サッカー日誌 / 2012年03月31日


女子ワールドカップを日本で(7)


会場都市の運営参加

★未来につながる施設提供
 女子ワールドカップを日本で開催しよう。そのときは会場都市がFIFAや日本サッカー協会(JFA)と対等の立場で主体性を持って運営に参加しよう。これが、ぼくの提案である。
 会場都市に何ができるか?
 第1は会場になるスタジアムの提供である。2万人前後の収容能力がある会場を求められるだろう。しかし、それがワールドカップ後に地元クラブの試合のために利用する見込みがないのであれば、会場都市になるのは、やめたほうがいい。
 裏返して言えば、日本サッカー協会は、2万人前後の収容能力があるスタジアムを、地方の中小都市が、その町のスポーツ活動に活用できるようなシステムを提供しなければならない。
 ぼくは、地方の中都市が2万人のスタジアムを活用する道はあると考えている。

★試合と大会を運営する役員
 会場都市にできることの第2は労力(人材)の提供である。
 一つは責任を持って大会を運営する「スタッフ」(役員)である。
 競技(試合)の運営については、地元のサッカー関係者が知識と技能を提供できる。
 大会の運営については地元のスポーツ関係者が技能と経験を提供できる。
 2011年のドイツ女子ワールドカップでは地元役員の仕事ぶりが非常に良かった。FIFAや、その下請けのエージェントが乗りこんでいるのだが、実務は地元の役員が確実にこなしていた。
 欧州の国で開かれる国際大会では、概して地元の競技役員がしっかりしている。これは、それぞれの町にスポーツ・クラブがあり、日常的にクラブのチームの試合が行われているからだろう。FIFAは、その町のやり方を生かして運営するほかはない。

★ボランティアの活用
 会場都市が提供する、もう一つの労力提供は「ボランティア」である。
 補助的な仕事を担当する人たちだが、実は補助的な仕事のほうが多く、たいへんである。
 会場の町の駅に案内のデスクが設けられていた。そこでスタジアムに行く「メディア・バス」の乗り場を聞いた。すると「おお、それはこっちだ」と言って、自分の車でスタジアムまで連れて行ってくれた。自家用車に「メディア」というステッカーが貼ってあった。
 これは、ドイツ女子ワールドカップのときの小さな町での経験である。
 オリンピックや男子ワールドカップのような大掛かりな大会では、そうはいかない。大型バスを何台も用意しなければならない。
 女子のワールドカップなら、中小都市でボランティアを生かした運営ができる。ボランティアも世界的な大会の運営参加に生きがいを感じて張り切っている。


ジンズハイム駅の案内デスク。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月30日


女子ワールドカップを日本で(6)


会場都市が対等の立場で

★単なる「下請け」になるな
 女子ワールドカップを「地方の中規模都市に分散して開催しよう」というのが、ぼくの主張である。しかし、誤解してもらいたくないことがある。
 「地方の中都市にサッカー・スタジアムを作らせ、そこを会場に提供させて試合をやろう」という提案ではない、ということである。
 「地方の中都市が主体的に主催者、主管者の一つとして大会運営に参画し、その実績が、その都市の未来につながるようにしよう」。これが、ぼくの提案である。
 女子ワールドカップの主催者はFIFA(国際サッカー連盟)である。主として運営に当たる(主管する)のは、その国のサッカー協会である。
 しかし、会場都市が、その「下請け」をしてスタジアムを貸し、労力を提供するだけなら、市民税のムダ遣いだから、やめたほうがいい。

★地元も対等の運営者
 競技は、FIFAとサッカー協会が競技規則にもとづいて実施する。試合そのものは、地元のクラブの試合と同じルール、同じ方法だから、あまり問題はない。
 報道(メディア)やVIPやスポンサーへの対応は、国内のリーグと国際的な大会ではかなり違う。人数も多いし、飛び交う言葉もいろいろである。そのためにFIFAが決めた基準に従うことになる。
 しかし、会場を提供する都市がFIFAやサッカー協会の「言いなり」になることはない。
 最近の国際公式競技会では、運営専門のエージェントの人びとが欧州から乗りこんできて「おれたちは専門家だから任せろ」とばかりに、地元の役員やボランティアをロボットを扱うように使っている例がある。
 しかし、地元も対等の運営者として、主張すべきことは主張すべきである。

