ワールドカップ12大会取材のサッカージャーナリストのブログ
牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
南アフリカW杯 / 2010年06月30日
南米勢の大会
南ア・ワールドカップ旅日誌(23)
6月28日(月)
ラウンド16 第3日
ブラジル 3対0 チリ
(ヨハネスブルグ エリスパーク)
◇メディアチケットがとれない
ブラジル対チリの試合はメディアチケットを取れなかった。Waiting になっていたのだが、メディアセンターに着いてパソコンを開いてみるとFIFAからのメールで Reject に変更されていた。宿舎を出る前に気が付いていれば入場券を調達できたのだが、ちょっと遅かった。やむなくメディアセンターでテレビ観戦になった。
今回は南米勢の大会になりつつある。5チーム全部がベスト16に進出している。だから南米の記者は帰国しない。もともと南米から来ている記者は多いので、ブラジル対チリの南米勢のカードになると、日本のライターが冷遇されるのはやむを得ない。
メディアセンターに残っていて、おもしろいことを発見した。南米のラジオ局のスタッフが記者のIDカードで入っている。たいてい3人1組で、コメンテーターがテレビを見ながら、ネットにつないだパソコンを相手にしゃべっている。
◇お巡りさんもテレビ観戦
試合が始まると、十数人のお巡りさんが、1台のテレビの前に座り込んで観戦し始めた。
このところメディアセンター内での盗難が多い。カメラマンの機材が狙われている。それでお巡りさんの数も増えたのだが、キックオフとともに任務放棄らしい。似たような風景は4年前のドイツでも見たことがある。北半球でも南半球でも、お巡りさんはサッカーが好きなのだ。試合の終わりごろになると上役らしい警官がきて「そろそろ仕事をしろ」と席を立たせ、自分は立ったままだがテレビを見ていた。
試合は3対0でブラジルの完勝だった。
1点目はコーナーキックからだったが、2点目、3点目はファビアーノとロビーニョの個人的な能力が鋭いグループの攻めに結びついていた。とくに2点目、ファビアーノがオフサイドぎりぎりの場所から絶妙のタイミングで飛び出したプレーに感心した。

メディアセンターでテレビ観戦の警官。
6月28日(月)
ラウンド16 第3日
ブラジル 3対0 チリ
(ヨハネスブルグ エリスパーク)
◇メディアチケットがとれない
ブラジル対チリの試合はメディアチケットを取れなかった。Waiting になっていたのだが、メディアセンターに着いてパソコンを開いてみるとFIFAからのメールで Reject に変更されていた。宿舎を出る前に気が付いていれば入場券を調達できたのだが、ちょっと遅かった。やむなくメディアセンターでテレビ観戦になった。
今回は南米勢の大会になりつつある。5チーム全部がベスト16に進出している。だから南米の記者は帰国しない。もともと南米から来ている記者は多いので、ブラジル対チリの南米勢のカードになると、日本のライターが冷遇されるのはやむを得ない。
メディアセンターに残っていて、おもしろいことを発見した。南米のラジオ局のスタッフが記者のIDカードで入っている。たいてい3人1組で、コメンテーターがテレビを見ながら、ネットにつないだパソコンを相手にしゃべっている。
◇お巡りさんもテレビ観戦
試合が始まると、十数人のお巡りさんが、1台のテレビの前に座り込んで観戦し始めた。
このところメディアセンター内での盗難が多い。カメラマンの機材が狙われている。それでお巡りさんの数も増えたのだが、キックオフとともに任務放棄らしい。似たような風景は4年前のドイツでも見たことがある。北半球でも南半球でも、お巡りさんはサッカーが好きなのだ。試合の終わりごろになると上役らしい警官がきて「そろそろ仕事をしろ」と席を立たせ、自分は立ったままだがテレビを見ていた。
試合は3対0でブラジルの完勝だった。
1点目はコーナーキックからだったが、2点目、3点目はファビアーノとロビーニョの個人的な能力が鋭いグループの攻めに結びついていた。とくに2点目、ファビアーノがオフサイドぎりぎりの場所から絶妙のタイミングで飛び出したプレーに感心した。

