『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**東京外環道工事差止仮処分 最高裁の上告棄却に抗議**≪2023.夏季号 Vol.116≫

2023年08月27日 | 道路全国連

東京外環道工事差止仮処分 最高裁の上告棄却に抗議

東京外郭環状自動車道のシールドトンネル工事で、調布市の住宅前が陥没したのは記憶に新たなところです。陥没とは別に、大規模空洞が複数見つかり、住宅が沈没する危険にさらされています。なかば強制的に直上の住宅立ち退きをせまり、空洞を埋め立てる工事を強行しています。まさに憲法も人権も完全に無視した工事に、地元住民が仮処分を申し立てましたが、最高裁は国家行政に従属する通告を行いました。それに抗議する原告団の声明をご紹介します。

2023年7月12日

東京外環道工事差し止め仮処分について最高裁の上告棄却に抗議します!

東京外環道訴訟原告団

 最高裁第3小法廷(今崎幸彦裁判長)は、私たちが提起していた東京外環道シールドトンネル工事の差し止めを求めた仮処分申請について、2023年7月7日、特別抗告を棄却した、と通告してきました。私たちは、この決定に抗議し、裁判所がわれわれの三権分立の憲法の下で、行政に対する最終審査機関として正常に機能するよう、改めて求めるものです。

 私たちの訴えは、大深度地下の掘削工事について、一部差し止めを認めた東京地裁の決定について、同様の地域で、同様の立場にいる一部差止区間以外の原告についても差し止めを認めないのは、どう見ても不合理で、憲法に違反している、というものでした。

 つまり、仮処分決定は、杜撰なトンネル工事による2020年の陥没事故の近隣の原告1人について、「東名ジャンクション部を発進する本線トンネル(南行)及び同(北行)の工事を続行することによってその居住場所に陥没や空洞が生じる具体的な恐れがある」とし、「居住場所に陥没や空洞が生じれば、家屋の倒壊等を招き、その生命、身体に対する具体的な危険が生じる恐れがあり、その被害は(当該原告の)日常生活を根底から覆すものといえる」とし、「東名立坑(東名ジャンクション部)を発進する本線トンネル(南行)及び同(北行)の工事」について、「被保全権利(人格権に基づく妨害予防請求権としての差し止め請求権)及び保全の必要性」を認めて、本線部分の約60%にわたる工事の差し止めを命じたものでした。

 しかし仮処分決定は、トンネル直上や掘削コースのすぐ近くに居住している他の原告について「疎明がない」と片付け、大泉ジャンクション発進の本線トンネルやランプ・トンネルについて工事差し止めを認めませんでした。この結果、国と事業者は、大泉発進等の掘削工事を強行し続けています。「人格権に基づく妨害予防請求権としての差し止め請求権」は、なぜ他の原告について認められず、差止区間以外の掘削工事が認められるか。それらの地盤は、強固で安全なのか、陥没の危険はないのか。それこそ、その「疎明」はありません。

 一方で、陥没地域のトンネル直上の約220m×16mの地域の約30戸に「住宅解体・更地化・地下47mまでの地盤補修工事」を押しつけ、このために、入間川の河川上約400メートルに地盤固化剤と排泥を圧送する6本のパイプを通すという大工事を始め、平穏な住宅街を工事現場に変え、住民の命と暮らしを破壊しつつあります。同様の惨事が差止区間以外でも起こる可能性があることは、2022年の大泉の事業地でのシールド機自損事故で明らかです。

 そもそもこの仮処分決定は、本訴の結論が出る前に、一時的に、司法が事業の「暴走」を防ぐため、問題の再検討を求めるという機能を期待されているものです。国と事業者の態度は,こうした状況を無視し、裁判所の決定について異議申し立てもせず、「差し止められていない場所では、何をしても構わない」といわんばかりの姿勢で終始し、2年4ヵ月を経過しました。これは、まさに「司法に対する侮辱」以外の何ものでもありません。

 「まだ、最高裁がある!」――映画「真昼の暗黒」で描かれたこの言葉は、「憲法の番人」として、行政の誤りを正し、日本国憲法の正義を実現する最高裁判所への期待を示したものです。

 私たちは、ただ、行政の手続きに乗っただけの中途半端な仮処分決定を追認した最高裁の無責任な姿勢に抗議し、本訴で一層の運動を進めることを宣言します。

 大深度地下法は、憲法に決められた財産権制限に対する「補償」の規定を持たない憲法違反の法律です。その法律さえ守らず事故を起こし、多くの住民の人権を侵害している、東京外環道事業の認可・承認は無効であり、取り消すべきです。

【投稿日 2023.7.16.】

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『みちしるべ』**2022道路住民運動全国交流集会(概要)**≪2022.夏季号 Vol.113≫

2022年08月25日 | 道路全国連

2022道路住民運動全国交流集会(概要)

道路全国連の今年の全国集会ですが、7月30日にZOOMで行われた全国幹事会で、下記の通りに決まりましたのでお知らせします。詳細につきましては、今後、現地実行委員会で決まりますので、適当な時期に再度お知らせすることになると思います。

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※ 日時       10月30日(日)10時~16時(位)
             (午前・記念講演、午後・活動報告発表)
※ 開催方法    リアル会場とオンライン参加のハイブリッド方式
※ リアル会場   ≪予定≫武蔵野公会堂(JR中央線・吉祥寺駅徒歩5分)
※ 記念講演   礒野弥生 (東京経済大学名誉教授)
※ 講演テーマ   「大深度法・土地収用法にどう抗していくのか
             ――法改定へのアプローチを含めて――」
             ≪講演テーマはあくまでも仮題です≫     
※ 現地視察    コロナ以前のような現地視察は無しとする
※ 参加費      基本的には無料を想定
         活動報告集(冊子)の作成については未定【今後検討】
※ 現地実行委員会 「外環ネット+都市計画道路連絡会」の2者で構成する

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『みちしるべ』**「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書③****≪2022.春季号 Vol.112≫

2022年07月18日 | 道路全国連

「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書③

 毎年、環境週間に合わせて、全国の公害被害者が集まって、集会・デモ行進・省庁交渉を行っています。阪神間道路問題ネットワークも参加する「道路住民運動全国連絡会」も、毎回参加しています。

 過去に我がネットワークは、省庁交渉に参加したことがありますが、近年は協力券の購入と署名での参加になっています。

 今回は、以下の三団体の国交省交渉となります。要求書が取りまとめられましたので、紹介しておきます。

(ブログ版では1団体毎に掲載します。)