★地元の事情を尊重せよ
 ドイツの女子ワールドカップのとき、こういうことがあった。
 各会場に報道関係者が仕事をするメディア・センターが設けられる。
 FIFAの決めた基準では、メディア・センターは、試合開始の3時間前に開き、試合終了後4時間後まで運営されることになっていた。
 ところが、ある会場で、オープン予定の時間に行ったら、まだ開いていなかった。
 法律では労働時間が8時間以内に制限されている。その州ではボランティアにも、それが適用される。そうするとメディア・センターで働くボランティアが法律違反になる。それでメディア・センターの開始時間を1時間遅らせたということだった。
 「それでいい」と、ぼくは思った。大会組織者は地元の事情を尊重して運営するのが当然である。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月27日


女子ワールドカップを日本で(5)


分散-ネットワークによる開催

★分散開催の利点
 オリンピックは1都市集中開催が原則だが、ワールドカップは多都市分散開催である。
 オリンピックでは、1都市でのなかで30以上のスポーツを2週間ちょっとの間に行うため、交通渋滞が起きる、ホテルがとれない、といった問題が起きる。日常的な都市の機能、市民の生活が阻害される。そして、お祭り騒ぎのあと、多くの巨大な施設がムダになる。
 サッカーのワールドカップは、いくつもの都市に分散して開催される。一日には、一つの町で、一つのスポーツの、一つの試合がおこなわれるだけである。選手・役員も、報道関係者も、観客の数も、集中開催に比べれば、ずっと少ない。だから、運営は楽である。
 地元の市民は、日常生活のなかの非日常のお祭りを楽しむことができる。その施設や経験を、その後の日常生活のなかで役立てることができる。
 スポーツ大会を運営するのに、分散開催のほうがいいことは明らかだ。

★移動と宿泊の問題
 分散開催の場合「移動がたいへんだろう」と言う人がいる。しかし、実際には移動は問題ではない。
 移動が必要なのは2つのチームと4人の審判員と報道陣の一部と2つのチームのサポーターである。サポーター以外の数は、取り立てて言うほどではない。サポーターあるいは観光客は、国によっては、かなりの人数だが、応援しているチームの試合と試合の間は3日ほどあるから、思い思いに分散して移動することができる。したがって混雑はない。
 中小都市で開催する場合、その町のホテルの数は限られている。しかし分散開催では宿泊も、それほど問題ではない。試合のある町に宿泊しなくても周辺の町に宿泊して試合を見に行く時間の余裕があるからである。
 つまり、地理的に分散されるだけでなく、時間的にも分散されるわけである。

★総合集中から分散ネットワークへ
 ドイツで行われた2006年男子、2011年女子のワールドカップでは、移動と宿泊に大きな問題はなかった。ドイツは高速道路と新幹線が発達していて各都市が交通のネットワークで結ばれていたからである。これは日本でも、ほぼ同じだろう。
 運営面では、インターネットの発達が役に立っている。分散している各会場の情報の流通は、コンピューターを使って、ほぼリアルタイムで可能である。
 だから役員の移動は審判員以外は実は不必要である。試合運営の役員は一つの会場都市に常駐しているからである。
 交通と通信のネットワークによって分散開催が、より効率的になり、その利点が生かされるようになった。
 現代は総合集中から分散ネットワークへの時代である。


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月26日


女子ワールドカップを日本で(4)


中規模都市を開催地に

★地方都市を活性化するために
 日本で女子ワールドカップを開催するときには、人口30万人くらいの町を会場都市にしたい。そのわけは、中規模の町にスポーツ文化をはぐくみ、地方都市を活性化するモデルにしたいからである。
 人口30万人くらいの規模であれば「同じ町で生活している」という意識を市民が持っているだろう。
 同じ生活圏の人たちが国際的な大会を支えることによって、市民としての意識を高め、大会後もスポーツだけでなく、いろいろな活動を活発に行うようになることを期待したい。ワールドカップで使う施設は、この程度の規模の町で有効に活用できるだろう。
 女子ワールドカップは、男子ワールドカップやオリンピックのように大掛かりではない。中都市で十分に支えられるはずであり、中都市開催のメリットは大きい。