メディアセンターでテレビ観戦の警官。
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南アフリカW杯 / 2010年06月29日
2つの試合で2つの「誤審」
南ア・ワールドカップ旅日誌(22)
6月27日(日)
ラウンド16 第2日
アルゼンチン 3対1 メキシコ
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇イングランド幻の同点ゴール
ベスト16の戦いは、1日に2試合ずつ時間をずらして行われる。サッカーシティーのメディアセンターへ早めに行って、まず午後4時からブルームフォンテーンで行われているドイツ対イングランドをテレビで見た。
前半32分までにドイツが2点をあげたが、イングランドが37分に1点を返した。さらに、そのすぐ後に、ランパードのシュートがクロスバーの下部を叩いて下に落ちた。ボールは地面に跳ね返ってゴールの外に出た。主審はゴールを認めなかった。
ところが、テレビのスロービデオで見ると、ボールは完全にゴールの内側に落ちている。有名な1966年大会決勝戦の微妙な判定を誰もが思い出したことだろう。
一瞬の出来事だし、主審はビデオを見て判定するわけではないから、見分けられなかったことを非難するのは酷かもしれない。
◇アルゼンチン反則の1点目
しかし、同点になっていたら、その後の試合展開は大きく変わっていたに違いない。
後半、イングランドは反撃に出た。ドイツはその裏を突く逆襲で2点を追加して大勝した。
欧州の強豪同士の対決である。この試合に勝ったほうが、南米勢と優勝を争うことになるだろう。そう考えれば、優勝の行方に響く誤審だった。
サッカーシティでは、午後8時30分からアルゼンチン対メキシコの試合が行われた。ここでも誤審があった。前半のアルゼンチンの1点目である。密集のなかでメッシからテベスへの縦パスが通ったのだが、得点になったときのテベスの位置はオフサイドだった。複雑な経過だったが、これは副審がしっかり見ておくべきところだった。
アルゼンチンは実力通りの快勝で、誤審によるゴールが勝利に結びついたとは言えないが、あと味は悪かった。

勝利を喜ぶアルゼンチン・サポーター。
6月27日(日)
ラウンド16 第2日
アルゼンチン 3対1 メキシコ
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇イングランド幻の同点ゴール
ベスト16の戦いは、1日に2試合ずつ時間をずらして行われる。サッカーシティーのメディアセンターへ早めに行って、まず午後4時からブルームフォンテーンで行われているドイツ対イングランドをテレビで見た。
前半32分までにドイツが2点をあげたが、イングランドが37分に1点を返した。さらに、そのすぐ後に、ランパードのシュートがクロスバーの下部を叩いて下に落ちた。ボールは地面に跳ね返ってゴールの外に出た。主審はゴールを認めなかった。
ところが、テレビのスロービデオで見ると、ボールは完全にゴールの内側に落ちている。有名な1966年大会決勝戦の微妙な判定を誰もが思い出したことだろう。
一瞬の出来事だし、主審はビデオを見て判定するわけではないから、見分けられなかったことを非難するのは酷かもしれない。
◇アルゼンチン反則の1点目
しかし、同点になっていたら、その後の試合展開は大きく変わっていたに違いない。
後半、イングランドは反撃に出た。ドイツはその裏を突く逆襲で2点を追加して大勝した。
欧州の強豪同士の対決である。この試合に勝ったほうが、南米勢と優勝を争うことになるだろう。そう考えれば、優勝の行方に響く誤審だった。
サッカーシティでは、午後8時30分からアルゼンチン対メキシコの試合が行われた。ここでも誤審があった。前半のアルゼンチンの1点目である。密集のなかでメッシからテベスへの縦パスが通ったのだが、得点になったときのテベスの位置はオフサイドだった。複雑な経過だったが、これは副審がしっかり見ておくべきところだった。
アルゼンチンは実力通りの快勝で、誤審によるゴールが勝利に結びついたとは言えないが、あと味は悪かった。

勝利を喜ぶアルゼンチン・サポーター。
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南アフリカW杯 / 2010年06月28日
アフリカは変わりつつある
南ア・ワールドカップ旅日誌(21)
6月26日(土)
ラウンド16 第1日
ガーナ 2対1(延長)米国
(ルステンバーグ ロイヤル・バフォケン)
◇サッカーの第3世界同士
ベスト16による決勝トーナメントの1回戦。この日はプレトリア、ヨハネスブルグでは試合がないので、ビバ!ハウスの住人は、観光に出かけたり、ハウスでテレビ中継漬けになったり、思い思いに過ごした。牛木とカメラマン3人のメディア組だけが片道3時間あまりのドライブでルステンバーグへ。カードは、ガーナ対米国である。
ラウンド16では、イングランド対ドイツなど優勝候補同士の対決に注目が集まっているが、ガーナ対米国は別の意味で興味深いカードである。
ワールドカップは、もともと欧州対南米の対決としてはじまった。現在にいたるまで優勝争いは欧州勢と南米勢である。
しかし、21世紀に入って米国とアフリカ勢が力をつけてきた。米国対ガーナは、サッカーの第3世界同士の対決だった。
◇組織力もいいガーナ
試合は、期待した通りの白熱した攻め合いになった。立ち上がり5分にガーナのボアテングが先取点。米国が手を尽くして反撃し後半17分にPKで同点。ほぼ互角の形勢のまま延長戦になった。延長になってすぐにアサモア・ジャンが決勝点をあげて振り切り、ガーナがベスト8進出を果たした。
アフリカ勢の上位進出が珍しいとは言えない。しかし、これまでのアフリカ勢は、ジャンプの高さなど個人的な運動能力か、局地的な足技のうまさで評価されることが多かった。その能力がうまく生かされると番狂わせを起こすが、組織的な攻守やチームの規律に問題があった。しかし、今回のガーナは組織力がいい。選手たちが戦況全体を見てプレーしている。若い選手が訓練され、欧州の一流クラブで経験を積んだ結果ではないか。
アフリカ勢が、さらに一段レベルをあげる先駆けではないかと思った。

