コンフェデ杯2013 / 2013年07月30日


来年の「ビバ!ハウス」探し


コンフェデ杯旅行記(16)
6月29日(土)
サンパウロ-リオデジャネイロ

★サンパウロを基地に
 今回のコンフェデレーションズ・カップでは、サンパウロでの試合はない。それでもサンパウロに立ち寄ったのは、来年のワールドカップのときに、ここに「ビバ!ハウス」を設けようと考えたからである。
 2006年のドイツ・ワールドカップのときはフランクフルトのペンションに大会期間中3部屋6ベッドを借りた。
 2010年の南アフリカ大会のときはプレトリアの大邸宅を借り切って多いときは20人以上が泊まった。
 日本からの航空便が到着する空港に近い町にビバ!サッカー仲間の「観戦基地」を設けたのである。それを「ビバ!ハウス」と称した。
 2014年のブラジル大会では、サンパウロを基地にしてはどうか?
 そう考えて、1年前に「下見」に行ったわけである。

★「ビバ!ハウス」の利点
 日本から到着したら「ビバ!ハウス」に荷物を置いて、そこから試合のある町に向かう。そうすれば開催国内を移動するのに大きな荷物を持ち歩く必要がない。
 行く先の試合地の町にホテルが取れなくても基地に戻ってくることができる。
 夜の試合が終わった後、夜行列車や夜行バスで基地の町に戻ってくる。そのつど予約したホテルだと普通は午後にならないとチェックインできない。しかしビバ!ハウスなら早朝でもベッドが確保されている。
 大会期間中は普通のホテルは法外な値段である。ビバ!ハウスで共同生活をして、できるだけ宿泊費を節約する。
 以上が「ビバ!ハウス」の利点である。
 ドイツでは鉄道で、南アフリカでは主として借り上げた車で移動した。しかし来年のブラジルは広い国に会場が散在している。移動は国内線の飛行機が多くなるだろう。

★飛行機とバスでリオへ
 サンパウロには郊外の国際空港のほかに、市内に国内線用の空港がある。マナウスやフォルタレーゼなど北部の都市に試合を見に行く場合は、ここから国内線の航空機に乗るのが便利だろう。
 中南部のリオデジャネイロ、ベロオリゾンテ、クリチーバには長距離バスで5~8時間である。高級なクラスのバスは飛行機より快適だという。バスターミナルは、サンパウロ市内の中心部近くにある。
 来年のワールドカップでサンパウロでは開幕試合、準決勝を含む6試合が行われる。
 そう考えて、サンパウロで「ビバ!ハウス」の候補地を探したあと、決勝戦の行われるリオデジャネイロに飛行機で移動した。
 前日いっしょにスタジアムめぐりをした仲間のミツは深夜バスでリオに向かった。これも下見である。


リオデジャネイロのコパカバーナ海岸で。砂の彫刻。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月26日


三つのスタジアムを観光


コンフェデ杯旅行記(15)
6月28日(金) サンパウロ

★豪華なモルンビ
 サンパウロ滞在6日目。サンパウロ市内のスタジアムを見て回った。ビバ!サッカー仲間のミツと、ミツがたまたま知り合った留学生の澤永くんと3人。タクシーで。
 最初はモルンビ・スタジアム。7万501人収容。モルンビは高級住宅のある地域である。そこにある裕福なクラブのスタジアムだけに設備も豪華だ。
 1階部分にフィールドが見渡せるガラス張りの大きな部屋がずらりと並んでいる。各部屋に飲食のできるバーの設備などがある。それぞれの部屋を企業などが借り切っているようだった。
 フィールドの周りに簡単な陸上競技のトラックがある。おじさん、おばさん、子どもたちがジョギングをしていた。
 このスタジアムはサンパウロFCの所有である。サッカーの試合をするだけでなく、会員の健康づくりにも利用されているのだろう。

