サッカー日誌 / 2009年09月23日


東京ヴェルディの新体制(1)


独立運営への勇気ある挑戦

7月7日(火) (株)東京ヴェルディ・ホールディングス設立
9月15日(火) Jリーグ理事会、株式移転を承認
9月16日(水) 日本テレビから新会社へ株式譲渡合意、記者会見
9月17日(木) Jリーグ発表、鬼武チェアマン談話

★日本テレビの撤退
 日本テレビが、東京ヴェルディの全株を手放してJリーグから撤退した。あとを引き受けたのは「東京ヴェルディ・ホールディングス」という新会社である。
 日本テレビが撤退したのは本体のテレビ事業経営が思わしくないからである。サッカークラブに対して、親会社として毎年、数十億円の赤字を埋めてやってきた。ところが本体のテレビ放送事業が、2008年度は赤字決算だった。世界的な経済不況のあおりもあったが、民放テレビの将来は、デジタル化、多チャネル化のために先行き不透明である。赤字続きのスポーツクラブを、いつまでも抱え続ける余裕はないというわけである。
 本来の事業を立て直すために赤字部門を整理するのは企業としては当然である。そういう意味では、日本テレビが東京ヴェルディを手放したのを非難することはできない。
 ヴェルディに限らず企業頼りのスポーツは曲がり角を迎えている。

★読売クラブOB による新会社
 あとを引き受けた東京ヴェルディ・ホールディングス株式会社は、独立してサッカークラブを所有し運営するために設立された新会社である。
 新会社の中心人物3人のうち2人は、ヴェルディの前身、読売サッカークラブのOBである。崔暢亮(さい・のぶあき)会長、渡貫大志(わたぬき・だいし)社長の2人は、戸塚哲也、都並敏史と読売クラブのユースで同期だった。「自分たちの育ったクラブがつぶされそうなのを見過ごせない」というのが、あえて手を挙げた動機だという。
 もう1人の役員は、小崎貴紀(こざき・たかのり)取締役。サッカー専門誌の編集部にいたことがあり、野球の四国・九州アイランドリーグにかかわった人物である。
 読売クラブのOBによる「クラブ1969」という集まりがある。このOB会でも、読売クラブの伝統が新体制によって生かされることを望んでいる。

★改革に挑戦し続ける伝統
 新体制による運営がうまくいくかどうかには不安はある。赤字を埋めてくれる親会社はないからである。当面、11月16日までに5億4千万円のスポンサーを確保することがJリーグとの約束だが、将来的には、J2で年間13億円、J1に昇格すれば年間25億円程度の運営費が必要だと推定されている。経済情勢を考えれば、かなり高いハードルである。
 しかし「東京ヴェルディ・ホールディングス」が新しい試みに、あえて勇気を持って挑戦したことは評価したい。大企業に頼らないで独立に運営するのが、スポーツクラブの本来の姿であり、理想だろう。
 前身の読売クラブは、1969年に、日本初の本格的サッカークラブとして、プロを目指して創立された。それから40年、若手育成の面でも、技術、戦術の面でも、絶えず新しい試みを続けてきた。その伝統を生かして改革に挑戦し続けてほしい。

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サッカー日誌 / 2009年09月21日


オランダ旅行記(4)


ガーナ戦の失点こそ反省材料

日本 4対3(前半0-1)ガーナ
(9月9日(水)ユトレヒト)
=続き=

★本番ではガーナに勝てない
 オランダ遠征第2戦で日本代表は、4対3でガーナに逆転勝ちをしたが、この試合では後半最後の10分余りにあげた逆転の連続ゴールを喜ぶよりも、それまでに失った3点を厳しく考えてみるべきである。大逆転の3ゴールは、相手のガーナが緩んだためで、親善試合でなければ、こううまくはいかない。ガーナはワールドカップのアフリカ予選では、これまで無失点で勝ってきている。本来、守りは強いはずである。
 かりに、ワールドカップ本番のグループリーグ第1戦でガーナと当たったとしよう。ガーナは、第1戦に照準を合わせてコンディションを整え1戦必勝の気構えで当たってくるに違いない。日本のやり方も十分に研究してくるだろう。
 ぼくの見るところ、日本がこのまま順調に仕上がっていったとしても、本番で再戦すればガーナが勝つだろう。

