地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

2010-10-08 00:00:00 | つれづれ帳

दोस्त(ドースト・ヒンディー語)

今回、さらさとyuuの「友」に返信しようと思い、一番に思いついたのがヒンディー語の「友」。今まで『地球散歩』でインドのことを書いたことがないので意外かもしれないが、私、mitraが初めて訪れた外国はインドなのだ。

当時、私には仲の良いインド人の友人が居た。東京で交流を深めていたその友人のつてを辿り、デリーでは、短期間ながらも友人の自宅にホームステイする機会を得た。そこには私と同じ年頃の娘さんが居て、何かと世話を焼いてくれた。印象に残っているのが、「どうして女性なのにアクセサリーもつけないの?」と彼女が遠慮がちに呟いたこと。旅の最中であることも手伝い、質素でみすぼらしい(!)格好をした私を見かねての発言だったのだろう。私は様々な言い訳を考えてみたものの、サリーを着て綺麗にお洒落をした彼女の前では、自分の格好の冴えなさについて何も言えなくなってしまった。そこで彼女は、自分の両親が経営するアクセサリーショップに私を連れて行き、日本では、日常に着用するには場違いな金ピカのネックレスや指輪を私の洋服に合わせ始めた。だが、当の私の服装はインド綿のシャツにジーパン姿。どんなに素敵なアクセサリーを纏ったところで、洋服は超カジュアル。結局、私はその日一日、そのチグハグな姿で過ごす羽目になってしまった。インドでは、女性がお洒落をしないのは「罪」なのである。
帰国間際、彼女は束の間の「友情」の証に、金のネックレスを私の手の平に滑り込ませた。そのネックレスは私の「移動」の人生において、今でもあらゆる場所に付いて回っている。

さて、友情にまつわるエピソードのご紹介がすっかり長くなってしまったが、ここで言葉の説明を軽くしておこう。ヒンディー語で「友達」は「ドースト」。ヒンディー語と姉妹言語であるペルシャ語の該当単語は「ドゥースト」である。また、ヒンディー語で、「友達」や「友情」には一般的に上記の「ドースト」を充てるが、「मित्र(mitrミトル)」を使うこともある。勘の良い方はお気付きかもしれない。この単語は、古代インド・イラン神話に共通の神格であるmitra(mithra)から派生している単語であり、私のハンドルネームmitraが古代の神話から採られていることは何度か書いて来た(こちらをご参照下さい)。この神格の、神に随伴する「盟友」としての性質、あるいは「契約」を司る性質から、mitraが「友」「友愛」をも意味するようになった経緯だけはここに述べておこう。

私は、mitraの故郷であるインドとイランの両国で、「ドースト」からの歓待を受け、「ミトル」の心を知った。(m)


mitra・・・ローマではミトラス神・仏教では弥勒菩薩となります。
友情の数だけクリックお願いね!

人気ブログランキングへ

 

 

 



