サッカー日誌 / 2016年12月25日


2020年東京五輪の3施設(下)


有明のバレーボール会場

都・政府・IOC三者協議会(11月29日)
小池都知事、定例記者会見(12月16日)

★観客席の多い体育館
 2020年東京オリンピックの施設建設で問題になっていた三つの会場のうち、バレーボール会場の「有明アリーナ」も当初の計画通り、建設されることになった。
 ボート・カヌーの水上競技場、水泳のアクアティクスセンターに比べて「有明アリーナは」もっとも建設しないですむ施設だったのではないか?
 バレーボールのできる体育館は、都内にあるからである。
 一方で、スポーツ団体が、もっとも建設を要望していたのも「有明アリーナ」だった。
 というのは、室内スポーツは、いろいろあり、それぞれが、大きな観客席のある体育館を必要としているからである。
 体育館は多いが、大きな観客席を持つところは少ない。
 バレーボールのほか、バスケットボール、ハンドボール、卓球、室内テニスなどが、全日本選手権や国際大会のために、多くの観客席をもつ体育館を必要としている。

★「横浜提案」は行き過ぎ
 東京都の五輪施設調査委員会は、有明アリーナの建設をやめ、バレーボール会場を、既存施設の「横浜アリーナ」へ変更することを提言していた。
 東京都が「横浜アリーナ」を提言したのは、踏み込み過ぎである。
 東京都としては「有明アリーナは、お金がかかりすぎるので建設できません」とだけ言うべきだった。
 代わりのバレーボール会場を探すのは,組織委員会の仕事である。東京都が、よその自治体の施設にまで口を出したのは行き過ぎだ。
 横浜市は、バレーボール会場の引き受けを拒否した。
 当然である。
 東京都の経費節減の「しわ寄せ」を押し付けられることはない。東京オリンピックは東京都内で行うのがいい。

★有明レガシーエリア
 東京都の小池知事は、バレーボール会場の横浜アリーナへの変更を断念し、当初の計画通り、有明アリーナを建設することを、記者会見で表明した。
 東京都の調査委員会が「見直し」を提言した三つの施設は、いずれも、当初の計画通り建設されるわけである。
 ただし、観客席の縮小や内装の変更などで、4百億円以上、削減されることになった。
 これは「見直し」の成果である。
 小池知事は、有明北地区を、スポーツと芸能のイベント会場を集めた「有明レガシーエリア」として整備する構想を発表した。
 これは、アリーナ建設中止撤回の「言い訳」に過ぎない。
 もともと、湾岸埋立地を活用する都市計画の一部として有明地区の開発計画があったはずである。
 「有明レガシーエリア」整備は、新しい発想ではない。


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サッカー日誌 / 2016年12月24日


2020年東京五輪の3施設(中)


水泳競技場の観客席縮小

都・政府・IOC三者協議会
(11月29日・東京)

★もとの計画が過大
 2020年東京オリンピックの施設建設で三つの会場を、東京都の小池知事が問題にした。
 そのうち、東京湾の埋立地に建設する予定の屋内水泳競技場(アクアティクス・センター)は、観客席の2万人収容を1万5千人収容に減らすことになった。
 当然である。
 もともと、2万人収容の計画が過大だった。
 オリンピックでは、水泳は会期前半の主要イベントである。だから、2万人のお客さんが来て、それだけの入場料収入があがると想定していたのだろう。
 しかし、現代のオリンピックでは、大多数の人びとは、テレビで競技を見る。
 また、主要な収入源は、入場料ではなくスポンサー料とテレビ放送権料である。
 したがって、観客席の規模は、それほど重要ではない。

