『みちしるべ』デジタル化への提言
編集長代理 藤井隆幸
はじめに
阪神淡路大震災から、早くも18年。世間は如何に変化したか。“戦争を知らない子供たち”の 孫、“震災を知らない子供達”が成人する。
阪神淡路大震災の時、携帯電話はごく一部が保有。昨今、8000万台を遙かに超え、固定電話を越える。震災頃にお家FAXが普及したが、今や電子メールに凌駕される。パソコンはWindows95(MS社の場合)で、インターネットは通信速度も遅く、画像ダウンロードには時間がかかった。ナローバンド(低速通信速度)からブロードバンド(高速通信速度)時代を迎え、パソコンの能力も極端に高度化した。基本OSもWindows8に。
ホームページは複雑なタグ(指令記号)入力、スクリプト(簡易ソフト)を必要とする時代から、今や、ホームページビルダー(ホームページ制作ソフト)により、専門知識もいらずに制作が可能。より簡易なブログも、多数の会社が提供。ブログの数は8000万件に。更に簡易ブログであるtwitter(ツイッター)やface book(フェースブック)が普及。このSNS(ソーシャルネットワークサービス)の勢いは、ブログを超える。それは、携帯電話がスマートホン(大き目画面でボタン無しのタッチパネル式)に変化したことによる。スマホは電話機能付きのパソコン。電話機能よりネット接続に重きを置き、ネットサーフィン(インターネットの電波の波乗り)が主流になっている。
私のブログのアクセスも、殆どがパソコンからであったが、昨年末頃から、多くは携帯からのアクセスに変化。スマホで暇な時間に外出先で、ネット接続している。メディアの変化も著しく、TVでのインターネットも、近いうちに普通となるのかも。
機関紙などのデジタル化
商業新聞は現在、数千万部の発行総数だが、毎年数百万部の減少となっている。販売所の統廃合、複数紙の合同販売所、経営破綻による個人経営から本社直営に変化している現状。一方、新聞各社はホームページに力を入れる。数年前までのホームページとは、その容量やシステムにおいて格段の差。朝日や日経新聞では、既にダイジェスト版以外は有料サイトに。これらは新聞社というよりメディア企業だ。TVや他のメディアを包括する総合企業。新聞事業は企業の一部となりつつある。新聞は広告収入でTVに抜かれ、そのTVがインターネットに抜かれた。紙の新聞など、何時でも撤退可能という事かも知れない。アメリカではニューズウィークが紙媒体から撤退。デジタル配信のみに。ニューヨークタイムズなども、デジタル配信有料化。
商業新聞が紙媒体から撤退すると、高速輪転機に供給するロールペーパーを、製紙会社が供給できないか、相当高価に。特殊インクもしかり。これまでも、政党・労組・団体などの機関紙経営は厳しい。機関紙新聞の発行組織は、商業新聞の撤退に、困惑する日が近い。時代は、そこまで来ていると言えよう。むしろ、最近の団体は、始めから紙の機関紙ではなく、デジタル媒体を使用するところが多くなっている。
デジタル化についての課題と効果
『みちしるべ』のデジタル化について、具体的段階ではないが、例会にて討論を要する問題・課題も多い。ネット上にあげると、不特定多数が閲覧する。著者は実名か、サイトネームに変更するか。事実記載の際、関係者の同意が必要。その要領を心得て書かねばならない。著作権の扱いも、数百部の内部誌と、ネットにアップするものとは違ってくる。一部文章の引用程度は良くても、歌詞の全文となると問題が発生する。
TwitterやFace Bookが隆盛になり、スマホなどの携帯メディアで情報が入手される時代。この時代に情報発信には、ネット掲載は必然性がある。多くの人々に見てもらえる事と、印刷と配布・郵送にかかる経費と労力が削減できる。何よりも、複数の担当者で編集・掲載が可能。各自の自宅や場所を特定せず、暇な時間にできる。写真は総天然色が可能で、モノクロ印刷より圧倒的に鮮明。
『みちしるべ』の過去記事について、デジタル記録が不安定だ。これらは、紙媒体をスキャナーして、デジタル変換の作業が大変だ。もっとも、ネットアップを想定しない文章で、それらの再校正には、尚更の作業が必要である。デジタル化をするとなれば、今後のモノからという事だろう。
まだまだデジタル参入している団体は少数。参入していても、本腰を入れていないというか、見てもらえるテクニックを知らないところが大半である。今から参入すれば、メジャーになるのも容易なスタートラインと言える。組織であるからこそ、個人に対して、相当優位な条件がある。そのテクニックは、みんなで開発すべきものや、裏テクニックもある。その辺のことは、企業秘密という事であるから、例会で話し合う事に。
いずれにしても、デジタル化は時代の要請という事だろう。また、紙の媒体を必ず残すという配慮も、心得ておかねばならない。