今回はワールドカップの影もなかった。
 サンパウロ空港に着いたらライター仲間の田村修一さんにばったり会った。アムステルダム経由で来たという。
 ブラジルは日本からは地球の反対側だから、欧州経由でも中東経由でも距離も所要時間も航空運賃も大差はない。
 田村さんは欧州経由を選んだのである。
 田村さんが乗ったオランダ航空はオランダのサポーターでいっぱいだったという。
 カタール航空にワールドカップの影もなかったのは、日本からブラジルに行くのに、中東経由を選ぶ人は少なかったためだろうか?

★空港から市内へ大渋滞
 サンパウロ空港から市内まで、田村さんといっしょにタクシーに乗った。あらかじめ空港のタクシー案内所で行く先を告げて切符を買う。市内中心部のホテルまで130レアル(約6500円)。一人あたり3250円。安い。この方式だと悪徳タクシーに法外な料金を取られる心配はない。
 ところが、動き出したとたんに大渋滞に巻き込まれた。車は尺取虫のように少しずつしか進まない。
 空港エリアを出るまで約1時間。これで、ほっとしたが、市内に入ったら、また大渋滞。ふつうは1時間で着くところを4時間近くかかった。
 あとで知ったのだが、この日は地下鉄がストライキで動かなかったため、ふだんの渋滞に輪が掛かったのだった。
 ワールドカップ開幕で強気に出られない当局の足元を見てストを打つ。「サッカー王国」ブラジルとは思えない出来事である。


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サッカー日誌 / 2014年06月13日


機中で読んだオシムの大会展望


ブラジル:ワールドカップ旅日誌(1)
6月8日(日) 成田-ドーハ

イビチャ・オシム『信じろ!』
(角川新書ONE21 KADOKAWA。本体800円)

★「旅の読み物」を空港で購入
 いよいよワールドカップ!
 開幕4日前の日曜日の夜、成田空港から出発。
 搭乗前に空港の書店で「旅の読み物」を探した。
 ぼくの書いた新書版の『W杯「裏表」ヒストリー』が積んである隣にイビチャ・オシム『信じろ!』が、同じように積んであった。同じ出版社、同じ新書版である。
 大会を前にワールドカップの本が山のように出て、多くの書店がサッカーコーナーを設けているが、ぼくの本が入っていることは少ない。新書版は新書の棚に並べてあるからである。オシムの本も同じだったので、これまでは、ぼくの目に留まらなかったのだろう。
 飛行機に乗るお客の多くは軽い本を買うので、空港の書店は新書を目立つように並べるのだろうと思った。
 というわけで、オシムの本を買ってブラジルへ向った。
 カタール航空でドーハ経由。サンパウロまで乗り継ぎ待ちを含めて30時間。読む時間はたっぷりある。

★世界のサッカーのトレンド
 書名の副題に「日本が世界一になるために必要なこと」とあるが、これは少しオーバーで、主な内容はブラジル・ワールドカップの展望だった。
 しかし、仮に大会が終わったあとに読んだとしても、十分に興味深い内容である。
 たとえば、ブラジル大会が終わったあと、世界のサッカーのトレンドが、どう変わるだろうかを語っている。
 前回優勝のスペインのポゼッション・フットボールが、ますます世界に広まるのだろうか?
 近年、好成績を挙げているドイツの体力重視のサッカーが見直されるのだろうか?
 あるいはアルゼンチンが優勝して、メッシのようなスーパースターが重要視されるようになるのだろうか?
 オシムは、ブラジルを一番の優勝候補にあげている。そうなればブラジルの影響力が復活するかもしれない。


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サッカー日誌 / 2014年06月12日


W杯直前の準備試合(下) 


守りに不安、本田は復調のきざし
日本代表 4対3 ザンビア代表
(6月2日 米国フロリダ州タンパ=テレビ朝日)

★W杯初戦を想定しての相手
 日本代表の最後の準備試合の相手はザンビアだった。ワールドカップ初戦の相手がコートジボアールなので同じアフリカのチームを選んだのだろう。
 アフリカは広いので、西海岸の人たちと南東部の人たちが似ているとは必ずしも言えないだろうが、テレビでみたところでは、ザンビアを相手に選んだのは正解だったようだ。
 ザンビアの選手たちは個人的に柔軟で強く速い。コートジボアールの選手と似ている。こういう相手との戦い方の感覚を思い出しておくことは重要だ。
 日本は前半30分までに2点をとられた。大きなゆさぶりとコーナーキックで崩され、ザンビアの強靭さに対応できなかった。後半には、25メートルほどの距離で、フリーにした瞬間に強烈なミドルシュートを打たれた。
 3失点はコートジボアール戦のための授業料だと思うしかないが、それにしても日本の守りは不安である。

★本田の見事なゴール
 前半38分に日本がPKを得て1点を返した。
 後半は30分ごろから点の取り合いになった。3対3から大久保の勝ち越し点が生まれたのは追加時間に入ったところだった。
 準備試合を通じて調子の出ていなかった本田が、勝ち越しの3点目をあげた。これは見事なゴールだった。森重が右へ攻めあがって相手をかわしてゴール前へ速いライナーのクロスをあげた。本田は相手のディフェンダーの間の狭いスペースに、絶妙のタイミングですばやく走り出てヘディングを決めた。
 このところの本田の不調の原因が何であるのかは知らないが、精神的なものであるとすれば、このゴールが自信回復のきっかけになるかもしれない。
 日本の攻めは、いろいろな形が機能していたのがよかった。

★ザッケローニのチーム作り
準備の3試合で、ザッケローニ監督はいろいろな組み合わせを試みた。最後の準備試合でも、レギュラーとして固定した11人を示さなかった。
 ゴールキーパーには西川を起用し、ワントップには柿谷、大久保、大迫を順次使った。大久保は攻撃の右サイドにも回した。
 固定した一つのチームとして、まとめ上げるのではなく、誰を起用しても、その場、その場で一つのチームとしてまとまる。そういう代表チーム作りの総仕上げのようだった。
 ディフェンダーの森重、中盤の山口、青山が、前線の大久保とともに、その期待にこたえようとしていたのはいい。
 欧州に行っている選手だけでなく、国内組もザッケローニのやり方に適応できるようになってきたのは、日本のサッカーが円熟に向っていることを示している。


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