別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

薔薇と

2011-12-09 | アートな時間

離れ屋(ジェルブロワ)1927  アンリ・ル・シダネル展  埼玉県立近代美術館

   離れ屋(ジェルブロワ)1927 (カーソルをあて拡大できます)

 アンリ・ル・シダネル(1862-1939)、 20世紀初めに活躍したフランスの画家。 日本でその全貌が紹介されるのは初めて。  

  薔薇の庭、 木漏れ日、 青いテーブル、アトリエの窓の前に置かれたテーブル、月明かりの庭や夕暮れの家々の窓の灯り 雪の中の家 など 
 どの作品も、 静かな雰囲気でホッとする。 人物は描かずに、 いままでそこに座っていたり、 テーブルを囲んだ人たちの気配がする。 アンティミスト…身近なもの、特に室内画を情感を込めて描いた。

 

  港のカフェ  1923

  ひっそりと、 どことなく寂しげ、 でも温かい。
 点描の穏やかなタッチ、 優しい色の混じり合いがそう感じさせるのだろう。 傍らの友が 「光りの微粒子…」 と呟く。 浮遊するやわらかな色彩が観る人を包み込む。   

 1901年 シダネルは中世の面影が残るジェルブロワという村に住み、自宅の庭を、さらには村全体を薔薇でうめつくそうと提案、やがて実現すると 「フランスでもっとも美しい村」に選ばれた。
 



  青いテーブル 1923

 プルーストの 「失われた時を求めて」の中で 登場人物のお気に入りの画家として アンリ・ル・シダネルが出てくる。 印象主義や新印象主義を継承して独自の画風を確立した。 近代日本の洋画家にも影響を与えた。 (美術館ビデオ 及び パンフレット参照)

    

   アトリエの窓の前に置かれたテーブル  1936

  そのほかの作品   

  拡大してどうぞ    左から ・朝 「モントルイユ=ベレー」1896
 ・運河「アミアン」 1901  ・室内「ジェルブロワ」1903
 
  旅をしながら その土地の光を描いた。

  月明かりのなかの輪舞 1899  リトグラフ


きのう私たちも リンゴなど並べ油彩を描いた。 シダネルの絵が頭から離れない。
とくに タッチや色彩のこと。 シダネルの幸福で穏やかな作風を真似たくもなるが、 これも個性。 その人らしい絵がよいのだ と思い直した。

 

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2 コメント

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バラの画家 (ふくら雀)
2011-12-11 06:23:06
憧れの柔らかなトーン。初めて目にするシダネル。
こんな絵が描ける人は、きっと感性も穏やかで、心豊かな暮らしを味わえた人でしょうね。

蛙さんの感動も手に取るように伝わりました。
アトリエのテーブルに置かれた果物やワインの瓶など直接に参考ですね。
月明かりの庭にいつぞやの黒い猫を置きたくなりました。
後でもう一度、ご紹介を感謝してじっくり観賞します。
埼玉の美術館はいつも素敵な企画がありますね。
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黒猫 ()
2011-12-11 18:29:38
 作品に人柄や暮らしが出ていますね。実際描きながら怖いくらい、取り繕ってもはじまらない。どうぞ、お忙しい日々をおなぐさめください。
 黒猫は 春の夜に出歩いた猫、それとも寺山修二の「灰に棲む老嬢」
 コメントをありがとうございます。
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