1月例会のご案内
西宮市立勤労会館 第6会議室(3F)
西宮市立勤労会館 第5会議室(3F)
横断車道―96―
AI(artificial intelligence)「人工知能」という言葉を、よく聞くようになった。AIがプロとの囲碁戦に勝つ。AI顔認証装置を、東京五輪で導入する。AI自動運転車はテスト中だ。そしてAI兵器が実戦配備可能となっている。これらの技術は、まだ完ぺきではないといわれている。が、その内に人事採用にも適用されそうだという▼これらのAIは「特化型人工知能」と言われる。一方、「汎用人工知能」の研究も盛んに行われている。後者が進歩して完成すると、シンギュラリティ(人工知能が人間の知能を超える臨界点)を迎えることになる。スティーブン・ホーキング博士は、AIが人を支配することが可能と予言している▼この背景には、IT産業の苛烈な競争、先端軍需産業の飽くなき利益追求がある。人の理性がコントロールを失いつつあるのだ。人々は我々がやっているのではないと錯覚している。が、それを許しているのは、まぎれもない我々なのだ▼携帯電話が普及しだした頃、脳の近くで電磁波を受け、脳腫瘍の危険があると言っていたのだが。今やスマホにモテアソバレない人はわずかだ。移動通信技術は4G(第四世代)から、5Gが中国では実用化され、米国や韓国では一部実施、日本では実用化を研究中だ。既に中国では6Gの研究に取り掛かっている▼5Gは4Gの3~5倍の通信容量があり、6Gは5Gの10倍の容量である。ネット上のHPの規模は年々大きくなっており、それだけできることは多くなっている。IoT(internet of toolネット上で動かせる機器)の数と可能性が大きくなれば、それに対応する通信容量が必要なわけだ▼しかしながら、その通信に使われる周波数は、それだけ高周波になる。5Gは安全だというが、その実証はない。目下、人体実験中。6Gは全くの未知数ではある。対技術競争で露中に欧米が越されないように必死だ。日本は取り残された感がある。そんな競争心理が、理性を欠いていると懸念するのは異端だろうか?▼人々はスマホで検索し、わずか数行の回答で満足している。果たして、その数行で何が判ったのか? リベラルなHPには権力側の関与するネトウヨのバナー広告が入る。ネット上は洗脳合戦の戦場なのではある。その数行の意図するところの背景は何なのか、検証すべき事実はあるのか、判って納得しているのではあるまい▼わずか数行の回答で理解したつもり。それが落とし穴、洗脳のシステムなのだ。TVのバライティー番組で、意識を誘導され、誰が制作誘導しているのか知らない。数十年前まで、そこそこ信頼されていた紙の新聞。それしか頼れない高齢者は、もう滅亡するのを待たれている▼人の為せる業なのだが、AIが人の過当競争の中で、人を支配するようになるのは時間の問題か? ホーキング博士は正しかったのだろうか? 悩ましい時代を迎えたものだ。 (コラムX)
横断車道-95-
「民主主義」とはよく言うが、その意味は案外答えられない。ある人が「多数決だ」と言ったことがある。多数決は、民主主義を実現する、一定の場面での手段に過ぎない。「人民が主権を持ち行使すること」というのが正解である。この取り違えが、昨今、深刻になっている気がする▼受験にマークシート方式が行われたことがあった。何故そうなるかは如何でもよく、正解であればOK。採点作業からいえば、合理的ではあろう。そうした効率優先の考え方から、人々は考えなくなったように感じる▼鯖缶が健康に良いとTV放映があると、スーパーの棚から鯖缶が無くなってしまうのだ。ファミレスのメニューのカロリー・塩分表示を、やたらと気にする。何故そうなのかを知らなければ、逆効果だってあり得るのに▼凶悪犯罪の際、被害者や、その遺族に寄り添うのはもっともだ。犯罪者側の事情を分析する必要を言うと、バッシングに合う。「即刻死刑にすればいい」と叫ぶ人もいる。犯罪をなくす観点からは、非常に必要なことなのだが▼昨今の新聞は大衆迎合というか、権力忖度で、あまり評価しないが、それでも読む人が少なくなった。学術書など、流行小説に押されて、存在すら知られなくなっている▼急速に圧倒的に普及したスマホは、人々の思考方向を決定しているように感じる。TVもそうであるが、一方的・受動的である。ニュースに背景や分析はなく、結果だけが存在する。当然、大多数の人々が知ったと思い込ませられるのではある。