上砂理佳のうぐいす日記

やっと秋らしくなりましたが、まだまだ日中は陽ざしがきついです。寒暖差で風邪をひかないように★

萩尾望都SF原画展★

2017-11-29 | アート・音楽・映画・本・舞台・ドラマ

 「スターレッド」

先月のことになりますが、展示終了ギリギリセーフ!で「萩尾望都SF原画展」に行ってきました。
「神戸ゆかりの美術館」とはポートアイランドにあるのですが、いや10数年ぶりにポーアイに(笑)。三宮や元町や西宮は行きますがここは滅多に来ない…久しぶりに来たらちょっとゴーストタウンっぽくなってて寂しい。でもおかげでゆっくり見られたかな。
私と似た年代とおぼしき女性も、若い人も、平日早い時間でしたが展覧会自体はけっこうお客さんいらしてました。


 「百億の昼と千億の夜」

いや~素晴らしかったです!
なんたって伝説の「あそび玉」の原画(コピー)から年代別に進んでいって、「モー様の歴史」がよく解ります。
「あそび玉」は、超能力を持つ人間を排除する近未来社会で、「僕はあそび玉を動かせる!」ことに気付いた少年の物語ですが、雑誌掲載後だいぶたってから、もと原稿が紛失してることが判明し、単行本収録が出来なくなった!
故に「読むことが出来ないけど素晴らしい作品」「幻の名作」として、モー様ファンの間で語り継がれていたのです。
今ここでコピー復刻といえど、なんて素晴らしい絵なのかと思います。
1コマ1コマに魂が宿っていて…この密度で何ページ、何万枚ページ…と描いていくのですから、ホントに漫画家ってすごいですね。並みの人間なら、1コマ描いただけで倒れそうです(笑)。
「6月の声」「精霊狩り」…私の大好きな「ユニコーンの夢」なんて、もう泣いてしまった(笑)。美しすぎて。
もちろん「11人いる!」も「スターレッド」「銀の三角」もありました。全体的に漫画原稿がどの時代にも偏ることなく、ファンには「あの作品が無い!残念!」ってことなく大満足の展示です。私が考えるに、萩尾さんの大ファンの人がプロデュースしているに違いない!

モー様の原稿は、意外と「ホワイト」=白で修正する部分が多くて、1枚(頁)の原稿で10か所以上はありました。
それだけ妥協を許さず粘りに粘って作成してらっしゃるのだな、とこれまた感激。
昔はデジタルがありませんから、スクリーントーンという「紋様・模様のシール」みたいなものがあって、それをペンで描いた上に貼り込むのですが、そのスクリーントーンの上にまた「ホワイト」で線や点を塗る。そうすると、星屑や、爆発する時の効果線になります。
その描写も丁寧で…ホントに1枚1枚が芸術品だとタマげました!
そして、当たり前のようですが、「漫画で見たのと同じ」生原稿でした。描いた通りに印刷されている印象です。
もっともそれはコミックスの話で、雑誌で掲載されていた当時は(特に昔は)紙の質が悪いから、ここまで美しく再現できてなかったかも。


 「マージナル」

写真のように、大きなスクリーンに拡大されたカラーの絵とか、撮影用スタンディングなどがあり、最近は「マンガ」を「アート」として展示する技術も、すっかり確立されているように見えます。
そして、ハヤカワSF文庫の表紙イラストとか、私が見たこともない絵も沢山ありました。
こうして30年以上(40年?)に及ぶモー様の仕事の跡をたどると、初期と現在では絵柄はもちろん違っているのですが、「基本的に貫かれているもの」=「絵の魂」的なものは全く変わらず、熱量も変わっていない。
一人の作家さんとして「人間・萩尾望都」がドーン!というか、連綿と貫かれていることに、またまた感激するのでした。

撮影は出来ませんでしたが、「百億の昼と千億の夜」の阿修羅王の墨絵タッチの原画がありました。
これは絵本に収録されているので、私は見たことがありましたが、原画は全紙サイズほどでかい!
こんなに大きな絵も描かれるんだ~と、驚きました。漫画家さんって小さい絵しか描かないと思ってましたから。この絵のタッチが荒々しく素晴らしく、どこかのお寺に飾っておきたくなりました(笑)。
阿修羅王は、マンガでは16歳ぐらいの少女の姿で描かれていますが、原作の光瀬龍さんの描写では、少年とも少女とも、どちらにもとれるようになっているそうで。

すんごく高かったけど、図録も買ってしまいました(笑)。もうこうなるとアカン。止められないね(笑)。
来年は年始そうそう、ポーの一族も宝塚で舞台化されるし、ますますモー様熱は高まってしまう私でした★
コメント
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