★サッカー博物館
 タクシーを拾って次はバカエンブー・スタジアムへ。
 1940年にできた古いスタジアムで3万7180人収容とモルンビより規模は小さい。サンパウロ市の所有だがコリンチャンズの本拠地として使われている。コリンチャンズ所有のスタジアムもあるのだがスタンドが小さいので、試合はここを借りて行っている。
 併設されているサッカー博物館が売り物だ。
 入場料5レアル(約250円)。
 ワールドカップやブラジル代表のプレー、スタジアムの応援風景を映像と音響で再現したコーナーなど工夫を凝らした展示がある。
 ペレやジーコなど名選手のプレーや名場面の映像なども、いろいろ見ることができる。1958年のワールドカップ・スウェーデン大会でペレがデビューしたときの有名な得点シーンが繰り返し使われていた。

★ワールドカップ競技場
 最後はワールドカップ・スタジアムへ。
 来年の開幕試合の会場である。
 市の中心部から地下鉄3号線に乗った。
 電車は途中から地上に出て終点がコリンチャンズ・イタクイエラである。高台に建設中のスタジアムが駅から見える。
 工事の遅れをFIFAが警告したと伝えられている。予定の12月完工は無理なようだが、スタンドの骨組みはできているので6月の開幕には間に合うだろう。
 駅の周辺、スタジアムの周辺は今のところは何もない。
 道路も建設中である。
 工事は開幕に間に合うにしても、使い慣れていないままワールドカップを迎えるのだから、大観衆をさばききれないで大混乱になるのではないかと心配になった。
 ワールドカップの後は、コリンチャンズの本拠地になる。
 「巨額の税金を使って大スタジアムを建設し、特定のクラブに提供するのはけしからん」という声もあるらしい。


モルンビ・スタジアムでジョギングする人びと。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月24日


欧州対決、スペイン苦戦


コンフェデ杯旅行記(14)
6月27日(木) サンパウロ(テレビ観戦)
準決勝(フォルタレーゼ)
スペイン 0対0(延長 PK) イタリア

★ボール保持率、ほぼ互角
 南米対決の準決勝の翌日、もう一つの準決勝は欧州対決だった。
 欧州チャンピオンはスペインだが、コンフェデレーションズ・カップへはワールドカップ優勝国として出場権を得ているので、イタリアが欧州2位で地域連盟代表になった。
 前年の欧州選手権決勝ではスペインが4対0で完勝している。
 というわけで、スペイン優位と見るのが順当なところだったが結果は大苦戦だった。0対0で延長、引き分け。PK戦で決勝に進出した。
 スペインの攻勢は立ち上がりの10分だけ。その後は互角の攻め合い、守り合いである。
 スペインは多くの試合で70%前後のボール保持率を記録しているが、この試合では54%。ほぼ互角である。
 イタリア・ペースの試合だったと言っていい。

★勝負駆け引きの巧さ
 この試合のポイントは、イタリアの試合運びだったのではないかと思う。
 ボールを奪ったとき逆襲のチャンスだと見れば縦へ大きく蹴って速攻を狙う。
 相手の守りが厚いと見れば後ろでボールを回しながら勝負どころを探る。
 緩急のあるテンポと勝負の駆け引きの巧さがよかった。
 スペインは中盤のシャビが押さえれ、イニエスタだけが空回りしていた。ペースを失って守りに追われボールを蹴りだすのが精いっぱいという場面もあった。
 それでもイタリアの鋭い攻めを防ぎきった。
 不利な展開になっても、しぶとくしのぐ試合ができる。
 そういう勝負の駆け引きの巧さは、日本のサッカーには欠けている。

★ブラジル有利の日程
 試合地のフォルトレーザはブラジルの北東部。赤道直下に近い。熱帯性の気候で海岸の都市だから蒸し暑い。この日は午後4時からの試合で気温30度だということだった。
 そのなかで激しい攻め合い守り合いの延長戦。120分余の死闘すえにPK戦である。
 PK戦では双方が6人目まできちんと決め、先攻のイタリアの7人目が上方へ大きくはずした。
 スペインが幸運をつかんだが決勝戦まで中2日である。
 決勝の相手のブラジルは前日に比較的気候のいいベロオリゾンテで試合をして勝ち、決勝戦まで中3日だ。
 「ブラジルの優勝だろうな」
 サンパウロのホテルでテレビを見ていてそう思った.
 この大会は、ブラジルでは大手テレビ局のグローボがSPORTVという専門チャネルで中継した。夜と翌日には再放送をする。だから何度も見ることができた。