SNSの知り合いからの情報だから、信じてよいと思うのも錯覚であろう。知り合いもSNS情報だったのではないのか?▼ここで「多数決」を思い出してもらいたい。SNSで多数になるのは、多くの人の思考結果ではない。商業ベースでは、必ず売手企業の利益計算結果でしかない。政治的背景でも、権力側と情報産業の結びつきは、大衆のSNS情報の幾何級数倍の情報量になるのは必然である▼〇か✕か、何故そうなるのかの過程を踏まず、人々は結果だけで判断する。多くの情報があるから、間違いないと思い込まされる。非常に危険だと感じている。「ネトウヨ」などと言っているが、その情報操作は誰がやっているか知る必要があろう▼ケネディー大統領暗殺は、オズワルド容疑者だという公式説明を、7割のアメリカ人は信用していないそうだ。だが、9.11の場合は、数々の不都合な事実があるにもかかわらず、殆どのアメリカ人は、イスラムテロであると信じているらしい。日本でも、田中角栄首相(当時)のロッキード事件は信じるのだが、「桜を見る会」の不都合には目をつむるのではある。情報操作の時代の差と感じるのだ▼日本や先進国と言われる国々が、「民主主義」であるのか否か? このままスマホ洗脳の事態でよいのだろうか? 考えさせられるのではある。(コラムX)
韓国で思ったこと
田中 廉
2019年11月8日より11日まで、教会(日本聖公会)の「31独立運動100年・信仰の交わりから学ぶ=韓国の旅」に参加し韓国のソウルを訪問した。今回の旅行で三つのことが強く印象に残った。一つは韓国の発展であり、もう一つは教会で見た1枚の写真、最後は西大門刑務所博物館での展示である。
まず、韓国の発展だが、2018年の韓国の国別名目GDPは10位(日本は3位)、一人当たりGDPは3.3万ドル(日本は3.9万ドル)で28位(日本は26位)である。一人当たりGDPが3万ドルを超えると先進国と言われるので、先進国に属する。一人当たりのGDPが日本とほぼ同じということに少し驚いたが、一流企業の給与は日韓に差はないそうである。買物をしていても物価は日本と大差はないような気がした。只、食事は韓国の方が安かった。現地ガイドの人が安くておいしい店に案内してくれたこともあるのだろうが、夜は腹いっぱい食べても2000円を越えなかった。
日韓の経済発展の過程はよく似ているように思う。韓国は朝鮮戦争、日本は第二次大戦で壊滅的な被害を受け、ともに資源の無い国だったが驚異的な発展を遂げた。韓国の経済発展の契機になったのは、1960年代中ごろからの日本からの有償・無償の援助と、ベトナム戦争参戦の代償としての米国からの援助と、ベトナム戦争特需と言われている。日本は朝鮮戦争特需で基礎を固め、その後の発展につながった。そして両国共に、色々弊害があったにせよ政府が主導権を持ち、外資の導入に慎重で民族資本を優遇した結果、世界に通用する自国資本のグロ-バル企業が育ち国の発展に寄与した。
もう一つの教会で見た写真は、韓国聖公会のもっとも古い教会である江華聖堂(教会)の壁にかかっていた、江華聖堂の歴史を伝える写真の一枚である。それは、韓国聖公会が1897年、朝鮮王室海軍士官学校のイギリス人教官の所有する土地と官舎を購入し、布教の拠点としたときの写真で、十数人の海軍士官学校の生徒の訓練風景が映っていた。
私は今まで、日本に遅れて開国した韓国が、近代化のためどのような努力をしてきたのか知らなかったので、「士官学校もあったのか」と認識を新たにした。帰国し調べると、1910年の日韓併合まで、西洋列強と対等な外交関係を樹立し、殖産興業と富国強兵により近代的な主権国家に生まれ変わるために、必死に努力をしていたことを知った。
アメリカのワシントンDCをモデルに新しい都市計画を立て、首都の道路を拡張し、公園を作り、1899年には電車が開通した。これはアジアでは京都に次いで2番目で、東京より早いという。1894年には身分制度が廃止され、政府機関の顧問や、電機・鉄道・鉱山・電信などの技術者として約200名の外国人を雇用した。外交面では、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツなどに常設外国公館を置き、万国郵便連合やジュネ-ブ条約にも加盟した。