6月26日(土)
ラウンド16 第1日
ガーナ 2対1(延長)米国
(ルステンバーグ ロイヤル・バフォケン)
◇サッカーの第3世界同士
ベスト16による決勝トーナメントの1回戦。この日はプレトリア、ヨハネスブルグでは試合がないので、ビバ!ハウスの住人は、観光に出かけたり、ハウスでテレビ中継漬けになったり、思い思いに過ごした。牛木とカメラマン3人のメディア組だけが片道3時間あまりのドライブでルステンバーグへ。カードは、ガーナ対米国である。
ラウンド16では、イングランド対ドイツなど優勝候補同士の対決に注目が集まっているが、ガーナ対米国は別の意味で興味深いカードである。
ワールドカップは、もともと欧州対南米の対決としてはじまった。現在にいたるまで優勝争いは欧州勢と南米勢である。
しかし、21世紀に入って米国とアフリカ勢が力をつけてきた。米国対ガーナは、サッカーの第3世界同士の対決だった。
◇組織力もいいガーナ
試合は、期待した通りの白熱した攻め合いになった。立ち上がり5分にガーナのボアテングが先取点。米国が手を尽くして反撃し後半17分にPKで同点。ほぼ互角の形勢のまま延長戦になった。延長になってすぐにアサモア・ジャンが決勝点をあげて振り切り、ガーナがベスト8進出を果たした。
アフリカ勢の上位進出が珍しいとは言えない。しかし、これまでのアフリカ勢は、ジャンプの高さなど個人的な運動能力か、局地的な足技のうまさで評価されることが多かった。その能力がうまく生かされると番狂わせを起こすが、組織的な攻守やチームの規律に問題があった。しかし、今回のガーナは組織力がいい。選手たちが戦況全体を見てプレーしている。若い選手が訓練され、欧州の一流クラブで経験を積んだ結果ではないか。
アフリカ勢が、さらに一段レベルをあげる先駆けではないかと思った。

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南アフリカW杯 / 2010年06月27日
プレミア・チケットで観戦
南ア・ワールドカップ旅日誌(20)
6月25日(金)
H組 スペイン 2対1 チリ
(プレトリア ロフタス・ヴァースフェルド)
◇消化試合と無気力試合
グループ・リーグ最終日。G組のブラジル対ポルトガルのメディア・チケットを申し込んでいたのだがキャンセルした。双方ともベスト16進出が決まっていて好試合にならないことが確実だからである。また、会場のダーバンまで一人で往復するのは、簡単でもないし、安全でもないからである。案の定、0対0の引き分けだった。
G組のもう一つの試合はコートジボアール対北朝鮮で脱落が決まったあとの消化試合。
H組はスペインとスイスが、それぞれ最終戦にベスト16入りを賭けていた。ところがスペイン対チリは、終わりごろには、お互いにぶらぶらとパスを回すだけの無気力試合になった。思うに、同時刻にブルームフォンテーンで行われていたスイス対ホンジュラスが0対0のまま終わりそうだという情報が入ったのだろう。そうなれば、スペインとチリが、ともに進出できるからである。
◇スタンドは赤一色
ダーバンのメディア・チケットをキャンセルしたので、この日の試合は、購入した入場券でプレトリアのスペイン対チリを見た。
ビバ!ハウスの皆さんのために幹事が購入してくれたプレミア・チケットは、スタンド下段と上段の中間にあるテラスの特別室。座席の背後の部屋のバーでは飲み物無料。貴賓待遇を味わえたのはよかったが、このスタジアムの特別室はゴール裏で、座席は前方の柵が邪魔になり、また飲食物売りのおじさんが、うろうろして試合は見にくかった。
スタンドは赤一色。スペインのサポーターが圧倒的でマドリードのスタジアムにいるよう。仲間のなかには、丁髷(ちょんまげ)や鎧兜のサムライの扮装で来ていたものもいたが、この雰囲気にはそぐはない。ワールドカップは世界のお祭りだから、自国意識過剰にならずに、他国の文化に敬意を表することがあってもいい。

