ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 





則武荘
墨田区東向島1-10。2009(平成21)年3月29日

鳩の街通り商店街に「こぐま」というカフェ(カフェーではない)があるが、その角を東へ入った横丁にある建物。住宅地図では則武荘というアパートらしいが、平屋・陸屋根の部分は町工場だろう。この建物の裏に回ると、2階建て瓦屋根・モルタル壁・外階段の普通のアパートの外観である。古い地図に「則武撚糸工場」とあった。
撚糸(ねんし)とは糸に撚り(より)をかけることで、布に織り上げる前の工程である。向島に紡織産業もあったのかと少し意外な気がした。いつ頃まで工場は稼働していたのだろうか? 戦後も昭和20年代だったら操業していたかもしれない。実際に線引きがあったということはなさそうだが、この工場も赤線地帯に含まれていたと思える。工場にすれば、なんだかわからないうちに回りの家がカフェーに変わってしまった、というところだろうか。
中古建築愛好会>木造系>旧則武撚糸工場』というサイトに内部の写真が載っている。「向島博覧会2000」というイベントで会場になったときのものである。それを見ると、驚いたことに工場の機械はそのままで残っている。立派な産業遺産で、「近代化遺産」に登録してもいいくらだ。少なくとも街の観光資源と活用できると思う。

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