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2022年5月6日

第46回 公害被害者総行動
国土交通省への要求項目

道路住民運動全国連絡会

【東京外郭環状道路】

1、工事差止は、東名~武蔵野に止まらず全線を対象に中止すべき。

 事故報告書には疑問点が多すぎる。なぜなら、事故原因の究明が不十分なためである。

例えば、

陥没に至る詳細のメカニズムが明らかにされていない。急激な土砂の吸い込み、気泡による土壌の緩みなどがあったかどうかなど、より詳細の原因究明が必要。

家屋被害がどのように発生したのか。これまで、説明が一切ない。再発防止をする気がないのか?多くの住民に迷惑をかけている事実を重く受け止めるべきである。

騒音・振動・低周波音による健康被害を訴える住民が多く存在する。騒音・振動・低周波音と健康被害の関係、騒音・振動・低周波音の発生源の特定が必要。さらに、再発防止策で「振動を最大50%低減」と記載しているが、どのような値と比較したのかが不明。現状の振動の最大値およびその発生源をまず明らかにすべきである。同様に、騒音、低周波音に関しても最大値、その発生源を明らかにすべきである。

 原因究明をやり直す中でこれらの点を明らかにされたい。その上で、改めて報告書を作り直すべきである。以上につき、国交省の見解を問う。

2、大泉からの南行トンネル工事で、シールドマシンが破損し、その修理に半年かかるという事態が発生した。

 NEXCO東の説明によると、シールドマシンのカッタービットと攪拌翼が損壊した。その理由は、地中壁のシールドマシン通過用に設定されたウレタン壁を通過できず、周辺の鋼材部分を掘削したために発生した(シールドマシン通過用のウレタン部分の位置がずれていた?)。3月30日、31日に損壊事故が発生したにもかかわらず、4月7日になってカッタービットと攪拌翼、地中壁の鋼材をベルトコンベア上に発見して、事故を認識したという。

 また、今回の損傷部分はマシン内部からの補修できないことも明らかになった。カッターヘッド前面の地山を開削して部品交換せねばならず、それに約半年の時間がかかる。

 この件では、シールドマシンの仕様をNEXCO東が正しく把握していたか、また、その仕様が地盤状況にあったものであったのか、大いに疑問である。

損傷を受けた事実が7日間も判明せず、判明後、自治体、住民への報告はさらに後回しにされた。事故、事象を直ちに地元自治体及び周辺住民に周知するべきことだが、それが遅れたのはなぜか。

シールドマシン部品の損壊を、発生時点で把握できない理由は何か。見落としなのか、検知する仕様が採用されていなかったのか。理由を明らかにされたい。

外環工事に係わるすべてのシールドマシンの仕様、特にモニター項目とそのためのセンサーの種類、安全管理のための管理値(1次、2次、3次管理値とその管理値を超えた場合の具体的な対応)について示されたい。また、地盤、住宅街地下という環境から、現在の仕様が適切かどうかを明らかにされたい。

前面部分を開削して部品の補修することは、住民の立ち退きを求めることになる。そのような工事は住宅街地下で行ってはならない。カッターヘッドの部品交換が内部からできる仕様に変更するべきと考えるが、見解を問う。

全線工事を中止し、原因究明からやり直し、その上で再発防止策を策定すること。再発防止策の内容については、住民側と意見交換し、合意の上で最終版を作成すること。その上でなければ工事再開はあり得ないと考える。国交省の見解を示されたい。

3、事業者は、住民と有識者(有識者委員会以外の)との話し合いの場を設けるべき。

 その場で、ごまかすのではなく、データに基づく科学的合理性のある説明をするとともに、有識者委員会メンバーでない専門家を交え、様々な可能性について対等な立場に議論する場が必要である。早急に話し合いの場の設置を求める。

 検討すべき項目としては、

 陥没・空洞発生の原因
 地盤の緩みの原因
 家屋被害が広範囲にわたっている原因
 騒音・振動・低周波音による健康被害多発の状況から、その発生原因の特定

 新たな議論の場を考えるうえで、リニア中央新幹線に関する静岡県とJR東海、国交省の話し合いの場は参考にできる。

4、調布の陥没・空洞・地盤の緩みの補修などは、住民合意が不可欠。

調布の陥没・空洞・地盤の緩みは、外環工事が原因であると事業者自ら認めている。地権者の権利を侵害したのであるから、工事の発注者である事業者は、地域の補償・地盤補修に当たり、住民の合意を得て進めるのは当然と考えるが、国交省の見解を求める。

大幅なまち壊しになる事故を起こしたという事実を重く受け止め、いかに地域を住宅地として再生するかにつき、提案を求める。

5、大深度法は、シールド工事は地上に影響を与えないとの安全神話をベースに成立していた。しかし、この安全神話は外環工事によって崩れ去った。

大深度法は廃止する以外の選択肢はない。

地盤の緩みが発生しN値が50以下に緩んだので、もはや大深度地下が定める支持基盤でなくなった。だから、大深度地下使用認可取りを取消さなければならない状態にある。

外環特有の問題としては、国交省、ネクスコ東日本、ネクスコ中日本三社にそれぞれ認可された工事区間が守られていないという問題への見解を示してほしい。

以上3点につき、国交省の見解を問う。

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『みちしるべ』**「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書➁****≪2022.春季号 Vol.112≫

2022年07月18日 | 道路全国連

「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書➁

 毎年、環境週間に合わせて、全国の公害被害者が集まって、集会・デモ行進・省庁交渉を行っています。阪神間道路問題ネットワークも参加する「道路住民運動全国連絡会」も、毎回参加しています。

 過去に我がネットワークは、省庁交渉に参加したことがありますが、近年は協力券の購入と署名での参加になっています。

 今回は、以下の三団体の国交省交渉となります。要求書が取りまとめられましたので、紹介しておきます。

(ブログ版では1団体毎に掲載します。)

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2022年5月6日

第46回 公害被害者総行動
国土交通省への要求項目

道路住民運動全国連絡会

【中部横断自動車道(長坂~八千穂)― 山梨県側(北杜市)】

1.深刻なダメージを与える高速道路建設計画ではなく国道141号の改良・整備による現道活用を 求めます。

2. 公共事業評価制度の計画段階評価の手続き等に係る山積みの問題について約10年に渡り指摘し要請を続けていますが国交省は説明や解決が出来ないでいます。手続きのやり直しと建設計画の見直しを求めます。

3. 2020年1月31日、国交省が1キロ幅新ルート帯関係図の改ざんをついに認め、甲府河川国道事務所ホームページに訂正図を公表するなどしたことを踏まえ、社会資本整備審議会道路部会関東地方小委員会での再審議を求めます。