プレトリア・スタジアムのテラス特別室。
6月25日(金)
H組 スペイン 2対1 チリ
(プレトリア ロフタス・ヴァースフェルド)
◇消化試合と無気力試合
グループ・リーグ最終日。G組のブラジル対ポルトガルのメディア・チケットを申し込んでいたのだがキャンセルした。双方ともベスト16進出が決まっていて好試合にならないことが確実だからである。また、会場のダーバンまで一人で往復するのは、簡単でもないし、安全でもないからである。案の定、0対0の引き分けだった。
G組のもう一つの試合はコートジボアール対北朝鮮で脱落が決まったあとの消化試合。
H組はスペインとスイスが、それぞれ最終戦にベスト16入りを賭けていた。ところがスペイン対チリは、終わりごろには、お互いにぶらぶらとパスを回すだけの無気力試合になった。思うに、同時刻にブルームフォンテーンで行われていたスイス対ホンジュラスが0対0のまま終わりそうだという情報が入ったのだろう。そうなれば、スペインとチリが、ともに進出できるからである。
◇スタンドは赤一色
ダーバンのメディア・チケットをキャンセルしたので、この日の試合は、購入した入場券でプレトリアのスペイン対チリを見た。
ビバ!ハウスの皆さんのために幹事が購入してくれたプレミア・チケットは、スタンド下段と上段の中間にあるテラスの特別室。座席の背後の部屋のバーでは飲み物無料。貴賓待遇を味わえたのはよかったが、このスタジアムの特別室はゴール裏で、座席は前方の柵が邪魔になり、また飲食物売りのおじさんが、うろうろして試合は見にくかった。
スタンドは赤一色。スペインのサポーターが圧倒的でマドリードのスタジアムにいるよう。仲間のなかには、丁髷(ちょんまげ)や鎧兜のサムライの扮装で来ていたものもいたが、この雰囲気にはそぐはない。ワールドカップは世界のお祭りだから、自国意識過剰にならずに、他国の文化に敬意を表することがあってもいい。

プレトリア・スタジアムのテラス特別室。
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南アフリカW杯 / 2010年06月26日
作戦的中、日本がベスト16に!
南ア・ワールドカップ旅日誌(19)
6月24日(木)
E組 日本 3対1 デンマーク
(ルステンバーグ ロイヤツ・バフォケン)
◇守りの布陣で攻めのサッカー
岡田監督は2つの矛盾したアイデアを両立させようと試みた。
一つは、初戦のカメルーン戦で成功した守り重視のシステムである。一方で、選手たちには積極的に攻めのサッカーをするように指示した。引き分けでも決勝トーナメントに進出できるが、引き分けを狙って守ろうとする気持ちになると、力のある相手の猛攻を支え切れなくなるおそれがある。
「最初は4:2:3:1だった」と岡田監督は試合後の記者会見で話した。ボランチ2人で攻めを重視する意思を示したのである。しかし、間もなく「4:3:3に変えた」という表現で守りの布陣に切り替えたことを説明した。ボランチを3人にして守りを厚くしたわけである。初戦のカメルーン戦と同じ形だが、中盤の両翼を前線のプレーヤーに数えて、攻めの気持ちを示したのだろう。
◇作戦的中、理想的なゲーム展開
システムを切り替えて間もなく、本田圭祐の37㍍のフリーキックが、みごとに決まった。そのため結果的に、変更したシステムがリードを守るために機能しはじめた。30分にもフリーキックから遠藤保仁が2点目。デンマークは引き分けではダメなので、3点を取らなければならい。日本はほぼ、安全圏にはいった。
後半30分に点取り屋の岡崎慎司を交代で出した。「最後の15分も守りに入るな。積極的にゴールをねらえ」というサインのようだった。
そのあとにPKで1点を返されたが、終わり近くに本田-岡崎のコンビで3点目。最後には今野泰幸、稲本潤一と守りの要員を出して締めくくった。
いろいろな展開を想定してゲームプランを立てただろうが、その中でもっとも理想的な展開が、ぴたりとあたった。こんなみごとな作戦的中はめったにない。

スタンドで名波浩さん(左から2人目)と会ったビバ!ハウスの仲間。
6月24日(木)
E組 日本 3対1 デンマーク
(ルステンバーグ ロイヤツ・バフォケン)
◇守りの布陣で攻めのサッカー
岡田監督は2つの矛盾したアイデアを両立させようと試みた。
一つは、初戦のカメルーン戦で成功した守り重視のシステムである。一方で、選手たちには積極的に攻めのサッカーをするように指示した。引き分けでも決勝トーナメントに進出できるが、引き分けを狙って守ろうとする気持ちになると、力のある相手の猛攻を支え切れなくなるおそれがある。
「最初は4:2:3:1だった」と岡田監督は試合後の記者会見で話した。ボランチ2人で攻めを重視する意思を示したのである。しかし、間もなく「4:3:3に変えた」という表現で守りの布陣に切り替えたことを説明した。ボランチを3人にして守りを厚くしたわけである。初戦のカメルーン戦と同じ形だが、中盤の両翼を前線のプレーヤーに数えて、攻めの気持ちを示したのだろう。
◇作戦的中、理想的なゲーム展開
システムを切り替えて間もなく、本田圭祐の37㍍のフリーキックが、みごとに決まった。そのため結果的に、変更したシステムがリードを守るために機能しはじめた。30分にもフリーキックから遠藤保仁が2点目。デンマークは引き分けではダメなので、3点を取らなければならい。日本はほぼ、安全圏にはいった。
後半30分に点取り屋の岡崎慎司を交代で出した。「最後の15分も守りに入るな。積極的にゴールをねらえ」というサインのようだった。
そのあとにPKで1点を返されたが、終わり近くに本田-岡崎のコンビで3点目。最後には今野泰幸、稲本潤一と守りの要員を出して締めくくった。
いろいろな展開を想定してゲームプランを立てただろうが、その中でもっとも理想的な展開が、ぴたりとあたった。こんなみごとな作戦的中はめったにない。

