AFCアジアカップ2007 / 2007年07月31日


オシム布陣の狙いが明らかに


7月29(土) 第20日・3位決定戦
韓国 0対0 日本(延長 PK6-5)
(パレンバン・スタジアム)

◆第1戦と同じ布陣
 日本は、韓国との3位決定戦で、大会第1戦のカタールとの試合と、同じ布陣を採用した。守備プレーヤーで今野と駒野が変っただけである。駒野は第1戦のときは負傷していたので、これが、もともとの狙いの選手起用だったのだろう。前線は高原のワントップ。
 第1戦では、右サイドの加地が中盤に上がりっぱなしで、最終ラインは3人で対応する形が多かったが、この日は左サイドの駒野も攻撃的に進出して、中澤と阿部の2人だけが、最後尾に残る場面が多かった。
 結果は延長のすえ、0対0の引き分け。PK戦で韓国が3位となった。
 PK戦は「抽選」の代わりだから、勝ち負けを問題にすることはない。
 しかし、3位になれば、4年後のアジアカップの出場権を、予選免除で得られることになっているので、試合で勝っておきたいところではあった。

◆相手のワントップへの対策
 オシム監督は、試合後の記者会見で、この布陣の狙いを明らかにした。
 韓国がワントップでくることが予想されたので、最後尾は2人で対応することにした。相手が2トップであれば、3人で対応できる方法をとったであろう、という説明である。 
 攻撃については「高いボールの勝負になれば韓国のほうが有利だから、相手の守りの裏をつくすばやい攻めを狙った」と解説した。これは、長身の巻を起用しなかったことについての解説である。ただし、なぜ高原のワントップだったかの説明にはなっていない。
 佐藤と並べてツートップの手もあったわけである。
 選手たちが、連戦で疲労の極に達していたので、こてまで出場の機会の少なかった選手を使ってみる考えもあったが、この点は「サウジアラビアに敗れた選手たちに、もう一度、機会を与えた」ということだった。

◆モチベーションのない戦い
 試合後の記者会見は、他の国の記者たちとの共同会見で、数ヶ国語の通訳が入る。時間の制約が大きい。だから詳しい説明は、日本に帰ってから知る機会があるかもしれない。
「伝統の日韓戦をパレンバンで見たくはなかった」というのが記者席の「本音」である。
 3位決定戦は、多くの場合、重要性の乏しい「コンソレーション」である。勝利への意欲を燃やす要因が少ない。「次回大会予選免除」はモチベーションには、なり得なかっただろう。選手たちにとっては次回大会の予選に、自分が出なければならないかどうかも、分からないのだから、なおさらである。
 それでも、双方の選手たちは、一生懸命に戦った。「日韓の歴史的な因縁だけがモチベーションになって欲しくないな」と案じていたが、いまの若い選手たちに、そんな「こだわり」はないようだ。スポーツのために、プロらしく、疲れた体に鞭打って戦っていた。その点は、すがすがしかった。


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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月31日


日本の敗因は個の力の差


7月25日(水) 大会第16日・準決勝
サウジアラビア 3対2 日本
(ハノイ・ミーディン・スタジアム)
イラク 0対0 韓国(延長 PK 4-3)

◆敗退は番狂わせではない
 日本は準決勝で敗れて3連覇はならなかった。これは番狂わせではない。サウジアラビアは、もともと日本、オーストラリアと並ぶ優勝候補であり、ここまでの戦いぶりは日本と同じようによかった。優勝候補同士のきびしい勝負をみごとに勝ったというべきだろう。
 日本の敗因は、鋭い個人技を持つ選手を防ぎきれなかったことだ。
 前半36分の1点目は、左後方からのフリーキックを放り込まれ、ヘディングで競り負けて落ちたボールをアルカタニのみごとなボレーシュートで決められた。
 すぐ同点にしたあとの後半立ち上がりに、サウジアラビアが再びリードした。右隅からのアルバーリの送球をマレクがヘディングで叩き込んだものだが、その前にボールを右に出したタイセールのプレーが良かった。日本の3人がかりのマークをかわしてパスを出し、オーバーラップしたアルバーリを生かした。

