サッカー日誌 / 2010年02月25日


東西ドイツ統一とサッカー


ビバ!サッカー研究会2月例会
2月19日・東京赤坂区民センター

講 師:明石真和(会員、駿河台大学教授)
ゲスト:フランク・リースナー(ドイツ語講師)

★「ベルリンの壁崩壊」の影響は?
 月1回のビバ!サッカー月例会では、このところ、ワールドカップ南アフリカ大会で優勝候補になりそうな国を取り上げてきた。2月は「ドイツ」だった。
 ワールドカップに出る代表チームの戦力分析をしたり、予想をしたりする趣旨ではない。その国の歴史、社会、文化、スポーツなどを知って、サッカーをもっと深く楽しむ助けにしようという狙いである。
 会員仲間の明石真和さんが、友人のフランク・リースナーさんを連れてきて、二人でドイツの社会とスポーツとサッカーを語った。リースナーさんは1995年に日本に来て、NHKテレビなどにも出てドイツ語を教えている。旧東ドイツの出身で「ベルリンの壁」が崩壊して1990年に東西ドイツが統一されたときは大学生だった。それで、東ドイツのスポーツが、統一ドイツのサッカーにどう影響したかを聞きたいと思った。

★サッカーには「自由」が必要
 社会主義体制下の旧東ドイツ(ドイツ民主共和国=DDR)は、水泳、体操など多くのスポーツで輝かしい成績を上げてきた。スポーツ科学を組織的に活用した英才集中教育の成果だった。
 しかし、サッカーでは西ドイツを上回れなかった。西はワールドカップで優勝したが、東は当時、アマチュアに限られていたオリンピック・レベル止まりだった。
 高いレベルのサッカーでは個人の創造性が重要である。創造性を生かすには「自由」が必要である。厳しい統制で締め付けられている社会主義体制下には「自由」がないから、個人の創造性が伸びない。だから、サッカーでは東は西に勝てないのだ、というのが、西側での説だった。1982年に読売サッカークラブの監督として来日したルディ・グーテンドルフから、この説を聞いたことがある。

★両方の良さがなくなった
 一方で、スポーツ全体を見れば、東ドイツが大きな成果を上げていたことは間違いない。組織的に素質のある少年少女を探し出してトレーニングセンターに集め、スポーツ科学の成果を徹底的に利用して集中的に訓練する。それが多くのスポーツで、オリンピックのメダルを量産した。
 東西ドイツが統一されたとき「西の自由に東の育成の組織が加われば、ドイツのサッカーは世界一だ」と言われたらしい。
 しかし、ビバ!サッカーの月例会で話をしたリースナーさんは、その後の20年間で「東の良さも、西の良さも、両方ともなくなってしまった」という。東の組織的強化は社会主義体制による国の援助がなくなって姿を消し、西の自由は「お金の独裁」によって蝕まれたという。ほかにも興味深い話がたくさんあって楽しく有益な月例会だった。

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サッカー日誌 / 2010年02月24日


岡田監督を解任せよ(下)


新しいものをもたらす指導者を!
個のアイデアを生かすことが必要

★代わりの監督はいるのか
 ワールドカップ本番を4カ月後に控えて岡田監督を解任したとしても「代わりの監督はいるのか?」という意見がある。
 監督の候補は内外に何人もいるし、やりたい人も多いだろう。ただし、代わった人が期待通りの成績を挙げられるかどうかは保証の限りではない。「ダメでもともと」というだけのことである。
 しかし、岡田監督では失敗する確率が高いから「ダメもと」で代わりを指名する意味はある。その場合には、新監督は「岡田監督とは違う考え」の人で、「失敗しても日本のサッカーの将来に新しいものをもたらす」人であってほしい。なぜなら、現在の岡田監督の方針は、日本のサッカーの将来に「新しいものをもたらす」ものではないからである。
 新監督が、自分の思い描くやり方を選手たちに求めてチーム作りをするのは、時間的な制約があるからも無理である。「現在の選手を生かすチーム作り」のできる監督を起用するほかはない。

