バイオの故里から

バイオ塾主宰・Dr.Kawanoの日々、収集している情報(DB原稿)をバイオ塾メンバー向けて公開しています。

実行可能な新型インフルエンザ対策

2012年04月05日 | 感染症 ワクチン 抗生物質 食中毒
菅谷憲夫
 2009 年に発生した新型インフルエンザ,H1N1/09 の流行で,日本の死亡例は200 前後と極端に少なかったことは知られているが,最近,世界各国による共同研究で人口動態から計算した超過死亡も同様な数であり,日本の新型インフルエンザの死亡率は世界各国のなかでもかなり低いと考えられた.その主要な原因は,日本で確立していたインフルエンザ迅速診断とノイラミニダーゼ阻害薬治療を徹底したためと考えられる.毎年のインフルエンザ対策を有効性と安全性を検討しながら,さらに進歩させて,たとえば今年みられたような高齢者施設でのインフルエンザ被害を抑えていくことは,もっとも有効な実行可能な新型インフルエンザ対策でもある.新型対策として,毎年実施していない対策を立案することは(たとえば国民全員のワクチン接種),有効性や安全性に疑問があるうえ,実行可能性に乏しい.医学のあゆみ 241巻1号(2012-04-07