★逆襲速攻を受けて失点
 日本の最初の失点は前半31分。PKだった。PKの原因は長友のハンドリングである。左コーナーキックから逆サイドに上がったボールを競り合ったときに反則を犯した。ペナルティエリアの中の浮き球の競り合いでファウルをするような守りは「不運」というより「未熟」である。
 このコーナーキックを生んだガーナの攻めは、日本の攻めの裏を突いた逆襲速攻だった。
 この試合でも、日本は最初から攻勢で、それまでの30分間に少なくとも4度の絶好のチャンスがあった
 日本は守備ラインを挙げ、中盤のプレスでボールを奪って攻めようとする。ガーナの選手は体格がよく体が利く。1対1ではしっかり守る。ボールを奪うと一気に日本の守備ラインの裏側へ逆襲速攻をかける。前半、中盤の支配率では日本が優勢だったが、チャンスの数は互角だった。

★チームの判断力と個人の強さ
 後半2分のガーナの2点目、日本が1点を返して1対2となったあとの21分のガーナの3点目。ともに逆襲から守備ラインの裏へ長いパスを通されたものだった。
 守備ラインを中盤へ押し上げて守るのも、プレスをかけ続けて守るのも、一つの戦い方である。しかし、それだけで戦いぬけるほどサッカーは単純ではない。どのような戦法にも弱点がある。そこが、ほころびかけたところを、またそのタイミングを鋭くつくことによって得点が生まれる。
 ガーナは、エースのジャン(3番)が最前線にいた。また後半はじめに交代出場したアモア(14番)が前線に飛び出した。ともに速さとテクニックで日本の守りを振りきった。反撃機をのがさないチームとしての判断の良さと、追いすがる相手も振りきる個人の強さがガーナの得点を生んだ。逆に、そこが日本の弱点だった。

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サッカー日誌 / 2009年09月16日


オランダ旅行記(3)


ガーナ戦、大逆転の原因は?

日本 4対3(前半0-1)ガーナ
(9月9日(水)ユトレヒト)

★お客さんは楽しめた
 日本代表チームのオランダ遠征第2戦は、ユトレヒトのガルゲンバルト競技場でガーナを相手の大逆転勝利だった。後半立ち上がりに0対2とされ、6分後に1点を返したものの13分後にまた2点差に離される。それまでの試合ぶりからみて、このまま欧州遠征2連敗かと思われた。
 ところが、残り12分間になってから、日本は6分余りの間に立て続けに3点をとって、4対3の逆転勝利を収めた。ゴールをたくさん見ることができ、試合経過はスリルとサスペンスに富んでいて、結果は白星。日本から応援に行ったお客さんは結構楽しめただろう。
 でも、これは親善試合である。結果はそれほど重要ではない。負けたから悲観する必要はないのと同じように、勝ったからと言って、ワールドカップの本番に向けて安心できる材料になったわけではない。

★日本の選手交代が的中
 試合のあと、翌日の列車の切符を買うためにユトレヒト中央駅に行ったら、ファン仲間がレストランにたむろしているのに出会った。第1戦のあとに現地の駅前でビールを飲んだときと同じ顔ぶれである。彼らの話題の中心は「大逆転の原因は何か?」だった。
 「稲本が交代で出てからよくなった。あれで攻めが早く回るようになった」と一人が言う。ボランチの長谷部に代わって稲本が投入されたのは後半18分。日本が1対2とリードされているときで、岡田監督の最初の選手交代だった。しかし、その3分後にガーナの3点目が入り、1対3となった。
 そのあと、ツートップの一人、前田に代えて玉田が入り、右サイドの中村俊輔に代えて本田が入った。逆転劇が始まったのは、そのあとである。選手交代が当たったということはできるだろう。

★ガーナの敗因は疲労と気の緩み
 相手のガーナ側の事情も見なければならない。
 ガーナは後半開始のときに4人を同時にかえた。そのなかにゴールキーパーがいた。試合後の記者会見で、ガーナの記者が「なぜゴールキーパーをかえたのか」と監督を追及した。第2キーパーが弱点だと前から指摘されていたらしい。しかし親善試合は、新戦力に経験を積ませる機会だから、勝負にこだわらない選手交代をすることもある。
 ガーナは3日前の日曜日にホームで行われたワールドカップ予選で、本番出場を決めたあと7時間の長旅をして着いたばかり。監督は「疲れは言い訳にならない」と言ったが、出場決定を祝って気も緩んだだろう。3点目をあげたあとは「これで十分」と動きがぱったり少なくなった。日本側の都合で、日本からギャラをもらって、無理をしてオランダまで来た試合である。ワールドカップの本番とは、まったく事情は違うのである。