サンパウロ、モルンビ・スタジアム入り口の展示。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月23日


南米対決、ブラジル快勝


コンフェデ杯旅行記(13)
6月26日(水) サンパウロ(テレビ観戦)
準決勝 ブラジル 2対1 ウルグアイ
(ベロオリゾンテ)

★レベルの高いベスト4
 コンフェデレーションズ・カップの準決勝は1試合が南米対決、もう1試合が欧州対決となった。
 この大会は世界各地域の連盟(コンフェデレーション)の代表による選手権のはずである。同じ地域同士の対戦はその趣旨にはそぐわない。
 しかし、欧州と南米は世界のAクラス、アジアとアフリカはBクラスで、その間には明らかなレベルの差がある。ベスト4がAクラスだけになったので、準決勝以降の試合のレベルはぐんと高くなった。
 決勝戦は南米対欧州になる。準決勝はいわば南米代表と欧州代表を決めるための「予選」のような形になった。これも興味深い。
 ウルグアイは南米チャンピオンとしての出場、ブラジルは開催国としての出場で、この好カードが実現した。

★ベテランと若手がかみ合う
 終わってみればブラジルの順当な勝利のように思えるが、そう簡単な試合ではなかった。
 前半13分にウルグアイがPKを得た。それをブラジルのジュリオ・セザールが横っ飛びに叩き出した。
 ブラジルのフェリペ監督は、この大会で若手を多く招集している。しかし、ゴールキーパーは33歳のベテランを起用した。それが当たった。
 前半41分、ブラジルの先制点を生み出したのは21歳のネイマールだった。後方からのボールにあわせて抜け出し、胸で落としてシュート。ゴールキーパーがはじいたところを29歳のフレジが決めた。若手とベテランが、うまく組み合わされている。
 後半3分にウルグアイが同点に追いつく。ブラジルはボール支配率64%と優勢に攻めていたが、ウルグアイは、反則覚悟の激しい守りで食い止める。

★ブラジルの時代は続く
 ブラジルの決勝点は後半41分。延長戦になりかねないところだった。コーナーキックをネルシーニョが蹴り、パウリーニョのヘディングに合わせた。
 決勝点を決めたパウリーニョは24歳だ。ブラジルはどの年代にもテクニックがあり、勝負強さのあるプレーヤーを生み出している。「ブラジルの時代は終わった」という見方は間違っている。
 この試合はサンパウロのホテルのテレビで見た。試合地のベロオリゾンテのホテルが取れないため現地に行くのを断念したからである。
 好勝負だったので「現地で見るべきだったな」と、いささか後悔した。
 でも、ブラジルのテレビ中継はいい。アナウンサーがボールの渡った先のプレーヤーの名前を次つぎに言ってくれる。解説者の余分なおしゃべりはない。


ビルの谷間の小さなサッカーコート。サンパウロで。


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コンフェデ杯2013 / 2013年07月17日


準決勝観戦を断念


コンフェデ杯旅行記(12)
6月25日(火) サンパウロ

★ホテルが取れない
 最初の予定ではサンパウロに2泊3日してベロオリゾンテに戻り、26日の準決勝を見ることにしていた。サンパウロ-ベロオリゾンテの飛行機便は予約していた。
 ところがベロオリゾンテのホテルがとれない。
 サンパウロの旅行社を通じて探してもらったところ1つだけパソコン上に出てきたが1泊2000レアル以上。日本円にして10万円余りだった。ちょっと手が出ない。
 26日の準決勝はブラジル対ウルグアイだった。地元ブラジルの試合だから混んでいるのだろうと思って、こちらはパスして、翌27日にフォルタレーザで行われるイタリア対スペインに直接行くことを考えた。
 ところがフォルタレーザのホテルも満室である。また飛行機便もとれない。
 「ブラジルにはイタリア系の市民も多いからね。各地から応援に行くのでしょう」ということだった。