スタンドで名波浩さん(左から2人目)と会ったビバ!ハウスの仲間。
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南アフリカW杯 / 2010年06月25日
ドイツの評価は高くないが・・・
南ア・ワールドカップ旅日誌(18)
6月23日(水)
D組 ドイツ 1対0 ガーナ
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇ファンゾーンを楽しむ
各競技会場に「ファンゾーン」が設けられている。協賛企業が開いているいろいろなコーナーで、試合前のひとときを楽しむことのできる一角である。
「ロナウドにチャレンジ」というのがあった。舞台の上にディフェンダーに見立てた人形が並べてあって「用意、どん」でその間をスラロームしてドリブルする。同時に舞台の奥で映像のロナウドもドリブルでスラロームする。どちらが早いか、という競争である。
ドイツ対ガーナの試合の前にサッカーシティ競技場でのぞいてみた。ソニーの出している「立体映像テレビ」が人気で行列ができていた。
4年前のドイツ大会で始まった「ファンフェスタ」は、今回も各地の会場都市で「ファンパーク」という名前で開かれている。違いは、ファンゾーンは試合を見に来た人たちだけが楽しめること、飲食の販売がないことである。
◇苦境を救ったエジルの一発
ドイツ対ガーナの試合は形勢まったく互角で、ガーナに絶好の得点機がなんどもあった。ガーナの守りは厚くて巧みだった。ドイツはガーナに敗れればもちろん、引き分けでも、ベスト16進出の望みを失うという立場だった。しかし後半15分、エジルの強烈なミドルシュート一発が苦境を救った。
スタンドの最上段、天井桟敷の記者席から見ていて好試合だと思った。ガーナは個人の能力が高く、攻めでは速いパスをつなぐ動きが巧みで鋭い。守りはジョン・メンザを中心に組織的である。ドイツは、苦しい状況にもくじけず、チャンスを的確に生かす伝統的な底力をみせた。これから調子をあげて、優勝争いに食い込むだろうと思った。
しかし、ライター仲間の評価は高くない。ブラジルやアルゼンチンの華麗なテクニックとアイデアと比べると不器用に見えるからだろう。それでも勝負に強いのがドイツである。

サッカーシティのファンゾーン。
6月23日(水)
D組 ドイツ 1対0 ガーナ
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇ファンゾーンを楽しむ
各競技会場に「ファンゾーン」が設けられている。協賛企業が開いているいろいろなコーナーで、試合前のひとときを楽しむことのできる一角である。
「ロナウドにチャレンジ」というのがあった。舞台の上にディフェンダーに見立てた人形が並べてあって「用意、どん」でその間をスラロームしてドリブルする。同時に舞台の奥で映像のロナウドもドリブルでスラロームする。どちらが早いか、という競争である。
ドイツ対ガーナの試合の前にサッカーシティ競技場でのぞいてみた。ソニーの出している「立体映像テレビ」が人気で行列ができていた。
4年前のドイツ大会で始まった「ファンフェスタ」は、今回も各地の会場都市で「ファンパーク」という名前で開かれている。違いは、ファンゾーンは試合を見に来た人たちだけが楽しめること、飲食の販売がないことである。
◇苦境を救ったエジルの一発
ドイツ対ガーナの試合は形勢まったく互角で、ガーナに絶好の得点機がなんどもあった。ガーナの守りは厚くて巧みだった。ドイツはガーナに敗れればもちろん、引き分けでも、ベスト16進出の望みを失うという立場だった。しかし後半15分、エジルの強烈なミドルシュート一発が苦境を救った。
スタンドの最上段、天井桟敷の記者席から見ていて好試合だと思った。ガーナは個人の能力が高く、攻めでは速いパスをつなぐ動きが巧みで鋭い。守りはジョン・メンザを中心に組織的である。ドイツは、苦しい状況にもくじけず、チャンスを的確に生かす伝統的な底力をみせた。これから調子をあげて、優勝争いに食い込むだろうと思った。
しかし、ライター仲間の評価は高くない。ブラジルやアルゼンチンの華麗なテクニックとアイデアと比べると不器用に見えるからだろう。それでも勝負に強いのがドイツである。