4. 現在、甲府河川国道事務所が行っている環境影響評価の現地調査の中止を求めます。

《質問と要請事項》

1、中部横断自動車道(長坂~八千穂)の山梨県側(北杜市)の計画段階評価の問題点について

 国交省甲府河川国道事務所が2012年11月21日にワーキンググループに提示した中部横断自動車道(長坂~八千穂)の山梨側の1キロ幅新ルート帯案は、それまでの3キロ幅ルート帯案の内側に位置しているとされていた。しかし沿線住民の会の調査による指摘で、1キロ幅新ルート帯案の大部分は実際は3キロ幅ルート帯の外側に位置していることが明らかとなり、国交省はそのことを認め2020年1月31日に甲府河川国道事務所のホームページに訂正図を掲載した。1キロ幅新ルート帯案がそれまでの3キロ幅ルート帯案(建設予定地域)の外側に設定される場合には、計画段階評価は始めからやり直す必要があることは明白である。そうでなければ新たに対象となった地域の住民・別荘所有者等にとっては選択肢が無く、1キロ幅新ルート帯案はたんに国交省による押し付け以外の何物でもないのである。国交省はこの1キロ幅新ルート帯案の提示に際し、関係する住民等には3キロ幅のルート帯の検討の過程で説明してきたと強弁するためにあたかも1キロ幅新ルート帯案が3キロ幅ルート帯案の内側にあるかのようにルート帯関係図の改ざんまで行ったのである。

 このことは計画段階評価の透明性、妥当性、合理性、正当性を著しく欠くもので、計画段階評価の重大な瑕疵と言えやり直しが必要である。ルート帯関係図の改ざんはどのような理由でどのような場での意思決定で行われたのか、改ざんを行った理由と経緯等、それに関与した当時の国交省職員と関係者等などの解明を求める。第三者機関による関係職員等へのヒアリング、徹底した調査による解明と検証、報告を求める。

2、1キロ幅新ルート帯案決定に至る経過における問題点について

(1) 2022年1月11日~12日、当会の要請により関東地方整備局道路部道路計画第一課が沿線住民の会の要請により、1キロ幅新ルート帯が決定された当時の国交省甲府河川国道事務所の担当者である小林達徳事業対策官(現在茨城県桜川市副市長に出向)や宮坂広志計画課長(現在川崎国道事務所長)に対してヒアリングを行った。ヒアリングは形ばかりのもので事実関係の究明には不十分な内容であるため、再度、第三者機関を設置しヒアリング、調査の実施と報告を求める。ヒアリングの際には関係する住民等の立ち合いを求める。

(2) 2012年(平成24年)10月4日の関東地方小委員会において全区間で新たに道路を整備する案を改良し、清里高原の南側のルートを含めて検討するワーキンググループを設置すべきとした。この小委員会が開催される直前の2012年9月末頃、当初示されていた3キロ幅ルート帯に関係する住民団体に対して甲府河川国道事務所の当時の小林達徳事業対策官等が関東地方小委員会の中間とりまとめにおいて、それまでの3キロ幅ルート帯を白紙撤回とする事、次のルートは川俣川の東側を通るルートを想定しており八ヶ岳南麓は通らないと説明し、また別日には数人の住民へ1キロ幅新ルート帯発表前に小委員会の審議に関わることについて資料を見せ説明を行った事実が判明している。この事についても第三者機関を設置し当時の関係職員、関係者等へのヒアリング、調査の実施と報告を求める。

(3) (1)に関連して2015年(平成27年)11月26日の国交省道路局企画課への要請の際に、当時の担当者である篠田宗純課長補佐が第1回の小委員会の前とワーキンググル-プを立ち上げるところくらいに「ボタンの掛け違い」を行っているのは事実と答えたが、後にワーキンググループを立ち上げる時のボタンの掛け違いについては言ったことはないと否定した経緯がある。ワーキンググループの立ち上げは1キロ幅新ルート帯案を決定づける重要な時である。当時の発言の録音では、確かにそのように発言していることが確認された。2回目のボタンの掛け違いの内容に関し、第三者機関を設置し当時の関係職員へのヒアリング、調査の実施と報告、再度回答を求める。

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『みちしるべ』**「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書①**≪2022.春季号 Vol.112≫

2022年07月18日 | 道路全国連

「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書①

 毎年、環境週間に合わせて、全国の公害被害者が集まって、集会・デモ行進・省庁交渉を行っています。阪神間道路問題ネットワークも参加する「道路住民運動全国連絡会」も、毎回参加しています。

 過去に我がネットワークは、省庁交渉に参加したことがありますが、近年は協力券の購入と署名での参加になっています。

 今回は、以下の三団体の国交省交渉となります。要求書が取りまとめられましたので、紹介しておきます。

(ブログ版では1団体毎に掲載します。)

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2022年5月6日

第46回 公害被害者総行動
国土交通省への要求項目

道路住民運動全国連絡会

【横浜環状道路南線(圏央道)】

1、横浜環状南線(横環南線)の環境影響評価の見直しを求めます。                            

 横環南線は、当初は栄JCから釜利谷JC間は、長さ1km前後の4つのトンネルと掘割部から成り、トンネル内の排気ガスは主に2か所の換気所からの大気放出される事とし、トンネルの切れ目や換気所周辺についての大気汚染濃度評価や騒音評価と防止対策が計画されていました。

 しかし、2019年にNEXCO東は、突然、これらのトンネルと掘割部を1つに繋げた、全長5kmの1本のトンネルとする大きな設計変更を発表しました。

 この為、排気ガスは、前後の出入り口と2か所の換気所から放出される事になりました。出入口とは、笠間口と釜利谷の開口部です。換気所は、笠間と公田に計画されていますが、釜利谷開口部から最大の排気ガス量を放出する計画となっています。

 一方、環境影響評価について、その後の状況変化をフォローするために数年置きに照査が行われています。この照査では、走行車両の台数や排気ガスの排出量などを時々の状況にあわせてアップデートして評価しています。前記の様に、横環南線では、トンネル構造が大幅に変更になり、排気ガスや騒音の発生地点が大きく変わったにも関わらず、評価地点はまったく変わっていません。

 例えば、このトンネルの一方の出入り口である釜利谷開口部からは、全体の38%という最大の排気ガスが無処理で大気放出されるにも拘わらず、最も近いNOx濃度の評価地点は、約1km離れた神戸橋の地点でしか評価されておりません。この地点は、従来は神戸橋橋梁部で大気開放されていたために評価地点とされたもので、変更後は排気ガスは無くなった地点です。

 この様に、排気ガスの放出計画が大きく変更されたにも拘わらず、大気汚染濃度などの評価地点は従来通りの為、近隣住民は大きな不安を抱いております。

 換気計画の大幅な変更に対応した環境影響評価の見直しを求めます。
一部住民の質問に答える形で、部分的限定的な評価結果は知らされていますが、全体的位置づけからの公式な報告書として公開されるべきです。

