イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

こっくりふっくり

2009-05-12 23:24:06 | 昼ドラマ

次クール61日からの昼帯ドラマ『夏の秘密』の情報で、もうひとつ楽しみなのは、昨年の夏クール作『白と黒』に続いて岩本正樹さんの音楽に再び会えることですね。こちらも昨年に続くメイン演出登板の奥村正彦監督がご自身のブログで情報を提供して下さいました。

06年の『美しい罠』以降、この枠でCD化された岩本さんのサウンドトラック作品はコンプリートしてきましたが、気がつけばここ最近は、洋・邦を通じていちばんの個人的ヘヴィーローテーション盤シリーズになっています。

『美しい罠』、07『金色の翼』08年『白と黒』と、ドラマ本編も見応えのある作品が続き、いまでも録画したビデオやDVD(『金色~』だけは本放送中デジタル未対応だったので、VTRのみ。再放送熱烈待望)をよくリプレイしているのですが、全60数話からある帯ドラマを、暇々の時間を見つけては再生完走するのは、観はじめると容易に途中で抜けられない高吸引力作ばかりだけに、実は結構難儀だったりします。

その点、サントラCDは、時間的には1時間少々程度のヴォリュームで、脳内、胸のうちに、物語を映し出してくれます。

もちろんセリフや映像のある、“ドラマそのもの”ではありませんが、ドラマのあの場面、このシーンで喚起された情緒を、音によって何度でも揺り覚まし、照らし出してもくれる。何度も何度もここで書いている通り、岩本さんのドラマ音楽は、よく化粧品のCMで喧伝されているヒアルロン酸じゃないけど、“保力”というか、“保力”、“保力”がものすごいんですね。食べ物に喩えれば、ふっくり煮しめてじゅわっと汁のにじみ出るふろふき大根のようでもあり、ドライフルーツやナッツや洋酒の風味がこっくり浸み込んでふんわりふくらんだパウンドケーキのようでもあります。

90年代中葉からこの枠のドラマの劇伴を担当されている岩本さんの作品が、06年以降の3本しかCD化されていないのが返す返すも残念ですが、ドラマ録画を数話分ずつまとめて再生視聴したいけれどもその時間もエネルギーもないとき、後片付けや持ち帰り残業の傍ら、これらのサントラを流しているだけでもかなり脳神経系のリフレッシュに。

そうする時間さえもなく、とにかくバタンと寝るだけしかない!という夜には、就眠前にせめてジャケ裏の曲タイトルリストを読んでみます。

“漆黒の波~月が映した想い~樹々の葉の囁き~なだらかな斜面~朝露~誰もいないテーブル…”(『白と黒』)

“風に揺れる葦~逍遙~海と川のクロス~小鳥たちの庭~もう一人の私~雨と傘の色~波打ち際…”(『金色の翼』)

“名前の無い風景~断層~砂の心~花びらの重さ~夕焼けの匂い~苦い水~閉ざされた部屋~禁じられた祈り…”(『美しい罠』)

……06年、07年の2作の場合、ジャケ表は左柱←←←に掲示してある通り、「…おい!」とツッコミのひとつも入れたくなる画像ではあるのですが、ジャケ裏のタイトルリストページは実にシンプルで、曲名の持つ豊穣な、かつ繊細な感覚をひとつも邪魔しません。あぁこのタイトルはこんな旋律だったなとひとわたり目を通して、最後に『白と黒』ラストの『ひかり』インストヴァージョンが脳内で流れ始めれば、自然に眠りへ………

………となれば理想的ですが、あの名曲もオリジナルタイトルは“誰も寝てはならぬ”って言うくらいですから、さらさら眺めるだけのつもりが「第○話のあの場面だけもう一度観て寝っか、いや第△話だったっけか」と起き出してビデオをごそごそやり始め、結局寝つきそびれたこともたまさかあったり。岩本正樹さんの音楽は、タイトルだけでかなり罪作りです。

次回作も楽曲だけでなく、タイトル、ジャケデザインでも耳目の栄養となり保養となってくれることでしょう。

『美しい罠』では星空、『金色の翼』では海の波濤と青空、『白と黒』では高原と森、と、曲想のベースとなる風景がさりげなく提示されていましたが、今作はどんな眺めになるのかな。

コメント
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