★人口20万~40万が適正規模
 人口20万人以上、40万人以下の都市は、日本に150近くある。20万は静岡県の沼津市、40万は神奈川県の藤沢市である。
 サッカーの伝統がある山梨県の韮崎市は32万、高校サッカーで知られる三重県の四日市市は31万である。
 なかには大規模な町村合併で人口が広域に散らばっているところもあるから、統計の数字だけでは様子はわからないかもしれないが、適正規模の都市は全国至るところにあるだろう。
 女子ワールドカップの決勝大会出場数は、2015年のカナダ大会から20チームになる。2023年には、もう少し増えるかもしれない。それでも必要な会場都市の数は8~12くらいである。候補都市は全国に十分すぎるほどあると思う。

★地域の文化を育てよう
 2011年のドイツ女子ワールドカップでは、会場9都市のうち6都市が人口40万人以下だった。ベルリン(人口340万人)は首都として開幕1試合だけ、決勝戦などが行われたフランクフルト(66万人)は女子サッカーの盛んな都市、ドレスデン(50万人)は旧東ドイツからただ一つ選ばれた。大部分の試合は人口20万~30万前後の中都市で行われた。
 「ドイツはもともと地方都市が独立して運営されてきたんだ。それに地域のスポーツ文化が成熟しているんだ。だから中小都市でもイベントを開催できるんだ」
 そういう意見がある。
 日本の地方都市に、それがないのであれば、女子ワールドカップを機会に、地方独自の能力を高め、スポーツ文化を育てようじゃないか。試合会場を引き受けることが、地方都市活性化につながる方法を考えようじゃないか。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月25日


女子ワールドカップを日本で(3)


球技専用のスタジアムを

★陸上競技場との両立は難しい
 2023年に女子ワールドカップを日本で開催するとする。
 その会場は球技(サッカー、ラグビー)専用のスタジアムに限ることにしたい。陸上競技のトラックのないスタジアムである。
 第一の理由は、陸上競技場と球技場の両立が難しくなっていることである。テレビ中継やマス・メディア対応のために必要な施設が、まったく違うようになった。
 第二の理由は、スタンドとフィールドの距離が短いためサッカーやラグビーの試合が見やすいことである。
 第三の理由は、国際規格の専用球技場は、そのままJリーグのスタジアム規格に適合するから、将来にわたって活用できることである。地方都市の球技場は地元のクラブによって活用されるだろう。

★国体施設は活用されていない
 地方都市の会場は、1万5000人~2万人の収容能力が適当だと思う。この規模の競技場は現在、すでに各地方の県庁所在地などにある。しかし、それは、ほとんど陸上競技場である。そのわけは、国民体育大会のために作られたものだからである。
 かつての国体開催基準要項では「開会式は陸上競技場で行う」と定められていた。国体の開会式は2万人以上のお客さんで満員になる。だから、国体のためには大きな収容能力を持つ陸上競技場が必要だった。
 しかし、国体のあとで、2万人ものお客さんが集まる陸上競技会は、ほとんど行われていない。そのため「国体の競技場にはペンペン草が生える」とまで言われた。地方の陸上競技場に大きなスタンドはいらないのである。
 しかし、球技場なら1万5000人~2万人のスタンドが活用される可能性は大きい。

★会場都市を公募する
 地方都市に1万5000~2万人のスタジアムを新設あるいは改装するなら、その町のクラブなどが利用できる球技場にするのがいい。
 というわけで、2023年を目標に女子ワールドカップを招致するときに、会場になる都市を条件付きで公募してはどうか?
 1万5000~2万人の球技専用スタジアムをすでに持っているか、あるいは2023年までに建設する予定の町に限って、女子ワールドカップの会場都市として名乗り出ることができることにする。そのなかから、8~12くらいの会場都市を選ぶことになる。
 会場都市になっても財政負担がかかってくるだけなら、名乗り出る町はないだろう。また球技スタジアムを作っても、その後の利用の可能性がないならムダである。
 会場都市になることにメリットがあるようなプランを考える必要がある。


コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月24日


女子ワールドカップを日本で(2)