★五輪後の利用
 施設について重要なのは、オリンピック後の利用である。
 2万人収容の観客席が、オリンピックのあと、水泳競技会で必要だとは考えられない。
 1万5千人でも、大き過ぎる
 オリンピックの後の利用のためには、常設2千人前後、仮設を含めて3千人程度の収容能力を持つ「屋内プール」が適当ではないか?
 巨大な施設を作っても、オリンピックの後では、使用料が高くなって、水泳では維持できないだろう。
 ロック・コンサートなど、スポーツ以外の、収益力のあるイベントの会場になる可能性が高い。
 コンサート会場建設に反対するわけではないが、オリンピックでコンサート会場建設を推進することはない。

★代々木を使えないのか?
 屋内プールとして使える東京都内の施設としては、国立代々木競技場がある。1964年の東京オリンピックで競泳会場だった大型体育館である。
 2020年大会でも、ここを水泳会場にすべきだと思う。
 問題の一つは、観客席が5千人程度であることだ。
 オリンピックで要求されている2万人には、ほど遠い。
 しかし、2万人の要求が、そもそも現実的ではない。
 現在の計画では、国立代々木競技場はハンドボール会場に予定されている。
 ハンドボール協会は、水泳競技会場の変更で、代々木競技場から追い出されることに抵抗している。
 しかし、オリンピック後に、代々木競技場がハンドボールで優先的に使えるようになるとは思えない。
 ハンドボール協会は、オリンピック後のことを考えた中規模の施設要求を考えるべきである。


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サッカー日誌 / 2016年12月12日


2020年東京五輪の3施設(上)


「海の森」を大会のシンボルに

都・政府・IOC三者協議会
(11月29日・東京)

★ボート・カヌー会場を承認
 2020年東京オリンピックのボート・カヌー会場が、東京湾に建設する「海の森水上競技場」に決まった。
 東京都・政府・IOCの三者協議会で、小池都知事が認めた。
 東京都の調査委員会が、宮城県の長沼ボート場への変更を提案していたのだが、もとの計画に戻ったわけである。
 いい結論だ。
 ボート・カヌーの競技場は、多くは内陸の川や湖に作られている。海辺に作るのはユニークである。
 海風の影響など問題はあるようだが、海辺でボート・カヌーの国際競技会ができることを示せば、水上競技の普及に役立つのではないか?
 「海の森水上競技場」を、海に囲まれた国のオリンピックのシンボルにしてはどうか?
 「東京オリンピック」なのだから、できる限り、東京都内でやってもらいたい。

★五輪後の活用計画
 問題は「海の森水上競技場」を、2020年オリンピックのあとに、活用できるかどうかである。
 オリンピック後の利用計画を示さないまま建設するのでは、「税金の無駄遣い」になりかねない。
 漕艇(ボート)協会とカヌー協会は、オリンピック後の利用計画を示すべきである。
 「たとえば」である。
 オリンピックの中間年に、ボートとカヌーの国際招待競技会を開く。
 4年に1度である。
 あるいは、国内の若いクルーを招待して競技会を開く。
 年に1度である。
 もちろん、こういうイベントには、お金がかかる。
 しかし、ボート界なら、お金を調達できるのではないか?

★漕艇界の財力
 ぼく(牛木)が、学生だったころ、大学運動会(体育会)の運営に関係したことがある。
 そのとき、予算規模がもっとも大きいのは野球部で、2番目が漕艇部(ボート部)だった。
 運動会の収入の大きな部分は、六大学野球の入場料だったから、野球部への配分が大きいのは当然である。
 漕艇部の予算が大きいのは、艇を作るのに、お金がかかるためだったが、漕艇部はOBの寄付金も突出して多かった。
 財界の「お偉方」に漕艇部出身者が多いからである。
 漕艇部出身の「お偉方」を結集して、海の森水上競技場」の将来像を構築して示すことは、できないのだろうか?
 四面を海に囲まれた島国の日本だから、ボート、ヨット、カヌーなど水上スポーツの振興に力を注ぐべきだろう。
 東京湾に「海の森水上競技場」が建設され、将来にわたって活用されることを期待している。


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