★個のアイデアを生かすチーム作り
 しかし、その「選手を生かすチーム作り」こそが、日本のサッカーに求められているものである。
 監督の描いた設計図を選手に押し付けるのではなく、選手がその場その場で描く設計図で戦うのでなければ、日本のサッカーが世界に並ぶことはできない。なぜなら、あらかじめ描いた設計図は相手に読まれてしまっているからである。
 一人一人のアイデアが、その場その場でひらめき、それが組み合わされてゲームが展開される。それによって多様な攻守が展開される。そういうサッカーでないと、魅力がありかつ勝てるサッカーにはならない。「個の自主性」を生かさないとワールドカップは戦えない。岡田監督のサッカーは、それとは正反対である。
 だから、岡田監督を解任した場合は「個のアイデア」を組み合わせて戦う監督を選ぶ必要がある。そういう監督は外国には、たくさんいる。選手については「いまの日本には、それができる選手は少ない」という意見もあるだろう。しかし、かりに今回はうまくいかなくても次にはつながる方針である。

★「解任要求」は空論だが
 日本サッカー協会の犬飼会長は、すでに「岡田監督続投」を決めた。だから「解任要求」は現実には「空論」である。それでも「岡田監督解任」を求める意見があったことを、ここに記録しておきたい。
 「ベスト4宣言」はともかく、現在の日本のサッカーのレベルで、ベスト16進出の可能性は想定できる。組み合わせによってはベスト8も想定できる。このゴールを達成できないようなら、ベスト4宣言の岡田監督は永久にサッカー界から姿を消してもらいたい。
 日本サッカー協会は岡田監督を留任させたのだから、われわれは「お手並み拝見」と言うほかはない。
 ただし、岡田監督留任のメリットが一つある。
 それは、岡田監督のチーム作りの「結果」を見ることができることである。
 最初は加茂周監督解任で途中からの登板だった。2度目は本番前に解任された。だから、もう一度「最初から最後までのチャンスをくれ」とは言わせない。


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サッカー日誌 / 2010年02月23日


岡田監督を解任せよ(中)


小笠原呼び戻しは何のためだったのか?
理解できない東アジア選手権の戦い方

★JリーグMVPの出番は62分
 東アジア選手権にさいして岡田武史監督のとったやり方で、もっとも理解に苦しんだのは小笠原満男の招集である。何のために4年ぶりに日本代表に呼び戻したのか? その意図が分からない。
 小笠原は、東アジア選手権では第2戦の香港との試合で62分間、出ただけだった。リーグ2連覇の鹿島アントラーズの主軸であり、MVPであるスターを呼んでおいて失礼な話ではないか。
 岡田監督は、このシリーズで二つの課題を抱えていた。一つは東アジアのタイトルを取ることであり、もう一つはワールドカップのためのチーム作りをすることである。
 中村俊輔ら欧州組を呼べなかったから小笠原を中心に東アジア選手権を戦うというのなら分からないでもない。しかし、そうであれば、中国戦と韓国戦に小笠原を使わなかったのはおかしい。
 ワールドカップの代表に加えるために小笠原をテストしてみたのだろうか? だが、小笠原の長所も欠点も4年前から分かっていたはずである。いまさらテストする必要はない。 

★なぜ香港戦で主力を休ませなかったのか?
 これまで、岡田監督は中村俊輔を軸としたチーム作りをしていた。しかし俊輔がケガや体調不良で出られないこともありうる。そのためのバックアップとして小笠原が必要なのであれば、もっと早くから小笠原を入れておかなければならない。
 日本代表チームの中盤は、比較的人材豊富である。遠藤と憲剛がいる。欧州組から俊輔も長谷部も戻ってくる。稲本はすでに戻っている。いまになって中盤にベテランを補強する必要はない。
 アジア選手権の戦い方で、もう一つ理解できなかったのは、第2戦の香港との試合で主力を温存しなかったことである。
 香港戦から中2日で優勝のかかる韓国戦があるのだから、ここは主力を休ませるのが常識的である。もちろん勝負のことだから、控えメンバーを中心に出して敗れることもありうる。しかし、レベル的には控え中心でも勝負になる相手だった。若手に国際試合の経験を積ませる機会だったはずだ。

★型にはまったゲームプラン
 センターバックは、中澤と闘莉王が、いまのところ不動のコンビだ。しかし、どちらかが欠けた場合のバックアップは用意されていない。大柄な岩政大樹を積極的に起用して国際試合の感覚を身につけさせたいところだったし、若手を呼んでテストする機会でもあった。しかし岡田監督は「不動のコンビ」を使い続けた。
 韓国戦の後半に、右サイドを攻め上がる内田に中盤の遠藤からいいパスが出る場面が何度もあった。しかし韓国は、ゴール前にパスが通るのを防ぐ対策を講じていた。
 「日本の攻めはこれしかない」という設計図を精密に描いても、設計図通りの攻めを繰り返すばかりでは、相手に手の内を明かすようなものである。
 岡田監督のチーム編成の方針には一貫性がない。さらに型にはまったゲームプランでは、ワールドカップでの1勝もおぼつかない。解任して方針を変えるのが上策である。