★宿泊代は上がる一方
 こういう不手際が生じたのにはわけがある。
 大会後半の宿泊はわざと予約をしないで現地で探すことにしていたからである。来年のワールドカップのときに、どういう状況になるかを「実験」してみるつもりだった。
 これまでのワールドカップ取材旅行の経験では、ホテルの宿泊料金は大会前に予約すると非常に高い。
 多くの人は前年の12月に組み合わせが決まると観戦計画を立て6~7月のホテルを予約するだろうが、この時点での大会期間中のホテル代は法外である。
 しかし、2月くらいから、しだいに下がりはじめ、大会が始まるころには、まずふつうの料金になる。高すぎるために当て込んでいたほど申し込みがなく、ベッドが余ってくるからである。
 ところが今回は事情が違った。ホテルのベッド数不足で宿泊料は上がる一方だった。

★サンパウロ滞在を延長
 航空機の国内便はあらかじめ東京で手配してあった。ブラジルは広い国で飛行機以外に移動の手段がなさそうだったからである。
 ところが、ホテルが取れないために予定を変更することになり、予約していた便をキャンセルして新たにサンパウロ-リオデジャネイロの便を取った。
 この運賃も高い。「普通の2倍だ」という。
 「かりにホテルと飛行機が取れてもベラボーな値段だ。サンパウロ滞在を延ばして準決勝はテレビで見るのがいい」
 旅行社の商売気のない勧告に従って準決勝観戦は断念し、サンパウロに居座ることにした。
 サンパウロのホテルは、地元在住の高橋祐幸さんが自宅の近くに取ってくれていた。それを3泊延長した。
 サンパウロでは試合はないが「大会のためかサンパウロのホテル代もいつもより高くなっている」とのことだった。


サンパウロで宿泊した「ブルーツリー・プレミアム・モルンビ・ホテル」。高級住宅地のいいホテルだった。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月16日


パソコン故障で大誤算


コンフェデ杯旅行記(11)
6月24日(月) サンパウロ

★電気が来ていない
 サンパウロに来る前日、ベロオリゾンテのメディアセンターでパソコンが故障していることに気がついた。
 原稿を書いている途中に突然「あと7分」と表示が出た。蓄電池の残りの電気ではあと7分しか使えない、ということである。
 メディアセンターのコンセントにつなぎっぱなしで使っていたのだが電源からの電気がきていなかった。それでパソコン内の蓄電池の電気が消費されてしまったらしい。
 あわてて、いろいろ試しているうちに、残り7分も使いきってディスプレーは真っ暗になった。
 友人が自分のパソコンを使ってインターネットで調べてくれて、故障したパソコンのメーカーの代理店がサンパウロにあることが分かった。
 翌日にはサンパウロに行くことになっている。「サンパウロで修理してもらおう」と思ったのが大誤算だった。

★代理店はあったが……
 蓄電池の電気で動いていたのだからパソコン本体や蓄電池の故障ではないだろう。電源とパソコンをつなぐコードと一体になっているACアダプターの故障だろう。シロート考えでそう診断した。そうであればコードを「部品」として買えばいい。そうそうタカをくくっていた。
 サンパウロについた日は日曜日だったので、翌日の月曜日にメーカーの代理店に連絡した。
 パソコンの機械の話は日本語で聞いてもよく分からないのに、ポルトガル語での相談だからぼく一人ではまったくお手上げである。サンパウロでお世話になった高橋祐幸さんに電話してもらったのである。
 ところがだ。
 「ブラジルで買ったものでなければ修理できない」という代理店の返事だった。

