総行動における道路全国連の国交省交渉 要請書
「第44回 公害被害者総行動」において、6/6に「道路全国連」が国土交通省と交渉するにあたって、当局に提出した要請書を転載します。
国土交通大臣 石井啓一 殿
2019年6月5日
道路住民運動全国連絡会 事務局長 橋本良仁
国土交通省の2019年度公共事業関係予算は6兆9099億円、国際競争力の強化、オリンピック、国土強靭化を口実に7年連続で増額。2018年当初予算比では9310億円増となっている。
30年以上前の1987年に閣議決定した四全総で計画された全国14000キロメートルの高規格自動車専用道路網は推進しており、2008年には不採算道路として一旦止めた計画もゾンビのごとくよみがっている。
一方、道路を含めた社会資本の多くは建設後30年を経過して老朽化し、国交省自身、今後50年間に必要な維持・管理・更新費は250兆円(年5兆円)と見込んでいる。新たな道路を建設する財政的余裕はまったくない。
将来交通需要予測について
現在の道路事業評価の基礎となっている平成22年全国交通センサスに基づく、全国及び各ブロック毎の将来予測交通量を公表するとともに、従来の予測データとの比較結果を示して下さい。
また平成27年交通センサスから既に3年を経過していることから、予測交通量を、この最新の交通センサスによるものに早急に改めて下さい。
横浜環状南線
1.環境影響予測評価手法の新たなシステム構築状況について。
一昨年、以下について要請した。その後2年を経過しており、新たなシステム構築状況について説明を求めます。
「平成29年2月20日付け公害調停は「被申請人は、環境影響評価の大気汚染予測の方法について、科学的知見に基づき最適な予測方法を用いるものとする。」と成立しました。具体的にいつどのような方法を採用するか、を示すよう求めます。
昨年の回答は「最新の状況で行くと、研究機関で海外の事例とか、どういった手法があるとかということ、行けるもので法等にそれが予測できるのかどうかは次のステップで。プルーム・パフより精度のいいものはどういうものがあるのか、海外の事例を見ながら検討している」とのことであったが、その後の検討結果、及び、今後どのように進展させるのかについて提示頂きたい。
2.換気所の脱硝装置の設置について
NEXCO東日本に脱硝装置を設置するよう指導することを改めて求めます。
そもそも、脱硝装置設置は事業の認定手続きである環境影響審査における社会との約束(契約)事項である。すなわち、アセス時の環境影響評価書の縦覧後の市民・横浜市からの意見書に対し、事業者の見解書に「換気所から排出される自動車排出ガスの脱硝技術等については、現在実用化されておりませんが、その技術的可能性について調査研究が進められており、脱硝技術等が実用化された段階で、検討を行ってまいります」と明記され、これに基づき都市計画変更は認可となっているのである。
事業者のNEXCO東日本は、現在の大気環境は改善されていることから脱硝装置の設置は必要ないとうそぶいているが、脱硝技術は横浜環状北線に設置され既に実用化されておりアセス時の約束の履行を求めるものである。
なお、平成28年秋の横浜市議会の決算委員会で市当局は「住民の要望に応え横浜環状南線も換気塔に脱硝装置を付けるよう事業者に伝える」と回答、また、平成31年2月横浜市議会は地元住民からの請願「脱硝装置の設置について国及び東日本高速道路株式会社に働き掛けを行うこと」が本会議において採択されており、この全会派一致の採択を無視することは許されない。
3.供用後の公害発生時等の対応窓口(自治会等)と事業者との問題解決に関する協定締結について
国交省として上記の問題解決の相談窓口として対応する自治会、町会を認め事業者との協定を締結するよう指導することを強く要請する。
事業推進中の横環南は将来にわたり地盤沈下や低周波振動や騒音被害、排気ガスによる健康被害など生ずる可能性を秘めている。PM2.5による発症には20年近い潜伏期間があるとの報告もあり将来にわたり心配である。このような事例が生じた場合を考慮して相談や訴え窓口の設置が必要である。しかし現在まで事業者との話合では民法を盾に地域社会との協定締結を拒否している。一方住民の福祉を守るための町会活動は地方自治法により守られておりこの矛盾を打破するため上記の協定を結ぶことが不可欠である。
中部横断自動車道八ヶ岳南麓新ルート沿線住民の会
中部横断自動車道(長坂~八千穂)―― 山梨県側(北杜市)