2、横環南線計画において最大の排出ガス(全体の約38%)が放出されることになった釜利谷開口部に蓋掛けなどの対策を講じる事を強く要求します。

 横浜市栄区の庄戸住宅地から200mしか離れていない釜利谷の谷部では横環南線での排気計画見直しにより全体の4割の排気ガスが無処理のまま自然放出されることが明らかになった。区民の健康を守るため横環南線が渡る4号線上部の開口部に設置されると同様のルーバー蓋掛けをすることを要求する。

 下記の横浜市議会の道路委員会でも対応が約束されている。

3、横浜環状南線の2カ所の排気ガス換気所に排ガス脱硝装置を設置することを要求します。

 3年前に横浜市議会にて全会派一致で脱硝装置の設置を採択され、横浜市長は事業者に設置要請を行っているが事業者はこれを未だに無視し続けている。これに関し、先日の市議会における道路委員会でも、議長と道路局長が住民の強い対応を受け改めて再度文書にて要請することを決定した。同じ横浜市内の横浜環状北線と北西線には、設置済みで格段良くなった排気ガス濃度がHPに報告されている。これを知り環境影響評価ではすべて同等である同じ横浜市民である栄区市民は全く納得できない事実を知るべきである。ここに栄区市民を代表して上記2基の排気所に北線、北西線と同等の脱硝装置の設置を要請する。

4、国内で稼働中の全てのシールドマシンの点検と安全対策について統一化を求める

 横浜環状南線のシールドマシンの故障の原因は駆動モーターにピニオンギアを固定するボルトが締め過ぎが原因で破断した為と説明されたが、その後WEB記事で「過去に同様の事故がなかったため、締め付けトルクの管理値を設けていなかった」と締め過ぎの理由が明らかにされた。

 管理値を設けずに組み立てられたマシンは欠陥品であるので、稼働中の全てのマシンの運転を即刻停止して点検と対策を講じるよう事業者へ命じることを国交大臣へ3月22日に要請した。

 ついては、この要請に対しどのような対処が行われたかお答え下さい。

5、シールドトンネルの超近接併設工事に対する安全対策を統一化し施工者に指導を求める

 過去の近接工事施工例では、つくばエクスプレス線の最小離隔288mmがあるが、区間は立坑発進到達の僅か15mでありトンネル直径φ7.45mに対する比は3.9%である。横浜環状南線は上下線の併設トンネルでは最小380mmの超近接区間が500m続く。直径15mφに対する離隔距離の比は2.5%と非常に厳しい条件となっている。共同企業体の幹事会社の大成建設は設計段階で検討を行っていると住民に説明したが、対策は合成セグメントの採用とシールドトンネル側面にセンサーを設置したことであると思われる。セグメント厚405mmは直径比2.7%になる。

 ところが横環南に接続している横浜湘南道路では近接区間2.7kmに渡り、後行トンネルにより先行トンネルのセグメントに変形が生じないよう前後50mに移動式支持装置を設置するとしている。因みに、シールドトンネルの直径12.92mφ、最小離隔400mm、合成セグメントの厚み360mmとなっており、離隔/直径は3.1%、厚み/直径2.8%と何れも横環南よりも安全側の数値になっている。

 横湘道路の対策は企業体からの提案だと横浜国道事務所の計画課長が明かにした。

 施工を担当する企業体により安全対策にばらつきがあってはならない。国交省として超近接併設工事に対する統一した安全対策を設定し企業体へ指示するよう求める。

6、桂台地区のシールドマシンによる低周波音等による健康被害状況を把握すること。ひいては夜間の稼働の中止を求める。

7.主要地方道原宿六ツ浦(上郷公田線)の整備計画の中止勧告するよう求める

 昨年の要請で住民に納得できる説明がなされなければ道路整備計画は進めることは許されないと申し上げました。しかるに、横浜国道事務所も横浜市道路局も6,200台/日の推計交通量に対して、我々に納得の行く説明をせず、従来の「数字はOD表から出たものだ」を繰り返すことに終始してきました。

 合理的な裏付けのない道路整備計画は中止するよう横浜市へ勧告願います。

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『みちしるべ』**「道路の現在と未来 道路全国連四十五年史」発刊**≪2021.夏季号 Vol.110≫

2021年08月20日 | 道路全国連

「道路の現在と未来 道路全国連四十五年史」発刊

道路住民運動全国連絡会

 道路住民運動全国連絡会の歴史は45年を超えました。これまで15・25・35年誌を出版してきました。今回は45年史を発刊することが出来ました。
 今出版の特徴は、団体の運動紹介を中心とするのではなく、道路住民運動のバイブルとなるようなコンセプトで編集されました。是非、多くの住民の方々にお読みいただければ幸いです。
 本の帯紹介は、以下の通りです。

 道路事業は始まったら止まらない。2020年10月に陥没事故が起きた東京外環道の建設計画を始めとした全国の幹線道路計画などの多くは、1978年の第四次全国総合開発計画を起点としている。これらの道路計画はある日突然、発表され、住民は説明会で驚愕の事実を知る。自分の家の上や下を計画道路が走っていて立ち退きを迫られる。建設された道路からは騒音と排ガスが撒き散らされる。
住民は道路と対峙し、全国組織を立ち上げ、建設を強行する事業者と闘うと共に、住民の理解を得る、透明性のある、持続可能な道路の在り方を提言してきた。本書は、道路全国連の45年の闘いの代表例など事例別に総括し、専門家や研究者の分析・提言などを踏まえ、道路の現在と未来を切り開く試みである。

 本書は緑風出版から出されており、有名書店には並ぶ予定です。2600円+税 でお買い求め頂けます。阪神間道路問題ネットワークでも扱っておりますので、ご連絡頂ければ幸いです。
 以下に【目次】をご紹介させていただきます。