★グローバル化の隙間
 同じメーカーの同じ銘柄の商品でも、自国で販売しているものでなければ取り扱えないという。部品だけの販売もできないという。
 あとで知ったのだが、これはブラジルだけの話ではなく、どこの国でもそうらしい。
 故障したパソコンは台湾のメーカーのもので、東京で買ったものだった。
 高橋さんが日本語の通じる日系人経営のパソコン屋さんにも連れて行ってくださったが、やはり「部品はない」とのことだった。
 これは「グローバル化の隙間(すきま)とでも言うべき現象じゃないか」と考えた。
 世界中で同じ自動車が走り、同じテレビが映り、同じパソコンが使われているように見える。
 しかし、その中にも万国共通にできない小さい隙間が、いろいろあるのではないか? そう思った。


お世話になったサンパウロの高橋祐幸さん。ご自宅の書斎で。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月11日


サッカー王国でW杯反対デモ?


コンフェデ杯旅行記(10)
6月23日(日)
ベロオリゾンテ → サンパウロ
B組 
スペイン3対0ナイジェリア(フォルタレーザ)
ウルグアイ8対0タヒチ(レシーフェ)

★高橋祐幸さんに会う
 日本対メキシコの試合の翌朝、ベロオリゾンテからサンパウロに飛んだ。
 今回のコンフェデレーションズ・カップでは,サンパウロは会場ではない。しかし来年のワールドカップではサンパウロで開幕試合がある。来年はサンパウロを基地に各地の試合を見て回ろうと計画している。そこでコンフェデのグループリーグが終わって準決勝までの間にサンパウロの様子を偵察しておこうと考えたのである。
 サンパウロ市内のコンゴーニャス空港に高橋祐幸さんご夫妻が出迎えてくださった。高橋さんはブラジルに移り住んで53年、トヨタカップやJリーグ、川崎フロンターレなどに関係し、日本とブラジルのサッカー交流に尽力された方である。
 高橋さんが予約してくださったホテルで、朝食を取りながら、いろいろな、お話を伺った。

★サッカー反対ではない
 高橋さんは、ブラジル各地で起きているデモ騒ぎについて、まず説明してくださった。
 「コンフェデレーションズ・カップを標的にワールドカップ反対のデモが行われているように伝えられているかもしれないが、そうではない。もっと根が深い」
 サンパウロのバス、地下鉄運賃の値上げに反対してはじまったデモだが、またたくまに各地に広がって大規模な「反政府デモ」になっている。
 「ワールドカップやオリンピックのために莫大な税金をつぎ込んで福祉や教育のお金が削られている」という不満が爆発したといわれている。
 しかし人びとはサッカーに反対しているわけではない。
 彼らが怒りを向けているのは政治の腐敗である。

★拡大する政治家の汚職
 2014年ワールドカップと2016年リオデジャネイロ・オリンピックのための公共事業につぎ込まれている税金が、リベートとして政治家のポケットに入っている。
 スポーツの国際大会が大義名分となって、そういう汚職が拡大している。工事の遅れを取り戻すためと称して予算を追加し、そこから、さらにポケットに入れる。
 スポーツ界の利権もある。
 サンパウロに建設中の新スタジアムは、ワールドカップのあとはコリンチャンズのホームになる。コリンチャンズのサポーターは400万人と言われている。
 来年は選挙がある。400万人の票を得るために、すばらしい新スタジアムを提供する必要がある。
 政治家のほうにも言い分はあるだろうが、いずれにしても「サッカーを標的にデモが行われるなんて、ブラジルでは前代未聞だ」ということだった。


サンパウロに建設中の新スタジアム。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月09日


日本の3連敗は実力どおり


コンフェデ杯旅行記(9)
6月22日(土)A組 
メキシコ2対1日本(ベロオリゾンテ)
ブラジル4対2イタリア(サルバドール)

