ぼくの近代建築コレクション
東京の都心と下町を中心に、戦前に建てられた古い建物の写真を投稿していきます。
 




特許庁。千代田区霞が関3-4。1986(昭和61)年7月27日(5枚とも)

新聞で「特許庁が取り壊しに」という記事を見て、わざわざ出かけて撮影してきた。すでに業務は行われてはいないようで、敷地の西側から正面にかけて工事用のフェンスで囲まれていた。写真を撮っているおじさんがぼくの他に一人だけいた。
建てられた当時の特許庁は、商工省の外局で「特許局」だった。住所は東京市麹町区三年町一番地だったから、建物も「三年町庁舎」と呼ばれていたという(「特許庁写真集」)。1949(昭和24)年に通商産業省が設置されてその外局となり、特許庁となった。特許局が写真の新庁舎に移ったのは1934(昭和9)年8月27日。商工省の他の部局も一緒だったのかもしれない。昭和22年の地図では「特許標準局、石炭省」の記載がある。
『日本近代建築総覧』では「特許庁、建設年=昭和9年、構造=RC4、設計=大蔵省営繕管財局、施工=安藤組」。平面は中庭が二つある「日」の字形。外観はスクラッチタイルを張った、これという特徴もないような、官庁建築といったらいいだろうか。玄関上部にテラコッタの装飾を置いているのは、同時期に建った自治省(旧内務省)や文部省と同じで、外観も似ているような、そうでもないような……。







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