ワールドカップ12大会取材のサッカージャーナリストのブログ
牛木素吉郎のビバ!スポーツ時評
サッカー日誌 / 2007年04月26日
外人選手をなぜ使わないか?
Jリーグ第7節
FC東京 1-0 横浜FC(4月21日、味の素スタジアム)
横浜F・マリノス 5-0 大分トリニータ(4月22日、日産スタジアム)
◆チームの方針に合わない?
Jリーグの横浜の2チームは、申し合わせたように外国人選手を使っていない。
横浜FCは、4月21日のFC東京との試合で、控えのメンバーにも外人をいれなかった。高木琢也監督に「使えないのか? 使わないのか?」と質問したら「うちのチーム事情を知ってのご質問なら、ご承知の通り」と奥歯にものの挟まったような応対だった。
「チーム事情を知らないから質問しているんだ」と開き直ったら「2人はケガで、1人は合わないからです」と形式的な答だった。
横浜F・マリノスも、22日の大分トリニータとの試合で外人を使わなかった。後半に出たマイク・ハーフナーは日本生まれ、日本育ちで、いわゆる「外人選手」ではない。早野宏史監督は「われわれがめざしているサッカーに合わないから」と、こちらは率直な回答だった。
◆労働量の少ない「点取り屋」は不要?
一般論としていえば、外人選手を使わないケースは2通りある。
一つは外人のほうが、日本になじめないケースである。生活環境や文化の違いのために心身ともにバランスを崩して、力を出せないことがよくある。
もう一つは、その選手のプレーのスタイルが、監督がやろうとしているサッカーに合わない場合である。横浜のケースは、こちらのほうのようだ。
前線からプレスをかけ続け、激しい守りのサッカーをしようとすれば、トップにはりついている「点取り屋」タイプは必要ない。また労働量の少ない年配の選手も使いたくない。マリノスが、30歳を過ぎているストライカーのマルクスとマルケスを使わないのは、そのためだろう。
もちろんケガの場合もある。しかし、使わない口実に「ケガ」ということもある。
◆与えられた選手を生かすことが必要
横浜FCは戦力不足が明らかだ。ホーム開幕試合で白星をあげたあとは黒星続きだった。三浦カズは40歳になって衰えが痛痛しい。山口素弘は攻守の組み立てに欠かせないが、38歳で90分動き続けるのは難しくなってきた。選手のやりくりに苦しんでいるのだから、外人枠を活用できないのは、いかにも、もったいない。
マリノスは、シーズンの出足でもたついた。しかし、ようやく早野監督のめざす方向に向きつつあるようだ。大分との試合は大勝で外人不要の感じだった。しかし、シーズンは長丁場で、これから暑さもやってくる。毎試合、労働量のサッカーを続けられるかどうか? 今後、外人活用を迫られるときが来るのではないか?
代表チームと違って、クラブチームの監督は、選手を自由に選べるわけではない。監督は与えられた選手を生かしてサッカーを組み立てる必要がある。
(サッカー新俳句)異文化に戸惑う選手八重桜
FC東京 1-0 横浜FC(4月21日、味の素スタジアム)
横浜F・マリノス 5-0 大分トリニータ(4月22日、日産スタジアム)
◆チームの方針に合わない?
Jリーグの横浜の2チームは、申し合わせたように外国人選手を使っていない。
横浜FCは、4月21日のFC東京との試合で、控えのメンバーにも外人をいれなかった。高木琢也監督に「使えないのか? 使わないのか?」と質問したら「うちのチーム事情を知ってのご質問なら、ご承知の通り」と奥歯にものの挟まったような応対だった。
「チーム事情を知らないから質問しているんだ」と開き直ったら「2人はケガで、1人は合わないからです」と形式的な答だった。
横浜F・マリノスも、22日の大分トリニータとの試合で外人を使わなかった。後半に出たマイク・ハーフナーは日本生まれ、日本育ちで、いわゆる「外人選手」ではない。早野宏史監督は「われわれがめざしているサッカーに合わないから」と、こちらは率直な回答だった。
◆労働量の少ない「点取り屋」は不要?
