時代劇をみていると、殿様が家臣に対して「大儀であった」と言っているシーンがよく出てきます。
この「大儀」と言う言葉は朝廷で行われる最も重要な儀式を指す言葉でもあります。
朝廷の重要な儀式や殿さまが使っていた言葉である「大儀」が岡山県を始め広島県や山口県等、中国地方で方言として使われているのです。
今日は私の故郷、岡山の方言「たいぎい」についてご紹介します。
岡山県民は面倒な事を表現する際に「たいぎい」と言う言葉を使うことがあります。
この「たいぎい」の語源は、冒頭に書いたように、時代劇で殿様が「大儀であった」等と言っている「大儀」や「朝廷で行われる重要な儀式」を言う時の「大儀」と同じです。
お殿様の場合は「慰労する言葉」として使われていますが、岡山県の場合は「めんどうくさいこと」や「くたびれてだるくなること」等の時に使われます
朝廷の重要な儀式を指す「大儀」がどうして面倒くさい等の意味になったのでしょうね。
一説には、朝廷で行われる重要な儀式は手間がかかってめんどうなことから、「大儀=面倒」という意味になり、さらに億劫だ、という意味が派生したのではないかと言われています。
この「大儀」については鎌倉時代から「やっかい」とか「めんどう」の意味の使用例が見られるのだそうです。
広辞苑で「大儀」を調べてみると、
①重大な儀式。朝廷の儀式で最も重要なもの。即位礼等。
②軽々しくないこと。費用の多くかかること。
③めんどうくさいこと。骨の折れること。転じて、くたびれてだるくなること。
④他人の骨折りを慰労する語。御苦労。
と説明しています。
辞書の説明に沿えば、殿様がつかう「大儀」は、④に該当し、岡山県の「たいぎい」は大儀が少し変化して③の意味をもって現在まで使用されているようです。
この「大儀」から方言となった「たいぎい」は、実は漢語が方言として使用されている珍しい例なのだそうです。
私の故郷、岡山で昔から使われて珍しい方言とされる「たいぎい」がこのような成り立ちだったとは知りませんでした。
残したい方言の一つですね。