はじめに

第1部 公共事業の実態と今後への提言

第1章 国土・地域再編の方向性とインフラ整備のあり方

中山 徹

第2章 車と道路計画の現状と課題

上岡 直見

第3章 道路の設置管理と市民参加

磯野 弥生

第4章 東京外環道の事例からみるPIと市民。住民参加

小山 雄一郎


第2部 住民はどのように抵抗し何を勝ち取ってきたか

第1章 住民参加を目指して

 第一節 住民参加を目指してPIの実態と取り組み

      外環道路反対連盟

 第二節 事業再評価で見直しをさせる

  横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会

 第三節 計画段階で意見を反映させることは可能か

中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会

第2章 環境を守る

 第一節 守られなかった奇跡の山 ―― 高尾山から公共事業を問う

    橋本良仁

 第二節 工事被害への補償問題での前進

環状二号線問題懇談会事務局長 篠原正之
東南部環状2号線問題懇談会会長 弘岡良夫
 名古屋環状2号線から環境を守る会事務局長 加藤平雄

第3章 法廷での闘い

 第一節 あきる野から始まった高尾の自然を守る裁判の成果とは

   1「執行停止」と「事業認定取消」の画期的判決 圏央道

あきる野事業認定取消裁判 坂本 孝

   2 高尾山の自然を守る高尾山天狗裁判

高尾山の自然をまもる市民の会 橋本良仁

 第二節 騒音被害から勤務者と居住者の健康を守る判決を勝ち取る

広島・弁護士 足立修一

 第三節 小平道路事件 ―― アセスメントの不当性を争う

    弁護士 吉田健一

 第四節 東京都の都市計画道路と旧都市計画法の瑕疵について

ジャーナリスト 山本俊明

 第五節 太郎杉裁判に続く勝利(鞆の浦世界遺産訴訟裁判)

道路全国連事務局長 長谷川茂雄

 第六節 大深度法は憲法違反 ―― 住宅の真下にトンネルいらない

    外環ネット

第4章 あきらめないで闘い続けるということ

 第一節 大阪市は市民の生命・財産・環境保全に責任を持て
        ―― 住民パワー四九年間の奮闘――

   廣瀬平四郎

 第二節 事業者の住民無視の態度とどう闘うか

福山バイパスと区画整理を考える会 迫川龍雄

 第三節 市川市における自治体ぐるみの外環反対運動

 市川市松戸市外環連合   高柳俊暢

第5章 住民側からの提案で事業計画を変える試み

 第一節 アセスに最新の知見と技術を提案

横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会

 第二節 高田町線をきっかけに未着手道路の廃止が本格化

高田町線を考える会代表  古田剛
道路公害反対愛知県民会議代表兼事務局長 篠原正之

 第三節 東九州自動車道の路線変更を求める

  東九州自動車道予定路線反対期成会

第3部 資料編

(1) 道路全国連の歴史
(2) 道路全国連参加団体の紹介
(3) 「道路の定義」及び「道路に関連する計画」について
(4) 2010年12月 日弁連提案「公共事業改革基本法案」骨子(パンフ)
(5) 参考文献一覧

あとがき


【投稿日】2021.7.6.

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『みちしるべ』**第45回 道路住民運動全国連絡会 交流集会アピール**<2019. 秋季号 Vol.104>

2020年01月02日 | 道路全国連
第45回 道路住民運動全国連絡会 交流集会アピール
 
道路公害に対する住民の全国運動は半世紀に及び、毎年行われてきた全国集会も45回を数えました。毎回「集会アピール」を採択してきましたが、ここに掲載します。
 
集会アピール

 第45回全国交流集会は、横浜市の神奈川県立「あーすぷらざ」で開催され、29団体、78人(延べ115人)が参加した。

 当集会の横浜開催はこれまで5回あったが、当会場では5年前の2014年10月に続き2回目となった。この間当該地区の横浜環状道路(圏央道)の進捗状況概要は次のとおりである。5年前には当局による土地収用法に基づく事業認定申請に向けた事業説明会が強行された。これに対し住民は意見書の提出、公聴会での意見陳述を行い法的範囲内で本計画の白紙撤回・抜本的見直しを拠り所に抵抗を試みたのである。抵抗も空しく翌15年10月に不本意ながら事業認定された。その後事業説明と工事説明が各工事区域で行われた。連協加盟沿線区域では都市計画決定から20年間にわたり、工事の着工を一切許すことはなかったのである。事業認定決定を契機に連協の運動方針は白紙撤回から大きく転換し、当局の事業認定に基づく具体的な工事に対し厳しく対応し住民の環境への影響や不安を取り除くべく国交省、NEXCO東日本、横浜市と質問回答会議を随時開催し意見交換の場で依頼・要求等を行ってきた。そして今も継続中である。

 こうして素案発表から30年以上を経過した現在、建設計画区域全線で工事が着工されることに。この間運動の最大の成果としては30年間高速道路を造らせることなく住環境が守れたことは住民の自負するところである。圏央道では裏高尾をはじめあきる野等々で何十年にもわたって建設阻止の運動が展開されてきたが、横浜を含め数年後に全線開通を余儀なくされることに対し今なお多くの関係者は忸怩たる思いがあるのではないだろうか。

 本集会ではこれまで全国で繰り広げられてきた「住民参加の道路事業」の中で「住民が主人公であったか、何を未来に伝えるか!」をテーマに分科会で取り上げることとした。全国で住民参加の事業を展開してきたが、その中で住民が参加したがうまくいかなかった事例、住民の参加により良かったこと等を踏まえ住民参加への提言など何を未来の運動に伝え、いかに進めていくかのヒント・助言に少しでもつながればとの思いからの企画であった。これは道路住民運動の現状の問題点を明らかにするとともに将来の方向性と展望を切り拓くことに役立つことを切に願うものである。

 近年、大規模な災害が相次いでいる。今年に入っても台風・豪雨による河川の決壊、氾濫など風水害の激甚化は、多くの犠牲者と被害を出したのは記憶に新しい。地球規模での気候変動が影響していることは否定できない。自然災害が多発する日本列島で、国民の命と財産を守ることは政治の要であり、従来の延長線上ではない、防災・減災対策の抜本的な強化が求められるところである。こうした状況のもと公共事業を、これまでのように大型開発・新規事業優先ですすめていいのかが問われている。私たちは、安全・安心の防災・減災対策、老朽化対策を公共事業の基本に据える抜本的な改革が必要だと考える。そして実現化するために全国の市民運動と連帯して国等行政に訴えていくことをここに宣言する。
 
     2019年11月24日

第45回道路全国連全国交流集会参加者一同
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『みちしるべ』**総行動における道路全国連の国交省交渉 要請書**<2019.春季 Vol.102>

2019年05月23日 | 道路全国連
総行動における道路全国連の国交省交渉 要請書
 
「第44回 公害被害者総行動」において、6/6に「道路全国連」が国土交通省と交渉するにあたって、当局に提出した要請書を転載します。
 
国土交通大臣 石井啓一 殿 
2019年6月5日
道路住民運動全国連絡会 事務局長 橋本良仁
 
 国土交通省の2019年度公共事業関係予算は6兆9099億円、国際競争力の強化、オリンピック、国土強靭化を口実に7年連続で増額。2018年当初予算比では9310億円増となっている。

 30年以上前の1987年に閣議決定した四全総で計画された全国14000キロメートルの高規格自動車専用道路網は推進しており、2008年には不採算道路として一旦止めた計画もゾンビのごとくよみがっている。

