ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




民家。文京区本郷2-37。1989(平成1)年5月5日

弓町本郷教会の横を東へ春日通りと平行にいくとすぐ三叉路にぶつかる。その角にあった長屋風の家。写真右奥が春日通りで、春日通りに面して裏側を見せているビルは野口米店。写真の家は現在、5階建てのビルに替わっている。
春日通りとのもう一方の角はアライ理髪店のビル。アライビルというらしい。ぼくは見たわけではないが、ビルに建て替わる前は出桁造りの商家の前面を看板建築風にした建物だった。この辺りの春日通りは昭和60年頃に拡幅されたので、アライ理髪店の正面は横丁の側にあった。この床屋がかつて「喜之床(きのとこ)」といって、石川啄木が住んだことで有名な店である。
現在の店の入り口脇の壁に、平成4年に文京区教育委員会が設置した「啄木ゆかりの喜之床旧跡」のプレートがある。そこに「……喜之床(新井理髪店)は明治41年(1908)の新築以来、震災・戦災にも耐えて、東京で唯一の現存する啄木ゆかりの旧居であったが、春日通りの拡幅により、改築された。昭和53年(1978)5月啄木を愛する人々の哀惜のうちに解体され、70年の歴史を閉じた。旧家屋は、昭和55年(1980)「明治村」に移築され、往時の姿をとどめている……」とある。明治村の喜之床は明治大正期の店構えを復元したものらしい。

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