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サッカー日誌 / 2010年02月18日


岡田監督を解任せよ(上)


東アジア選手権3位は大失策
更迭するタイミングはいまだ


★「監督辞めろ」の大合唱
 東アジア選手権で日本代表チームの試合ぶりと成績が悪かったので「監督辞めろ」の大合唱が高まっている。マスコミでそう伝えられている。ぼくの周辺の仲間も、そう言っている。
 しかし、日本サッカー協会の犬飼基昭会長は「続投」させることを決めた。東アジア選手権の最終戦のあとに言明し、翌日、岡田武史監督を呼んで引き続き任せることを確認した。
 犬飼会長の考えは「ここへきて新しい人ではリスクが大きすぎる」ということらしい。
もちろん、代わりの監督が好成績をあげられる保証はない。しかし、岡田監督でうまくいかない可能性が大きいのであれば「ダメでもともと」だから、新監督に賭けてみる手はあるはずだ。
 したがって、岡田監督を解任するかどうかの判断は「代わる人がうまくやれるかどうか」ではなくて、これから「岡田監督でうまくいくかどうか」である。「4強宣言」はさておいて、岡田監督が、南アフリカのワールドカップで戦えるチームを作れるかどうかを検討する必要がある。

★協会が決断せよ
 岡田監督が適任でないのであれば、変えるタイミングは「東アジア選手権の失敗」を理由にできる「いま」しかない。
 ワールドカップの本番までの契約をしておいて、チーム作りの途中で、何のきっかけもなくクビにするのは筋が通らない。だが、公式のタイトルである東アジア選手権での不成績は、監督の能力を問う十分な理由になる。いまが解任のチャンスである。
 東アジア選手権最終戦の後の記者会見で「責任をとって辞任するつもりはないか」という趣旨の質問が出た。岡田監督は「選手がついてきている限り、選手を放り出すことはできない」と答えた。
 一方、同じ会見で岡田監督は、「協会が途中で解任できる契約になっている」ことを明らかにした。
 監督が自ら辞任することは、ふつうは考えられない。契約をまっとうしようとするのは当然である。監督を代えるのなら、協会のほうが決断して解任しなければならない。

★選手との関係は大丈夫か?
 というわけで、岡田監督の解任を求めるためには、次の3つの点を検証する必要がある。
 第1は、東アジア選手権の不成績は本当に岡田監督の能力が原因だったか、である。
 第2は、岡田監督のチーム作りの方針で本当にワールドカップを戦えるチームを作れるのか、である。
 第3は、選手たちは本当に岡田監督に「ついてきている」のか、である。
 「選手たちがついてきているかどうか」は、外側からは分かりにくい。「監督と選手の間がうまくいっていない」と見る人もいる。「中村俊輔が協力すれば、岡田監督でまとまる」という説もある。
 東アジア選手権の韓国戦では、闘莉王が無用の反則で退場になったり、選手交代のとき玉田圭司が、のろのろと退場したりした。こういう場面を見ると、選手たちが岡田監督によって、ちゃんとコントロールされているとは思えない。ワールドカップ4ヵ月前になって、監督と選手の間がうまくいっていないのであれば、監督を代えるほかはない。

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サッカー日誌 / 2010年02月17日


東アジア選手権(6)


敗戦を「選手の気持ち」に転嫁するな
日本は韓国に敗れ、中国が初優勝

男子 中国 2-0 香港
男子 韓国 3-1 日本
第6日 2月14日(日)東京・国立競技場

★双方にPKと退場
 最終戦の日本対韓国で双方にPKが一つずつ、退場者が一人ずつ出た。報復が報復を呼ぶような荒れた試合だったわけではない。韓国選手の激しさと速さにたいして、いなすだけの技量、対抗するだけの力量が日本になかった。その結果である。
 寒さのなかで国立競技場のスタンドを埋めた観衆も、テレビで試合を見た人たちも、日本代表チームのふがいない戦いぶりに憤慨、あるいは失望しただろう。日本サッカー協会の犬飼基昭会長は「戦う姿勢、気持ちがない」と批判したという。
 サポーターの気持ちは理解できる。しかし、専門家である協会の幹部が精神論をぶっているようでは、救いはない。韓国選手の激しい当たりをかわせる冷静な技術、きびしい守りをいろいろな攻めで崩すことができる戦術能力、タイトルをかけた試合で力を出せるようなコンディショニング……。
 そういうサッカーの基本的な要素に不十分な点があったことを自覚しなければならない。

