『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』**路面電車の今昔・そして21世紀へ**<2001.5. Vol.11>

2006年01月04日 | 単独記事

路面電車の今昔・そして21世紀へ

路面電車の盛衰

日本 1895(明治28年)   京都に路面電車が始めて登場する。
    1932(昭和7年)    全国65地域に広がり、最盛期となる。
    1960年代後半から  次々に廃止され、現在19地域にまで減少。
    1998(平成10年)   建設省の路面電車整備補助事業始まる。
    21世紀に向けて    全国40地域で導入・延伸計画が検討されている。

世界 1978(昭和53年)   カナダ・エドモンド市が世界最初にLRT[*注]を導入。
    1997(平成9年)現在 海外で52都市がLRTを導入している。
    21世紀に向けて    ニューヨークや北京など約50都市で計画・建設中。

[*注] LRT(Light Rail Transit)=軽快電車と訳されている路面電車。低床式車両が多く、車椅子でも介助無く乗降できる。スピードも速く、騒音も少ない。日本でも熊本市や広島市・岡山市が、 ドイツ製やフランス製のものを導入し始めている。

全国で営業中の路面電車

札幌市(8.5km)
函館市(10.9km)
東京都(12.2km)
東京急行鉄道(5.0km)
富山地方鉄道(6.4km)
加越能鉄道(12.8km)
福井鉄道(3.3km)
名古屋鉄道(23.9km)
豊橋鉄道(5.4km)
京阪電気鉄道(21.6km)
京福電気鉄道(11.0km)
阪堺電気鉄道(18.7km)
岡山電気鉄道(4.7km)
広島鉄道(18.8km)
伊予鉄道(9.6km)
土佐電気鉄道(25.3km)
長崎電気鉄道(11.5km)
熊本市(12.lkm)
鹿児島市(13.lkm)

全国路面軌道連絡協議会(2000年7月7日現在)による

路面電車(LRT)の特徴

  1. 環境面で優れている。路面電車の消費電力を、火力発電所で発生する二酸化炭素・窒素酸化物に換算しても、バスよりも少ない。輸送効率で比較すると、マイカーよりも少ない。騒音はマイカーとは比較基準が違うが、沿道住民負担は遥かに低い。
  2. バリアフリーに貢献する。低床のものは路面から25cmしかなく、プラットホームからは水平であり、車椅子でも高齢者・幼児も楽々乗降できる。発進・停車とカーブがバスよリスムースで、高齢者や幼児にも安全である。
  3. 都市混雑地域に優れている。長距離高速移動では一般鉄道や地下鉄の方が有利である。また、過疎地ではバス輸送の方が効率的である。しかしながら、混雑した都市部ではバスよりも輸送量が多く高速である。何より定時制に優れている。輸送効率はマイカーとは比べ物にならず、都市混雑の解決策と考えられている。
  4. 経済性に優れている。地下鉄建設の1割の建設費しかかからない。現在の都市高速道路は建設費が高額である。阪神高速の建設費のキロ単価は、200億/kmもかかかっており、遥かに安価である。何よりも建設期間が比較にならないほど短期間である。
  5. トランジットモールで商店街の活性化に期待できる。フランスのストラスブール市では、メインストリートから車を締め出し、LRTを走らせたところ、人通りが復活して商店街が潤ったと言う。日本ではトランジットモール化に、商工会が反対しているが、欧米では商店街が誘致運動をしているところもあるという。
  6. 交通事故の減少に効果。都市内短距離公共交通が減少した結果、マイカーが増大している。その結果、駐車違反と交通事故は増大して、減少する気配は無い。欧米と比ベて、乗車中より歩行者の犠牲率が高いのが日本の特徴である。路面電車を施設することにより、車線を減らしてマイカーを締め出すのがドイツ流である。ロサンゼルスでのアンケートでも、自分は不便になるが、路面電車に賛成派は7割を超えるという。交通事故の圧倒的減少の為にも、路面電車の復活を。

路面電車復活のポイント

 都市ドーナッツ現象、中心部の空洞化。車客を当込んだ郊外型スーパーに、商店街はシャッター通りと化した。長浜市黒壁スクウェアーは、その解決の見本であろう。黒壁日本建築の旧銀行をガラスエ房に再生し、周辺整備を商店街の青年部が行政と一体となって行い、年間百数十万の観光客を誘致することに成功した。狭い道路をそのままに、周辺にバス駐車場を整備したのが成功の秘訣。マイカーの否定的側面を、地域住民に徹底し、古い町並みを保存した。阪神間ではトランジットモールでの商店街の活性化は、あらゆるところで可能である。尼崎公害訴訟を意識してか、兵庫県は尼崎市の臨海部と阪神尼崎駅・JR尼崎駅・阪急塚口駅を結ぶLRT構想を打ち出した。国土交通省は道路特定財源の使い道に苦慮し、渋滞緩和策として、路面電車に補助をしている。①地域住民の創意で民意を結集し、②自治体をまき込み、③有り余る道路特定財源を導入する ことが重要である。

(資料は毎日新聞2000/12/31朝刊21頁 文責=藤井)

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