最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
おお~! (yuu)
2010-10-08 22:32:29
何とも、深いお話ですね!!
言葉も世界も繋がってるんだなぁと感じました。
インドのお友達も素敵な方ですね。私もお友達になりたい(笑)
インドに行きたいのですが、なかなかご縁が
ありません。いつか行けるといいなと思ってます^^
返信する
Unknown (miriyun)
2010-10-09 06:34:26
 わたしも海外に出るには動きやすい、日射しに負けない実用本位の格好で、おしゃれと無縁です。普段は大好きなペンダントやネックレスなどのアクセサリーもうっかりなくしやすいのでほとんどもっていかないです。でも、現地の人は素敵に装っていますよね。それを見ると、自分の姿を見てこれでは、お呼ばれがあっても、う~~~ん!という感じです。
 初めての海外がインドというのも、すごいです。濃い文化圏から入られたのも、素敵なお友達とのご縁があってからこそですね。ヒンディーとペルシア、文化面から見ていてとても共通するところやなにやらかぶるところがあると思っていたのは錯覚ではなかったのですね。言葉がそんなに近いとは思っていなかったです。
返信する
yuuさん (mitra)
2010-10-09 21:34:53
そうなのです!繋がっているのです!
私は、最初に学んだ場所がたまたまイランの辺りだったからもあるんですが、西へも東へも繋がる可能性のある文化に幸運にも触れることが出来ました。その後、東はインドへ、西はスペインまで、と学問の旅が始まり、現在はヨーロッパを彷徨っております(笑)
そして、肝心のインドへの縁は…?な現在(笑)
yuuさんもそのうちインドへのご縁があるかしら?きっとヨーロッパの古層とのつながり(特にギリシャとの)を感じることが出来る国ですよ。
返信する
miriyunさん (mitra)
2010-10-09 21:43:07
旅行中はやはりお洒落はできませんよね。特にアクセサリーは失くす可能性が高いですから、大事なものであれば尚更持っていけません。一方、洋服好きの私は、衣装を必ず現地調達してしまうんですけど、基本は、ラフなスタイルです。お呼ばれの時は…困りますよね。あまりにもシンプルで浮いてしまう、だって、あちらの人は、外国人が来るということで、お洒落している場合が多いから。

yuuさんにも書きましたが、ペルシャ語を最初に学ぶと、アラブにもインドにも繋がっていくので、なかなかに誘惑が多かったです(笑)。
アラビア語の単語がペルシャ語に多数入っているように、古代に姉妹言語であったインドとイランの言葉は、その後のムガール朝の時代にもやはり交流があり、文化的な単語が多くペルシャからインドへともたらされました。私はペルシャ語の後に、サンスクリットとヒンディーを学んだのですが、おかげでほんの少し記憶に定着しやすかったように思います。
返信する
Unknown (タヌ子)
2010-10-13 23:14:37
女性がお洒落をしないのは罪であるならば、私は相当罪深い人間ということになりそうです。
旅行中のみならず、普段アクセサリーを見に付けることは殆どなく、義母に『アクセサリーも持ってないなんて可哀想…』と古めかしい天然席のネックレスを恵まれる始末。
その実、アクセサリーを買うのは好きで、沢山持ってるんですけどね(笑)
ヒンディ語とペルシャ語は姉妹語だったんですね。
地理的にも近いことを考えれば納得だし、衣装の煌びやかな装飾にも共通点があるような気もしますが、一方はそれを表に出す文化で、もう一方は隠す文化になってしまったのですね。
返信する
タヌ子さん (mitra)
2010-10-15 22:41:17
私もタヌ子さん同様、「罪な女」なんです(苦笑)。
お洒落をするのはすごく好きなのに、なぜかアクセサリー(特に宝石)をつけるのが面倒くさいんですよね。(但し、碧に以前もらったネックレスは、かなり気に入って使っているんですが・笑)
タヌ子さんは、集めるのはお好きなんですね。お母様から頂いたのは、「ポン吉さん」の家で代々伝わっているもの?
ヒンディーとペルシャは、今でこそ文法の差異など顕著ですが、古代、ヴェーダ語とサンスクリット語の時代には、ペルシャのアヴェスター語と姉妹関係で、互いにとても似た言語でした。現在のヒンディーとペルシャも、全く学んだことが無い人よりは、どちらかをやっていれば学びやすいはずです。
ただし、例えば、スペイン語とイタリア語の関係ほど近くはありませんが。インドとイランの人が、お互いの言語をそれぞれ話してコミュニケーションを図れるレベルの類似ではありません。(イタリア人とスペイン人は、ある程度それが可能ですよね)
隠す文化と表に出す文化、なるほど、確かに。
イランも実は、コートの中はかなりすごいんですけどね。
インドは煌びやかだし、サリーの印象が強いから、肌の露出も多い感じがしますよね。
返信する

コメントを投稿