ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




三井住友銀行呉服橋出張所(旧日本相互銀行本店)
中央区八重洲1-3。2005(平成17)年12月17日

前川國男が戦後のオフィスビルの先駆けとして設計したことで有名なビルだ。「日本相互銀行本店」という竣工時の名称で言われることが多い。今写真を見ると、意外に小さい。『清水建設二百年史』で竣工時の写真を見ると、外観はほとんど変化がないようだ。1952(昭和27)年7月竣工、施工は清水建設。清水建設は同年、近くの日本橋や丸の内に、ブリヂストンビルヂング(1月、松田平田設計事務所)、新丸ノ内ビルヂング(11月、三菱地所)、丸善本店(12月、清水建設)などを建設している。この年あたりからビル建設に関しては、本格的な戦後の復興が始まったのかもしれない。
ビルの特徴や意義を『 旧・日本相互銀行本店の保存に関する要望書』から引用する。2006年6月にDOCOMOMO Jpanから三井住友銀行に出された文書である。
当ビルは1952年度の日本建築学会賞を受賞した前川國男の代表作で、歴史的にも重要な建物だとして、「戦後の復興期に、日本の新建築の進むべき方向を示そうという、前川の高い志に支えられてつくられたもの」であり、「近代技術を積極的に活用した新しい建築をめざし、率先してその方法を開発しようとした」。つまり、「軽量化を図るために、2 階までを鉄骨鉄筋コンクリート造、3 階から9 階までを全溶接の鉄骨造にし、外壁にはアルミサッシュと軽量のコンクリートパネルを採用」。それによって「1 階の大スパンの大きな営業室や、軽快でモダンな外観をつくりだした」ということである。
隣の「八重洲龍名館」は前川と吉江憲吉の設計で、今はこれも建て替えられた。清水建設の施工、1963(昭和38)年6月の竣工。
永代通り沿いにあった住友海上ビルと井田ビルが解体されている。それ以前に撮影しとくのだった。



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