◆強力ドリブラーは相手にいた
 日本は、すぐまた同点にしたのだが、サウジアラビアは、その4分後に三たび勝ち越した。マレクが左サイドから速いドリブルで食い込み、阿部、中澤、加地と次つぎにかわしてシュート。日本に欲しいと思っていた「高速、強力なドリブラー」は相手チームにいた。
 マレクは23歳。身長167㌢とむしろ小柄である。しかし、たくましく、巧みで速く、チャンスには遠慮なく自分でプレーしようとする。
 外国でのプロ経験のない若い選手が、技術と速さを持ち、積極的に自分のよさを出してプレーする。そこに、今度のサウジアラビア・チームのよさがあった。
 日本が先行されながら、2度もすぐ追いついたのはよかった。点を取られると、中村俊輔が、にわかに積極的に自分のプレーをしようとするのが目立った。しかし、3点目のあとは続かなかった。日本は反撃したが「無理押し」の攻めだった。

◆奇妙なオシムの弁明
 オシム監督は、試合後の記者会見で「中心選手が疲労のために集中力を欠き、アイデアが出せなかった」と弁明した。俊輔が3点目をとられたあとに、いい攻めを組み立てられなかったのは、そのためかもしれない。日本の2点がともにコーナーキックからだったのも、そのせいかもしれない。オシム監督の説明は、その限りでは正しい。
 しかし、そのあとの説明は、すっきりしなかった。
 「今後の課題として、全面的な能力のある、どのポジションでもできる選手が必要である。中心選手でアイデアはあるが全面的な能力に欠ける選手がいる。名前はあげないが、ずっと試合を見てきている皆さん(記者たち)には、お分かりでしょう」
 これは、奇妙な言い方である。敗因は、アイデアのある選手が「オールラウンド・プレーヤーではなかったこと」にあったわけではないのだから。
 
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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月23日


欲しい強力なドリブラー


7月21日(土) 大会第12日 準々決勝 
日本 1対1 オーストラリア(延長 PK 4-3)
(ハノイ・ミーディン・スタジアム)
イラク 2対0 ベトナム(バンコク)

◆圧倒的に攻めながら引き分け
 準々決勝はいい試合だった。日本は攻撃で秘術を尽くし、オーストラリアは守りでディフェンス陣が好プレーを連発した。
 圧倒的に攻めていた日本にとって、引き分けは残念だったが、PK戦ではあっても、ベスト4に進出したのは、試合内容から見て順当だった。
 しかし、美しい試合ぶりは、またしても勝利には結びつかなかった。
 1対1になったあと、ゴール前に下がりきりのオーストラリアの守備網を、外側から取り囲むようにして攻め続けながら、ゴールを破ることができない。76分にオーストラリアの選手にレッドカードが出て、相手は10人になり、ますます守備的になった。
 こういう「カタツムリ戦法」を破るための一つの方法として、強力でタフなドリブラーが欲しい。

◆「カタツムリ守備」を破るために
 下がりきりの相手守備網を破るために「強力なドリブラーが欲しい」。この考えは、前年のワールドカップのときにも書いた覚えがある。しかし、現在の日本のサッカー界で、そういうタイプの選手を求めるのは難しい。
 日本は、オーストラリアの「カタツムリ守備」に対して、あの手、この手を試みた。
 相手守備網の外側で、中村俊輔を中心にパスを回し、わずかなスペースを見つけえてパスを出す。オーバーラップや短いパス交換でサイドに食い込み、ゴール前へボールをあげる。ドリブルで突っ込むと見せて後ろへ戻し、守備網の外側からミドルシュートを打つ。
 あらゆる方法を駆使して、かなり多くの絶好機を作り出したのだが、ついにゴールには結びつかなかった。ただ一つ、使うことができなかった手段は、強力なドリブル突破のできる「スーパーサブ」の起用である。