★ロングシュートの明暗
 日本は前半23分にPKで先行した。韓国ディフェンダーが攻め上がっている闘莉王を警戒し過ぎて拙劣な反則をしたものだった。しかし33分に今度は韓国にPKが与えられて同点。これは韓国の攻め込みを止めかねた内田篤人の反則である。どちらにも冷静さを欠いた拙守があった
 韓国は39分にイ・スンヨル(李昇烈)の30㍍のロングシュートで逆転した。好判断のシュートだったが、ディフェンダーの中澤に当たってコースが変わったのがGK楢崎には不運だった。
 その1分前に日本も中村憲剛が同じようなロングシュートを放っている。しかし、これは韓国のGKイ・ウンジェ(李雲在)が好捕した。
 この二つのロングシュートが明暗を分けた。
 日本の前半のシュートは遠藤のPKと憲剛のロングシュートの2本だけ。前線のストライカーのシュートは1本もなかった。韓国の中盤の守りの激しさと最終ラインの厳しさが目立った。

★試合運びとコンディショニングの失敗
 前半終了近くの41分に闘莉王がレッドカードで退場になった。フリーキックのチャンスに攻め上がって競り合って倒れたとき相手を蹴ったものだった。冷静さを欠いた無意味な行為だった。韓国も後半7分にキム・ジョンウ(金正友)が2枚目の警告で退場になった。これは中盤で日本の攻めを、後方からのトリッピングで止めた反則によるもので、激しい守りの行き過ぎである。
 10人対10人の試合になったあと、韓国は後半25分に1点を加えた。左サイドでドリブルとパスで崩した、みごとな組み立てだった。キム・ジェソン(金在成)が冷静に決めた。
 全体の形勢として日本は押されていたわけではない。ボール支配率は58.7%対41.3%で日本が上回っている。後半のシュート数は日本6、韓国4で日本が多い。勝負を決めたのは、技術的にも戦術的にも、韓国のペースに巻き込まれた試合運びのまずさと体力的・心理的コンディショニングの失敗である。
 敗因を安易に「気持ちの問題」にして、選手に押し付けるようでは進歩はない。

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サッカー日誌 / 2010年02月16日


東アジア選手権(5)


女子日本、2回連続の全勝優勝

女子 中国 3-0 台湾
女子 日本 2-1 韓国
第5日 2月13日(土) 味の素スタジアム

★勝っても淡々の「なでしこ」
 女子は日本が、東アジア選手権決勝大会2回連続で全勝優勝を決めた。前回、2008年2月に中国の重慶で開かれた大会で北朝鮮、韓国、中国を連破して優勝したのに続いての全勝優勝である。2008年5~6月にベトナムのホーチーミン市で行われたアジアカップで、韓国に敗れているが、そのリベンジにもなった。
 優勝を決めた瞬間の「なでしこ」は、飛び跳ねるようなことはなく、こぶしを突き上がるようなこともなく、淡々としていた。控え目に笑顔を見せた選手が2、3人いた程度である。
 5月に中国の成都で女子ワールドカップ出場権をかけたアジアカップがある。それを目標にしているから、この大会の勝利は、それほど重要ではないのだろうか?
 あるいは、後半に韓国の反撃にたじたじとなって、かろうじて逃げきった不本意な試合だった、という思いからだろうか?
 