 一方、道路を含めた社会資本の多くは建設後30年を経過して老朽化し、国交省自身、今後50年間に必要な維持・管理・更新費は250兆円(年5兆円)と見込んでいる。新たな道路を建設する財政的余裕はまったくない。
 
将来交通需要予測について

 現在の道路事業評価の基礎となっている平成22年全国交通センサスに基づく、全国及び各ブロック毎の将来予測交通量を公表するとともに、従来の予測データとの比較結果を示して下さい。

 また平成27年交通センサスから既に3年を経過していることから、予測交通量を、この最新の交通センサスによるものに早急に改めて下さい。
 
横浜環状南線

1.環境影響予測評価手法の新たなシステム構築状況について。

 一昨年、以下について要請した。その後2年を経過しており、新たなシステム構築状況について説明を求めます。

 「平成29年2月20日付け公害調停は「被申請人は、環境影響評価の大気汚染予測の方法について、科学的知見に基づき最適な予測方法を用いるものとする。」と成立しました。具体的にいつどのような方法を採用するか、を示すよう求めます。

 昨年の回答は「最新の状況で行くと、研究機関で海外の事例とか、どういった手法があるとかということ、行けるもので法等にそれが予測できるのかどうかは次のステップで。プルーム・パフより精度のいいものはどういうものがあるのか、海外の事例を見ながら検討している」とのことであったが、その後の検討結果、及び、今後どのように進展させるのかについて提示頂きたい。
 
2.換気所の脱硝装置の設置について

 NEXCO東日本に脱硝装置を設置するよう指導することを改めて求めます。

 そもそも、脱硝装置設置は事業の認定手続きである環境影響審査における社会との約束(契約)事項である。すなわち、アセス時の環境影響評価書の縦覧後の市民・横浜市からの意見書に対し、事業者の見解書に「換気所から排出される自動車排出ガスの脱硝技術等については、現在実用化されておりませんが、その技術的可能性について調査研究が進められており、脱硝技術等が実用化された段階で、検討を行ってまいります」と明記され、これに基づき都市計画変更は認可となっているのである。

 事業者のNEXCO東日本は、現在の大気環境は改善されていることから脱硝装置の設置は必要ないとうそぶいているが、脱硝技術は横浜環状北線に設置され既に実用化されておりアセス時の約束の履行を求めるものである。

 なお、平成28年秋の横浜市議会の決算委員会で市当局は「住民の要望に応え横浜環状南線も換気塔に脱硝装置を付けるよう事業者に伝える」と回答、また、平成31年2月横浜市議会は地元住民からの請願「脱硝装置の設置について国及び東日本高速道路株式会社に働き掛けを行うこと」が本会議において採択されており、この全会派一致の採択を無視することは許されない。
 
3.供用後の公害発生時等の対応窓口(自治会等)と事業者との問題解決に関する協定締結について

 国交省として上記の問題解決の相談窓口として対応する自治会、町会を認め事業者との協定を締結するよう指導することを強く要請する。

 事業推進中の横環南は将来にわたり地盤沈下や低周波振動や騒音被害、排気ガスによる健康被害など生ずる可能性を秘めている。PM2.5による発症には20年近い潜伏期間があるとの報告もあり将来にわたり心配である。このような事例が生じた場合を考慮して相談や訴え窓口の設置が必要である。しかし現在まで事業者との話合では民法を盾に地域社会との協定締結を拒否している。一方住民の福祉を守るための町会活動は地方自治法により守られておりこの矛盾を打破するため上記の協定を結ぶことが不可欠である。

中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会

中部横断自動車道(長坂~八千穂)―― 山梨県側(北杜市)
 
要請事項

八ヶ岳南麓の自然、景観、生活環境等の地域環境を破壊し、深刻なダメージを与える高速道路建設計画に反対し、新ルート帯の見直しを求め国道141号の改良・整備による現道活用を求めます。

最初の時点に戻し、公共事業評価制度計画段階評価のやり直しを求めます。

社会資本整備審議会道路部会関東地方小委員会での再審議を求めます。
 
1.公開ヒアリング時の21質問事項に対する回答書の速やかな提出等について

 道路局は2018年12月11日 超党派議員連盟「公共事業チェック議員の会」と沿線住民の会共催で行われた国交省への「公開ヒアリング」で21の質問項目質問書に対する回答書提出の要請に応じました。再三の回答書提出の求めに対してようやく2019年2月5日、道路局企画課道路経済調査室から国会議員事務所を通じて回答書が送られてきました。その回答書には官庁名、当該部署、担当者名、また回答の宛先、日付などは一切記載されておらず、とても公文書としての回答書と言えるものではありません。改めて公開ヒアリングの際に回答した内容に基づき、質問書の21質問項目に対して事実に基づいた適正な説明と回答を求め、回答書の速やかな提出を求めます。

 2019年3月26日関東地方整備局(甲府河川国道事務所地域防災調整官、係長同席)への面談要請の際に21質問項目質問書をあらかじめ提出していましたので、詳細な説明と回答が得られるものと思っていましたが、整備局課長補佐及び甲府河川国道事務所の地域防災調整官は殆ど説明及び回答が出来ませんでした。こうした事態・対応等について具体的な回答を求めます。
 
2.転記ミス・改ざんされた新ルート図の訂正と公表について

 国交省が主張する、本件の「計画段階評価は適正に行われた」について再度説明を求めます。2012年11月21日関東地方小委員会第1回ワーキンググループに、国交省は改ざんされた新ルート帯案図を審議資料として提出しました。更に2013年1~2月に開かれた地元説明会について事実と異なる報告も行っています。ワーキンググループの委員たちはこの改ざんされた資料や誤った報告にもとづいて審議・取りまとめを行いました。

 当時の甲府河川国道事務所の事業対策官と課長、関東地方整備局、道路局は転記ミスと認めましたが、現在も転記ミス・改ざんされた新ルート図は訂正されず放置され、審議資料や行政説明資料として使用され続けています。計画段階評価にはこのように重大な瑕疵があるため、そのやり直しを求めます。また、速やかに転記ミスを訂正・公表することについて回答を求めます。
 
3.計画段階評価の際に提示されなかった「消されたルート案」について

 速やかに「ボタンの掛け違い」の時点にもどし、複数ルート案の提示と比較評価の機会をつくるために、計画段階評価のやり直しを求めます。

 2017年1月~3月の公文書情報開示請求により、国交省が2013年当初の地元説明会及びそれ以降もないと言い続けて公表されなかった新ルート帯案のルート帯地形図、縦平面図と工法図等概略図が開示されました。さらに中央道須玉ICと双葉JCT分岐ルート案の概略図も開示され、地元説明会の時点で存在していたことが判明しました。

