山形の過去、現在、未来

写真入りで山形の歴史、建物、風景を紹介し、併せて社会への提言も行う

二つの落人部落・・・ニッポン国古屋敷と萱平 ⑤

2009-06-05 22:25:57 | 建物

 古屋敷集落では現在ブルーシートで覆われた民家が目立つ。
 これは「保存を考える会」の人たちが応急的にかぶせたものだが、それでも既にシート自体にほころびだらけになっている。
 この世界遺産的な日本の山村風景を本気で守るなら、直接行政がお得意の「公共事業」の手法により行うのが一番の近道のような気がする。
 古屋敷から更に2km奥地の萱平集落もかつては古屋敷と同程度の十数軒の民家が並んでいたらしいが、古い母屋で残っているのはわずかに2棟のみで、うち1棟はたまに所有者の親族が訪れる程度のようである。
 写真「下右」は全面的自然崩壊を待つばかりの土蔵であり、落武者の霊魂とともに視察者の我々の目からも涙がにじみ出るような思いであった。
 それにしても、今でこそ痛みが激しくなっていながら、建物自体は大柄であり、豪奢で瀟洒な意匠の土蔵も多く、山深い地にありながら、かなり経済力のある村落であったように思われる。
 それが、便利な現代文明の到来とともに、山村は痩せ細り続け、文字通りの限界集落になってしまったのである。
 山里はむろん、地方都市の中心部までも疲弊させてしまう現代文明とはいったい何なのであろうか。

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