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サッカー日誌 / 2009年09月12日


オランダ旅行記(2)


岡田監督の「90分全力労働論」への疑問

オランダ 3対0(前半0-0)日本
(9月5日(土)エンスヘーデ)
 =続き=

★前半に10回近くの攻めのいい形
 日本代表の岡田監督は「ワールドカップで勝つには、これまでやってきたサッカーを90分間、続けられるようにするしかない」という。
 エンスヘーデのFCトウェンテ・スタジアムで行われたオランダとの親善試合では、前後半のはじめの20分ずつ、計40分間は、岡田監督のめざしている攻めをうかがうことができた。前半立ち上がりの20分間には10回近くいい形があり、そのなかには絶好のシュート・チャンスになったものもあった。後半はじめの20分間も、中盤でボールを奪って3~4回、攻めのいい形を作っていた。この40分間は明らかにオランダよりも優勢だった。この40分を90分に延ばせれば「勝つチャンスはある」ということだろう。
 オランダに1点目を奪われたのは後半24分だった。つまり69分間はオランダをゼロに抑えていたわけだ。守りは、あと20分ちょっと延ばせればいいという論理になる。

★90分間、全力プレーが可能か?
 仮にである。岡田ジャパンの40分間の攻め、あるいは60分間の守りが、ワールドカップの「真剣勝負」で通用すると仮定しての話だが、これを90分間に延ばすことが本当にできるのだろうか。パスをすばやくつなぎながら全力で走り、絶え間なくプレスをかけながら守ることを、90分通じて、やり続けることが可能なのだろうか? 
 瞬発力や耐久力の両方について、筋肉にエネルギーを供給する仕組みから考えて、シロート考えでは、難しいように思うのだが、スポーツ科学の先生方の説明を聞きたいものである。
 首から下の疲労は首から上へのエネルギー供給にも影響する。だから疲労は走力だけでなく脳にも影響する。集中力を保ち続けるのも難しい。
 「90分間全力労働」のサッカーは、現実的ではないと、ぼくは思う。

★試合運びには緩急が必要
 オランダ人のファン・バルコムが第1戦の行われたエンスヘーデまで会いに来てくれたので試合の感想を聞いてみた。読売クラブ(現在の東京ヴェルディ)とアルビレックス新潟の初期に監督を務めたコーチである。いまは故郷で若い選手の指導をしている。
 「日本のサッカーは、すばらしく進歩した。テクニックのレベルは世界でも上位に入る。
 個人の戦術能力も悪くない。体格は劣るが体力はいい。よく動くし、規律がいい」と言う。試合については「前半は非常によかった。日本が最初から、あんなにガンガン攻めてくることを、オランダは予想していなかっただろう。それで、とまどって押しまくられていた」。
 しかし、話し続けるうちに、お世辞でない意見も出た。「でも、ああいうように初めから飛ばし続けるのは自殺行為だね。後半に動きが落ちるのは当然だ」
 試合運びには、緩急のペース配分が必要だということである。


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サッカー日誌 / 2009年09月06日


オランダ旅行記(1)


対オランダ戦、岡田監督の考え方
オランダ 3対0(前半0-0)日本
(9月5日(土) エンスヘーデ)

★日本の攻めは前後半とも20分だけ
 日本代表の遠征を機会にオランダ旅行に出た。ワールドカップ本番をめざす岡田監督のチーム強化第1歩を見ておくのも悪くない。
 第1戦のオランダとの親善試合は雨の中、3対0の敗けだった。試合のあと日本のサポーターの人たちとビールを飲む機会があったが、ほとんどの人は「前半は日本がよかったけど、後半は持たなかった」という見方だった。
 ぼくの見たところは、ちょっと違う。
 前半も、後半も、日本が攻勢だったのは最初の20分間だけである。あとはオランダのペースだった。
 前半を0-0に抑えることができたのは、オランダがギアをトップにあげていなかったためと、日本のボランチとストッパーが、まだ持ちこたえられたためである。

