地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2005-10-08 13:11:29 | アラビア語(エジプト)
ماء(マーヤ)

 「なん人にも例え敵であれど、水を欲するものには水を与えよ」というのがイスラームの教えである。砂漠の厳しい暑さの中で飲む水は、何にも勝る「命」の味である。
 エジプトを旅された方は気がついたであろうか?道のあちこちに置かれた小さな壷から、ポリバケツまで、ありとあらゆる入れ物に水が汲み置かれ、水を飲みたくなった人は、いつでも何処でも飲むことができる。
 近頃は電気でいつでも冷たい水が飲める給水機がいたるところに置かれている。しかし、元々はマシュラベーヤというアンフォーラを太らせたような壷に水を汲み置いた。
 
 ここで「ん?」と思われた方は中々のアラブ通。マシュラベーヤとは、イスラーム伝統の木で出来た格子の窓枠のこと。イスラームの女性は人前に素顔をさらすのを良しとはされなかった。それでも外の様子は知りたい。そんな時、マシュラベーヤはとても役に立った。中からは外が良く見えるが、外からは中が見えにくいのだ。
 そして、この格子を通る風は、冷たくて気持ちが良いのでクーラーの役目も果たした。このマシュラベーヤの前に水壷を置いておくと水も良く冷えたことから、水壷もマシュラベーヤと呼ばれるようになった。
 そして、水のみ場のことをمشربة(マシュラバ)という。マシュラベーヤから戸外を見下ろし、冷たい水を飲みながらクスクスと噂話に興じるイスラーム王朝時代の美姫を思い浮かべるのは楽しい。

 ただ壷に入れただけの水と侮ってはいけない。この壷は電気の給水機が普及されている今でもまだ現役である。私など、並んでいたら壷の水を選ぶ。なぜか?それはとても冷たいからである。気化熱の原理で、壷の水は常に冷たい。
 飲んだ瞬間、思わず「アッラーはまことに偉大なお方である」とつぶやいてしまうぐらい冷たくて美味しい水がそこにある。[a]

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
写真の説明 (aoi)
2005-10-08 13:19:35
水道と給水機と水壷が並んでいる珍しい所。

まさしくمشربة(マシュラバ)。少なくとも1000年ぐらいはここで水を供給しているのでは?と私は思っています。

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