要請事項
八ヶ岳南麓の自然、景観、生活環境等の地域環境を破壊し、深刻なダメージを与える高速道路建設計画に反対し、新ルート帯の見直しを求め国道141号の改良・整備による現道活用を求めます。
最初の時点に戻し、公共事業評価制度計画段階評価のやり直しを求めます。
社会資本整備審議会道路部会関東地方小委員会での再審議を求めます。
1.公開ヒアリング時の21質問事項に対する回答書の速やかな提出等について
道路局は2018年12月11日 超党派議員連盟「公共事業チェック議員の会」と沿線住民の会共催で行われた国交省への「公開ヒアリング」で21の質問項目質問書に対する回答書提出の要請に応じました。再三の回答書提出の求めに対してようやく2019年2月5日、道路局企画課道路経済調査室から国会議員事務所を通じて回答書が送られてきました。その回答書には官庁名、当該部署、担当者名、また回答の宛先、日付などは一切記載されておらず、とても公文書としての回答書と言えるものではありません。改めて公開ヒアリングの際に回答した内容に基づき、質問書の21質問項目に対して事実に基づいた適正な説明と回答を求め、回答書の速やかな提出を求めます。
2019年3月26日関東地方整備局(甲府河川国道事務所地域防災調整官、係長同席)への面談要請の際に21質問項目質問書をあらかじめ提出していましたので、詳細な説明と回答が得られるものと思っていましたが、整備局課長補佐及び甲府河川国道事務所の地域防災調整官は殆ど説明及び回答が出来ませんでした。こうした事態・対応等について具体的な回答を求めます。
2.転記ミス・改ざんされた新ルート図の訂正と公表について
国交省が主張する、本件の「計画段階評価は適正に行われた」について再度説明を求めます。2012年11月21日関東地方小委員会第1回ワーキンググループに、国交省は改ざんされた新ルート帯案図を審議資料として提出しました。更に2013年1~2月に開かれた地元説明会について事実と異なる報告も行っています。ワーキンググループの委員たちはこの改ざんされた資料や誤った報告にもとづいて審議・取りまとめを行いました。
当時の甲府河川国道事務所の事業対策官と課長、関東地方整備局、道路局は転記ミスと認めましたが、現在も転記ミス・改ざんされた新ルート図は訂正されず放置され、審議資料や行政説明資料として使用され続けています。計画段階評価にはこのように重大な瑕疵があるため、そのやり直しを求めます。また、速やかに転記ミスを訂正・公表することについて回答を求めます。
3.計画段階評価の際に提示されなかった「消されたルート案」について
速やかに「ボタンの掛け違い」の時点にもどし、複数ルート案の提示と比較評価の機会をつくるために、計画段階評価のやり直しを求めます。
2017年1月~3月の公文書情報開示請求により、国交省が2013年当初の地元説明会及びそれ以降もないと言い続けて公表されなかった新ルート帯案のルート帯地形図、縦平面図と工法図等概略図が開示されました。さらに中央道須玉ICと双葉JCT分岐ルート案の概略図も開示され、地元説明会の時点で存在していたことが判明しました。
更に山梨県のホームページには2016年9月13日付で長坂ICを起点にして141号の東側の川上村、南相木村、北相木村近く、佐久穂町周辺を通るルートが公表されています。
現時点で把握されている計画段階評価の際に提示・公表されなかったルート図は①中央道須玉ICと双葉JCT分岐ルート案②長坂ICを起点にした141号の東側の川上村、南相木村、北相木村近く、佐久穂町周辺を通るルート図です。国交省は計画段階評価の手続きの際に複数ルート案を検討、用意しておきながら、なぜ新ルート案だけを提示・公表して、他のルート案を示さず住民にルート案の比較評価の機会を与えなかったのか。「消されたルート案」についての説明と回答を求めます。
4.山梨県への対応策 国交省からの出向者の対応等について
石井国土交通大臣は山梨県知事が訪問した際に、いかに地域住民とのコミニュケーションを取るかが課題だと話し、山梨県知事は真摯に話す機会をつくり、懸念を払拭できるようにしたいと答えました。
本年1月新知事として就任した長坂幸太郎知事へ2月27日に面談を要請しましたが、3月22日の回答で面談は拒否されるに至っています。山梨県県土整備部にはこれまで継続的に国交省から出向した者が部長、副部長、理事、高速道路推進課長職に配置され、私たち住民との直接的な対話を妨げ信頼関係を損ね、面談ができなくなった経緯があります。このような事態について道路局はどのように対応しますか。山梨県に対してどのような具体的な打開策を講じて働きかけますか。回答を求めます。
