サッカー日誌 / 2014年02月11日


批判を含めた五輪教育を!


クーベルタンの理想と現実
スポーツ政策研究会、和田浩一さんのお話
(2月10日 神田東松下町・加瀬ビル)

★スポーツ教育と平和主義
 スポーツ政策の勉強会で、オリンピックの創始者、ピエール・ド・クーベルタンの考えについてのお話を聴いた。講師はフェリス女学院大学の和田浩一先生である。
いろいろな角度からの解説のなかで、クーベルタンの考えの主要な点は次の二つであるように、ぼくは理解した。
 一つはスポーツを教育の手段として世界に広めること、もう一つはオリンピック競技大会の開催を通じて世界平和の実現に資することである。
 スポーツを世界に広めるためにオリンピックが役立ったことは、多くの人が認めるところだろう。しかし高度な技術を競う競技大会の現状が、スポーツの社会化、大衆化を望んだクーベルタンの理想を実現しているものかどうかは検討しなくてはならないと思った。
 世界の平和に役立つことについては、残念ながら非力だったと思う。二つの世界大戦を防ぐことはできなかった。

★アマチュアリズムに反対
 1980年代半ばまでは、オリンピックを支配していたのは「アマチュアリズム」だった。スポーツによって、お金や物質的利益を得ないという考え方である。オリンピックに参加できるのはアマチュアに限られていた。
 日本では多くの人が、アマチュアリズムはクーベルタンの思想だと思い込んでいる。
 ぼくは、かねがね、そのことに疑問を持っていたのでフロアから質問した。
 和田先生の答えは、こうだった。
 「クーベルタンはアマチュアリズムに反対でした。そのことを、はっきり書いている文章も残っています」
 それでは、なぜオリンピックにアマチュアリズムが入り込んだのだろうか?
 「オリンピックを創設するために、英国のスポーツ界の主張に妥協したのです」

★歴史と現実に目を向けて
 2020年オリンピック競技大会が東京で開催されることになった。この機会に「オリンピック教育」を、しっかりやるべきだという意見が出た。
 「いい意見だ」と思う。
 ただし、オリンピズムを「絶対に正しい考え」として教え込むのであれば反対である。
 クーベルタンが、どういう考えを持ってオリンピックを始めたのか? 
 オリンピックの歴史のなかで、創始者の理想がどう捻じ曲げられていったか?
 現在の競技大会の現実が、掲げている理念とどうかけ離れているか?
 歴史を踏まえ、現実を直視し、批判的な視点も取り入れなければ危険である。

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