一般論としていえば、外人選手を使わないケースは2通りある。
一つは外人のほうが、日本になじめないケースである。生活環境や文化の違いのために心身ともにバランスを崩して、力を出せないことがよくある。
もう一つは、その選手のプレーのスタイルが、監督がやろうとしているサッカーに合わない場合である。横浜のケースは、こちらのほうのようだ。
前線からプレスをかけ続け、激しい守りのサッカーをしようとすれば、トップにはりついている「点取り屋」タイプは必要ない。また労働量の少ない年配の選手も使いたくない。マリノスが、30歳を過ぎているストライカーのマルクスとマルケスを使わないのは、そのためだろう。
もちろんケガの場合もある。しかし、使わない口実に「ケガ」ということもある。
◆与えられた選手を生かすことが必要
横浜FCは戦力不足が明らかだ。ホーム開幕試合で白星をあげたあとは黒星続きだった。三浦カズは40歳になって衰えが痛痛しい。山口素弘は攻守の組み立てに欠かせないが、38歳で90分動き続けるのは難しくなってきた。選手のやりくりに苦しんでいるのだから、外人枠を活用できないのは、いかにも、もったいない。
マリノスは、シーズンの出足でもたついた。しかし、ようやく早野監督のめざす方向に向きつつあるようだ。大分との試合は大勝で外人不要の感じだった。しかし、シーズンは長丁場で、これから暑さもやってくる。毎試合、労働量のサッカーを続けられるかどうか? 今後、外人活用を迫られるときが来るのではないか?
代表チームと違って、クラブチームの監督は、選手を自由に選べるわけではない。監督は与えられた選手を生かしてサッカーを組み立てる必要がある。
(サッカー新俳句)異文化に戸惑う選手八重桜
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サッカー日誌 / 2007年04月18日
敗れた柏レイソルに未来がある
Jリーグ第6節
柏レイソル 0対2 浦和レッズ
(4月15日、国立競技場)
◆柏には若い好選手が多い
柏対浦和は、Jリーグ序盤戦の注目カードだった。 結果は浦和が2対0で勝って 前年度王者の面目を保ったが、ぼくの見たところ、敗れた柏のほうに、むしろいい材料があった。
第一は、テクニックのある若い選手がよかったこと。後半途中から交代出場した谷澤達也は、足技もあり、スピードもある。積極的にシュートも打つ。静岡学園出身の22歳である。後半から前線に起用されたドゥンビアは、コートジボワールから来た19歳。アフリカの選手らしい独特の足技がある。
この試合で、柏は李忠成と菅原実が、U-22の日本代表にとられていた。のびのびとプレーする若手が、柏には何人もいるということである。こういう若手がJ1の試合になれてきたら、柏はもっとよくなる可能性がある。
◆外国人選手を活用
柏のもう一つの好材料は、外国人選手が活用されていることである。
トップのフランサとボランチのアルセウが、それぞれ攻守の軸になっている。とくに新外人のアルセウが張りきっている。これも22歳の若手である。まだ、日本のサッカーになじんでいない点はあるが、使われているうちに、どんどんよくなっていくだろう。
このところ外国人選手を使いこなせないでいるチームが目に付く。スカウトの(あるいはフロントの)メガネ違いだったり、監督の好みに合わなかったりと、いろいろ理由はあるようだが、個性的な日本人選手は人材不足なのだから、せっかく獲得した外国選手を活用できないようでは上位は望めない。
石崎信弘監督の用兵も悪くない。前半に2点取られたのは、トップレベルの選手層の厚い浦和との個人の力の差だが、後半は果敢に攻めて浦和にシュートを許さなかった。
◆浦和が首位に。上位争いは混戦
