敬太の冬休み明けの実力試験の結果が返却された。
前回の実力が学年順位57位。
そして今回の実力試験には「30番にはするように」と厳命してあった。
守れなかった場合はチキン・ウイング・フェイス・ロックが待っている。
受験の趨勢を分ける要因のひとつに中学の先生方の抱くイメージがある。
松阪西の先生方が敬太に抱いていたイメージは以下のようなものではないか・・・。
中1や中2の頃はそれなりに成績が良かったはずなのに、中3になり徐々に中3全体が受験生になりつつある時期にさえも緊張感が全く感じられない。
それが成績に反映したのか、中3の1学期以降、中間試験や期末は今いちのまま。
皆が頑張るぶん、徐々にであるが下降気味。
実力試験のほうはさらにひどく、ズルズルと下がり続け、いつしか11月まで来てしまった。
この流れでは到底松阪高校合格の目はない。
だから順当なところで三重の特進に専願、これならまさか文句は出ないだろう。
ゆえに教育相談での担任のコメント・・・「松阪高校? 100%落ちます。だから、ここは無謀なことを考えずに三重高特進で専願にしておいたら・・・この内申と実力の成績なら合格するはずだから」
俺も担任ならそう言うはず。
しかし俺は塾を生業としている。
俺の仕事は生徒を合格させること。
どんなに遠くとも約束の地に辿り着かせることなのだ。
敬太が一転、松阪高校受験となった顛末は去年から書いている。
大きかったのは敬太の叔母、舞(11期生・京都府小学校教諭)と卓(14期生・パナソニック)の母親の存在。
征希(4期生・カイロプラクティク自営)主催の牡蠣の食べ放題で久しぶりに再会。
牡蠣を頬張りながら少しばかり甥っ子、つまりは敬太の話題となる。
「この子がまた危機感がなくって・・・」
ところが翌日、塾に敬太を連れてきて疾風怒涛でまくし立てる・・・落ちるや合格するは二の次、今から松阪高校目指してこの塾で勉強したら絶対に今まで見えなかったものが見えてくる。受験はこれで終わりやない、次の受験のためにも三重の専願なんか蹴って、自分の足で勝負しなさい!
・・・お見事のひと言、俺がさらに添えるコメントはない。
そして敬太は11月下旬に密航。
こんな押し迫った時期に密航なんて、古西・弟(17期生・流通経済大学4年)以来のこと。
あれから2か月が経つ。
俺の戦略は、先生方の敬太に対するイメージを一変すること。
敬太が変わった、敬太がやる気になった、敬太が冬休みに頑張った・・・そんなイメージを植えつける。
それには前回57位の実力試験の順位をどうしても30位以内にする必要があった。
学内順位を前回の半分以下にする。
これでちったあ職員室に動揺が走るはず。
ニューリアルした敬太の存在を松阪西の先生方に知らしめす。
そして返却された敬太の成績だ。
学年順位27位・・・してやったり。
これで、「やる気が感じられないノビ太君」というイメージ、とりあえずは払拭できる。
ここ3年間、松阪西中から22~27名あたりが松阪高校に進学している。
やっと敬太の約束の地・松阪高校がおぼろげながら姿を現した。
三重高に落ちようが、ここは松阪勝負だ。
明日から本格的に私立高校入試が始まる。
まずは皇學館。
クリックのほう、ほんまに頼んます。
いや、ほんまに。