サッカーシティのファンゾーン。
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南アフリカW杯 / 2010年06月24日
アルゼンチン野郎でいっぱい
南ア・ワールドカップ旅日誌(17)
6月22日(火)
B組 アルゼンチン 2対0 ギリシャ
(ポロクワネ ピーター・モカバ)
◇荒野のなかの新競技場
首都プレトリアから北へ275キロ、ポロクワネへ出かけた。ウィリーというプロゴルファーの車で、宿舎「ビバ!ハウス」の仲間と3人で片道3時間余りのドライブ。最初はプレトリアから南へダーバンに行ったときと同じ、見渡す限りの平原の中を一直線の道路が続いていたが、近づくにつれて針葉樹の植林されている風景に変わり、前方には山並みも見えてきた。
高速道路をアルゼンチンの旗を立てた車が何台も追い抜いていく。休憩のためサービスエリアに入ったら、大きなバスが止まっていて、レストハウスのなかはアルゼンチン野郎でいっぱいだった。
荒野のなかにぽつんと新しい競技場が建っていた。大会直前に完成したということだが内装はまだ出来上がっていない部分もあるようだ。
◇記者席も占拠される
メディアセンターに入ったら、ここもアルゼンチン野郎でいっぱい。相手国のギリシャの記者も、第3国の記者も少ないらしく、日本はまったく関係のないカードだのに机、テレビつきのいい席のメディア・チケットをくれた。
ところが、行って見ると、その席はすでにアルゼンチン野郎に占拠されていた。パソコン、ノートなどを置きっぱなしにしたまま、本人は席をはずしていて、隣の席の記者は「おれは知らないよ」と両手を広げるだけ。
揉めていると、係員が来て「心配するな、別の席を用意する」と、これも机、テレビつきのいい席に案内してくれた。どうやら、こういう事態に備えて予備席をとってあるらしい。
アルゼンチンは、すでにベスト16を決めているので気楽な試合ぶり。3戦全勝、B組1位抜けした。韓国がナイジェリアと引き分け、2位でベスト16入りした。

記者席を占拠したアルゼンチン野郎。
6月22日(火)
B組 アルゼンチン 2対0 ギリシャ
(ポロクワネ ピーター・モカバ)
◇荒野のなかの新競技場
首都プレトリアから北へ275キロ、ポロクワネへ出かけた。ウィリーというプロゴルファーの車で、宿舎「ビバ!ハウス」の仲間と3人で片道3時間余りのドライブ。最初はプレトリアから南へダーバンに行ったときと同じ、見渡す限りの平原の中を一直線の道路が続いていたが、近づくにつれて針葉樹の植林されている風景に変わり、前方には山並みも見えてきた。
高速道路をアルゼンチンの旗を立てた車が何台も追い抜いていく。休憩のためサービスエリアに入ったら、大きなバスが止まっていて、レストハウスのなかはアルゼンチン野郎でいっぱいだった。
荒野のなかにぽつんと新しい競技場が建っていた。大会直前に完成したということだが内装はまだ出来上がっていない部分もあるようだ。
◇記者席も占拠される
メディアセンターに入ったら、ここもアルゼンチン野郎でいっぱい。相手国のギリシャの記者も、第3国の記者も少ないらしく、日本はまったく関係のないカードだのに机、テレビつきのいい席のメディア・チケットをくれた。
ところが、行って見ると、その席はすでにアルゼンチン野郎に占拠されていた。パソコン、ノートなどを置きっぱなしにしたまま、本人は席をはずしていて、隣の席の記者は「おれは知らないよ」と両手を広げるだけ。
揉めていると、係員が来て「心配するな、別の席を用意する」と、これも机、テレビつきのいい席に案内してくれた。どうやら、こういう事態に備えて予備席をとってあるらしい。
アルゼンチンは、すでにベスト16を決めているので気楽な試合ぶり。3戦全勝、B組1位抜けした。韓国がナイジェリアと引き分け、2位でベスト16入りした。

記者席を占拠したアルゼンチン野郎。
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南アフリカW杯 / 2010年06月22日
審判の公開トレーニングを見る
南ア・ワールドカップ旅日誌(16)
6月21日(月)
H組 スペイン 2対0 ホンジュラス
(ヨハネスブルグ エリスパーク)
◇ブブゼラの騒音を流して練習
ワールドカップの審判員の公開トレーニングを見に行った。プレトリア郊外の高校のスポーツ施設。ビバ!ハウスから車で20分ほどだった。
サッカー場をゆったりとれる芝生のグラウンドが3面ある。高校がこんなにグラウンドを持っているとはうらやましい。世界各国から選ばれている審判団は3人1組で、全部で29組87人。ほかにバックアップ要員がいる。前日、当日、翌日の担当者を除く全員が、午前9時45分から正午までのトレーニングに参加していた。
2面のグラウンドを使い、1面は翌々日の担当者で主として体調調整。他の一面は実際の試合の場面を想定しての動きや判定の実戦的な練習だった。
実戦的な練習が始まると、スピーカーからブブゼラの騒音が流れた。南ア独特の応援ラッパである。競技場と同じ騒音のなかで練習しておこうというわけだ。
◇審判員たちの演技
ゴール前にクロスをあげ、敵味方がもみ合う。アシスタント・レフリーが3人いっしょに旗を持ってライン際を走る。オフサイドではないか、反則はないか、ゴールかどうかなどを、それぞれ判定して旗をあげる。
ゴール前でのもみ合いで、わざと相手を突き飛ばす。突き飛ばされたほうが大げさに倒れて、のたうちまわって見せる。主審がイエローカードを出す。一人が主審に詰め寄って抗議する。レッドカードが出る。選手が頭を抱えてグラウンドに、しゃがみ込む。みな審判員たちの演技である。なかなか楽しそうだ。
夜はヨハネスブルグのエリスパークでスペイン対ホンジュラスの試合を見る。主審は日本の西村雄一さん、副審は相良亨さんとマーレシアのモハメド・サレ―さん。なかなか、いい審判ぶりだった。