柏はJ2から復帰して、いきなり勝ち続けてきた。第1節の試合をみたときに「柏は序盤戦を突っ走るかも」と予想した通りになった。浦和は最初、調子が出なかったが、試合を重ねるにつれて評判どおりの力を出してきた。チーム力は断然である。
前日にガンバ大阪が新潟に食われ、清水、名古屋も後退して、浦和がトップに立った。しかし上位争いは、まだまだ、もつれそうである。
この日の試合は、柏のホームゲームだったが、会場は東京の国立競技場だった。ホーム・アンド・アウエーの本来の姿ではないが、柏のスタジアムの収容能力が小さいので、観客動員の期待できる浦和との試合を東京に持ってきたのは、やむをえないところだろう。
スタンドは、半分以上がレッズのサポーターで埋まっていた。柏側の応援も少なくはなかったが、バックスタンドの上段には空席があった。
(サッカー新俳句) 赤黄色スタンド染める春の色
柏レイソル 0対2 浦和レッズ
(4月15日、国立競技場)
◆柏には若い好選手が多い
柏対浦和は、Jリーグ序盤戦の注目カードだった。 結果は浦和が2対0で勝って 前年度王者の面目を保ったが、ぼくの見たところ、敗れた柏のほうに、むしろいい材料があった。
第一は、テクニックのある若い選手がよかったこと。後半途中から交代出場した谷澤達也は、足技もあり、スピードもある。積極的にシュートも打つ。静岡学園出身の22歳である。後半から前線に起用されたドゥンビアは、コートジボワールから来た19歳。アフリカの選手らしい独特の足技がある。
この試合で、柏は李忠成と菅原実が、U-22の日本代表にとられていた。のびのびとプレーする若手が、柏には何人もいるということである。こういう若手がJ1の試合になれてきたら、柏はもっとよくなる可能性がある。
◆外国人選手を活用
柏のもう一つの好材料は、外国人選手が活用されていることである。
トップのフランサとボランチのアルセウが、それぞれ攻守の軸になっている。とくに新外人のアルセウが張りきっている。これも22歳の若手である。まだ、日本のサッカーになじんでいない点はあるが、使われているうちに、どんどんよくなっていくだろう。
このところ外国人選手を使いこなせないでいるチームが目に付く。スカウトの(あるいはフロントの)メガネ違いだったり、監督の好みに合わなかったりと、いろいろ理由はあるようだが、個性的な日本人選手は人材不足なのだから、せっかく獲得した外国選手を活用できないようでは上位は望めない。
石崎信弘監督の用兵も悪くない。前半に2点取られたのは、トップレベルの選手層の厚い浦和との個人の力の差だが、後半は果敢に攻めて浦和にシュートを許さなかった。
◆浦和が首位に。上位争いは混戦
柏はJ2から復帰して、いきなり勝ち続けてきた。第1節の試合をみたときに「柏は序盤戦を突っ走るかも」と予想した通りになった。浦和は最初、調子が出なかったが、試合を重ねるにつれて評判どおりの力を出してきた。チーム力は断然である。
前日にガンバ大阪が新潟に食われ、清水、名古屋も後退して、浦和がトップに立った。しかし上位争いは、まだまだ、もつれそうである。
この日の試合は、柏のホームゲームだったが、会場は東京の国立競技場だった。ホーム・アンド・アウエーの本来の姿ではないが、柏のスタジアムの収容能力が小さいので、観客動員の期待できる浦和との試合を東京に持ってきたのは、やむをえないところだろう。
スタンドは、半分以上がレッズのサポーターで埋まっていた。柏側の応援も少なくはなかったが、バックスタンドの上段には空席があった。
(サッカー新俳句) 赤黄色スタンド染める春の色
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サッカー日誌 / 2007年04月14日
カップとリーグの2チーム編成
Jリーグ第5節
横浜F・マリノス 0対2 柏レイソル
(4月7日、日産スタジアム)