◆オーストラリアの守備のよさ
 日本が得点できなかったのは、オーストラリアの守備がよかったためである。
 先ず、ゴールキーパーがよかった。高いボールに強いことは想定できたが、低いシュートにも反応がすばやかった。
 また、ディフェンダー同士、あるいはディフェンダーとゴールキーパーの連係が緊密だった。高原がマークを振り切って、わずかなスペースに走りこんでも、パスが来るのとほとんど同時に他の守りが詰めていた。
 強力なドリブラーがいても、このしっかりした守りの網を破ることはできないかもしれない。
 しかし、強引にペナルティエリアに突っ込むことによって、網の目のゆるみができ、ほかの多彩な攻めが生きてくる可能性がある。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月22日


グループ・リーグ総括


7月18日(水) 大会第11日(続)
D組 サウジアラビア 4対0 バーレーン(ジャカルタ=TV録画)
C組 イラン 2対0 マレーシア(クアラルンプール=TV録画)

◆多チャンネル時代の国際イベント
 4カ国で4組に分かれて行われたグループ・リーグが終わり、ベスト8が決まった。
 ハノイに滞在して、日本の属しているB組の試合は競技場で見た。他の会場国での試合も、ベトナムテレビのケーブルチャンネルで、香港の「スタースポーツ」の番組を中継しているのを見ることができた。
 グループ・リーグの最終日は、同じ日に2カ国で2試合ずつ行われたので、全部を生中継で見ることはできないが、翌日からの試合のない日に、録画を繰り返して放映してくれた。だから24試合全部を見ることができた。
 衛星中継とデジタル化によってテレビの世界が大きく変わったおかげである。多チャンネルになり、グローバルになった。スポーツが、もっとも、その影響を受けている。このアジアカップも「多チャンネル時代の国際スポーツ」のイベントである。

◆中東勢3カ国が進出
 広いアジアを地域別に見ると、ベスト8に残ったのは中東勢がサウジアラビア、イラン、イラクの3カ国。この地域からの出場国数が7ともっとも多かったので、勝ち残ったチームが多いのは当然だが、チームのレベルは安定している。
 サウジアラビアは,D組最終戦で、同じ中東のバーレーンに4対0で勝った。4人の浅い守備ラインで、個人の判断力を生かして守っているが、ときどき裏側を突かれて危ない場面もあった。攻撃はスルーパスやオーバーラップを適切に使ってスマートである。しかしシュートは不正確だった。大量点をあげられたのは、バーレーンの守備が粗雑だったからである。
 C組のイランはマレーシアに危なげなく勝った。
 4組を通じて全勝はなし。勝ち点7はサウジアラビア、イランおよび日本である。

◆相手に恵まれたウズベキスタン
 予選なしで出場した開催国の東南アジア勢で、決勝トーナメントに進出したのは、B組のベトナムだけだった。しかし、どのチームも従来の東南アジアのひ弱さからは脱皮しようとしている。その原因の一つに、テレビのグローバル化をあげることができるかもしれない。欧州の高いレベルのサッカーを日常的に見ることができるようになっていることの影響があるだろう。ベトナムとインドネシアについては、外国人監督の力もある。
 オーストラリアの攻撃力は、予想に反して、ぱっとしなかった。力はあるが、前年のワールドカップのイメージで、日本のメディアが過大評価しているのかもしれない。
 中央アジアのウズベキスタンは、中国とマレーシアに勝って進出したが、テレビで見た限りでは、個々の選手の判断が遅く、攻めは雑である。守りは体当たりが多い。進出は相手に恵まれた感じである。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月21日


東アジア勢の明暗


7月18日(水)大会第11日
D組 韓国 1対0 インドネシア(ジャカルタ=TV)
C組 ウズベキスタン 3対0 中 国(クアラルンプール=TV)

◆疲れを知らぬ韓国
 グループ・リーグの最終日は、クアラルンプールでC組の2試合、ジャカルタでD組の2試合が行われた。同じ組の2試合は同じ時間に、別の会場で行われるが、ジャカルタとクアラルンプールの試合には、キックオフに2時間15分の間を置いてある。テレビで2試合を見られるようにしてあるわけである。
 午後5時20分からのD組では、韓国が地元インドネシアに1対0で勝って進出を決めた。しかし、前半31分の1点のリードをかろうじて保った試合で、順当な勝利とはいえない。前半の形勢は五分五分で、攻めの形はインドネシアのほうがよかった。
 ただ後半に暑さのなかで、韓国が疲れを見せずに動き回っていたのには感心した。しかし、テレビで見た限り、韓国のよさはそれだけ。ベスト8にふさわしいチームかどうかは、今後の試合を見なければ分からない。