★大野が50㍍の独走で先制点
 日本は前半7分に大野忍が先制点を挙げた。
 日本の守りから出たボールをハーフラインの左サイドあたりで受け、そのままゴールへまっしぐら。ゴール前10㍍まで迫ってシュートした。50㍍近い独走ドリブルだった。
 韓国は試合開始後はじめてのチャンスに、ほとんど全員が攻め込んで、たたみかけようとしていた。そのために守りががら空きだった。勝てば優勝という試合で意気込んでいたのかもしれない。その裏をついた日本の冷静な判断と大野のドリブルがよかった。
 17分に山口麻美が2点目をあげた。大野が韓国守備の間を通すスルーパスを出したのに走りこんでシュートした。韓国の横一線の浅い守備ラインを突いた攻めだった。
 前半は、その後もずっと日本のペースだった。個人のテクニック、戦術能力ともに、日本の選手たちは明らかに東アジアでいちばんである。

★試合ぶりは十分、合格点
 後半も形勢は日本やや優勢だったのだが、しだいに日本の動きが鈍くなった。冷たいみぞれが降り続くなかで疲れがでたようだ。韓国は衰えを見せず運動量で上回るようになった。残り10分に韓国が1点を返し、その後も韓国の放り込みによる強攻に、はらはらさせられる場面があった。そのために、選手たちは「不本意な試合」という思いを残したのかもしれない。佐々木則夫監督も「相手が前がかりになってきたときに、どうしのぐかを選手たちが身につけるのが課題」と話した。
 しかし、「優勝争い」という点からみれば、日本は引き分けでも優勝というケースだったのだから、前半2点のリードは十分な安全圏だった。無理をして「逃げきり策」や「追加点狙い」をする必要はなかった。日本の試合ぶりは、優勝するためには十分、合格点だった。
 この日の第1試合は、中国が順当に台湾に勝った。しかし、体力と技術に大きな差がありながら、前半を0-0で抑えた台湾の頑張りはりっぱだった。

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サッカー日誌 / 2010年02月13日


東アジア選手権(4)


厚い守りを崩す戦い方

女子 日本 3-0 台湾
男子 日本 3-0 香港
第4日 2月11日(祝) 東京・国立競技場

★女子は若手起用、男子は主力で勝負
 東アジア選手権決勝大会で、各チームは3試合ずつ戦うが、日本にとって第2戦は、ちょっと手を抜きたいところだった。女子は中1日置いて、男子は中2日置いて、ともに韓国との対戦がある。これが優勝を決める試合になるので主力を休養させておきたいからである。
 女子の佐々木則夫監督は、第1戦の先発メンバーのうち8人を第2戦では先発からはずし、20歳前後の若手を起用した。主力を温存し、若手に経験を積む機会を与えたわけである。
 男子には、その余裕がなかった。5日前の第1戦で中国と引き分け、内容も悪かった。岡田武史監督は「テンポが悪かったから、パスの感覚を取り戻させるために」という理由で、ややレベルの劣る香港が相手ではあったが、レギュラーを起用した。岡崎は右ヒザ痛、長友は発熱と下痢で出られなかったが、代わりのメンバーも常連である。ただ、中盤で稲本潤一に代えて小笠原満男を出したのだけが例外だった。小笠原をここで使わなければ、4年ぶりに代表に呼び戻した意味がなくなるところだ。

★女子・宮間の「個の力」で先取点
 女子の相手は、女子サッカー発展途上の台湾である。日本は主力温存でも危なげはなかった。
 ただ、立ち上がりから一方的に攻めながら、なかなか攻めきれなかった。引いて厚く守られると、レベルに差があっても、簡単には破れないものである。
 だから、前半19分の先取点は貴重だった。相手ペナルティエリア内、右ポストに近いエリアで、宮間あやが相手と競り合ってボールを奪い、すばやく食い込んで一人をかわし、ゴールラインぎりぎりからゴール前に送った。そこへ16歳の岩渕真奈が走りこんで合わせた。
 宮間は25歳。若手のなかへ中盤のリーダーとして送り込まれていた。その宮間が個人の力で、相手の守りを崩して突破口を開いた。厚い守りを崩すには「個の力」が必要である。
 後半に岩渕と高瀬愛実が1点ずつを加えた。シュート数24-1と圧倒しながら3点は物足りないが、後半の得点はパスで攻め崩したもの。若い選手にこういう試合の経験を積ませたことに意味があった。

★男子・3得点では不十分
 男子の日本も、香港の守りを攻めあぐんだ。だが、女子と違って主力を出しているのだから「厚い守りを破るのは難しい」という言い訳は通用しない。経験豊かな選手たちの能力とアイデアを結集して攻め崩すことができないようでは、ワールドカップの「ベスト4」は遥かに遠い。
 前半41分の1点は、相手のクリアミスを拾って玉田圭司が決めたもの。角度のないところからのシュートは良かったが、組織的に攻め崩したものではない。
 後半17分に小笠原に代えて稲本を出し、稲本が中盤の守り、遠藤保仁がやや前がかりにと、2人を縦に並べてから、変化のある展開が出てきた。しかし、その後の2点は、ともにコーナーキックからだった。香港は「経験を積ませるために」(キム・バンゴン監督)と若手を出し、不慣れな冷たい雨と風に悩まされていた。それを攻め崩せないようでは心細い。
 優勝は中国と得失点差の争いになる可能性が高い。それを考えると、シュート数22-1で3点は不十分。あと2点は欲しいところだった。