◆ナビスコ杯で主力温存の柏
土曜日曜にリーグの試合、水曜日にカップの試合という過密日程が続いたので、リーグの試合とカップの試合でメンバーを使い分けるところが出て問題になった。
なかでも柏レイソルは極端だった。先発は11人とも別の顔ぶれだった。4月4日のナビスコ杯では控えのメンバーを使って主力を休ませ、7日のリーグの試合はレギュラー組の先発だった。
7日の相手の横浜F・マリノスは、カップの試合でも、ほぼレギュラー組だった。選手たちは中二日の連戦になったわけである。
メンバーを落として公式戦を戦うことは、むかしから問題になっている。カップのタイトル軽視といえるし、入場料を払っているお客を欺くものだともいえる。現在では協賛スポンサーやトトとの関係もある。
◆今後の問題として検討を
マリノスとの試合で、柏は4本のシュートのうちの2本を得点に結びつけて勝った。2点ともリスタートからチャンスだった。
前半8分の1点目は、左のコーナーキックから。後半、追加時間(アディショナル・タイム=ロスタイム)に入ってからの2点目は右スローインから。プレーが止まった一瞬のスキにマリノスの守りの集中力が途切れたのは、連戦の疲れのせいだったのかもしれない。
柏はマリノスの17本のシュートの猛攻をしのぎきった。集中力が続いたのは休養十分だったからかもしれない。
柏の戦略は、ルール違反ではないといっても、他への影響が大きいから「いいじゃないか」と見過ごすことはできない。今回は処罰できないにしても、今後の問題として基本的な考えをリーグとして再検討すべきだろう。
◆同点ゴールの取り消し
この試合では、審判をめぐる問題もあった。
前半37分にマリノスの同点ゴールが決まったように見えたが、このゴールは取り消された。同点になっていれば、その後の展開は違ったものになっていた可能性はある。
記者席からぼくの見たところでは、この得点は、柏の守りの連携ミスをマリノスがついたものだった。ディフェンダーが、マリノスの選手に厳しく寄られて、苦し紛れのバックパスをした。それを奪ってチャンスを作った。
副審(線審)が旗を挙げていたので、主審がききにいって、ゴールを取り消した。しかし、ゴールに影響する反則があったようには見えなかった。
真相はどうあれ、主審と副審の連携の不手際は明らかだった。
マリノスは、このところ審判にも恵まれていない。
(サッカー新俳句)レフリーや同点ゴール春の夢
横浜F・マリノス 0対2 柏レイソル
(4月7日、日産スタジアム)
◆ナビスコ杯で主力温存の柏
土曜日曜にリーグの試合、水曜日にカップの試合という過密日程が続いたので、リーグの試合とカップの試合でメンバーを使い分けるところが出て問題になった。
なかでも柏レイソルは極端だった。先発は11人とも別の顔ぶれだった。4月4日のナビスコ杯では控えのメンバーを使って主力を休ませ、7日のリーグの試合はレギュラー組の先発だった。
7日の相手の横浜F・マリノスは、カップの試合でも、ほぼレギュラー組だった。選手たちは中二日の連戦になったわけである。
メンバーを落として公式戦を戦うことは、むかしから問題になっている。カップのタイトル軽視といえるし、入場料を払っているお客を欺くものだともいえる。現在では協賛スポンサーやトトとの関係もある。
◆今後の問題として検討を
マリノスとの試合で、柏は4本のシュートのうちの2本を得点に結びつけて勝った。2点ともリスタートからチャンスだった。
前半8分の1点目は、左のコーナーキックから。後半、追加時間(アディショナル・タイム=ロスタイム)に入ってからの2点目は右スローインから。プレーが止まった一瞬のスキにマリノスの守りの集中力が途切れたのは、連戦の疲れのせいだったのかもしれない。
柏はマリノスの17本のシュートの猛攻をしのぎきった。集中力が続いたのは休養十分だったからかもしれない。
