朝から、午後の深い時間になっても目薬に手が伸びないと、あぁ今日は調子いいなと思います。
実際、まだ度を合わせてから半年ちょっとしか経っていないのに、もうデスクワーク、オフィスワークで見辛さを感じる場面が多くなってきたというのは、どんだけ遠視の進行が早いんだと。30代に入った年から眼鏡ユーザーになってきて、歴代のレンズはぜんぶ保存してありますが、これから一生、目の加齢に合わせて新調し続けなければいけないのかと思うと、気分的にも金銭的にも重くこたえますな。
そういう重苦しい気分を吹き飛ばしてくれるのが、我らが『炎神戦隊ゴーオンジャー』。
GP‐30(14日放送)、ゴローダーGTに炎神ソウルを入れると、一時的に強化するけどパワーが吸い取られて苦しい、という設定を基礎に、ストロー蛮機のガイアクアを浴びて悪に染まった走輔(古原靖久さん)と連(片岡信和さん)、パワーが吸い取られるリスクを冒して走輔の目を覚まさせに行く炎神スピードル、「走輔とスピードルがいなくても!」と頑張るゴーオンジャー4人とウイングス。
悪になった赤青2人がなぜか「走の字」「コウサカさん」と上下関係ができていたり、走輔のほうが悪に免疫がない正義生一本だから染まりやすかったとか、悪を犯すにしても黒板に爪キーキーで宝石強盗、胡椒振り振りで銀行強盗ってそれ子供だろうとか、なぜか悪の走輔に「カッコよくなっちゃった」とラブな美羽(杉本有美さん)とか、5秒に1個はネタ満載。
ガイアクアで「今年の夏は!」とCMモードになったストロー蛮機に「もう夏も終わりゾヨ」と水を浴びせるキタネイダス様、「ドーピングとは汚いやり方ナリ」とヨゴシュタイン様、「いやン褒められたで汚じゃる」とケガレシア様(及川奈央さん)。ガイアークの語彙では「キタナイ」は褒め言葉、「美しい」「清らか」は侮辱で苦痛でしたね。相変わらず和気藹々なガイアーク3大臣。
ガイアクアを浴びた量が少なかったため早く目を覚ました連に「きっと何かわけがあるって、信じてたんでぃ!」とバスオン、それを見て「…走輔のバカヤロー」と不貞腐れるスピードル。「スピードル、走輔が強いから相棒に選んだのボンボン!?」と問い詰めるボンパー。敵も味方も、友情とチームメイトシップの名のもときっちりキャラ見せ。
中でも、目が覚めた走輔レッドと、ゴローダーに入ったスピードルの2ショット名乗り「真っ赤に燃えるスピードキング!オレたちゴーオンマッハ組!」は本当にワクワクしました。ちょっとリスキーでも、ほかのメンバーの炎神ソウル1回ずつゴローダーに入れて名乗らせて見てみたいなと思いましたね。ベアールVの名乗りポーズ、ゴローダーできるかしら。
正義の戦隊と敵組織がなあなあになっては物語が成立しませんが、蛮機獣という実動部隊を挟んでの戦闘であるがゆえに、ガイアーク3大臣の好感度もしっかり物語盛り上げに貢献しています。強いてアラ探すとすれば、今話のストロー蛮機にメカ感があまりなく、ケガ様製のドリンク頼みで戦闘力がいまいちだったこと、ビル屋上から見下ろした蛮機目線の人間の雑踏が、思いっきり冬の服装(=撮り貯め映像の流用まるわかり)だったことぐらい。次回GP‐31もますます楽しみですね。
比べるわけにはいきませんが『白と黒』第55話は、ヒロイン礼子(西原亜希さん)が誘拐されて行方不明、警察に駆け込むわけにもいかないし、家族以外に知られてもいけない、3億円の工面を迫られてタイムリミットが刻々、しかも身内か知己が怪しい可能性も…という、四面楚歌どころか八面楚歌ぐらいの絶体絶命状況にもかかわらず、緊迫感や切迫感を表出する気があるのかってぐらいゆるい、タルい演出。OPタイトルにかぶせるBGMの選択もいままでとまったく変わらないし、1話まるまる使って、カタストロフも解決もなしで続きは明日って、どれだけスピード感ないんだか。
昨年の同枠『金色の翼』でも思ったのですが、この枠のスタッフは基本的にサスペンスに向いていない、と言うかそっち方面の引き出しが無さ過ぎると思う。序盤の一葉(大村彩子さん)の真意をめぐる礼子たちの心理暗闘劇もそうだったように、犯人捜し、真相探りの地合いに仕立てたパートがことごとく外れ。
今作で言えば、見ていてさっぱり礼子が心配にならない、「早く助かって、助けてあげて」という気持ちにならないのです。まあ単純に、残り2週の段階でヒロインが殺されるわけはないというお約束感もあるにはあるのですが、「結局は聖人(佐藤智仁さん)が一枚噛んでいて、監禁場所も承知で奔走するふりをして間一髪救出して、“聖人さん!”って礼子が抱きつくんでしょうよ」と読め過ぎる。
物語的に観客が「礼子は聖人が助けてほしい」と「章吾(小林且弥さん)が助けてほしい」が半々ぐらいの気持ちで見守れれば上々の緊迫感でしょうが、そこらへんのブレンド具合もどうだか。見ていてどうも章吾が一方的におバカ、ウスノロに見えてしょうがない。
本日の成果は、絶対君主だった和臣(山本圭さん)が、沖縄から急遽帰京して、目障りな聖人と一葉を帰宅させようした章吾に、「聖人は東京のマンションまで礼子さんを探しに行ってくれたし、昨夜から一葉さんとここ(=桐生家母屋)で私たちについていてくれたんだ」とフォローしたり、前週54話で辞意を表明していた家政婦・路子(伊佐山ひろ子さん)に「泊まってくれてありがとう」と低姿勢になったりしたところですかね。ここは人物に幅が出て、誘拐事件が心理模様上、無駄なイベントではないということを証明しました。