2023年の開催をめざそう

★ラグビーW杯との関係
 女子サッカーのワールドカップを日本で開催しようと画策しはじめたのだが、いつ開催するのかが、まず問題である。
 次回の2015年の開催地は、カナダに決まっている。
 その次の2019年には、いまから立候補できるのだが、この年にはラグビーのワールドカップを日本で開催することが決まっている。
 「ラグビーと同じ年でもいいじゃないか。時期をずらせばいい」という考えもあるのだが、これには2つの問題がある。
 一つはスタジアムである。ラグビーのワールドカップで使用するスタジアムは、ほとんどがサッカーでも使う球技場だろう。その年にJリーグもあり、オリンピック予選などの国際試合もある。その調整が、まず難しい。

★資金調達の問題
 ラグビーとの競合では、もう一つ問題がある。それは資金調達である。
 ラグビーのワールドカップは、非常にお金のかかる大会である。日本ラグビー協会は、ワールドカップ開催の権利を与えられる代償として、IRB(国際ラグビー評議会)に、約130億円を納入しなければならない。しかもテレビ放映権料や広告スポンサーによる収入はすべてIRBのものである。日本ラグビー協会の権利は入場料収入だけである。
 入場料だけで130億円を調達するのは、とうてい無理である。
 その対策として、日本ラグビー協会はトトの収益のなかから34億円をもらう約束を、すでに取り付けている。
 それだけでは足りないから、大企業に入場券を買ってもらったり、寄付をしてもらったりしなくてはならない。だから資金源でサッカー女子ワールドカップとの両立は難しい。

★ラグビーW杯に協力しよう
 2019年のラグビー・ワールドカップ開催は、すでに決まっているので、これを成功させないわけにはいかない。日本ラグビー協会の会長は、元総理大臣の森喜朗さんである。その政治力で財界に協力を求めるだろう。
 というわけで、同じスポーツの仲間として、2019年はラグビーのワールドカップ開催にサッカーも協力するのが、サッカーとしても得策だろうと、ぼくは思う。
 日本サッカー協会の小倉純二会長に会ったとき、ぼくは冗談交じりに、こう進言した。
 「2019年はラグビーに協力するから、次はサッカーに協力してくれと、森喜朗さんに恩を売りなさいよ」
 というわけで、女子ワールドカップの日本開催は、2023年をめざすのがいいと、ぼくは考えている。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月23日


女子ワールドカップを日本で(1)


日本のスポーツ改革のために

★ドイツ2011の運営
 いま、女子サッカー・ワールドカップの日本開催をめざして、微力ながらキャンペーンを始めている。
 昨年(2011年)6~7月、ドイツの女子ワールドカップを見に行ったあと思い立った。
 「なでしこJapan」の優勝に動かされたのではない。「なでしこJapan」の試合ぶりとその成果には感動したが、この大会を日本で開催すべきだと思い立ったのは、そのためではない。ドイツの大会運営に感心したからである。
 ドイツは、人口20万~40万の中都市のネットワークで大会を運営した。 
 そして、それぞれの会場都市の市民が、大会を自分たちのイベントとして盛り上げていた。地方分散のネットワークによる運営が大会を成功に導いた。成熟した地域のスポーツ文化を世界大会の運営に結びつけたのだと思った。

★地方分散とネットワーク
 「これこそ、未来のスポーツの在り方だ」と思った。
 「単純すぎる」といわれるかもしれない。でも、そう簡単な問題ではないにしても、考えてみる価値はある。
 日本のスポーツは、これまで「オリンピック至上主義」だった。
 多くのスポーツを集めて集中的に開催する大会が「いいもの」だと、頭から信じられていた。
 しかし、女子ワールドカップのような、地方分散とそのネットワークによる開催は、中央集中開催のオリンピックよりも、地域スポーツ振興に役立つ。それを、ドイツの女子ワールドカップの運営が証明していたと思う。
 スポーツの未来は「地方分散とそのネットワーク」にあるのではないか?