審判員の公開トレーニングを見る報道陣。上方にブブゼラの騒音を流すスピーカー。
6月21日(月)
H組 スペイン 2対0 ホンジュラス
(ヨハネスブルグ エリスパーク)
◇ブブゼラの騒音を流して練習
ワールドカップの審判員の公開トレーニングを見に行った。プレトリア郊外の高校のスポーツ施設。ビバ!ハウスから車で20分ほどだった。
サッカー場をゆったりとれる芝生のグラウンドが3面ある。高校がこんなにグラウンドを持っているとはうらやましい。世界各国から選ばれている審判団は3人1組で、全部で29組87人。ほかにバックアップ要員がいる。前日、当日、翌日の担当者を除く全員が、午前9時45分から正午までのトレーニングに参加していた。
2面のグラウンドを使い、1面は翌々日の担当者で主として体調調整。他の一面は実際の試合の場面を想定しての動きや判定の実戦的な練習だった。
実戦的な練習が始まると、スピーカーからブブゼラの騒音が流れた。南ア独特の応援ラッパである。競技場と同じ騒音のなかで練習しておこうというわけだ。
◇審判員たちの演技
ゴール前にクロスをあげ、敵味方がもみ合う。アシスタント・レフリーが3人いっしょに旗を持ってライン際を走る。オフサイドではないか、反則はないか、ゴールかどうかなどを、それぞれ判定して旗をあげる。
ゴール前でのもみ合いで、わざと相手を突き飛ばす。突き飛ばされたほうが大げさに倒れて、のたうちまわって見せる。主審がイエローカードを出す。一人が主審に詰め寄って抗議する。レッドカードが出る。選手が頭を抱えてグラウンドに、しゃがみ込む。みな審判員たちの演技である。なかなか楽しそうだ。
夜はヨハネスブルグのエリスパークでスペイン対ホンジュラスの試合を見る。主審は日本の西村雄一さん、副審は相良亨さんとマーレシアのモハメド・サレ―さん。なかなか、いい審判ぶりだった。

審判員の公開トレーニングを見る報道陣。上方にブブゼラの騒音を流すスピーカー。
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南アフリカW杯 / 2010年06月22日
テレビで確認した2つの判定
南ア・ワールドカップ旅日誌(15)
6月20日(日)
G組 ブラジル 3対1 コートジボアール
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇メディア・チケットが貰えない
ワールドカップの記者登録を認められて、南アフリカに来ているが「記者章」(ADカード)を首からぶら下げていても、自由に試合を見られるわけではない。試合ごとに「メディア・チケット」が必要である。これまでは申請しておいた試合については、みな貰えていたのだが、20日のブラジル対コートジボアールの試合で、はじめてメディア・チケットを取れなかった。
前日の夜遅くにFIFAから「取材申請が多いので一部の記者へは記者席が与えられないことになる」というメールが入っていた。日本対オランダ戦を見たあと、ダーバンからの貸切バスのなかで眠っていたころらしく、気がつかなかった。
昼過ぎにメディアセンターに行ってからメールを開くと「この試合のあなたの申請は却下(リジェクト)されました」という連絡が入っていた。
◇モニターテレビで観戦
FIFAは、その試合の出場国のメディア、有力な新聞通信社などに優先してメディア・チケットを割り振るので、南米でもアフリカでもないフリーランスのライターに、ブラジル対コートジボアールの記者席が回ってこないのは、やむを得ない。
というわけで、この試合はメディアセンターのモニターテレビで見たのだが、これがかえって幸いした。というのは、ブラジルの2点目をあげたファビアーノの2度にわたるハンドリングや終了間際のカカが退場になった場面のひじ打ちを、テレビの再生映像でじっくり見ることができたからである。記者席にもモニターテレビはあるのだが、日本に関係のない試合で、日本のメディアに割り当てられるのは、たいていは机のない席でモニターテレビはない。だから、記者席で見ていたらよく分からなかっただろう。
この二つのケース、審判の判定基準として非常に重要な問題だったと思う。

