サッカー日誌 / 2011年03月19日


東日本大震災とサッカーの考え方


分散独立のネットワークを
(3月11日午後2時46分 震源地三陸沖)

◇水がない! 燃料がない!
 「東北地方太平洋沖地震」はM9.0。津波の高さも、地域の広さも、死者の数も記録的だった。原子力発電所の人災も加わって、日本の自然災害史上、最悪の被害となった。開幕したばかりのJリーグも、予定されていた国際試合も、延期あるいは中止になった。
 被害の大きさを知り、救援活動が思うように進まないことを知るにつけて思ったのは「分散独立のネットワークが必要だ」ということである。
 人びとの集落が小規模、少人数だった時代であれば、「水がない」「ガソリンがない」という悲痛な訴えは起こらないだろう。おばあさんは川へ洗濯に行って、飲み水も汲んでくる。おじいさんは山へ芝刈りに行って燃料を調達する。狭い地域で自給自足できる体制であれば、地震や津波を防ぐことはできなくても、生き残ることができれば、自然の恵みを生かして生活を立て直すことは、それほど難しくない。

◇独立の単位を網の目でつなぐ
 そんな原始的な暮らしを現代の日本に求めることは、もちろん不可能である。燃料は遠く中東からタンカーで運ばれてくる。水は山奥のコンクリートのダムに貯め、人工的に浄水して水道管を通して運ばれてくる。「命のライン」は地球規模、全国規模で集中的に管理されている。中央が破壊されれば末端も壊れる。ラインを断たれれば地域は生きていけない。それが現代社会である。
 しかし、可能な限り、顔と顔をあわせるコミュニケーションができる程度の地域を単位に生活し、最低限の資源は、短期間であれば、独立に調達できるような仕組みは作れないものだろうか? そういう分散し、独立して活動できる単位を網の目のようにつないで、現代の世界を構成する方法はないのだろうか。
 それができれば、災害の被害をもっと小さく食い止めることができるだろう。

◇サッカーを愛する人にできること
 サッカーリーグの組織は、こういう考え方で始まっている。地域社会で独立にクラブが生まれ、各地に分散して活動している。それが横につながり、ネットワークを作って試合をする。それがリーグである。
 ネットワークは一部を断たれても別のルートで連絡することができる。東北に試合のできない地域ができても、他のネットは生かして活動を続け、被害を受けた地域を励まし、援助して復興を待つ。Jリーグは、そういう考えで柔軟に試合を続けることもできる。
 「サッカーを愛する人にできること-FOOTBALL SAVES JAPAN 」の運動に賛同して欲しいというメールが届いた。  分散独立のネットワークの考え方を知ってもらうこと、それもサッカーにできることの一つではないか、と考えた。

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サッカー日誌 / 2011年03月04日


サッカー検定の意義と効用


第3回特別表彰式とイベント
(2月27日 JFAハウス)

◇「サッカー学」の学力を試す
 ひょんなことから「サッカー検定」の企画に担ぎ出されて、というか、巻きこまれて、戸惑っている。
 企画を聞いたときには「そんな検定が成り立つのか?」と半信半疑だった。英語検定や漢字検定は、役に立つ「学力」を客観的に測定して、ある程度は保証するものだから実用的な資格である。
 しかし、サッカーについて多くの正しい知識を持っていることを証明しても、学校や職場で評価される資格になるとは思われない。「そういう検定試験を受ける人がいるのだろうか?」というのが最初の疑問だった。
 ところが、これは、ぼくの思い違いだった。「サッカー学」に興味を持ち、その学力を確かめたいと思う人が、結構いるらしい。

◇知識を競う楽しみ
 2010年12月に行われた第3回サッカー検定の特別表彰式が2月27日に行われた。場所は東京・本郷3丁目のJFAハウス(日本サッカー協会のビル)。地下のサッカーミュージアムの講堂、ヴァーチャル・スタジアムである。
 第1回から第3回までの検定合格者80組、付き添いを含めて133人が招待された。
 行ってみて認識を改めたのは、参加者が、みな楽しそうだったことである。子どもから大人まで、さまざまな年代の人がいる。女性も男性もいる。凝り固まった「サッカーおたく」ではなかった。
 サッカーについて学び、知識を競うことも、またサッカーの楽しみ方の一つだと知った。サッカーは、プレーして楽しく、観戦して楽しく、応援して楽しく、仲間と語って楽しいスポーツである。そこに、もう一つ「知識を競う」楽しみを加えることができる。