★B級対決、メキシコにも黒星
 コンフェデレーションズ・カップの第3戦で、日本はメキシコにも敗れて3戦全敗に終わった。サポーターから見れば「ふがいない」ということになるが、客観的には「実力どおり」である。
 参加8チームのうちスペイン、イタリアの欧州勢とブラジル、ウルグアイの南米勢がAクラス。いずれも優勝をねらう力がある。
 アジア代表の日本、北中米代表のメキシコ、アフリカ代表のナイジェリアがBクラスである。Aクラスのチームを倒してベスト4入りしたいところだったが、日本とメキシコは、ともに第2戦までにブラジル、イタリアに敗れた。世界のトップクラスとの差はまだ大きい。
 第3戦は敗退したチーム同士の対戦になった。いわばB級対決である。日本はここでも敗れて「B級の下」という結果になった。これが実力である。
 
★エルナンデスが2点
 前半の日本は悪くなかった。
 遠藤のミドルシュートが、みごとにゴールを破ったように見えたがオフサイドをとられた。ザッケローニ監督は、試合後の記者会見で「あとでビデオを見てみたい」とくやしがった。これが先取点になっていれば、あるいは、その後の展開は違ったものになっていたかもしれない。
 そのほかにも、本田の攻め込みを起点に、いい形の攻めがあった。
 しかし、後半はメキシコのペースになった。
 9分に左からのクロスをエルナンデスがヘッドで決める。21分にも左コーナーキックをヘッドでつないで、またエルナンデスが決めた。
 2点を挙げたエルナンデスは、マンチェスター・ユナイテッドで香川のチームメートである。

★連戦を戦い抜く工夫を
 日本が1点を返したのは終了間近の41分。これは香川-遠藤-岡崎と渡ったいい速攻だった。
 日本は後半、クリアのボールが目立って短くなるなど、疲れがどっと出てきたように見えた。中東のドーハから続いている連戦の果てだから無理もない。
 しかし、中2日の試合が続いているこの大会では、どのチームも多かれ少なかれ疲れが溜まっているはずである。
 そういいう条件の大会を、どう乗り切っていくか。そういう工夫が必要である。運動量と気力でがんばるだけでは乗り切れない。
 イタリア戦では緩急のある試合運びがうまくいっているように見えたが、この試合では、これまでのアジア勢を相手にしてきた試合と同じような調子になっていた。
 本田のがんばりが空回りし、香川のよさを生かせなかった。
 3試合で9失点。守備の連係も今大会の問題点だった。


ベロオリゾンテのスタジアムから。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月06日


広がるデモと厳しい警備


コンフェデ杯旅行記(8)
6月21日(金) ベロオリゾンテ

★試合前日の記者会見
 試合の前日にスタジアムで両チームの公式記者会見がある。監督と選手一人が出席する。
 日本代表の第3戦、メキシコとの試合の前日はザッケローニ監督とともに遠藤保仁選手が出席した。長谷部誠主将が翌日の試合は出場停止になっているためである。
 最初の質問はブラジルの記者からだった。
 「ブラジルの国情と騒ぎについてどう思っているか?」
 ザッケローニ監督が答えた。
 「ブラジルには大会のために来て一時的に滞在しているだけなので詳しい事情は知らない。混乱があるとすれば残念なことだ」
 同じ質問が遠藤選手にも向けられた。
 「ぼくたちは厳重に守られた中で動いているので外の様子は分かりません。何の不安もなく快適に過ごしています」

★厳重な警護体制
 6月15日の開幕試合の日にブラジリアのスタジアムの外で目撃したデモは各地に広がっているらしい。騒ぎは新聞やテレビで報道されている。
 しかしスタジアムや練習グラウンドの周りは機動隊や騎馬警官や装甲車で囲まれている。チームの宿舎にもパトカーが張り付いている。 だからチーム関係者は、遠藤選手の言うように「外のことは分からない」に違いない。
 報道関係者のために指定されているホテルにもパトカーが張り付いている。多くの記者やカメラマンはメディア・ホテルから出るバスでスタジアムへ往復する。
 ただし、メディア・バスは30分あるいは1時間ごとのシャトル便だから時間帯によっては、デモの影響で交通渋滞に巻き込まれることがある。
 これは迷惑だが、試合に熱狂した群集によってバスが進まなくなることは、サッカーでは他の国でもよくある。