 更に山梨県のホームページには2016年9月13日付で長坂ICを起点にして141号の東側の川上村、南相木村、北相木村近く、佐久穂町周辺を通るルートが公表されています。

 現時点で把握されている計画段階評価の際に提示・公表されなかったルート図は①中央道須玉ICと双葉JCT分岐ルート案②長坂ICを起点にした141号の東側の川上村、南相木村、北相木村近く、佐久穂町周辺を通るルート図です。国交省は計画段階評価の手続きの際に複数ルート案を検討、用意しておきながら、なぜ新ルート案だけを提示・公表して、他のルート案を示さず住民にルート案の比較評価の機会を与えなかったのか。「消されたルート案」についての説明と回答を求めます。
 
4.山梨県への対応策 国交省からの出向者の対応等について

 石井国土交通大臣は山梨県知事が訪問した際に、いかに地域住民とのコミニュケーションを取るかが課題だと話し、山梨県知事は真摯に話す機会をつくり、懸念を払拭できるようにしたいと答えました。

 本年1月新知事として就任した長坂幸太郎知事へ2月27日に面談を要請しましたが、3月22日の回答で面談は拒否されるに至っています。山梨県県土整備部にはこれまで継続的に国交省から出向した者が部長、副部長、理事、高速道路推進課長職に配置され、私たち住民との直接的な対話を妨げ信頼関係を損ね、面談ができなくなった経緯があります。このような事態について道路局はどのように対応しますか。山梨県に対してどのような具体的な打開策を講じて働きかけますか。回答を求めます。

東京外郭環状道路

1. 気泡シールド工法について

 気泡シールド工法を住宅街直下で採用するなら、上記の問題点をいかに解消するのか、具体的に示していただきたい。

 酸欠空気が住宅の地下室、井戸などに滞留し、住民の生命に影響を与える可能性を排除しなければならない。具体的な施策を明らかにしていただきたい。

 東名JCT発進のシールドマシンにより、野川に酸欠気泡が発生。遊歩道及び工事ヤード内に地下水が噴出した。40m以深の工事であっても、地上に影響が出ることが明白になった。大深度法違反である。

 酸欠気泡噴出のメカニズムの解説は、気泡が川面を移動した事実を、地下水噴出は気泡が一か所に集まる理由を説明できていない。今後も、気泡シールド工法によって、気泡、地下水が噴出する可能性が高い。

 大林JV、鹿島JVそれぞれの工事責任者は、「南行き工事による残留空気が北行き工事の影響で押し出され空気の噴出があった」とする見解を示した。この発言から、1台目のマシンによる滞留空気が2台目のマシンにより地上へ押し出されるという事実が明らかになった。つまり、地下40m以深から地上に至る空気、地下水の通り道があり、そこから残留空気が地上に噴出する可能性が高いことが証明された。
 
2. 緊急避難計画について

 地下でトンネル事故が発生し、周囲の大量の土砂がトンネル内に流入しているなら、地上部に陥没が発生するとみて間違いない。住民、特に災害弱者である住民の避難に必要な時間が、どのように確保されるのか、避難時間計算の根拠とともに示していただきたい。

 上記の「兆候」とは、具体的にどのような状況を指すのか、事象、数値等を含め、具体的に明らかされたい。

 福岡県博多駅前の地下鉄延伸工事による大規模陥没事故を恐れた住民の厳しい要求に応え、事業者は緊急避難計画(「東京外かく環状道路《関越〜東名》トンネル工事の安全・安心確保の取り組み」2018年7月)を公表した。そして、トンネル内に掘削土以外の大量の土砂が流入した時が避難指示を出す時であると説明している(2019年2月のオープンハウス)。しかし、最も重要である、住民の避難完了と陥没事故の発生との時間的な関係が示されていない。

 事業者作成の「東京外環《関越〜東名》トンネル工事の緊急時の対応について」(平成30年12月)に「緊急時の周知に際しては、地表面に影響が発現する時間は地質条件等により異なるが、可能な限り早期に兆候を把握することが重要である。」この「兆候」をどう定義するのかによって、避難計画の有効性が大きく変化することは明らかである。
 
3. 家屋の振動について

 振動(低周波を含む)原因を究明し、発生させない具体的方策を示していただきたい。

 振動が発生する可能性があることを、シールドマシン到達予定地に事前周知し、希望者宅には震度計を設置していただきたい。

 マシン位置をリアルタイムで現地に表示していただきたい。

 東名ジャンクション地域では、シールドマシンが既に住宅地に入っているが、これに伴うと考えられる家鳴り、振動に悩まされているとの声が寄せられている。振動個所は野川の左岸のみならず右岸に及んでいる。近傍に振動の発生原因となる事象は、外環工事以外に認められない。住民は睡眠障害、生活破壊に悩まされている。さらに、振動は建物の損壊に繋がり、長期的には陥没などを引き起こす事態となる。
 
4. 全体として

 東京外環道事業者は、説明会、オープンハウスは開催しても、住民側の質問に答えず、大深度法の定める『説明責任』を果たしていない。東名JCT地域での気泡、地下水噴出事故に関する質疑でも同様である。事業者が説明責任を果たすよう、指導していただきたい。

 事業者側はリアルタイムの地表面変容、地下水位、トンネル施工の安全管理基準値など、他の事業で公表しているデータですら明らかにすることを拒んでいる。東京外環道の工事は、住宅街直下の超大規模事業であり、住民の安全・安心確保は、最優先事項である。工事情報を公開し、住民のアクセスを容易にしていただきたい。
 

第45回 道路全国連全国交流集会

日程:2019年 11月23日(土・祭) 午後 横環南等バス見学会 16:00~交流集会
       
11月24日(日)        9:00~17:00交流集会

場所: 横浜市栄区 JR本郷台駅前 あーすぷらざ内 映像ホール及び会議室

主催: 横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会(現地実行委員会)

 
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『みちしるべ』**道路住民運動全国連絡会報告**<2019.春季 Vol.102>

2019年05月23日 | 道路全国連
道路住民運動全国連絡会報告

「公害被害者総行動」は環境週間に合わせ、毎年行われています。今年は第44回目となり、6/5~6に原発・大気汚染・アスベスト・水俣病等の公害被害者団体が集まり、ニッショウホール(東京都港区)での集会や中央省庁交渉を行います。当ネットも加盟する「道路全国連」は、今年も参加します。この集会ではパンフレットが作成され、そこに掲載される「道路全国連」の活動報告を橋本事務局長がまとめましたので、転載します。
 