◆中国は反則で自滅
 クアラルンプールでは、中国がウズベキスタンに完敗して姿を消した。
 暑さのためだろう。双方とも、ほとんど走らないで、ゆっくりしたペースでボールをつないでいた。前半は、ともにミドルシュート以外にはチャンスらしいものはなかった。
 後半になって、71分と87分にウズベキスタンが得点した。どちらも中盤からのフリーキックをゴール前へ放り込み、ゴールキーパーがこぼしたのを押し込んだものだった。
 中国のゴールキーパーの拙守とディフェンダーとの連係ミスが重なった形だが、問題は、その前にフリーキックを招いた反則にある。
 どちらも、中盤でウズベキスタンの選手がドリブルで攻め込もうとしたのを、中国の選手が背中を手で押して止めたものだった。相手の突破を安易に反則で止めたのが、自滅につながった。

◆ベスト8にふさわしいのは日本だけ
 中国は、後半の追加時間(アディッショナル・タイム)に入ってから3点目を取られた。これもフリーキックからだった。
 中国が安易な反則で守ろうとしたのは、この試合だけではない。
 7月10日のC組の初戦でマレーシアに5対1で大勝したとき、4対1とリードしている場面で、マレーシアの反撃を体当たりや足を上げてのタックルで止めて、警告をとられた場面があった。大会がはじまったばかりである。警告の累積は、その後の強敵との対戦に影響するおそれがある。中国には、個々には技術のある選手がいるが、チームとしては規律が保たれていない。
 東アジア(東北アジア)の3チームのうち、これまでのところ、ベスト8にふさわしい試合をしているのは、日本だけである。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月21日


競合いながらの俊輔の視野


7月16日(月) 大会第9日
B組 日本 4対1 ベトナム(ハノイ・ミーディン・スタジアム)
B組 カタール 2対1 UAE(ホーチミン)

◆ベトナムに快勝、ベスト8へ進出
 グループ・リーグの最終戦で、日本は地元ベトナムを破って、B組トップでベスト8進出を決めた。
 結果としては、4対1の快勝だったが、簡単に勝てたわけではない。
 立ち上がりはベトナムが攻勢で、日本は7分に先取点を取られた。左コーナーキックがゴール前で鈴木啓太の足に当たって入った「オウンゴール」だが、ベトナムのキックの狙いは鋭かった。
 ベトナムは、決勝トーナメント進出を、アジア・チャンピオンと争う苦しい立場だった。それでも、なんとか活路を見出そうという意欲は強かった。
 中村俊輔、遠藤保仁をマークしようと、ワントップの布陣で中盤を厚くし、連係のいい網の目の守りで日本の攻めの起点を抑えた。

◆きびしくマークされながら見る
 日本が立ち直ることができたのは、早い時間帯で同点にできたためである。
 12分に左サイドに出ていた俊輔にボールが渡り、俊輔がゴール前ファーサイドの巻を狙って出したパスがぴたりと合った。
 左コーナー近くで相手と競合い、足技でかわしながら、少なくとも2度はちらりとゴール前を見て正確なパスを蹴った。「あらかじめ見る」という個人戦術の基本を、きびしいマークと競り合いながら実行できるところが、すばらしい。
 31分に20㍍あまりのフリーキックを遠藤が決めて勝ち越し。後半にはいった53分に左サイドを遠藤-駒野-遠藤で突破し俊輔のシュートで3点目。これで勝負が決まった。
「ベトナムへの戦法を、フィールドの上で選手が自分たちで判断して対応し、ペースを取り戻した。そこがよかった」とオシム監督は選手たちの自主的な判断を誉めた。