東京外郭環状道路
1. 気泡シールド工法について
気泡シールド工法を住宅街直下で採用するなら、上記の問題点をいかに解消するのか、具体的に示していただきたい。
酸欠空気が住宅の地下室、井戸などに滞留し、住民の生命に影響を与える可能性を排除しなければならない。具体的な施策を明らかにしていただきたい。
東名JCT発進のシールドマシンにより、野川に酸欠気泡が発生。遊歩道及び工事ヤード内に地下水が噴出した。40m以深の工事であっても、地上に影響が出ることが明白になった。大深度法違反である。
酸欠気泡噴出のメカニズムの解説は、気泡が川面を移動した事実を、地下水噴出は気泡が一か所に集まる理由を説明できていない。今後も、気泡シールド工法によって、気泡、地下水が噴出する可能性が高い。
大林JV、鹿島JVそれぞれの工事責任者は、「南行き工事による残留空気が北行き工事の影響で押し出され空気の噴出があった」とする見解を示した。この発言から、1台目のマシンによる滞留空気が2台目のマシンにより地上へ押し出されるという事実が明らかになった。つまり、地下40m以深から地上に至る空気、地下水の通り道があり、そこから残留空気が地上に噴出する可能性が高いことが証明された。
2. 緊急避難計画について
地下でトンネル事故が発生し、周囲の大量の土砂がトンネル内に流入しているなら、地上部に陥没が発生するとみて間違いない。住民、特に災害弱者である住民の避難に必要な時間が、どのように確保されるのか、避難時間計算の根拠とともに示していただきたい。
上記の「兆候」とは、具体的にどのような状況を指すのか、事象、数値等を含め、具体的に明らかされたい。
福岡県博多駅前の地下鉄延伸工事による大規模陥没事故を恐れた住民の厳しい要求に応え、事業者は緊急避難計画(「東京外かく環状道路《関越〜東名》トンネル工事の安全・安心確保の取り組み」2018年7月)を公表した。そして、トンネル内に掘削土以外の大量の土砂が流入した時が避難指示を出す時であると説明している(2019年2月のオープンハウス)。しかし、最も重要である、住民の避難完了と陥没事故の発生との時間的な関係が示されていない。
事業者作成の「東京外環《関越〜東名》トンネル工事の緊急時の対応について」(平成30年12月)に「緊急時の周知に際しては、地表面に影響が発現する時間は地質条件等により異なるが、可能な限り早期に兆候を把握することが重要である。」この「兆候」をどう定義するのかによって、避難計画の有効性が大きく変化することは明らかである。
3. 家屋の振動について
振動(低周波を含む)原因を究明し、発生させない具体的方策を示していただきたい。
振動が発生する可能性があることを、シールドマシン到達予定地に事前周知し、希望者宅には震度計を設置していただきたい。
マシン位置をリアルタイムで現地に表示していただきたい。
東名ジャンクション地域では、シールドマシンが既に住宅地に入っているが、これに伴うと考えられる家鳴り、振動に悩まされているとの声が寄せられている。振動個所は野川の左岸のみならず右岸に及んでいる。近傍に振動の発生原因となる事象は、外環工事以外に認められない。住民は睡眠障害、生活破壊に悩まされている。さらに、振動は建物の損壊に繋がり、長期的には陥没などを引き起こす事態となる。
4. 全体として
東京外環道事業者は、説明会、オープンハウスは開催しても、住民側の質問に答えず、大深度法の定める『説明責任』を果たしていない。東名JCT地域での気泡、地下水噴出事故に関する質疑でも同様である。事業者が説明責任を果たすよう、指導していただきたい。
事業者側はリアルタイムの地表面変容、地下水位、トンネル施工の安全管理基準値など、他の事業で公表しているデータですら明らかにすることを拒んでいる。東京外環道の工事は、住宅街直下の超大規模事業であり、住民の安全・安心確保は、最優先事項である。工事情報を公開し、住民のアクセスを容易にしていただきたい。
第45回 道路全国連全国交流集会
日程:2019年 11月23日(土・祭) 午後 横環南等バス見学会 16:00~交流集会
11月24日(日) 9:00~17:00交流集会
場所: 横浜市栄区 JR本郷台駅前 あーすぷらざ内 映像ホール及び会議室
主催: 横浜環状道路(圏央道)対策連絡協議会(現地実行委員会)