柏の戦略は、ルール違反ではないといっても、他への影響が大きいから「いいじゃないか」と見過ごすことはできない。今回は処罰できないにしても、今後の問題として基本的な考えをリーグとして再検討すべきだろう。
◆同点ゴールの取り消し
この試合では、審判をめぐる問題もあった。
前半37分にマリノスの同点ゴールが決まったように見えたが、このゴールは取り消された。同点になっていれば、その後の展開は違ったものになっていた可能性はある。
記者席からぼくの見たところでは、この得点は、柏の守りの連携ミスをマリノスがついたものだった。ディフェンダーが、マリノスの選手に厳しく寄られて、苦し紛れのバックパスをした。それを奪ってチャンスを作った。
副審(線審)が旗を挙げていたので、主審がききにいって、ゴールを取り消した。しかし、ゴールに影響する反則があったようには見えなかった。
真相はどうあれ、主審と副審の連携の不手際は明らかだった。
マリノスは、このところ審判にも恵まれていない。
(サッカー新俳句)レフリーや同点ゴール春の夢
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サッカー日誌 / 2007年04月05日
反町U―22への期待と不安
北京オリンピック男子アジア2次予選
U-22日本代表 3対0 U-22シリア代表
(3月28日、東京・国立競技場)
◆アジアの中以下には確実に勝てる
反町康治監督の率いるU-22日本代表がシリアに完勝した。北京オリンピック男子アジア2次予選の前半戦に3戦全勝である。2次予選突破はほぼ確実になった。
ただし、このチームが最終予選を突破し、さらに北京オリンピックでの活躍を期待できるかどうかについては、不安もある。
現在のU-22日本代表は、反町監督がめざしている方向へ、まとまりつつあるように見える。グループでしっかり守り、スピーディーにパスをつないで攻める。こういうサッカーが、きちんとできれば、アジアの中以下のチームには確実に勝てる。
しかし、強いチームが、守りでは激しくマークし、攻めでは強力な個人技で突破しようとしてくると、対応できない可能性もある。そういう相手に対抗するには、チームとしてまとまっているだけではなく、選手個人個人の強さを生かして戦う必要がある。
◆家長の好ドリブルで先取点
反町監督は、対シリア戦では攻撃の最前線の組み方を変えた。
米国との強化試合(2月4日、熊本)と五輪予選対香港(2月28日、東京・国立競技場)では、平山相太をトップに立て、下がり気味にカレン・ロバートと李忠成を配した3トップ。この日は平山と李の2トップで、その後に家長昭博を組み立て役として先発させた。
家長はもともとはサイドからのアタッカーである。前半16分、左サイドに出ていたところに、右サイドの水野晃樹からの長いパスが渡り、ドリブルで内側に切れ込んでミドルシュートを決めた。反町監督によれば「前日に練習していた通りの攻め」だったという。
家長を左に出してサイドチェンジのパスで攻めたのが、狙い通りだったのだろう。ただし、家長が内側にドリブルで切れ込んで相手を2人かわし、いきなり自分でシュートしたのも想定内だったのだろうか?
◆攻めの道筋は見えたが…
家長はガンバ大阪のユース育ち。20歳の若さだが、オシム監督に目を付けられて日本代表に選ばれてから積極的なプレーぶりが目立つ。細かい足技もあり、ドリブルの速さもある。そして、思い切り良く自分でプレーしようとするのがいい。対シリア戦のゴールは、反町監督の狙いが、家長の個性をうまく生かしたものだったと言えるだろう。
そのあと日本は、平山が2ゴールをあげて完勝した。攻めについては道筋が見えた感じである。2点目をアシストした水野は、この日の殊勲者だった。
守りはどうか?