日露戦争勃発の直前に、中立宣言を世界に打電した。が、日本は数万の兵士を朝鮮に派兵し不法占領した。そして日露戦争に勝利した日本は、アメリカ、ヨ-ロッパ列強に朝鮮に対する権利を承認され、1905年に宮殿を兵士で囲み、調印に抵抗する大韓帝国の高宗を脅し保護条約を締結した。そして、1910年には日韓併合となり、日本の植民地となった。日本の植民地支配は、韓国にとっても悪いものではなかったという人が居る。確かに、鉄道が整備され、沢山の学校が設立され、耕地面積が増え、農業生産も増え、人口も平均寿命も延びたなどプラスの面もあり、それを評価してほしいという気持ちはわからぬではない。しかし、この意見には忘れてはならない重要なことが二つ抜けている。
それは、日本は韓国を植民地にすることにより、韓国が自分の力で、自国を豊かにする機会を奪ったことである。当時の日本と韓国の国力を比べれば、韓国独自では、財源不足等で近代化のスピ-ドは遅かったかもしれないが、時間がかかってもそれを納得する形で成し遂げられたと思う。戦後の韓国の驚異的な発展が、それを成す底力を示している。大韓帝国時代、韓国は近代化のため歩き始めたが、その時、足払いをかけその歩みを止めたのは日本であることを忘れてはいけない。
もう一つは、そもそも、帝国主義時代の植民地の目的は、武力を背景に他国の領土と主権を奪い、自国のための原材料、労働力、市場の確保、軍事上の安全確保などを目的に行うことであり、その目的達成のための改革だったという事である。鉄道は生産が増えた米を日本に運ぶのにも使用され、学校では徐々に日本語が強要され宮城遥拝など日本に従順な国民を作ることが重要視された。植民地主義は、それによる現地への多少の恩恵はあったにせよ、本質は現地の収奪であり、『悪いこと』であることを認識しなければいけないと思う。戦後、ほとんどの植民地が独立し、旧式の帝国主義が亡んだことが、現地の人たちにとっては耐え難いことであり『悪い』ことであったことを証明している。
最後は西大門刑務所博物館での展示で、ハングルで辞書を作ろうとした二人の国文学者が獄死したことである。日本は植民地化以降、同化政策をとり韓国・朝鮮人の民族意識を徹底して排除しようとしてきた。それはだんだんエスカレートし、1938年には学校では日本語で授業が行われるようになった。その中で1942年に朝鮮語学会事件と呼ばれる、ハングルを学び普及させようとする民族主義者に対する大規模な弾圧が行われ、上記の国文学者が獄死することとなった。
日本の植民地政策で一番罪深いのは、「日本化政策」で、韓国の文化・伝統を蔑み、韓国・朝鮮人の民族独立の誇りを奪ったことだと思う。其れがどれだけ韓国・朝鮮の人々に筆舌に尽くしがたい苦しみを与えたかを、日本人はもっと深く考え、敏感になる必要があると思う。
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
元旦の昼前に、西宮浜まで散策に行ってまいりました。日頃と変わらず、ジョギングやウォーキング、犬の散歩の人々が行き交っていました。西宮浜と本土をつなぐ跳ね橋ですが、祝日の適用なのでしょうか、船など航行するはずもないのに、帰りに通行止めとなっていました。寒い中、しばし待たされました。
さて、『みちしるべ』104秋季号ですが、年始早々に印刷にかかりたいと思います。今しばらくお待ちいただきますよう、お願い申し上げます。いつものことながら、原稿が集まらずに遅れ遅れです。季刊になりましたので、合併号というわけにも参りませず。既に冬季号の編集に取り掛からねばなりません。みなさん、原稿をよろしく。
今年は如何なる年になりますやら。皆さんの予想をお送りいただければ幸いです。「バブルの崩壊」や「リーマンショック」で世の中が一変しましたが、それが何であったのか? いまだに世間では理解されていないようです。昨年9月にアメリカがデフォルトに陥るはずでしたが、借金の限度を撤廃して、何とか持たせています。が、トランプ政権の法秩序を無視した強引な政策をしても、歳入低下と歳出増加に歯止めはかかりません。「アメリカが風邪をひくと日本は肺炎になる」と言われますが、アメリカが肺炎になると如何なるのでしょうか? 安倍政権がどうこうと言っていますが、その程度の問題ではなさそうですが……。
原稿はE-mailでもFAXでも郵送でも構いません。宛先が判らないブログの読者の方は、非公開のコメントで頂いても結構です。反社会的な内容でない限り、いかなる立場の投稿でもボツにならないのが慣習になっています。皆さんの投稿をお願いします。