旧来型公共事業からの転換を

道路住民運動全国連絡会 事務局長 橋本良仁
 
1 大規模公共事業を拡大し社会保障を削減

 2019年度予算案:国際競争力強化、オリンピック、国土強靭化を口実に予算増額、増額は7年連続である。

 国土交通省の公共事業関係費は6兆9099億円(2018年当初予算比9310億円増)。「効率的物流ネットワークの強化」東京外環道など三大都市圏環状道路整備(3699億円で2018年当初予算比10%増)、都市の国際競争力強化(108億円で9%増)、国際コンテナ港湾などの機能強化(874億円で3%増)、首都圏空港の機能強化(155億円で1%増)、整備新幹線(792円で5%増)。

 1987年閣議決定した四全総で計画された全国14000キロメートルの高規格自動車専用道路網の整備計画路線はすべて推進する。

 “二階(幹事長)道路”と揶揄される紀伊半島一周道路、“安倍道路”と言われる山陰自動車道、“石破道路”の山陰近畿自動車道、“安倍⇔麻生道路”の下関北九州道路(関門海峡道路)などは進める。東京湾横断道路をさらに1本つくる計画も浮上している。無駄な道路として2008年に一旦止めた建設計画はゾンビのごとくよみがっている。

 道路を含めた社会資本の多くは、建設後30年を経過し老朽化している。国交省自身、今後50年間に必要な維持・管理・更新費は250兆円(年5兆円)が見込まれるとしている。新たな道路を建設する財政的余裕はまったくない。

2 防災・災害対策費は大幅増

 近年、異常気象による巨大台風や地震、津波、火山噴火など自然災害が多発している。災害復旧や防災対策は、遅ればせながら大幅な増加となった。

 2019年度の水害対策(6039億円で52%増)、土砂災害対策(1281億円で67%増)、地震対策(2521億円で46%増)。

3 無視する沿線住民との合意形成

 住民との合意形成や説明責任を果たすことを目的に、PI(パブリックインボルブメント)やPC(パブリックコメント)が導入された。また環境アセスメントの実施前に、住民の意見を取り入れるとして計画段階評価も導入した。しかし、中部横断自動車道などは形式だけで住民の意見は聞きおくだけ、「先に道路建設あり」の姿勢は変わらない。一旦決めた計画の変更や休止、中止はない。

4 公害調停や裁判を提起

 強行される道路建設に対し全国の道路住民運動団体は、国交省道路局、地方整備局、国道事務所や自治体、道路株式会社などを相手に、要請や交渉を行っている。また、公害調停や訴訟を提起する団体が増加し、東京都内の都市計画道路では、12団体が裁判で闘っている。

5 公害被害者との連帯

 大気汚染公害被害者は、未救済患者の医療費助成制度を求めて運動を進めているが、道路全国連はこの運動に共同の活動を行っている。また、福島原発事故の被害者は、全国20ヵ所以上で裁判を起こし、原告数は1万人を越える。アスベスト被害者も国や事業主の責任と賠償を求めて訴訟を行っている。道路全国連はこれらの公害被害者団体と連帯し、全国公害総行動実行委員会に結集して共同の運動を進める。

6 公共事業改革市民会議や公共事業チェック議員の会との共同

 道路全国連は公共事業改革市民会議とともに、チェック議員の会との共同・協力を強めている。全国のダム、道路、湿地・干潟、スーパー堤防、沖縄の米軍基地、リニア中央新幹線と闘っている仲間と連帯して闘う。

7 旧来型公共事業からの転換を

 7000万人のスーパーメガリージョンを形成するというリニア中央新幹線、4つの国際空港、2つの国際戦略港湾、高速道路ネットワークの整備を進めるとしている。

 誰のための公共(?)事業なのか? 潤うのは旧来型の経済界と建設業界だけで、古い経済界の救済プロジェクトにほかならない。

 旧来型の大規模公共事業から再生可能エネルギーなどといった地産地消、小規模分散ネットワーク型社会を実現する持続可能な社会の実現や社会福祉型公共事業への転換が求められる。
 
「第44回 道路全国連全国集会アピール」は『みちしるべ』前号に掲載にて省略します。
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『みちしるべ』**道路住民運動全国連絡会 第44回全国交流集会 集会アピール**<2018.7.&9.&11. Vol.101>

2019年01月08日 | 道路全国連

道路住民運動全国連絡会
第44回全国交流集会
集会アピール

 道路住民運動全国連絡会 第44回全国交流集会は、東京都国分寺市の東京経済大学で開催され、36団体、128 人が参加した。

 東京では、大深度法が初めて本格適用された巨大な外環道工事により、地表が異常事態となっている。地下40mの工事現場で使用された気泡が、致死レベルの酸素欠乏ガスとなって地上の川面に噴出。更に地下水も地上に噴出した。しかし住民への説明会開催がないまま、工事が続行されている。

 地上部に影響を与えないことを大前提に成立した大深度法であるが、脆くもその大前提が崩れ去っている。このことは、東京外環道訴訟の大きな争点となるとともに、リニア新幹線事業、大阪淀川左岸延伸部など、大深度法が適用される事業に警鐘を鳴らすものでもある。

 都市計画道路では、東京都が見直しの姿勢を見せることなく、半世紀以上前の計画実現を地元住民の意向を無視して強行しており、また、災害対応を口実に特定整備路線を強引に進めている。いずれも、自然環境やまち壊しである。当然、各地で反対運動が巻き起こり、都内で12の道路裁判が争われている。

 計画段階の事業評価及び事業再評価などの制度は、全く機能していない。

 このように、全国の道路計画・道路事業は「人間が主人公のまちづくり」とはほど遠い状況にある。人口減少、高齢化社会を迎え、不要・不急の道路政策は見直されなければならず、真の住民参加の実現が求められる。

 年間5兆円が必要である老朽化したインフラの補修維持費は、18年度当初予算で5440億円と、必要額の1割にとどまっている。また、東日本大震災からの復興、とりわけ福島原発事故の被災者への支援打ち切り、暴力的な辺野古基地建設など、民意を無視した政策が続いている。一方、5 兆円を超えた防衛費は、次々に高額兵器を米国の言い値で買い上げることにより、後年度負担を含め、既にGDP1%という枠を超えるとの指摘がある。財政を破綻に導くアベノミクスと併せ、早急に是正が必要な状況である。

 2019年は統一地方選挙、そして参議院議員選挙の年である。改憲を見据える安倍政権の暴走を止めるとともに、不要・不急の道路建設を止め、弱者に目を向けた、だれもが住みやすいまちづくり、国造りを実現していかなければならない。

 私たちはこの問題に、自公政権に異議を唱えて立ち上がっている多くの市民運動との連携を強めながら、全力を挙げて取り組んでいくことをここに宣言する。

2018 年11 月18 日

道路住民運動全国連絡会第44回全国交流集会参加者一同

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