最初の10分間は、イラクに攻め込まれてバタバタしていた。シリアの選手は不慣れな寒さと長旅と時差で疲れていた。そのため、先取点を挙げたあとは、日本の守りは危なげなかったが、敵地で強い相手と当たったときには、どうだろうか?不安も少なくない。
(サッカー新俳句) 好シュート蕾は少し膨らみぬ
U-22日本代表 3対0 U-22シリア代表
(3月28日、東京・国立競技場)
◆アジアの中以下には確実に勝てる
反町康治監督の率いるU-22日本代表がシリアに完勝した。北京オリンピック男子アジア2次予選の前半戦に3戦全勝である。2次予選突破はほぼ確実になった。
ただし、このチームが最終予選を突破し、さらに北京オリンピックでの活躍を期待できるかどうかについては、不安もある。
現在のU-22日本代表は、反町監督がめざしている方向へ、まとまりつつあるように見える。グループでしっかり守り、スピーディーにパスをつないで攻める。こういうサッカーが、きちんとできれば、アジアの中以下のチームには確実に勝てる。
しかし、強いチームが、守りでは激しくマークし、攻めでは強力な個人技で突破しようとしてくると、対応できない可能性もある。そういう相手に対抗するには、チームとしてまとまっているだけではなく、選手個人個人の強さを生かして戦う必要がある。
◆家長の好ドリブルで先取点
反町監督は、対シリア戦では攻撃の最前線の組み方を変えた。
米国との強化試合(2月4日、熊本)と五輪予選対香港(2月28日、東京・国立競技場)では、平山相太をトップに立て、下がり気味にカレン・ロバートと李忠成を配した3トップ。この日は平山と李の2トップで、その後に家長昭博を組み立て役として先発させた。
家長はもともとはサイドからのアタッカーである。前半16分、左サイドに出ていたところに、右サイドの水野晃樹からの長いパスが渡り、ドリブルで内側に切れ込んでミドルシュートを決めた。反町監督によれば「前日に練習していた通りの攻め」だったという。
家長を左に出してサイドチェンジのパスで攻めたのが、狙い通りだったのだろう。ただし、家長が内側にドリブルで切れ込んで相手を2人かわし、いきなり自分でシュートしたのも想定内だったのだろうか?
◆攻めの道筋は見えたが…
家長はガンバ大阪のユース育ち。20歳の若さだが、オシム監督に目を付けられて日本代表に選ばれてから積極的なプレーぶりが目立つ。細かい足技もあり、ドリブルの速さもある。そして、思い切り良く自分でプレーしようとするのがいい。対シリア戦のゴールは、反町監督の狙いが、家長の個性をうまく生かしたものだったと言えるだろう。
そのあと日本は、平山が2ゴールをあげて完勝した。攻めについては道筋が見えた感じである。2点目をアシストした水野は、この日の殊勲者だった。
守りはどうか?
最初の10分間は、イラクに攻め込まれてバタバタしていた。シリアの選手は不慣れな寒さと長旅と時差で疲れていた。そのため、先取点を挙げたあとは、日本の守りは危なげなかったが、敵地で強い相手と当たったときには、どうだろうか?不安も少なくない。
(サッカー新俳句) 好シュート蕾は少し膨らみぬ
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サッカー日誌 / 2007年04月04日
オシムは俊輔と高原を使うべきだ
日本代表 2対0 ペルー代表
(3月24日、日産スタジアム)
◆欧州組招集の狙いは
2007年初の国際試合に、日本代表チームは中村俊輔(セルチック)と高原直泰(アイントラハト・フランクフルト)を呼び寄せた。オシム監督になって初の欧州組招集である。
これについて二つの見方がある。
一つは、オシム監督は国内組だけでやりたかったのだが、観客動員やテレビ視聴率を求める協会やテレビ局の圧力に押されて妥協したという憶測である。2人の招集が発表されると入場券の売り上げが急速に伸びたのだから、客寄せの効果はあったわけである。
もう一つは、オシム監督が、そろそろ欧州組を加えてみる時期だと考えて、テストしてみたのだという推測である。選手たちにとって国内組と欧州組がお互いのプレーに慣れる機会になったし、オシム監督にとっては、俊輔と高原を直接見てみる機会になった。