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サッカー日誌 / 2010年02月12日


東アジア選手権(3)


中国が韓国から歴史的勝利

女子 中国 2-1 韓国
男子 中国 3-0 韓国
第3日 2月10日(水) 味の素スタジアム

★32年目の初白星
 男子で中国が韓国を破った。中韓で試合ができるようになった1978年以来、中国は韓国に勝ったことがなかった。東アジアサッカー史に残る初勝利である。記録として残すべき結果であるだけでなく、中国のサッカーにとって将来につながる勝利であり、東アジアのなかで、中国が日韓とともにトップに並ぶ契機になる勝利だった。
 中国の勝因を高洪波監督は冷静にこう語った。
 第一は選手たちがメンタル面でよかったこと。韓国の猛攻に乱れなかった。
 第二に戦術面で成功したこと、韓国の速さを食い止めることができた。
 第三に運が良かったこと。実力は韓国が上である。
 高監督の分析は、まったく正しいが、中国がいい代表チームを作り上げてきたことも、付け加えて評価しなければならない。
★まとまっていた中国
 サッカーでは大国が強いとは限らない。国が広すぎるのは、かえってマイナスになることがある。中国は東北部の遼寧省、北部の北京、中部の上海、南部の広東省を、それぞれの中心として特色のあるサッカーを持っているが、これをまとめて強力な代表チームを作るのは難しかった。今回はじめてチームとして、まとまった力を出せるチームを送り込んできた。
 中国は前半、韓国がボールを持つと、まず、その前面を抑えて速攻を防ぎ、攻めでは長い縦パスとドリブルで相手ゴール前を端的に狙った。それが成功して5分と27分の得点で前半2点のリード。後半15分に逆襲から1点を加え、トップに1人だけを残す厚く、粘り強い守りで、焦る韓国の猛攻を防いだ。シュート数は22対7で韓国が断然だったが、ゴールキーパーの奮戦もあって、ゴールを許さなかった。
★韓国はW杯との両にらみが悩み
 韓国のホ・ジョンモ(許丁茂)監督は「呼吸を合わせたことのない選手を初めて起用したのがうまくいかかった」と敗因を語った。
 カク・テヒ(京都サンガ)は身長185cmで、ワールドカップのとき背の高い相手に備えてぜひ必要なディフェンダー、前線のイ・グノ(ジュビロ磐田)、守りのイ・ジョンス(鹿島アントラーズ)などJリーグに来ている選手は、いっしょに練習する機会が少ないから、ここで使ってみたかったということである。日本と同じように、東アジア大会とワールドカップの両方を考えなければならない悩みを、韓国も抱えている。
 女子も同じカードで中国が2対1で勝った。こちらは中国が体力的にまさり、技術的にも選手の粒がそろっていて順当勝ちだったが、韓国も18歳のチ・ヨソンが球さばきとシュートでいいプレーを見せ、最後に一矢を報いて健闘した。

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サッカー日誌 / 2010年02月11日


東アジア選手権(2)


「サッカーのお国柄」の違いを見る

女子 韓国 4-0 台湾
男子 韓国 5-0 香港
第2日 2月7日(日) 国立競技場

★見る機会のないカード
 東アジア選手権第2日の試合は外国勢同士。国立競技場のスタンドが、がらがらなのはやむを得ない。男女とも一方は韓国だったが、相手はややレベルが低く、勝負としての見所はなかった。
 しかし、こういうカードを日本で見ることのできる機会はめったにない。そう思って、寒さの中を羽毛服で完全武装して見に行った。
 見たいのは「勝負」ではなくてサッカーの「お国柄」である。東アジアのサッカーは、欧州や南米と違うのはもちろんだが、アジアの中の東南アジアやアラブ諸国のサッカーとも、かなりスタイルが違う。
 さらに、東アジアの中でも、それぞれ違う。それは、その国の歴史や風土や社会の違いを反映している。そのあたりを感じ取りたいと思った。

