別所沼だより

詩人で建築家 立原道造の夢・ヒアシンスハウスと別所沼の四季。
     

誌上のユートピア

2008-06-01 | アートな時間

   誌上のユートピア  -近代日本の絵画と美術雑誌 1889-1915- 
                                    うらわ美術館

藤島武二・造花 外周り「ココリコ」アドルフ・コサールのデザイン  誌面そのものが美術作品  まばゆいほどの作品を観て、 納得である。
  表紙にこめる濃密な描写。 木版など。 デザインのモダンさ。  画家が精魂込めてつくる贅沢な表紙、 裏表紙、箱まで。 
 とても素晴らしいものばかり、 ため息混じりでショーケースに張り付いた。
  同時代の絵画も展示され、 誌面のグラフィック的な発想が、油彩画にもよい影響を及ぼしたことがわかる。

  細緻な挿画、 近くばかり見たあとで、ときどき大きな油彩画に戻る。 眼を休めることになった。 

 ピアズリーの「サロメ」、 ウイリアム・モリスの美しい本も。 豊かなひとときに大満足。 もう一度来よう。

  風刺雑誌「ココリコ」、 アルフォンス・ミュシャの石版など 限りなく…

               -☆-

 (パンフレットより) 19世紀末のヨーロッパでは、印刷技術のめざましい発展を背景に、『パン』や『ユーゲント』、『ヴェル・サクルム』など、誌面そのものが「美術作品」と呼ぶにふさわしい美術雑誌が次々と刊行されました。日本でもこのような動きに刺激され、また連動するように、20世紀にかけて多くの美術雑誌が生まれています。

 明治浪漫主義の文学と美術を代表する 明星
 創作版画運動の端緒を切り開いた 方寸ホウスン
 抽象的な表現の追及がみられる 月映ツクハエ  
 
白馬会創立10周年記念の機関誌 光風 
   
 文藝界 ホトトギス など展示

  美術雑誌は美術と文学の交流の場としてまた自由な実験の場として大きく花開き、新たな表現の獲得にも繋がった。

  青木繁、 藤島武二、 恩地孝四郎ら すぐれた芸術家たちは、 印刷芸術の華やかな誌面と交感しながら、どのように「ユートピア(理想郷)」を求め、実現していったか。 

  「方寸」第3巻第2号表紙 (芝居の馬)石版、「平旦」第2号表紙(やなぎのかげ)、絵はがきなど。 彼の 平福百穂 で喜ぶ。

  
   
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  絵画にくらべ小さな口絵、 狭い誌面に注がれた情熱と労力は大きなキャンバスに劣らない。 それ以上なのだ。 細やかな神経による手仕事。 
  それは 子供服の縫製にかける手間に似て。  成人用とおなじ工程、 小さいだけで、 労力はさほど変わらない。 小さいから軽い、楽だとはならない。

  京都の浅井忠神坂雪佳  西欧で学んだデッサンを基に図案の革新を夢見た浅井。 独特の機知に富む冴えた近代の琳派を生んだ雪佳、 出版にスポットをあててみると、ふたりはみごとな競演を奏でた。 

 小出楢重から原田良吉宛  絵はがき。  アート・ディレクターとしての北原白秋。
 夏目漱石 橋口五葉 中村不折装幀 もある。 

  展覧が いかに すばらしかったか。 内容豊かであったか、 引用するのみ。

     3回に分けて   まとまらないメモです。