『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちるべ』路面電車は復活するか**<2007.3. Vol.45>

2007年03月06日 | 澤山輝彦

路面電車は復活するか

世話人 澤山輝彦

 ♪チンチン電車が走ります/ゴーゴーまちの真ん中を/走って行きますチンゴーゴー/ご順におつめを願います/電車は走るチンゴーゴー♪

 歌詞まちごうてるかもしれませんが、こんな童謡歌ったん思いだしました。

 チンチン電車、私達は市電と言いました。チンチン電車とは子供向けの言葉だったのでしょう。普段の会議でチンチン電車と言うた覚えはありません。

 そんな市電が全盛期だった子供の頃、大阪の福島西通という所から堺の出島や大浜まで市電に乗って海水浴につれて行ってもろたことがありました。大阪市内をどんどん南へ下り、大和川を越えて堺へ入りますと、畑の中で木の羽の風車が回ってるのが見えたりして、私ら子供には一寸した旅行でしたで。今考えたら市電をつこうたのは交通費が一番安かったからやないかと思います。おおきなって高校時代はずっと市電通学でした。だんだん陰りは見えてきていたようでしたが、まだまだ市電は元気で頑張ってました。

 「路面電車」と言うた覚えも無いんです。市電でよかったんです。「いや路面電車と言うたで」という方もおいでかもしれませんが、ここはまあ枕にひいただけで深い意味はございませんのでご勘弁いただくことにいたしまして、そんな市電は自動車に追われてばたばたと廃止されていきました。このあたりのことと、これからのことについては、みちじるべ第11号に「路面電車の今昔・そして21世紀へ」と題した資料が紹介されていますのでご覧いただくことにして、この資料のとおり21世紀に入った今、各地で市電が復活、いや路面電車復活の声が出てきたんです。「いまさら路面電車でもないやろ」そんな声が出るかもしれませんし、事実復活をめざしている所では反対する住民がいるのです。でも今これを見直し復活させるという声は、これから先の地球環境をも考えてのものでありますから、この声はまったく正しくたいしたものなのでございます。

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 昨年12月、購読している毎日新間に路面電車に関する記事が3件続いて出た。路面電車の復活、このことは、道路交通、環境問題そのものであり、阪神間道路問題ネットワークの立脚点をふまえており、興味深く読んだものである。以下に紹介する。

 最初は12月13日、「阪堺線:堺市内存続LRTと相互乗り入れ」という記事。利用客の減少で廃上の危機にあった堺市内の路面電車(阪堺電軌)が、2010年度開通予定の次世代型路面電車・LRTとの相互乗り入れによって存続されることが事実上決まった。堺市が臨海地区と阪和線堺市を結ぶLRT路線を計画したものに、阪堺線の路面電車を乗り入れさせることによって、堺市内の路線を存続させるというもの。後日この件についてあの記事は間違いではないにしても、その通りの発言であったかどうか疑問ありという情報があった。なんだかややこしいことがあるらしい。

 二回目は12月16日、「パリ市電、69年ぶり走る渋滞などの対策で復活きめる」パリ市南部で16日、市電(路面電車)が運行を開始した。窓の大きなおシャレなスタイルで、パリに市電が走ったのは69年ぶり。渋滞と大気汚染緩和の切り札として左派・社会党のドラノエ市長が導入を決めた。なかなか洒落たデザインの電車前面の写真がついていた。

 三回目は12月26日、阪神版の記事で見出しは「阪急甲陽線の地下化計画、路面電車の対案提出 西官市に住民グループ」というものだった。

 この件には、私たちネットワークもかかわったのだ。阪急甲陽線の地下化計画で夙川公園などの大きな桜や松が伐られてしまうことがわかり、まず伐採反対という運動が起こり、ネットワークに協力要請があつたのだった。私たちは現場にも行った。その後連絡は途絶え反対運動がどう展開したのか不明であった。そこにこの記事だ。「ふうん」という感じで読んで驚いたのは、この問題の発端は、甲陽線と道路が平面交差しており、踏切閉鎖時に渋滞が発生するし、それに伴う通行の危険、そんなことが地下化の理由であった。ところがそれが否定されているのだ。「行政は渋滞解消と度々言うが、そんなに混雑していない」と住民が反諭しているのである。一体どうなってんねん、と言いたいところだが、これではっきりした。問題の発端が否定された、ということは甲陽線には手をつける必要はないのだ。地下化計画とは阪神淡路大震災を絶好の機会ととらえ過去に引いた筋による都市計画を実施しようと行政が思いついただけのことなのだ。それに乗れば儲かる誰かがいた、そいつらが一気に勢いに乗ったということ、それだけのことなのだ。

 現状でおこる踏切待ちの時間、長くても数分のことだろう。一体どれだけのマイナスがあるというのだ。福知山線の事故の反省が生きてないなあ。ゆったり生きようではないか、わずか数分、皆がそう思わないとこんな事故は根絶されない、あの時そう言ったのではなかったか、「私は言うてえへん、あれはマスコミの発言や」と言うならば、これに関してはマスコミ発言を全面的に支持したい。ゆったり生きなければならないのだ。

 私は甲陽線は現状のままでいいとしたが、路面電車化を持ち出した住民グループの案は甲陽線だけではなく広く西宮市内にも路面電車を進展させようとしている。難しい条件がいっぱいあるが興味をひく話だ。

 「路面電車――未来型都市交通への提言――」(ちくま新書286)今尾恵介著 680+税、が安くて、手頃で、いい参考書だと思うので紹介した所で終点で~す。

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