◆ベトナムも決勝トーナメントへ
 59分に遠藤の蹴った左サイドのフリーキックから巻がヘディングを決めて4対1。満員の地元観衆は諦めムードだったが、後半なかばからスタンドの様子が変わった。
 同じ時間帯にホーチミン市で行われている試合で、UAEがカタールに同点に追いついたという情報がはいったからである。人指し指を1本ずつ出して「1対1」を示すゼスチュアがスタンドを駆けめぐる。このまま、ホーチミンの試合が引分けなら、ベトナムは決勝トーナメントへ進出できる。最終的には、2対1でUAEが勝ち、ベトナムは日本には敗れたが決勝トーナメント進出が決まった。
 試合後、夜のハノイ市内は、オートバイに2人乗り、3人乗りで繰り出した若者たちの「べ・ト・ナム! べ・ト・ナム!」の歓声で埋まった。地元を破った日本のサッカーに対しては恨みよりも賞賛の声が強かった。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月20日


東南アジア勢の健闘


7月12日(木) 大会第6日
B組 ベトナム 1対1 カタール(ハノイ・ミーディン・スタジアム)
A組 タイ 2対0 オマーン(バンコク=TV)

◆ベトナム、痛恨の引き分け
 アジアカップのグループリーグは2巡目(マッチデー2)に入った。
ハノイのB組では、地元ベトナムが、リードしている試合を、終盤に同点にされて引き分けた。
 ベトナムは、第1戦ではUAEを2対0で破っている。この試合に勝てば勝ち点6になってベスト8進出が確実になるところだった。痛恨の引き分けである。
 日本にとっても、残念な結果だった。日本は初戦でカタールに引き分けているので、翌日のUAE戦は勝たなければ話にならないが、勝って勝ち点4となってもグループ最終戦の相手がベトナムである。ベトナムの進出が決まっていれば、地元の熱狂的な観衆に囲まれていても、お互いに楽な気持ちで戦えるところだった。しかし、ベトナムの第2戦引き分けで、グループ最終戦はベスト8進出をかけた対決になりそうである。

◆格下の前評判を覆す
 大会前の予想では、B組は前回のアジアカップ優勝の日本、アジア競技大会優勝国のカタール、湾岸選手権優勝のUAEによる争いで、ベトナムは格下だと思われていた。
 初戦でUAEに2対0で勝ったが、地元での初戦だったからのようにも思われた。格下のチームは初戦に照準を合わせて準備する。開催国であればなおさらである。相手は、慣れない土地で慎重に出方を見る。だから番狂わせを演じることができたのだと思われた。
 しかし、第2戦を見ると、ベトナムのサッカーの進歩は明らかである。中盤での守りが厚く、中盤からの攻めの組み立てもいい。
 ただし、前半31分の先取点はラッキーなものだった、カタールのゴールキーパーの信じられないようなミスによるもので、楽に抑えたようにみえたボールをこぼし、自分からゴール内に持ち込んでくれた形だった。

◆カタール終盤の力攻め
 その後は、互角でベトナムのほうが、ややいいように見えた。
 しかし、最後の25分間は、カタールの力攻めに満員の地元観衆がはらはら、どきどきする場面が続いた。カタールのシュートがポストやバーにはね返るラッキーもあった。
 後半も終わりに近い76分、ついにカタールが同点にした。右寄りからゴール前へあげたボールをウルグアイ育ちのキンタナがヘディングで決めた。疲れの溜まった終盤に身長差にものをいわされた形だった。後半はじめに、守備ラインの中心の1人がケガで交代したのも痛かった。
 この日、バンコクのA組では、地元のタイがオマーンを破った。A組も中東勢とオーストラリアの中で地元タイは格下扱いだったのだが、意外な頑張りである。地元の利ばかりとはいえないようだ。D組のインドネシアも初戦でバーレーンに勝っている。東南アジア勢の健闘は、偶然ではなさそうだ。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月16日


オシム監督は現実主義者


7月13日(金) 大会第7日
B組 日本 3対1 UAE (ハノイ・マイディン)
A組 イラク 3対1 オーストラリア (バンコク=TV) 

