サッカー日誌 / 2016年11月24日


代表チームの「過渡期」


圭佑の時代は終わったか?

W杯アジア最終予選
日本 2対1 サウジアラビア
(11月15日・埼玉スタジアム)

★先発メンバーの変更
 「日本代表チームの過渡期なのでしょうか?」
 週刊誌の記者から、電話でこんな質問を受けた。
 ワールドカップ・アジア最終予選のサウジアラビアとの試合で、ハリルホジッチ監督が、先発メンバーを大幅に変えたことについてである。
 前線プレーヤーの常連だった岡崎、本田、香川をはずし、大迫、清武を起用した。
 これまでの日本代表チームから、新しい代表チームに移行しようとしているのではないか?
 そういう意味の質問だろう。
 ぼくは答えた。
 「代表チームに過渡期なんてないよ」
 そっけなさ過ぎる答えだったと、後で反省したが、ぼくの真意は「代表チームは、その場その場で編成するものだ」ということである。

★単独クラブとの違い
 「浦和レッズ」や「セレッソ大阪」のような単独のクラブ・チームと日本代表チームでは性質が違う。
 単独クラブは、メンバーが、ある程度、固定していて、チームのスタイルも固まっている。
 しかし、主力のプレーヤーが衰えたり、ケガをしたりすると、別のプレーヤーを加えて、チームを再編成しなければならない。
 再編成して新チームへ移行する期間が「過渡期」である。
 代表チームでは、事情が違う。
 プレーヤーは、大会のたびに、あるいは、試合のたびに選ばれる。
 毎回、新たに編成されるのだから、チームとしての「移り変わり」はない。つまり「過渡期」はない。

★代表編成の三つの要素
 とはいえ、これまでの日本代表チームの中心は本田圭佑だった。その圭佑が衰えてきた。だから圭佑中心でない日本代表チームを作ろうとしているのではないか?
 「圭佑の時代」は、終わったのか?
 これについての意見を聞くのが、週刊誌の記者の質問の狙いだったのだろう。
 代表チームの編成には、三つの要素がある。
 第一は選ぶことのできるプレーヤーである。有力選手であっても、体調が悪ければ選ぶことはできない。
 第二には相手チームのレベルとスタイルである。
 勝つ可能性が強ければ、主力を温存して、若手を起用することもある。
 第三には、その試合の性質である。重要なタイトルのかかった試合でなければ、ベストメンバーを組む必要はない。
 今回の「圭佑はずし」の理由には、この三つが、ある程度は、該当するように思う。
 「圭佑の時代」が終わったわけではない。


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サッカー日誌 / 2016年11月23日


五輪用体育館の建設(下)


中規模競技場の整備を

活用されている代々木第二

★大競技場に付属
 1964年東京オリンピックのために建設された競技施設のなかで、特定スポーツのために活用されているのは、国立代々木競技場第二体育館ではないか?
 東京の原宿駅近くにある。代々木第一体育館に附属した小体育館である。
 スポーツ・ファンには「バスケットボール競技場」として知られている。
 1964年東京オリンピックのときにバスケットボールの会場だった。その後、国内のトップレベルのバスケットボールの試合で、よく使われている。
 1万人収容の観客席を持つ第一体育館は、1964年東京オリンピックのときには、水泳会場だった。
 しかし、オリンピックの後で水泳競技会の会場になったことは、ほとんどない。
 1万人収容のスタンドは、必要ないからである。

★3,000人収容の体育館
 第一体育館は、ロック・コンサートなどのイベント会場として使われることが多い。
 大きな体育館は、日常のスポーツ競技会には使い難い。使用料も高い。
 スポーツ施設というよりは、興業施設である。
 第二体育館の観客席は、約3,000人収容である。
 室内競技のスポーツ団体が、国内競技会で集められる観客数にとって「手ごろ」である。
 使用料は多くの場合、観客席数に比例するから小体育館のほうが安い。
 また、観客にとって、小体育館のほうが見やすい。
 1万人収容の体育館では、遠くのほうを見るには、双眼鏡が必要である。
 3,000人収容程度の体育館では、スタンドとコートが近いので迫力いっぱいである。

★「手ごろな」大きさ
 代々木第二体育館は、バスケットボール以外に、卓球やバドミントンなど他のスポーツで使われている。
 また、町の音楽サークルのコンサートなど、市民文化イベント会場にもなっている。
 使いやすい「手ごろな」大きさだからである。
 こういう例を考えると、2020年東京オリンピックのための「有明アリーナ」建設に、スポーツ団体が固執するのは賢明でないように思う。
 決勝戦の会場は既存の大体育館でいい。
 オリンピックのときに、バレーボール、バスケットボールなどは、1次リーグの試合が多く行われるだろう。
 そのための中規模の体育館を整備することに力を注いだほうがいい。
 中規模体育館を各地に作り、オリンピックのあとに活用する方策を考えるべきではないか?