★勝敗が重要な試合ではないが……
 オランダと日本は、横綱と十両くらいの差がある。もしこれが本場所で、白星4点差が必要な場合だったら、オランダは4対0にしただろう。もし日本が1点あげたら5対1にしただろう。それくらいの格差があるように思った。
 そうは言っても、負けるつもりでワールドカップに出るわけにはいかない。ボールは丸い。どちらの方向にも転がる可能性がある。日本のほうに転がる可能性を少しでも大きくするように求めて進むほかはない。岡田監督によれば、それは「いままでやっているサッカーを90分間続ける」ことだという。
 今回は親善試合だから黒星を気にすることはない。南アフリカ大会までには、まだ9カ月ある。岡田監督としては、これまでの常連以外の選手をためしてみる必要もある。いろいろな相手や状況を経験させておきたい。結果が重要な試合ではなかった。

★格差の「みなもと」は個人の力量
 岡田監督の言う「いままでやってきているサッカー」は、簡単にいえば「チームで戦うサッカー」であり「労働量と走力のサッカー」である。そのサッカーを90分間、続けることができれば勝てる、という考えである。その考えで、アジア予選を勝ち抜いた。しかし、これからの相手は格が違う。
 オランダとの試合では、岡田監督のサッカーを、前後半あわせて40分は続けることができた。しかし、その間にゴールは挙げられなかった。
 後半24分から10分おきに、オランダに計3点を取られたのは、結局は個人の力量の差である。パスの正確さ、ボール扱いのすばやさと巧さ。それが格差の「みなもと」である。
 アーセナルやインターやACミランなど欧州のトップクラブでプレーしている選手たちは、日本の選手たちの集中力の乱れに、すかさず、楽々とつけ込んだ。

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サッカー日誌 / 2009年09月05日


女子サッカーの個性を伸ばそう


なでしこオールスター2009
(8月30日 西が丘)

★楽しめた前座試合のラモス
 なでしこリーグのオールスター・ゲームを見に行った。同じ日に、Jリーグの試合もあって、そちらに行く予定だったのだが、友人から「たまには女子サッカーも見たら。前座試合がおもしろいよ」と誘われたので、予定を変更したのである。
 ほんとうに前座試合はおもしろかった。JリーグとなでしこリーグのOB・OG混成選抜対JFAアカデミー女子の25分ハーフである。
 OB・OG混成チームでは、ラモス瑠偉の個性が際立っていた。ボールをとったあと、次のプレーに移るのが速い。マークをかわすと一直線にドリブルする。意外な味方に意外なキックでパスする。エキシビションのオールスター戦の、そのまた余興だから、冗談半分のプレーではあるのだが、それでも現役のころと同じような独特の状況判断とテクニックを十分に楽しませてくれた。

★伸び盛り世代の組織プレー
 OB・OG混成チームの相手は「JFAアカデミー福島女子チーム」。日本サッカー協会(JFA)が力を入れている英才教育のチームである。素質を見込んだ「金の卵」を福島のJビレッジに集めて集中強化している。12歳から18歳までの中学・高校生世代だ。全国から選ばれているだけに、基礎的なテクニックは悪くない。お遊び気分のお兄さん・お姉さんに、妹たちはまじめなチームプレーで対抗した。それも「けなげ」で、ほほえましかった。
 「でも……」と思った。「伸び盛りの若い選手たちに、教科書のような組織プレーをさせるのが、いいのだろうか?」
 この年代で「おれが、おれが……」ではない、女性だから「ワタシが、ワタシが……」と好きなようにプレーをするようでないと、ラモスのような個性は伸びないのではないか?
 結果は3対0だった。PKの1点とラモスの挙げた2ゴールである。

★スーパースターを生むために
 本番の「なでしこオールスター・ゲーム」は、リーグの現役選手を紅白に分けての試合である。選手たちは、のびのびと楽しそうにプレーしていた。でも、ラモスのような、際立った個性のプレーヤーはいない。しっかり観察しないと、みな同じプレーをしているように見える。日本のサッカーを見て「背番号がなければ選手の見分けがつかない」と評した外国の有名監督がいたが、それに近い。高校生年代までは、それぞれの得意なプレーを伸ばせるように、自由にやらせたほうがいい。 そうでないと、全体的には、みなうまくなっても、スーパースターは出てこない。
 イベント全体は、女子サッカーの「お祭り」として、いろいろなアイデアで演出されていた。両チームのスターの顔写真いりの「うちわ」を配ったり、場外に各チームの屋台を出したりしていた。台風接近で「土砂降り」に見舞われたのは不運だったが……。


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