「第46回 公害被害者総行動」における国土交通省との交渉の要求書①
毎年、環境週間に合わせて、全国の公害被害者が集まって、集会・デモ行進・省庁交渉を行っています。阪神間道路問題ネットワークも参加する「道路住民運動全国連絡会」も、毎回参加しています。
過去に我がネットワークは、省庁交渉に参加したことがありますが、近年は協力券の購入と署名での参加になっています。
今回は、以下の三団体の国交省交渉となります。要求書が取りまとめられましたので、紹介しておきます。
(ブログ版では1団体毎に掲載します。)
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2022年5月6日
第46回 公害被害者総行動
国土交通省への要求項目
道路住民運動全国連絡会
【横浜環状道路南線(圏央道)】
1、横浜環状南線(横環南線)の環境影響評価の見直しを求めます。
横環南線は、当初は栄JCから釜利谷JC間は、長さ1km前後の4つのトンネルと掘割部から成り、トンネル内の排気ガスは主に2か所の換気所からの大気放出される事とし、トンネルの切れ目や換気所周辺についての大気汚染濃度評価や騒音評価と防止対策が計画されていました。
しかし、2019年にNEXCO東は、突然、これらのトンネルと掘割部を1つに繋げた、全長5kmの1本のトンネルとする大きな設計変更を発表しました。
この為、排気ガスは、前後の出入り口と2か所の換気所から放出される事になりました。出入口とは、笠間口と釜利谷の開口部です。換気所は、笠間と公田に計画されていますが、釜利谷開口部から最大の排気ガス量を放出する計画となっています。
一方、環境影響評価について、その後の状況変化をフォローするために数年置きに照査が行われています。この照査では、走行車両の台数や排気ガスの排出量などを時々の状況にあわせてアップデートして評価しています。前記の様に、横環南線では、トンネル構造が大幅に変更になり、排気ガスや騒音の発生地点が大きく変わったにも関わらず、評価地点はまったく変わっていません。
例えば、このトンネルの一方の出入り口である釜利谷開口部からは、全体の38%という最大の排気ガスが無処理で大気放出されるにも拘わらず、最も近いNOx濃度の評価地点は、約1km離れた神戸橋の地点でしか評価されておりません。この地点は、従来は神戸橋橋梁部で大気開放されていたために評価地点とされたもので、変更後は排気ガスは無くなった地点です。
この様に、排気ガスの放出計画が大きく変更されたにも拘わらず、大気汚染濃度などの評価地点は従来通りの為、近隣住民は大きな不安を抱いております。
換気計画の大幅な変更に対応した環境影響評価の見直しを求めます。
一部住民の質問に答える形で、部分的限定的な評価結果は知らされていますが、全体的位置づけからの公式な報告書として公開されるべきです。
2、横環南線計画において最大の排出ガス(全体の約38%)が放出されることになった釜利谷開口部に蓋掛けなどの対策を講じる事を強く要求します。
横浜市栄区の庄戸住宅地から200mしか離れていない釜利谷の谷部では横環南線での排気計画見直しにより全体の4割の排気ガスが無処理のまま自然放出されることが明らかになった。区民の健康を守るため横環南線が渡る4号線上部の開口部に設置されると同様のルーバー蓋掛けをすることを要求する。
下記の横浜市議会の道路委員会でも対応が約束されている。
3、横浜環状南線の2カ所の排気ガス換気所に排ガス脱硝装置を設置することを要求します。
3年前に横浜市議会にて全会派一致で脱硝装置の設置を採択され、横浜市長は事業者に設置要請を行っているが事業者はこれを未だに無視し続けている。これに関し、先日の市議会における道路委員会でも、議長と道路局長が住民の強い対応を受け改めて再度文書にて要請することを決定した。同じ横浜市内の横浜環状北線と北西線には、設置済みで格段良くなった排気ガス濃度がHPに報告されている。これを知り環境影響評価ではすべて同等である同じ横浜市民である栄区市民は全く納得できない事実を知るべきである。ここに栄区市民を代表して上記2基の排気所に北線、北西線と同等の脱硝装置の設置を要請する。
4、国内で稼働中の全てのシールドマシンの点検と安全対策について統一化を求める
横浜環状南線のシールドマシンの故障の原因は駆動モーターにピニオンギアを固定するボルトが締め過ぎが原因で破断した為と説明されたが、その後WEB記事で「過去に同様の事故がなかったため、締め付けトルクの管理値を設けていなかった」と締め過ぎの理由が明らかにされた。
管理値を設けずに組み立てられたマシンは欠陥品であるので、稼働中の全てのマシンの運転を即刻停止して点検と対策を講じるよう事業者へ命じることを国交大臣へ3月22日に要請した。
ついては、この要請に対しどのような対処が行われたかお答え下さい。
5、シールドトンネルの超近接併設工事に対する安全対策を統一化し施工者に指導を求める
過去の近接工事施工例では、つくばエクスプレス線の最小離隔288mmがあるが、区間は立坑発進到達の僅か15mでありトンネル直径φ7.45mに対する比は3.9%である。横浜環状南線は上下線の併設トンネルでは最小380mmの超近接区間が500m続く。直径15mφに対する離隔距離の比は2.5%と非常に厳しい条件となっている。共同企業体の幹事会社の大成建設は設計段階で検討を行っていると住民に説明したが、対策は合成セグメントの採用とシールドトンネル側面にセンサーを設置したことであると思われる。セグメント厚405mmは直径比2.7%になる。
ところが横環南に接続している横浜湘南道路では近接区間2.7kmに渡り、後行トンネルにより先行トンネルのセグメントに変形が生じないよう前後50mに移動式支持装置を設置するとしている。因みに、シールドトンネルの直径12.92mφ、最小離隔400mm、合成セグメントの厚み360mmとなっており、離隔/直径は3.1%、厚み/直径2.8%と何れも横環南よりも安全側の数値になっている。
横湘道路の対策は企業体からの提案だと横浜国道事務所の計画課長が明かにした。
施工を担当する企業体により安全対策にばらつきがあってはならない。国交省として超近接併設工事に対する統一した安全対策を設定し企業体へ指示するよう求める。
6、桂台地区のシールドマシンによる低周波音等による健康被害状況を把握すること。ひいては夜間の稼働の中止を求める。
7.主要地方道原宿六ツ浦(上郷公田線)の整備計画の中止勧告するよう求める
昨年の要請で住民に納得できる説明がなされなければ道路整備計画は進めることは許されないと申し上げました。しかるに、横浜国道事務所も横浜市道路局も6,200台/日の推計交通量に対して、我々に納得の行く説明をせず、従来の「数字はOD表から出たものだ」を繰り返すことに終始してきました。
合理的な裏付けのない道路整備計画は中止するよう横浜市へ勧告願います。