◇サッカータレントのトークショー
 特別表彰式に続いて「今季のJリーグを占う」トークショーがあった。出演者は、松木安太郎(元東京ヴェルディ)、福田正博(元浦和レッズ)、Jリーグ特命PRマネージャーの足立梨花、それに司会進行は中西哲生(元名古屋、川崎)である。
 テレビやラジオでおなじみのサッカータレントの語りを生で聴き、かつ見ることができるのが特別表彰式に招かれた合格者の「特典」だった。
 松木安太郎が、テレビでおなじみの、けたたましいムード作りをする一方、存外真面目にJリーグ展望を語ったのが面白かった。
 テレビでおなじみのサッカータレントの生の話を楽しみ、そのなかに、ちょっと真面目な「サッカー学」を織り込んでいければ「サッカー検定」は、結構、おもしろいのではないか、意味も効用もあるのではないかと思った。




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サッカー日誌 / 2011年03月02日


シーズン開幕のお祭りを楽しむ


富士ゼロックス・スーパーカップ
名古屋 0-0(PK戦)鹿島
(2月26日 新横浜・日産スタジアム)

◇家族連れが目立つ雰囲気
 Jリーグ開幕前の FUJI XEROX SUPER CUP 2011を新横浜で楽しんだ。
 東京の国立競技場のスタンドが一部改修工事中のため、今回は日産スタジアムでの開催となった。日産スタジアムもゴール裏の2階席が改修中で、シートで覆ってあったが、スタンドが広いので観客数は35,963人。席はほぼ埋まっていた。横浜からは離れた名古屋と鹿島の対戦カードであることを考えると、かなりの入りである。
 快晴で風は弱く、ちょっと寒かったが観戦は快適だった。家族連れのお客さんも多く、明るい雰囲気だ。この試合はイングランドの「コミュニティ・シールド」(旧チャリティ・シールド)を模したものだが「リーグとカップのチャンピオン対決」とものものしく構えることはない。シーズン開幕を告げる早春のサッカー祭りとして盛り上げるのがいいのではないかと考えた。

◇審判の基準を示す
 「シーズン開幕を告げるイベント」「リーグとカップのチャンピオン対決」のほかに、サッカー協会では、この試合に新シーズンの審判の基準を示す意味を持たせているらしい。今回は、前年の南アフリカ・ワールドカップで成果を高めた西村雄一さんが主審を務めた。
 4日前の2月22日に日本サッカー協会で、今季の審判の基準について、マスメディアに対する説明会があった。
 そのときに、試合中の身体の接触について「フットボール・コンタクト」という呼称で説明があった。試合中に敵味方が接触する場面はたくさんある。相手を押したり、引っ掛けたりするのは反則である。しかし、あまり神経質にとると試合の流れを妨げる。個々の判断は主審に任されているが、プレー中の体の接触に、あまり神経質に笛を吹かない、という方針のようだった。その実際を西村主審が示したわけである。

◇注目した選手2人
 試合の内容はどうだったか?
 開幕1週間前だから、お祭りに浮かれた試合をするわけにはいかない。結構、勝負にこだわって、ともに守りを頑張り0対0の引き分け。PK戦になった。過去17度の試合でPK戦になったのは7試合。双方無得点は初めてである。
 注意して見た選手が2人いる。一人は名古屋の藤本淳吾。清水から移籍早々なのに主将の腕章を巻き、FK、CKを蹴り、チームの中心だった。名古屋連覇のカギを握るかもしれない。もう一人は鹿島の大迫勇也。鹿児島城西高で高校サッカーのヒーローになった素材である。Jリーグ入りして3年目。そろそろレギュラーに定着していい。
 PK戦では、名古屋のGK楢崎正剛が、鹿島の最初の4人のうち3人を止めた。そのうち1本はキャッチングだった。珍しい。そういうことでも、楽しめた試合だった。


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