★スタイルの相性
 男子の試合の後の監督会見で、韓国の記者が香港の監督に対して「香港チームが将来、韓国のサッカーと同じスタイルになる可能性はあるのか?」と質問した。香港の監督が韓国人のキム・バンゴンなので、そういう質問をしたのである。
 香港の選手たちは、足技は器用だが力強さや激しさは乏しい。プレーは局所的で大きな展開は少ない。韓国のサッカーとは対照的である。「そういう選手たちを、韓国人の監督が指導してうまくいくのか」というのが、韓国記者の質問の真意だろう。
 香港は、韓国の速さに対応できないで反則が多かった。与えた直接フリーキックが25あった。5失点のうち3点をフリーキックからの攻めで奪われた。韓国は高い、長いボールを送って攻めた。香港は体格も劣る。
スタイルの相性で香港不利だった。

★楽しみな女子韓国
 女子も韓国が台湾に快勝した。
 韓国の女子は、男子とはスタイルが違う。短いパスの早回しで攻める。むしろ日本のサッカーに似ている。
 個性的なテクニックのある選手がいる。一人一人のアイデアを生かして攻める。そういう点は、日本の男子チームより面白い。これからの伸びが楽しみである。注目したのは中盤のイ・ジャンミ。小柄だがドリブルが得意でセンスがいい。4点のうちの2点目をフリーキックからヘディングで決め、3点目のPKを蹴った。
 相手の台湾は、北朝鮮の不参加による補充で急に出場が決まったので準備不十分だったということだった。選手のほとんどが若い学生である。一方的に攻められ、前半に3対0とリードされたにもかかわらず、最後まで全力を尽くして戦った。好感の持てるチームである。

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サッカー日誌 / 2010年02月10日


東アジア選手権(1)


岡田ジャパンに「ブーイングの嵐」

女子 日本 2-0 中国
男子 日本 0-0 中国
第1日 2月6日(土) 味の素スタジアム


★東アジア交流の意義
 東アジアサッカー選手権大会の決勝大会が、東京で始まった。男子は第4回、女子は第3回である。
 2002年に日韓共催のワールドカップが開かれたあと「次は東アジアの結束だ」と書いたことがある。同じ考えの人が多かったらしく、その翌年に、この大会が男子だけで発足した。2年後に女子も加わって第2回が行われた。第3回は3年後の2008年だった。開催間隔は不規則である。
 アジアは広すぎる。東南アジア、南アジア、湾岸アラブ諸国、中央アジアなどに分けたほうがいい、というのが、ぼくの考えである。しかし、ワールドカップ予選とアジアカップが別にあるので国際試合過多になっている。
それでも、日本、韓国、中国などの近隣諸国の交流を活発にする意義は大きいと思う。
 
★岡田ジャパン「4強宣言」との落差
 開幕日に味の素スタジアムの観客数は25,925人。4日前に大分で行われたベネズエラとの親善強化試合より1,000人余り少ない。
 男子の試合は日本と中国が0対0の引き分け。ハームタイムですでに「岡田ジャパン」へのブーイングが起きた。試合後は「ブーイングの嵐」である。
 試合後の記者会見で、このことを聞かれた岡田武史監督の反応は、優等生の模範解答のようだった。
 「観客数までは、私は(責任を)背負いきれません。ブーイングは仕方のないことで、それをバネにして強くなりたい」
 ブーイングの原因は、2試合続きの無得点引き分けという結果と魅力の乏しい試合ぶりにある。「W杯4強宣言」との落差が、あまりに大きい。

★女子の試合内容はよかった
 ベネズエラ戦に中盤の軸として起用された小笠原満男は、この日はベンチだった。「疲れた様子なので休ませた」というのが岡田監督の説明だった。中盤は中村憲剛が起点であることが、はっきりして、ベネズエラ戦よりは改善されていた。
30歳の小笠原を4年ぶりに日本代表に呼び戻したのは、何のためだったのか? それは、今後の使い方を見なければ分からない。
 女子の試合は、日本サッカー史のシンポジウムに行っていたので間に合わなかった。監督の記者会見だけ聞くことができた。
 日本は2対0で中国に勝った。記録を見ると、1点目はフリーキックを宮間あやが直接決めたもの、2点目は相手のバックパスを横取りした近賀ゆかりのゴールだった。攻め崩した得点ではないが、記者会見の様子では、試合内容はよかったらしい。

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