★地域のスポーツ文化を
 そう遠くない将来に、女子サッカーのワールドカップを日本で開催しよう。それを日本のスポーツ改革のために役立てよう。そういう大きな夢を、ぼくは抱き始めている。
 日本のサッカーファンに世界の女子サッカーを見せることだけが目的ではない。
 地方分散の大会を地方中小都市の力のネットワークで開催して、それを日本のスポーツ改革のモデルにすること――それが夢である。
 ドイツでは、中小都市にスポーツクラブがあり、それを中心にした日常のスポーツ活動がある。そこで育まれた成熟した「市民のスポーツ文化」がある。だから、女子ワールドカップが成功した。そういう意見を聞いた。そのとおりだと思う。
 日本のスポーツに、それが欠けているのなら、女子ワールドカップ開催を目標に、日本の「市民スポーツ文化」を地方都市に育てよう。それは可能だと、ぼくは思い始めている。



コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月22日


国立競技場改築計画への疑問(下)


球技スタジアムへの改装が現実的

第1回「将来構想有識者会議」
(3月6日 国立競技場会議室)

★将来の維持運営を考えて
 東京オリンピック招致を考えに入れなければ、国立競技場はサッカーとラグビーの球技スタジアムとして改装するのが現実的だろう。それなら2019年のラグビー・ワールドカップに間に合うように工事ができるだろう。
 陸上競技のトラックがなければ、現在の敷地のなかで収容能力を増やすことができる。現在の国立競技場の座席定員は54,224人だが、8万人くらいまでは増やすことができるだろう。そのほかの設備もゆったり取ることができる。
 さらに、文化施設および商業施設として兼用できる設計がしやすい。近年、欧州などではサッカー場を市街地に作り、その地下に駐車場を設け、スタンド下などに商業施設(モール)を作る例が多くなっている。
 将来の維持運営のために効率よく、多角的に利用できるものにする必要がある。

★陸上競技と球技の兼用は難しい
 かつては、陸上競技トラックの内側の芝生で、サッカーやラグビーの球技を行うのが効率的利用だと思われていた。
 しかし、陸上競技と球技との兼用は、いまでは現実的ではない。
 いろいろな理由があるが、主なものを挙げてみよう。
 テレビが20台近くのカメラを使って中継する時代になっている。陸上競技と球技とではテレビ中継の施設の配置がまるで違う。
 メディアのための施設が複雑になっている。競技後のテレビのフラッシュ・インタビュー、記者会見、ミックスゾーン(選手とのインタビューの場)の設営は陸上競技と球技ではまったく違う。
 商業スポンサーが増えたので、VIPの扱い方も違う。

★東京五輪には味スタを
 このように考えると、国際競技会に必要な陸上競技場と球技スタジアムは別べつに作るのが効率的である。
 国際規格の9コースの陸上競技場としては、東京にはすでに5万人収容の「味の素スタジアム」がある。収容能力は国立競技場とほぼ同じで、周辺の敷地はずっと広い。
 そのほかに新たに大きな観客席を持つ陸上競技場を作る必要があるのだろうか?
 ぼくの結論はこうである。
 霞ヶ丘の国立競技場は都心部にふさわしい多目的の球技場として改築するのがいい。
 東京オリンピック招致が実現した場合には、陸上競技場としては味の素スタジアムを使えばいい。オリンピックのために8万人収容が必要なら仮設スタンドを作ればいい。
 それが無理なら東京オリンピック招致を断念したほうがいい。


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月21日


国立競技場改築計画への疑問(中)


外苑の新都市計画ができるのか?

第1回「将来構想有識者会議」
(3月6日 国立競技場会議室)

★外苑全体のレイアウト
 国立競技場改築について二つの考え方ができる。
 一つは現在のスタジアムを取り壊して、その敷地のままで建て替えることである。
 その場合には、陸上競技の国際規格として必要な9レーンのトラックを作った上で8万人のスタンドを用意できるかどうか、サブトラックをどうするのか、という技術的な問題がある。これが、できなければ、オリンピックのメーン・スタジアムには使えない。
 もう一つの考え方は神宮外苑のレイアウト全体を作り直すことである。
 この地域には、国立競技場のほかに、絵画館前広場、神宮球場、神宮第二球場、秩父宮ラグビー場がある。民間のお店や住宅もある。こういう既存施設をご破算にして、全体を新しい都市計画に組み込むことも、考えることはできる。
 しかし、これには難しい問題がたくさんある。

★入り組んだ利害関係
 現在の国立競技場と秩父宮ラグビー場は国有である。運営は「独立行政法人日本スポーツ振興センター」が行っている。神宮球場、神宮第二球場、絵画館、絵画館前広場などは明治神宮奉賛会の管理である。この一帯には、ほかに民間の施設や商店などがある。
 地権者や所有者や管理者が入り組んでいるだけではない。それぞれの施設には歴史的ないきさつや既得権めいたものがある。たとえば神宮球場は六大学野球連盟の協力によってできたものである。大学野球にとっては「伝統」を伝える建造物である。
 秩父宮ラグビー場は、もともとは日本ラグビー・フットボール協会が建設したものである。いきさつから言えば、ラグビーには大きな発言権がある。
 こういう入り組んだ利害関係を解きほぐして神宮外苑一帯を大改装するのは、手続き的にも、時間的にも、財政的にも、不可能に近いのではないか?