◆ベストの布陣、高原が2ゴール
 日本の第2戦は、ベスト・メンバーでベストの布陣だった。
 守備ラインは駒野が復帰して4人。前線は巻を起用してツートップ。4:4:2のオーソドックスな形である。
 中村俊輔が、右サイドから内側にはいって攻めを組み立てた。前半15分過ぎから、中盤下がり気味の地域で動いて、幅広く視野を広げてパスを出したのがよかった。2人のボランチ、とくに中村憲剛との組み合わせがよかった。
 22分に遠藤からのショートパスを受けた俊輔がゴール正面に絶好のパス。高原が走りこんで、ぴたりと合わせた。
 27分には右後方から加地の出したボールをまた、高原が決めた。初戦の貴重な1点とあわせて今大会計3点。「フランクフルトの高原」と地元の新聞に書かれるだけのことはある。

◆暑さ対策の「走らぬサッカー」
 3点目は42分のPKで俊輔が決めた。右から入り込んだ遠藤のボールを奪おうとゴールキーパーが飛び出し、キーパーの足が遠藤の足に引っかかったための反則。遠藤がパスを出したあとであり、トリッピングは、はずみのようなものだったから、これで「警告」まで出されたのはUAEにちょっと気の毒。
 形勢からみて、前半3点のリードは、ほぼ安全圏である。
 UAEは「後がない立場」だから、2トップを残して反撃を狙うが、日本がほとんどボールを支配しているので、守備ラインがずるずるとさがる。そのために中盤に大きなスペースができ、日本はゆうゆうとパスを回した。
 「走るサッカー」とは、ほど遠いパス回しだったが、この日の暑さからみれば、当然の策である。
 
◆個の強さが欠ける日本
 座っていても、全身にじっとりと汗がまとわりつく暑さだった。「こんな状態では、自分たちは走らないで、相手をいかに走らせるかが勝負だ」とオシム監督は話した。「しかし、ボールは疲れないから、ボールを動かすサッカーをした」という。
 当たりまえのことだが、「走るサッカー」がモットーのように言われていたオシム監督が話すから違和感がある。前年には「欧州組は使わない」というようにも伝えられたが、本番になるとドイツへ行っている高原直泰とスコットランド・セルチックの最優秀選手、中村俊輔を中軸に戦っている。オシム監督は「現実主義者」である。
 後半、日本は圧倒的にボールを保持していたが、66分に強力な速攻逆襲で1点を返された。チームとしてはすばらしいが、個人の強さ、速さの勝負になるとやられる。ここが日本のサッカーの弱点である。


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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月16日


日本の試合ぶりがナンバー・ワン


7月11日(水) 大会第5日
D組 韓国 1対1 サウジアラビア (ジャカルタ=TV)
C組 イラン 2対1 ウズベキスタン (クアラルンプール=TV)

◆全チームが出揃う
 アジアカップ第5日で、出場16チームが、それぞれ1試合ずつを終えた。この大会で使われている用語でいえば「マッチデー1」が終わったわけである。
 その8試合のうち、3試合をスタジアムで見て、5試合をテレビで見た。その段階での感想は「日本のサッカーが、ナンバー・ワンだ」ということである。
 日本は初戦でカタールと引き分けた。ハノイからインターネットで日本国内の反響を見たところでは、この結果に失望したファンが多いようである。しかし、試合振りは、日本がいちばんいい。他の優勝候補では、中東のチームは相変わらずだし、韓国やオーストラリアは、むしろ後退している。東南アジアのサッカーは伸びてきているが、まだ、優勝を争うレベルではない。
 日本は、やはり最有力の優勝候補である。

◆正確さと判断の早さ
 慣れない暑さのなかで、ほぼ2日おきに連戦する大会で、労働量に頼る「走るサッカー」をしていては続かない。ムダなエネルギーの消耗を避けなければならない。
 テクニックや体格・体力のような個人の強さでは、他の国にすぐれた選手が多い。だから「個対個」で勝負する場面が多くなるようでは、日本は不利である。
 この大会を勝ち抜くために、もっとも重要なのは、第一には正確さでる。不正確なパスでボールを失うことが多いとムダな労働量が増える。
 もう一つ、重要なのは「判断のすばやさ」である。「個対個」の競り合いを避けるためには、すばやく、早めにパスを回さなければならない。
 これまでの試合振りを見た限りでは、正確さと判断のすばやさでは、日本がすぐれている。