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サッカー日誌 / 2016年11月21日


五輪用体育館の建設(中)


代々木体育館の教訓

スポーツ専用にはならない


★水泳競技会として建設
 スポーツ団体は、それぞれ、専用で使える競技場が欲しい。
 そのため、オリンピックなどの機会に、新しい大きな競技場の建設を求める。
 しかし、新競技場が、オリンピックのあと、そのスポーツのために活用できるとは限らない。
 東京渋谷の代々木体育館は、1964年の東京オリンピックの水泳会場として建設された。
 設計したのは、世界的な建築家の丹下健三さんである。
 丹下さんは、設計の段階で「オリンピックの後、この施設をどう使うのだろうか?」と心配していた。
 東京オリンピックの水泳会場として、1万人以上の観客席を作るように求められたが、オリンピックの後に、国内で1万人の観客を集める競技会を想定できなかったからである。
 オリンピックが終わったあと、代々木競技場は、都民のための水泳プールとして開放された。
 冬季にはスケート場になった。

★民間施設との競合
 しかし、うまくいかなかった。
 一般市民の利用には観客席は必要ないからである。
 大きな観客席がムダであるだけでなく、室内空間が大きくなって、空調などにお金がかかる。そのため、使用料が高くなる。
 もう一つの問題は、民間の施設との競合である。
 後楽園や品川に民間経営のプールやスケート場があった。
 税金を使って建設した施設が、民間施設と同じ土俵で経営を競うのは公正でない。
 一方で、官僚から「天下り」した人びとの運営は、民間の施設に比べて、運営が効率的でない。
 その他、いろいろあって、代々木競技場は、都民のための水泳やスケートとしては、充分には機能しなかった。
 その後、コンサート会場などとして役に立ってはいるが、スポーツのためには、期待どおりには使えわれていない。

★両立しない2つの期待
 1964年当時の日本の水泳界には、二つの期待があった。
 一つは、水泳がオリンピックのメーンイベントとなることである。そのために、1万人以上の観客を集める水泳大競技場がいる。
 もう一つは、オリンピックのあとで、競泳で自由に使える室内プールができることである。
 しかし日常的な競技会で使える室内プールに、大きな観客席はいらない。規模は小さくても使用料が安いほうがいい。
 というわけで、オリンピック用の施設と、日常スポーツのための施設は、両立しない。
水泳に限らない。
 多くのスポーツ団体が、日常的な競技会に使える施設を、オリンピックの機会に作って欲しいと考えていた。
 二つの希望を両立させることができないのは明らかである。
 しかし、オリンピックという大義名分がなければ、スポーツ施設を作ってもらえない。そこに矛盾がある。



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サッカー日誌 / 2016年11月19日


五輪用体育館の建設(上)


バレーボール会場の見直し

専用競技場が欲しい


★有明アリーナ
 2020年東京オリンピック競技施設整備見直しで「有明アリーナ」が焦点になっている。
 東京湾の埋立地に建設するバレーボール会場である。
 観客席1万5000席、整備費404億円の屋内競技場を新設する計画である。
 東京都の都政改革本部調査チームが、この建設を取りやめるように提言した。
 既設の施設が使えるからである。
 これに対して、バレーボール協会をはじめとして、スポーツ団体があげて反発した。
 スポーツ団体にとって「専用競技場」を持つことが「夢」である。
 バレーボール協会としては、いつでも自由にバレーボールのために使える「専用競技場」が欲しい。

★スポーツ団体間の競合
 体育館がないわけではない。
 しかし、大きな観客席を持つ体育館の使用申し込みは、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、卓球など、いくつもの競技が競合する。
 使用申し込みをして、抽選で当って、はじめて利用することができる。
 競技場を使えるかどうかが、あらかじめ分らなければ、年間の競技会開催スケジュールを立てることも難しい。
 これはスポーツ団体にとって大きな問題である。
 というわけで、それぞれのスポーツ団体が,優先的に使える「専用体育館」を欲しい、と思っている。
 スポーツごとに、専用体育館を確保できれば、他のスポーツとの「使用申し込み競争」をしないですむ。
 年間の競技会開催スケジュールもたてやすい。
 全国単位でも、都道府県単位でも、スポーツ別の専用体育館が欲しい。

★市民への開放との競合
 しかし、体育館を特定のスポーツの「専用」にすることには反対がある。
 多くの体育館は市民の税金を使って建設されている。だから「一般市民に使わせるべきだ」という考えである。
 そこで、町内会の「ママさんバレーボール・チーム」も体育館の使用申し込みをする。
 利用者を「抽選」で決めるとなると、多数の「ママさんクラブ」の申し込みに対して、単一スポーツ団体の「選手権競技会」開催申し込みは対抗できない。
 この問題は、学校体育館の一般市民への開放が進んで、かなり改善されてきてはいる。
 それでも、スポーツ団体の体育館優先使用には反対が強い。
 そこで、スポーツ団体は、大きな体育館が増えれば、競合が少なくなるだろうと考える。
 だから、オリンピック開催などの機会に、大体育館の、さらなる新設を求めるわけである。



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