★東京五輪招致に間に合うのか?
 国立競技場の「第1回将来構想有識者会議」では、三つの部会で専門的に話し合っていくことを決めたという。各部会の座長は、施設計画が建築家の安藤忠男、スポーツ部門が日本サッカー協会会長の小倉純二、文化部門が作曲家で日本音楽著作権協会会長の都倉俊一となっている。
 この顔ぶれを見ると、お役所が描いている国立競技場改築計画の筋書きを想像することができる。スポーツ施設としては陸上競技にもサッカーなどの球技にも使え、文化施設としてはコンサートなどの会場になるドーム型の総合巨大施設を考えているのではないか。
 そうであれば、現在の敷地内での改装は難しい。神宮外苑全体を東京の都市計画のなかで見直すことが必要になる。
 この大構想を2020年のオリンピックまでに実現できるのだろうか?


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
サッカー日誌 / 2012年03月20日


国立競技場改築計画への疑問(上)


五輪招致のための「空手形」作り?

第1回「将来構想有識者会議」
(3月6日 国立競技場会議室)

★老朽化で改築は必要
 新聞の片隅に小さな記事が載っていた(3月7日付、朝日新聞朝刊、東京版)。国立競技場改装のための「将来構想有識者会議」が開かれたというニュースである。「国立改築、作業部会で検討」と小さな見出しがついていた。
 「また、東京オリンピック招致のためのペーパープランじゃないのか?」
 これが、ぼくの頭の中に最初に浮かんだ疑問である。
 「国立競技場」は、1958年に東京で開かれた第3回アジア競技大会のときに、神宮外苑競技場を取り壊して建設された。その後、バックスタンドの上段部分が付け加えられて、1964年の東京オリンピックのメーン・スタジアムになった。
 建築後、半世紀以上たって建造物自体が老朽化している。いろいろな設備も時代に合わなくなっている。改築あるいは取り壊しの時期が来ていることは間違いない。

★五輪のメーン・スタジアムに?
 今回の改築将来構想会議は、2020年オリンピック夏季大会招致のために違いない。
 日本オリンピック委員会(JOC)と東京都が2月に国際オリンピック委員会(IOC)に提出した開催計画では、霞ヶ丘の国立競技場を開閉会式と陸上競技などを行うことになっている。しかし、いまの国立競技場のままでは、とてもオリンピックの規格には合わないから全面改築計画をIOCに示さなくてならない。そのための構想を紙の上だけでも早急に作る必要がある。そのための会議だろう。
 2016年のオリンピック開催地に立候補したときには、東京湾の埋め立て地に10万人収容の陸上競技場を新設してメーン・スタジアムにする計画を提出した。しかし、東京湾に突き出した敷地に10万人の人びとを出入りさせるのは、アクセスの方法が限られているから現実的でない。その点をIOCに指摘されて2016年招致失敗の一因となった。

★陸上競技場としての疑問
 そこで今回は都心部の国立競技場を改築してメーン・スタジアムにする計画を提出した。その計画が進んでいることをIOCに対して示さなければならない。
 しかし、これには、いくつもの疑問がある。
 陸上競技の国際規格では9レーンのトラックが必要である。現在の国立競技場は8レーンである。これを9レーンに増やし、さらにスタンドを8万人収容に拡張するのは、現在の敷地のままでは技術的に難しい。そういう指摘がすでになされている。
 また、オリンピックの陸上競技場として使うのであれば練習用のサブ・トラックが必要である。いまの国立競技場には400mのサブ・トラックがない。それを、どこに作るのか?
 かりに8万人収容の陸上競技場を作ることができたとしてもオリンピックのあとに、どのように使うのか? 陸上競技の会場としては、ほとんど利用されないのではないか?


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ   

Copyright(C) 2007 US&Viva!Soccer.net All Rights Reserved.