★福祉予算削減に反対
 デモ騒ぎは大会の始まる少し前にリオデジャネイロとサンパウロで始まったという。
 大会を前にバスと地下鉄の運賃値上げが発表された。これに対し「ワールドカップやオリンピックに大金を浪費しながら市民の足を値上げするのか」とデモがはじまった。
 値上げは撤回されたがデモはやまなかった。
 問題はバス運賃やスポーツの大会を離れ、老齢年金、医療予算、教育予算の削減反対に広がった。
 記者会見でのブラジル記者の質問は「こういう騒ぎが外国からの参加者に悪い印象を与え、来年のワールドカップ開催に影響するのではないか?」と心配してのことらしい。
 開催中止にはならないだろうが、規制に囲まれた大会はブラジルらしくない。多少の混乱はあっても明るい熱狂的なワールドカップにしてほしいものだと思った。


ベロオリゾンテのスタジアム周辺をパトロールする警官。

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コンフェデ杯2013 / 2013年07月05日


地方都市間の移動と宿泊


コンフェデ杯旅行記(7)
6月20日(木)
レシーフェ→ベロオリゾンテ

(お断り)
 大会の半ばになってパソコンが故障し原稿を送れなくなった。やむなく帰国してから続きを掲載することになった。ご心配をいただいた方にお詫び申し上げる。タイミングは遅れるが順番に続きを掲載していきたい。

★「超後期高齢者」優先
 日本対イタリアの試合の翌日、レシーフェからベロオリゾンンテに移動した。
 レシーフェの空港も大混雑だった。チェックインの長い行列に並んでいたら係員が来て「どうぞこちらへ」と別の窓口へ案内してくれた。
 4日前にブラジリア空港では大会関係者のADカードを首からぶら下げていたら優先窓口に連れて行ってくれた。
 しかし今回は、カードは鞄の中である。
 「どうして?」と思ったら「老人、障害者など優先」と掲示があった。係員が行列の中から「超後期高齢者」を見分けて選び出してくれたらしい。
 日本では電車で「優先席」の前に立っていても、若者から席を譲られることはめったにない。優先チェックインはありがたかったが、ちょっと悔しい気もした。

★ブラジリアで乗り継ぎ
 レシーフェからベロオリゾンテへの直行便が取れなかったので首都ブラジリアで乗り継ぎだった。
 ブラジルは広い国である。国内での移動の多くは飛行機に頼ることになる。しかし地方都市から地方都市へ直行の国内便はそう多くはない。直行便が取れないとブラジリア、サンパウロなど主要都市での乗り継ぎになる。
 地方都市ではホテルの数も、それほど多くない。
 その地方都市に6万人を収容するスタジアムをワールドカップの会場として改築している。
 ブラジル以外の試合には、それほどお客さんは集まらないだろうと思っていたが、そうではなかった。
 「ブラジルは移民の国だ。イタリアの試合にはイタリア系のサポーターが全国から集まる」という話だった。
 そういうわけで、飛行機便も宿泊設備も少ない地方都市に多くの観衆が押し寄せることになる。

★市内の交通も渋滞
 乗り継ぎ便が遅れたこともあってベロオリゾンテへの到着は夕方、遅くになった。
 空港から市内までバスで1時間以上かかった。ガイドブックには「40分」と書いてあったが市内に入ってからラッシュアワーの渋滞に巻き込まれた。
 さらに市内のバスターミナルからホテルまでのタクシーが、なかなか捕まらなかった。
 ふつうバスターミナルなどではタクシーのほうが行列をして客待ちしているものだが、ここではお客さんのほうが大きなスーツケースを抱えて行列していた。
 ホテルに着いたのが夜の9時。1日がかりの移動だった。
 来年のワールドカップでは、地方都市の試合への移動と宿泊はあらかじめ、しっかり研究して置く必要がある。


ベロオリゾンテのスタジアム

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