本当のところ一石二鳥だったと思う。
◆期待に応えた俊輔と高原
欧州組の2人は、観客とテレビにとっては、期待通りの活躍を見せた。
前半19分の先取点は、俊輔のフリーキックが、長身ストライカー巻誠一郎のヘッドにぴたりと合ったものだった。
後半9分の2点目は、俊輔のフリーキックを高原が蹴りこんだ。
俊輔のキックの精度のすばらしさと高原のシュート能力を見ることができた。
そのほかの場面でも、2人のテクニックと状況判断の良さが、国内組の多くの選手よりも一段上であることは、ほとんどの人が認めただろうと思う。
俊輔が右から左へ大きく振ったサイドチェンジのパスは、判断も精度もすばらしかった。高原が積極的にドリブルを仕掛けたのも良かった。
今後とも、この2人を招集するのが当然だと思う。
◆オシム監督の辛口発言
ところが、試合後の記者会見でのオシム監督の発言は、すこぶる厳しかった。
「自分の力を示そうと気負いすぎていた」「個人で打開することに頼っていた」「勝ったからといって浮かれていられる試合ではない」。
名指しはしなかったが、あからさまに俊輔のプレーを批判した。
スポーツ新聞が欧州組を大ヒーローに祭り上げるのを牽制したのかもしれない。
パスをすばやくつないで攻めるサッカーを目指しているに、欧州組のプレーの質が違っていたのに苛立っていたのかもしれない。
しかし、ぼくの見るところ、7月のアジアカップに、俊輔も高原も必要である。オシム監督は2人の能力を引き出せるサッカーを考えなければならない。
(サッカー新俳句) 櫻待つ国へ土産のゴールかな
(3月24日、日産スタジアム)
◆欧州組招集の狙いは
2007年初の国際試合に、日本代表チームは中村俊輔(セルチック)と高原直泰(アイントラハト・フランクフルト)を呼び寄せた。オシム監督になって初の欧州組招集である。
これについて二つの見方がある。
一つは、オシム監督は国内組だけでやりたかったのだが、観客動員やテレビ視聴率を求める協会やテレビ局の圧力に押されて妥協したという憶測である。2人の招集が発表されると入場券の売り上げが急速に伸びたのだから、客寄せの効果はあったわけである。
もう一つは、オシム監督が、そろそろ欧州組を加えてみる時期だと考えて、テストしてみたのだという推測である。選手たちにとって国内組と欧州組がお互いのプレーに慣れる機会になったし、オシム監督にとっては、俊輔と高原を直接見てみる機会になった。
本当のところ一石二鳥だったと思う。
◆期待に応えた俊輔と高原
欧州組の2人は、観客とテレビにとっては、期待通りの活躍を見せた。
前半19分の先取点は、俊輔のフリーキックが、長身ストライカー巻誠一郎のヘッドにぴたりと合ったものだった。
後半9分の2点目は、俊輔のフリーキックを高原が蹴りこんだ。
俊輔のキックの精度のすばらしさと高原のシュート能力を見ることができた。
そのほかの場面でも、2人のテクニックと状況判断の良さが、国内組の多くの選手よりも一段上であることは、ほとんどの人が認めただろうと思う。
俊輔が右から左へ大きく振ったサイドチェンジのパスは、判断も精度もすばらしかった。高原が積極的にドリブルを仕掛けたのも良かった。
今後とも、この2人を招集するのが当然だと思う。
◆オシム監督の辛口発言
ところが、試合後の記者会見でのオシム監督の発言は、すこぶる厳しかった。
「自分の力を示そうと気負いすぎていた」「個人で打開することに頼っていた」「勝ったからといって浮かれていられる試合ではない」。
名指しはしなかったが、あからさまに俊輔のプレーを批判した。
スポーツ新聞が欧州組を大ヒーローに祭り上げるのを牽制したのかもしれない。
パスをすばやくつないで攻めるサッカーを目指しているに、欧州組のプレーの質が違っていたのに苛立っていたのかもしれない。
しかし、ぼくの見るところ、7月のアジアカップに、俊輔も高原も必要である。オシム監督は2人の能力を引き出せるサッカーを考えなければならない。
(サッカー新俳句) 櫻待つ国へ土産のゴールかな
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