メディアセンターでテレビ観戦する記者たち。
6月20日(日)
G組 ブラジル 3対1 コートジボアール
(ヨハネスブルグ サッカーシティ)
◇メディア・チケットが貰えない
ワールドカップの記者登録を認められて、南アフリカに来ているが「記者章」(ADカード)を首からぶら下げていても、自由に試合を見られるわけではない。試合ごとに「メディア・チケット」が必要である。これまでは申請しておいた試合については、みな貰えていたのだが、20日のブラジル対コートジボアールの試合で、はじめてメディア・チケットを取れなかった。
前日の夜遅くにFIFAから「取材申請が多いので一部の記者へは記者席が与えられないことになる」というメールが入っていた。日本対オランダ戦を見たあと、ダーバンからの貸切バスのなかで眠っていたころらしく、気がつかなかった。
昼過ぎにメディアセンターに行ってからメールを開くと「この試合のあなたの申請は却下(リジェクト)されました」という連絡が入っていた。
◇モニターテレビで観戦
FIFAは、その試合の出場国のメディア、有力な新聞通信社などに優先してメディア・チケットを割り振るので、南米でもアフリカでもないフリーランスのライターに、ブラジル対コートジボアールの記者席が回ってこないのは、やむを得ない。
というわけで、この試合はメディアセンターのモニターテレビで見たのだが、これがかえって幸いした。というのは、ブラジルの2点目をあげたファビアーノの2度にわたるハンドリングや終了間際のカカが退場になった場面のひじ打ちを、テレビの再生映像でじっくり見ることができたからである。記者席にもモニターテレビはあるのだが、日本に関係のない試合で、日本のメディアに割り当てられるのは、たいていは机のない席でモニターテレビはない。だから、記者席で見ていたらよく分からなかっただろう。
この二つのケース、審判の判定基準として非常に重要な問題だったと思う。

メディアセンターでテレビ観戦する記者たち。
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南アフリカW杯 / 2010年06月21日
日本対オランダ戦を見にダーバンへ
南ア・ワールドカップ旅日誌(14)
6月19日(土)
E組 オランダ 1対0 日本
(ダーバン)
◇片道600キロを貸切バスで往復
プレトリアの「ビバ!ハウス」からダーバンへ貸切バスで片道600キロの旅をした。夜中の11時半ごろ出発、途中で別の宿舎の仲間を拾って、50人乗りの立派なバスに25人。一人で2人分の座席を占領してゆったりと寝た。途中サービスエリアによったのも知らず、目が覚めたら午前8時半。もうダーバン・スタジアムの周辺だった。
ダーバンは、インド洋に面した港湾都市である。海抜1600~1700メートルのプレトリア・ヨハネスブルグとは打って変わって暖かい。年間を通じて気温20度くらいの暮らしやすいところだという。
スタジアムはオレンジ色のオランダ・サポーターであふれていた。
オランダの試合は、いつも雰囲気がいい。オレンジが明るい色だし、サポーターが陽気で楽しい。オランダの国旗と日の丸の両方を打ち降っているオランダ人もいた。
◇最少失点だったのはいい
日本は0対1でオランダに敗れたけれども最少失点だったのはいい。
第1戦と同じ守備重点の布陣だった。阿部をアンカーに守りを固め、ワントップの本田で逆襲からの得点を狙う作戦である。同じ布陣だがカメルーンに対しては「勝つため」であり、オランダに対しては「負けない」ためである。
守りはおおむね成功していたのだが、後半の立ち上がりにゴール前を揺さぶられ、スナイダ―のミドルシュートで1点をとられた。
終了のホイッスルが鳴ると、岡田監督の悔しそうな顔が記者席のモニターテレビの画面に大映しになった。強豪相手にひと泡吹かせるつもりだったのだろうか?
夜の試合でデンマークはカメルーンに勝ったが、2対1だった。グループ最終戦で、日本はデンマークに引き分けでもベスト16に進出できる。

オランダのサポーター。
6月19日(土)
E組 オランダ 1対0 日本
(ダーバン)
◇片道600キロを貸切バスで往復
プレトリアの「ビバ!ハウス」からダーバンへ貸切バスで片道600キロの旅をした。夜中の11時半ごろ出発、途中で別の宿舎の仲間を拾って、50人乗りの立派なバスに25人。一人で2人分の座席を占領してゆったりと寝た。途中サービスエリアによったのも知らず、目が覚めたら午前8時半。もうダーバン・スタジアムの周辺だった。
ダーバンは、インド洋に面した港湾都市である。海抜1600~1700メートルのプレトリア・ヨハネスブルグとは打って変わって暖かい。年間を通じて気温20度くらいの暮らしやすいところだという。
スタジアムはオレンジ色のオランダ・サポーターであふれていた。
オランダの試合は、いつも雰囲気がいい。オレンジが明るい色だし、サポーターが陽気で楽しい。オランダの国旗と日の丸の両方を打ち降っているオランダ人もいた。
◇最少失点だったのはいい
日本は0対1でオランダに敗れたけれども最少失点だったのはいい。
第1戦と同じ守備重点の布陣だった。阿部をアンカーに守りを固め、ワントップの本田で逆襲からの得点を狙う作戦である。同じ布陣だがカメルーンに対しては「勝つため」であり、オランダに対しては「負けない」ためである。
守りはおおむね成功していたのだが、後半の立ち上がりにゴール前を揺さぶられ、スナイダ―のミドルシュートで1点をとられた。
終了のホイッスルが鳴ると、岡田監督の悔しそうな顔が記者席のモニターテレビの画面に大映しになった。強豪相手にひと泡吹かせるつもりだったのだろうか?
夜の試合でデンマークはカメルーンに勝ったが、2対1だった。グループ最終戦で、日本はデンマークに引き分けでもベスト16に進出できる。

オランダのサポーター。
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