結局『ふじわら』のおばちゃんの顔を見ることはできなかった。
ついてないことはある・・・。
結香(久居高1年)を送ってから拓夢の英単語の試験。
時間はゆうに0時を越えている。
それから亜里(津高2年)を送って嬉野まで。
塾に戻れば午前1時。
英単語のプリントを打ち始める。
暁高校のあとは海星高校。
1時間半かかって終了、次は中2の動名詞のプリントを2枚。
これが終わったのが午前4時。
果たして・・・と思いをめぐらす。
今日から一志中の試験が始まる。
つまりはウチの塾生でもっともやっかいな生徒の期末試験が始まるわけだ。
勉強の苦手な生徒にはありがちなことだが、一日でも空ければ塾でやったことを忘れてしまう。
リセットされた状態から再び始めの一歩を始める。
週に3日の間隔を詰めた。
それでも忘れていく。
再び最初に戻る。
理科や社会ならまだしも、英語や数学となると厳しい。
積み上げてきた知識に新たな知識を構築していく教科だ。
沙耶加(皇學館大学教育学部4年)からも泣きが入った。
「いつまでたっても覚えてくれないんです」
「あんたは来春から教壇に立つ身や。いたるところにあんなタイプ出現するはず。泣き言は言いなさんな」
しかし、沙耶加の気持ちもよく分かる。
まさしく砂漠に水を撒く作業。
「 is , am , are がある時は、疑問文は主語と動詞を逆にする。否定文は is , am , areの後に not を入れる」
幾度となく言わせた。
ゆうに300回は言わせたはずだ。
しかし、次に塾にやって来ると「is , am , are がある時は、疑問文は主語と動詞の間に not を入れる」に変わっている。
その独自のルールに従って条件作文をしてしまう。
その一方で、 dog は依然として bog だった。
夏休みを潰して数学の一次方程式に賭けてみた。
塾ではなんとかできるようになった。
しかし、俺がそばで見ているときの正答率は80%。
目を離すと40%に落ちた。
試験ともなると最悪だった。
試験の途中式を詳細に見ると、俺が教えた手順の形跡がなかった。
やはりそこには独自の哲学が屹立していた。
今回の期末試験に臨んでも、塾ではそこそこの出来。
比例と反比例の識別さえできれば、それなりの正答率を叩き出していた。
前回と同じテツは踏まない。
朝起きるとリセットされる状態を回避するために、午前4時に塾に来るようにと提案した。
お母さんからは事前に承諾を得ていた。
それを決めるのは本人だった。
午前6時半、あたりは明るくなっていた。
俺は焼酎を飲みながら朝を迎えた。
ついてないことはある。
奥さんが大阪に行く。
中川駅で降ろす前に、やんまんが書き込んできた『カルティベイト』という店を探しにいった。
12月中旬オープンなら、外観ができているなり看板なりがあるだろうと思ったのだ。
場所はマッツンから嬉野中学の通りだと聞いた覚えがあった。
あんなとこに・・・ともあれ、奥さんを助手席に乗せてペシャンコのエスティマ、田舎道を走らせてみた。
・・・ないで。