サッカー日誌 / 2016年05月17日


東京五輪のエンブレム(下)


なぜ、カラーでなく単色か?
(4月25日、組織委最終選考)

★商業利用のために
 2020年東京オリンピックのエンブレム(標章)に選ばれたデザイン「組市松紋」は藍色だけ。色はシンプルである。
 最終候補に残った他の作品は、いずれも赤、青、黄を組み合わせた、はなやかなものだ。
 なぜ、カラフルなデザインが落とされ、色彩としては地味なものが選ばれたのだろうか?
 思うに、このエンブレムは、他の商業デザインと組み合わせて、商業的に利用するためのものだからである。
 五輪マークそのものの権利は、IOC(国際オリンピック委員会)に属しており、国際条約などで守られていて、広告などに勝手に利用することはできない。
 しかし、東京大会のエンブレムの権利は、組織委員会のものである。

★スポンサーの標章との組合せ
 組織委員会は、東京オリンピックに協力するスポンサーに東京大会のエンブレムを利用させることができる。
 東京大会のエンブレムには、五輪マークが含まれている。
 東京大会のスポンサーは、広告に五輪マークを利用し、オリンピックを宣伝に利用できることになる。
 スポンサーは、自社のエンブレム、あるいは広告デザインに東京オリンピックのエンブレムを組み合わせて使う。
 東京オリンピックのエンブレムが、カラフルでハデだと自社のデザインの影が薄くなる。
 五輪マークのなかに、すでに青、黄、黒、緑、赤の五色が含まれているのだから、その上に多彩な色が使われていると自社のエンブレムを組み合わせるのは難しい。
 それが、東京大会のエンブレムに、単色のデザインが選ばれた理由の一つではないかと想像した。

★広告が出てこない
 以上は、シロートのぼくの「憶測」である。裏付けのある話ではない。
 この種のエンブレムの選定には、美術的な基準のほかに、商業的な立場からの評価もあると考えただけである。
 しかし、奇妙に思っていることがある。
 新しいエンブレムが発表されたあと、このエンブレムを使った広告が、なかなか現れないことである。
 最初のエンブレムの場合は、デザインが発表されると、タイアップした広告がすぐに新聞などに登場した。
 しかし、このデザインに「盗作」の疑いがあることが報道されると、広告はたちまち姿を消した。
 新デザインについては、これに懲りたスポンサーが慎重になって、エージェントの提案に、すぐにはのらなかったのだろうか?
 これも、ぼくの「憶測」である。


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サッカー日誌 / 2016年05月10日


東京五輪のエンブレム(中)


描きやすい必要はないのか?
(4月25日、組織委最終選考)

★1964年東京大会の標章
 1964年東京オリンピックのエンブレム(標章)は、有名なデザイナーの亀倉雄策の作品だった。
 大きな赤い日の丸の下に、五輪マークとTOKYO 1964の表示がある。
 単純明快で、アトラクティブだった。
 当時、このデザインが高い評価を得た理由の一つは「誰にでも描ける」ということだった。
 日の丸と五輪の組み合わせだけで、シンプルに東京オリンピックを表現している。
 シンプルだから、子どもでも描ける。
 世界中の人々が、真似をして描いて利用できる。
 それが、東京オリンピックのPRになる。
 著作権あるいは商標権を主張して、標章の使用を制限するのではなく、逆に自由に利用してもらって、大会を広く知ってもらうことが狙いだった。

★コンピューター時代
 今回、決まった2020年大会のエンブレムのデザインは複雑である。
 形の違う3種類の四角形を45個も市松模様に組み合わせて円を描く。
 シロートが簡単に真似をして描くことは不可能である。
 複雑なデザインが選ばれたのは、なぜだろうか?
 思うに、一つの理由は、コンピューター時代になって、手描きでコピーする必要がなくなったことではないか?
 複雑なデザインでも、パソコンでダウンロードして、加工して使うことが簡単にできる。
 また現在では、標章は資金集めの手段である。
 協賛金を払うスポンサーに、広告などで使う権利を与える。
 単なるPRではなく、商業利用が目的である。一般の人びとに勝手に無料で利用されては困る。
 だから、簡単に真似できない複雑なデザインのほうが、いいのかもしれない。

★4候補とも一長一短
 最終候補に残った4案のうち、採用されたA案(組市松紋)以外の三つの案も、けっこう複雑なデザインだった。
 B案(つなぐ輪、広がる輪)は、赤、青、黄色で輪(円)を描いたもので、デザインとしては単純だが、色の組み合わせが複雑である。
 C案(超える人)は、運動している人物を、黄色、青、赤で円形に図案化したもので、スポーツ大会の標章としては、もっとも分りやすい。
 D案(晴れやかな顔、花咲く)は、朝顔をモチーフに円を描いたもので、デザインとしては美しい。しかし、オリンピックあるいはスポーツと朝顔との関連が分らない。
 というわけで、どの作品も一長一短のように思えた。
 デザインについて、まったくのシロートだが、あえて意見を述べれば、C案を推す。スポーツが表現されているからである。


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サッカー日誌 / 2016年05月09日


東京五輪のエンブレム(上)


市松模様は「日本的」か?
(4月25日、組織委最終選考)

★形状複雑、色彩単純
 2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが決まった。
 2015年の7月に、いったん採用されていた案が、外国に類似のものがあることが分って取り消され、改めて公募して、 14,599点の中から選ばれたものである。
 最終的に残った4案の中から、組織委エンブレム委員会の投票で決まった。
 4つの案があらかじめ公表され、一般の人びとの意見を聞く機会が与えられた。これは、よかった。
 「組市松紋」と名付けられたA案が採用された。
 3種類の小さな四角形を45個、組み合わせて円を描き、下にTOKYO 2020 の文字がある。
 円は日の丸を象徴しているのだろうが、色は藍だけ。日の丸の赤はない。
 「形状複雑、色彩単純」である。

★国際的ではない
 「組市松紋」が採用された理由の一つは、市松模様が「日本的」だということらしい。
 しかし、市松模様が「日本的」だと感じるのは、日本人だけの感覚ではないだろうか?
 外国人には「風変わり」と思われるだけだろう。
 オリンピックは、国際的なイベントである。
 世界の多くの人びとが、市松模様を見て「日本」を連想してくれなければ、2020年オリンピックが「日本開催」であることを伝えることにはならない。
 ただし、TOKYO の文字があるので、2020年オリンピックが日本での開催であることは分かる。
 そのうえで市松模様に「日本的な美しさ」の感覚を知ってもらえるかもしれない。
 そうであれば、市松模様も悪くはない。

★「日の丸」は赤でなければ・・・
 とはいえ、藍色の市松模様の円形から「日の丸」を連想させるのは無理である。
 日の丸は、やはり「赤」でなければ……。
 デザインの専門家から見れば、日の丸をそのまま扱うのは平凡なのかもしれない。
 しかし、シロートとしては「白地に赤」の日の丸を、使って欲しかった。
 日本人にとって「赤い日の丸」は、日本を象徴する誇らしいデザインである。東京オリンピックが「日本の大会」であることを感じさせてくれる。
 外国人には、必ずしも「日の丸」に日本を感じ取ってもらえないかもしれない。
 でも市松模様よりは、なじみがあるだろう。
 オリンピックでは、国旗が氾濫する。「日の丸」が日本の国旗であることを知ってもらう、いい機会である。


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