◆韓国は退歩している?
 ジャカルタのD組の試合で、韓国とサウジアラビアは、1対1で引き分けた。
 前半は0対0。後半になって、66分に韓国が先取点をあげたが、10分後にサウジアラビアがPKで同点にした。
 前半の韓国は、下がり気味に守って、相手がハーフラインを越えて来たところで、激しい集中守備をしていた。攻めは単発的な放り込みだった。よく頑張るが、ムダの多いサッカーである。後半は疲れて労働量が落ちていた。
 2002年のワールドカップのときは、ヒディンク監督が、韓国のサッカーのよさを引き出していたが、今回のチームは、この試合をテレビで見た限りでは、もとに戻っている。
 サウジアラビアは、後方でパスを回しながら縦への攻めを狙っていた。決定的なチャンスは韓国より多かった。守りはセンターバックがうまい。

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AFCアジアカップ2007 / 2007年07月16日


西村雄一主審のファインプレー


7月10日(火) 大会第4日
D組 インドネシア 2対1 バーレーン(ジャカルタ=TV)
C組 中国 5対1 マレーシア(クアラルンプール=TV)

◆評価高い日本の審判
 今回のアジアカップは、東南アジア4カ国の共催で、ほとんどの日に2カ国で1試合づつある。同じ日の2試合は、夕方から夜にかけて時間をずらして行われる。2試合ともテレビ生中継で見られるようにしてあるわけである。
 そこで、滞在中のハノイで試合のない日は、冷房のきいたホテルに閉じこもってテレビ観戦することにした。香港ベースの「スター・スポーツ」の映像を、ベトナム・テレビが全試合中継してくれる。アナウンサーは英語である(ほかに中国語と広東語もあるらしい)。
 ジャカルタの開幕試合、インドネシア対バーレーンの対戦の主審は、日本の西村雄一だった。試合前にアナウンサーが「日本の審判はレベルが高い」と紹介していた。
 この大会には主審16人と副審22人が選ばれている。日本からは主審に西村、副審に相良亨が入った。

◆選手の演技にだまされない
 西村主審の笛は、文句なしにすばらしかった。
 最近の国際試合では、体当たりの反則が多い。ボールを持っている相手に体当たりを食らわせておいて、自分からひっくりかえって地面をのた打ち回って転がる。まともにボールを奪いに行ったら、相手に突き飛ばされたというゼスチュアである。
 テレビで見ていると、そういう場面をスロービデオで再生するから、「ごまかし」が、よく分かる。しかし、主審はビデオを見るわけではなく、一瞬のうちに判定しなくてはならない。これが、なかなか難しい。
 西村主審は、こういう「ごまかし」にまったく、だまされなかった。しっかり見ていて、的確に笛を吹いた。出すべきときにはイエローカードを使ったが、ゲームの進行のリズムは壊さなかった。副審との連係も、選手に対する態度も申し分なかった。

◆地元チームの明暗
 テレビで見ている限り、汚い反則はインドネシアに多いようだった。ただし、2対1の勝利は、順当な結果である。
 ゴール前で持ちすぎるのは、東南アジアのサッカーの欠点である。それは相変わらずだが、攻め方は現代的になっている。サイドチェンジやスルーパスを巧みに使う。
 先取点に追いつかれて、前半は1対1だったが、69分の決勝点は、下がって守るバーレーンをミドルシュートで崩して決めたものだった。
 ジャカルタのゲロラ・ブンカルノ競技場を埋めた赤のサポーターは、喜びにわいていた。
 一方、クアラルンプールのC組では、マレーシアが中国に大敗した。
 開催国の地元チームが健闘しているなかで、マレーシアだけは守りが弱すぎるようである。中国の大量得点は、必ずしも高く評価はできない。


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